高安動脈炎:
病気の広がり、病気が見つかった時期によって、その後の病状は大きく変ります。病気が初期に見つかり、片方の手に行く動脈が閉塞した人では、治療によって、その手のシビレを残す程度で安定することもしばしばです。一方、病気が進行して、大動脈や心臓の弁の近くに及んだ場合には、薬の効きも十分でなく、内科的な薬物療法に加えて、手術をしなければならないケースもあります。しかし、十年、二十年前に比べると、格段に治療の成果が上がっています。そのため、患者さんの年齢が高くなり、動脈硬化、糖尿病といった余病に悩まされる人が多くなっています。
巨細胞性動脈炎:
頭痛などの症状で早く見つかれば、入院治療によって病状が安定するでしょう。しかし、眼に行く眼動脈などが完全に詰まってしまえば失明することもありますし、脳の血管、全身の重要な内蔵の血管に変化が及ぶこともあり、慎重に薬物療法を続ける必要があります。
結節性多発動脈炎:
この病気の診断はしばしば困難なことが多く、治療が遅れることの多い病気です。しかも、脳、心臓、腎臓、腸などに栄養を送っている血管を障害しますので、その障害の程度によって病気の様子が変ってきます。心臓では、心筋梗塞へと進展することがあり、重症化します。最近では、薬物療法が進歩し、このような内蔵の病変が進行しない時期であれば、病気の勢いを完全に止めることが出来るようになりました。全く治療しないと、5年生存率(5年間生きられる人の割合)は10%以下でしたが、最近の治療法の進歩で70%程に改善されています。
アレルギー性肉芽腫性血管炎(チャーグ・ストラウス症候群):
ステロイド剤が比較的効きやすい病気として知られてきました。しかし、シビレ、運動障害などの末梢神経の症状は治りにくいことが特徴で、根気強いリハビリトレーニングが必要になることもしばしばです。この病気の中にも、心臓などの重要な内蔵を障害することが稀にあり、そのような人では病気が長引き重症化することが知られています。
ウェゲナー肉芽腫症:
治療をしないと1年生存率(一年間生きられる割合)は20%とたいへん悪く、平均生存期間は5カ月、2年以内に90%以上が亡くなられる重い病気でした。しかし、結節性多発動脈炎と同じように免疫抑制剤が病気の早期から使用されるようになり、5年生存率がやはり80%程と著明に改善されるようになりました。中には病気が完全に治ってしまう寛解例も見られます。
顕微鏡的多発血管炎:
治療をしないと、急速に腎不全、呼吸不全に至る、重い病気です。最近では、血液検査でこの病気と関連が深いANCAが測定出来るようになり、早い段階で病気の診断が可能になってきました。これらの内臓の障害が軽いうちに見つかれば、強力な薬物療法で病気の勢いを止め、場合によってはそれを改善させることが出来ます。
ヘノッホ・シェーンライン紫斑病:
多くのケースでは、無治療でも数週間から数カ月で軽快します。しかし、紫斑が出現したら安静にして、体をやすめるようにしましょう。腹痛は、痛み止めなど対症的な治療をします。約半数に蛋白尿などの腎障害を引き起こす人がいます。安静だけで軽快することも多いのですが、病状が重ければ、ステロイド剤が使われることもあります。
過敏性血管炎:
発熱、皮膚症状、関節症状などは、ステロイド薬で軽快することが多いのですが、臓器病変として、腎炎、肺炎、心不全などを伴えば病状は重く、最悪の場合には亡くなられることもあります。しかし、治療が奏効すれば、何の障害もなく完治するケースもあります。
膠原病に合併する血管炎:
障害される血管が細い場合には、ステロイド薬や免疫抑制薬で軽快することも多いのですが、皮膚の大きな潰瘍などは、治りにくいことも多く、安静や、皮膚科的な治療も必要になります。内蔵を支配するものに及ぶと、病状は重くなり、重症化します。 |