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偽痛風

1.偽痛風とは?(定義)
2.この病気の患者さんはどのくらいいるのですか?(疫学・頻度)
3.この病気はどのような人に多いのですか?(男女比・発症年齢)
4.この病気の原因はわかっているのですか?(病因)
5.この病気は遺伝するのですか?(遺伝)
6.この病気ではどのような症状がおきますか?(症状)
7.この病気にはどのような治療法がありますか?(治療)
8.この病気はどういう経過をたどるのですか?(予後)
9.よく聞かれる質問とこたえ(FAQ)


1.偽痛風とは?(定義)
  この病気は仮性痛風あるいは偽痛風 Psedogout, さらに 軟骨石灰化症ともよばれます。一過性、または反復性に痛風のような激しい関節炎を生じますが、尿酸結晶以外の結晶により惹起される関節炎をいいます。主としてピロリン酸カルシウムで軟骨の石灰化を伴うことからピロリン酸カルシウム結晶沈着症(CPPD結晶沈着症)や軟骨石灰化症とよばれております。

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2.この病気の患者さんはどのくらいいるのですか?(疫学・頻度)
  頻度は報告者によって異なりますが、McCartyらの平均71才の高齢者215人についての検索では、膝関節の2.3%にCPPD結晶がみられています。高齢になるほど頻度は高くなりますが無症候性のCPPD結晶沈着症もあるので、正確な頻度は我が国では出ておりません。

3.この病気はどのような人に多いのですか?(男女比・発症年齢)
  発症年令は、痛風に比し高齢者(60〜80才)での発症が多く、罹患部位では膝関節、ついで手、足、股、肘関節などが好発部位であります。女性にやや多いようですが男性のほうがやや多いとの意見もあります。

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4.この病気の原因はわかっているのですか?(病因)
 

ピロリン酸は肝細胞や軟骨細胞など種々の細胞で合成され、総合成量は一日に数kgに達します。濃度の上昇したピロリン酸とカルシウムは軟骨内でピロリン酸結晶を形成します。カルシウムとピロリン酸が結晶化する要因として軟骨変性が重要です。軟骨内の結晶は酵素、外力による関節破壊により、関節腔内へ脱落します。関節腔内では結晶はIgGという免疫グロブリンを吸着し、それを多核白血球、単球、滑膜細胞などが貪食します。破壊された細胞からはライソゾーム酵素や種々の走化因子が放出されて炎症はますます増強します。急性発作時には当該関節の腫脹、局所発熱、強い疼痛があり、関節の動きが悪くなるものが多くなります。CPPD結晶があっても急性発作性関節炎を来たさないこともあります。発作のないときには、通常の変形性関節症のような病像をとりますが、膝では内反変形を来たしているものが多いようです。


5.この病気は遺伝するのですか?(遺伝)
 

CPPD結晶沈着に伴う関節炎は、遺伝性のもの、散発的のもの、種々の代謝疾患や外傷が原因のものに分類されています。家族性発症者の大部分は常染色体優性遺伝形式の形をとっています。遺伝性が分かっているものは、現在のところハンガリー系スルバキア人、スペイン系チリ人、日本人、ドイツ人などがあります。
しかし、散発的なもののほうが多いようです。


6.この病気はどのような症状がおきますか?(症状)
  偽痛風はCPPD結晶沈着症の種々の臨床症状の一つにすぎません。急性の偽痛風発作は数日またはそれ以上持続し、1〜数箇所の関節炎が特徴です。急性痛風発作のように突然出現して自然に軽快しますが、痛風より痛みは軽度です。このような発作の大半は膝関節におこります。また約半数の患者さんでは多くの関節の変形が進行します。この病気の病型はおおまかに次のように分類されています。

A型: 仮性痛風(25%)主として膝、足関節に急性関節炎が発作的におこり間欠的であるもの
B型: 偽性慢性関節リウマチ型(5%)亜急性関節炎を繰り返しRAに似るがリウマトイド因子陰性のもの
C型: 偽変形性関節晶型、徐々に進行する慢性関節炎の経過中に急性発作を伴うもの(25%)
D型: C型に似るが急性増悪はないもの(25%)
E型: (無症状型)石灰沈着がみられるが症状のないもの
F型: (偽性シャルコー型)骨・関節破壊が著明なもの

7.この病気にはどのような治療法がありますか?(治療)
  急性発作時には局所の安静、冷罨法などを行ない、必要ならステロイド剤の関節腔内注射を行ないます。決定的な治療法はないので対症療法が主体であり、関節機能の再建には人工関節置換術が行なわれることもあります。

8.この病気はどのような経過をたどるのですか?(予後)
  多くの患者さんでは膝の変形と慢性的な運動痛、動作の開始時の痛みで特徴とされる変形性関節症に移行します。膝以外に足関節や指の関節にも変形をきたすことがあります。

9.よく聞かれる質問とこたえ(FAQ)
  Q1: 偽痛風の診断はどのようにしてするのですか?
  A1: この病気の診断はCPPD結晶の検出をX線解析像で確認するか、偏光顕微鏡で弱い正の複屈折性の単斜晶形または三斜晶形の結晶を確認することです。レントゲンでの軟骨石灰化症の存在と関節液内のピロリン酸カルシウム結晶の確認の両者により、仮性痛風と診断できます。
  Q2: 軟骨の石灰化はどのような部位に多いのですか?
  A2: 膝半月板や恥骨結合、脊椎椎間板、手関節円板など線維軟骨に石灰化がみられることが多いのです。半月板の柔らかいX線像では、CPPD結晶の沈着が明確になることがあります。
  Q3: 軟骨や関節周囲に石灰化がみられたらこの病気と思っていいのでしょうか?
  A3: いいえ、その他日常遭遇する結晶沈着症としてリン酸カルシウム(BCP)結晶、ハイドロキシアパタイト結晶などがあり、急性関節炎、関節周囲炎、石灰沈着性腱炎などの症状を呈することがあります。また、シュウ酸カルシウム結晶(Calcium oxalate : CO)では手指関節周囲や皮下の多発性石灰化や急性関節炎をひきおこすことがあります。
  Q4: 自覚症状がありませんが、たまたまレントゲン像で石灰化を指摘されましたがどうすればいいのでしょう?
  A4: 症状がなければ放置してかまいません。将来なにか症状が出てから治療してよいものです。

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