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全身性血管炎とは?
全身性血管炎とは、全身のさまざまな血管に炎症が起こり、血管の流れが障害されて起こる特殊 な病気の総称です。血管系以外の他の臓器に炎症が起こり、その影響を受けて二次的に血管に炎症が及んだものは除きます(肺炎や肝炎で、肺や肝臓の血管に炎症が及んだものなど)。 全身性血管炎の中には、次の項目で説明する個々の疾患が含まれています。病気の正式な名前は、この個々の疾患名になります。しかし、個々の病気の診断は、専門家でも難しいことが多く、また、いくつかの病気が同時に起こってくることもあります。そのため、"血管炎"という呼び方が使われるようになりました。
全身性血管炎には、様々な独立した疾患が含まれます。血管炎で起こる症状は、主に障害を受ける血管のサイズに関連していることから、各疾患は障害血管サイズに分類されています。
高安動脈炎(大動脈炎症候群)
多発血管炎性肉芽腫症 (ウェゲナー肉芽腫症)
チャーグ・ストラウス症候群 (好酸球性多発血管炎性肉芽腫症)
ヘノッホ・シェーンライン紫斑病(IgA血管炎)
ヘノッホ・シェーンライン紫斑病(IgA血管炎)とは
薬剤や感染などに対するアレルギー性の反応が原因となり、細い血管(微小循環系)に炎症が起こる血管炎のひとつで、症状として皮膚の紫斑、関節痛、腹痛、タンパク尿などがみられます。主に、幼稚園児や学童でみられますが、成人でも発病することがあります。急性に症状が起こることが多い病気ですが、慢性に経過し反復する場合もあります。腎臓に炎症がみられる場合には、腎生検という検査が必要になることがあります。治療は症状の程度によりますが、内臓に障害がみられればステロイド薬の投与が行われ、通常はよい治療効果がみられます。
過敏性血管炎は、皮膚の細い血管(微小循環系)に炎症が起こり、隆起した紫斑やじんま疹様の発疹などの皮膚症状がみられる病気で血管炎のひとつです。この病気は、薬剤や細菌などに免疫系が過度に反応するアレルギー反応が原因であることにより「過敏性血管炎」と呼ばれてきました。しかし、他の血管炎でも免疫系の異常があることや、同様の皮膚症状が起こることがわかってきたため、この病名は使わず、「皮膚白血球破砕性血管炎」という病気に含めるか、その他に原因となる病気があれば、その名前を使うように血管炎の国際会議で提案されました。「皮膚白血球破砕性血管炎」とは、皮膚の組織検査で細い血管に急性の炎症を示す白血球の破砕像がみられ、全身的な症状がない皮膚症状のみの血管炎のことです。治療は、薬剤など明らかに原因となるものがあれば中止し、治療薬としてステロイド薬が通常よく効果を示します。
皮膚白血球破砕性血管炎(過敏性血管炎) では、その一部が、薬剤によって引き起こされることが知られています。痛み止め、 抗生物質などさまざまな薬剤で過敏性血管炎が起きます。しかしこれは、薬そのものの作用によるものではなく、薬を飲んだ人の体質によりますので、その頻度は低いと考えてよいでしょう。自分自身の蛋白成分以外のもの、例えば輸血や人間以外の動物などの蛋白が血液中に入った場合も過敏性血管炎が引き起こされる可能性があります。原因がわからないもの、悪性腫瘍に伴ったものなど、その他にも原因となるものが報告されていますので、なにが原因となっているかを結論するのが難しいケースもしばしばです。
通常は皮膚病変が主体であり、ステロイド薬が効果を示します。薬剤の中止など、アレルギーの原因となる物質が排除可能なら排除します。