若年性特発性関節炎

1. 若年性特発性関節炎とは?(定義)
2.この病気にはどのような病型があるのですか?(病型診断)
3.この病気の患者さんはどのくらいいるのですか?(疫学・頻度)
4.この病気はどのような人に多いのですか?(男女比・発症年齢)

5.この病気の原因はわかっているのですか?
   また遺伝するのですか?  (病因・遺伝)

6.この病気はどのような症状がおきますか?(症状)
7.診断はどのようにしますか?
    また、どんな検査が必要ですか?(診断・検査)
8.この病気にはどのような治療法がありますか?(治療)
9.この病気はどのような経過をたどるのですか?(予後)
 



1. 若年性特発性関節炎とは?(定義)
  16歳以下の小児期に発症する原因不明の慢性関節炎と定義されます。小児期の慢性関節炎のなかで最も頻度の高い疾患です。以前は若年性関節リウマチと呼ばれていました。臨床的には全身型、関節型、症候性慢性関節炎に分類されます。

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2.この病気にはどのような病型があるのですか?(病型診断)
 

臨床現場における分類については、まず全身型と関節型とに分けられます。また乾癬、潰瘍性大腸炎などに併発して二次的に慢性関節炎を呈するものは症候性慢性関節炎に分類されます。


 

3.この病気の患者さんはどのくらいいるのですか?(疫学・頻度)
 

我が国での有病率は10人/100,000人、発症率は年間1人/100,000人と推定されています。

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4.この病気はどのような人に多いのですか?(男女比・発症年齢)
 

全身型:発症年齢は、3歳、8歳に二峰性のピークがあります。男女比はほぼ半々です。
関節型:10歳以降の女児に多くみられます。


 

5.この病気の原因はわかっているのですか?
  また遺伝するのですか?  (病因・遺伝)
 

この病気は単一の疾患ではありません。全身に炎症が生じる全身型と炎症の主病変が関節である関節型とでは病因・病態が異なると考えられています。どの病型であっても、免疫反応、環境暴露(感染症がほとんど)、遺伝的因子により発症すると考えられています。しかし詳しい原因は不明です。

関節炎の炎症病態の形成に、炎症性サイトカイン(IL-1b、IL-6、TNF-a)が重要な役割を果たしていることがわかっています。特に全身型ではIL-6とIL-1bが、関節型にはTNF-aが関わっていることが報告されています。

 また全身型にはマクロファージの活性化が関わっています。


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6.この病気はどのような症状がおきますか?(症状)
 

全身型:弛張熱、リウマトイド疹および関節炎が三主徴です。関節症状はあまり目立たず全身症状が強く出現します。多くの症状がありますが、その中で弛張熱は特徴的な熱型です。これは日差が1℃以上で、解熱時は平熱までは下がらない熱型のことです。リウマトイド疹も比較的多くみられる症状で、直径数mmから1 cmの鮮紅色の紅斑で、発熱とともに出現し、解熱時に消失することもあります。これ以外にはリンパ節腫脹、肝・脾腫、心炎、胸膜炎、咽頭痛などの症状がありますが、いずれもこの病気に特異的な症状ではありません。

関節型:臨床的見地から小関節型(持続型、進展型)、多関節型と分類されることが一般的です。関節型では6週間以上持続する関節炎が主症状です。関節炎の診断は、関節腫脹と圧痛、可動域の減少、運動時痛および熱感の4つの症状のうち2つ以上あれば診断ができます。年少者では明らかな関節痛を訴えないこともありますが、朝のこわばりは関節炎の存在を示唆する重要な症状のひとつです。これは起床後、痛みのために関節をあまり動かさず、じっとしているものです。個人差や病状により程度の差はありますが、時間の経過とともにだんだんと動きがよくなるという症状です。関節型の中の少関節型の女児で、抗核抗体陽性者では虹彩毛様体炎を合併することがあります。症状としては霧視(きりがかかったように見える)や羞明(まぶしがる)が認められます。


 

7.診断はどのようにしますか?
 また、どんな検査が必要ですか?(診断・検査)
 

全身型:弛張熱、リウマトイド疹および関節炎を主徴とする全身型は、感染症(敗血症を含む)、白血病、その他のリウマチ膠原病などを除外した上で診断されます。胸膜炎、心嚢炎、肝・脾腫を伴うことも特徴です。末梢血の血液変化として白血球増多を認めます。赤沈やCRPなどの炎症反応の亢進が認められ、IL-6が病態形成の核となっていることが判明しています。関節炎は股関節に始まることが多く、四肢関節、顎関節、頸椎関節なども系統的におかされます。関節障害の特徴は、長幹骨の骨化不全や骨粗鬆症の進展がみられることです。全身型は、経過中に約8%の例が突然死することが報告されています。これはマクロファージ活性化症候群への病態転換により播種性血管内凝固や多臓器不全が引き起こされるためです。

関節型:関節炎症の詳細な臨床的把握(四肢の関節、顎関節、頸椎関節のすべてを診察)、血液検査による炎症所見の評価(赤沈、CRP、血清アミロイドA)、血清反応による関節炎の評価(MMP-3など)、病型の判断(リウマトイド因子、抗核抗体、抗CCP抗体)を行います。診断には造影MRIや関節超音波検査などの画像検査が有用です。

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8.この病気にはどのような治療法がありますか?(治療)
 

全身型:まず非ステロイド性抗炎症薬〈NSAIDs〉を使用しますが、有効例は少なく、ほとんどの症例に副腎皮質ステロイドが使用されます。プレドニゾロン〈PSL〉1~2 mg/kg/日が適用されます。メチルプレドニゾロンパルス療法が行われる場合もあります。全身型の病態は、IL-6が深く関与しているため、抗IL-6受容体モノクローナル抗体(トシリズマブ)が有効です。2008年に保険収載されました。

関節型:第一段階の治療として診断確定までの症状改善にナイキサンやイブプロフェンなどのNSAIDsを用います。第二段階として我が国ではメトトレキサート〈MTX〉少量パルス療法に加え、NSAIDsおよび少量PSLを加えた三者療法(MAP療法)が一般的に用いられます。MAP療法で効果がない場合に、第三段階としてTNF阻害薬であるエタネルセプト、抗IL-6受容体モノクローナル抗体のトシリズマブなどの生物学的製剤が使用されます。


 

9.この病気はどのような経過をたどるのですか?(予後)
 

 病型によって経過は異なります。しかし早期に診断して、早期に生物学的製剤を含めた治療を行うことで、この病気の経過は従来と比較して改善されていくものと期待されています。


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【情報更新日】平成23年11月11日



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