表2 ACRのリウマチ性疾患を持つ患者に対するワクチンのガイドライン

 

特定のワクチンの免疫抑制剤使用下の推奨

65歳以上、18歳を超え65歳未満で免疫抑制剤内服中のRMD患者は、通常用量のインフルエンザワクチンより、高用量あるいはアジュバント化インフルエンザワクチンを条件付きで推奨する。もし高用量やアジュバント化したインフルエンザワクチンが手に入らないのであれば、ワクチンをしないよりは、どのタイプのインフルエンザワクチンでも使用する方が好ましいし、ワクチンを遅らせるよりも、今日打つ方が良い

65歳未満のRMD患者で、免疫抑制剤内服中であれば、肺炎球菌ワクチンの摂取が強く推奨される

18歳を超えるRMD患者で免疫抑制剤内服中のものは、不活化帯状疱疹ワクチンが強く推奨される

26歳を超え、45歳未満のRMD患者で免疫抑制剤を飲んでる場合で以前にHPVワクチン接種がない場合は、HPVワクチンを条件付きで推奨する

 

非生ワクチン投与時の薬剤のマネジメント

 

 

インフルエンザワクチン

他の非生ワクチン

メトトレキサート

ワクチンの後2週間メトトレキサート を中断*

メトトレキサートを継続

リツキシマブ

リツキシマブを継続**

ワクチンを次のリツキシマブ投与予定日に合わせて行い、ワクチン後リツキシマブを最低2週間遅らせる

その他の免疫抑制剤

免疫抑制剤を継続

免疫抑制剤を継続する

*病勢が許すのであれば中断、投与の機会を失わないように非リウマチ医は投与してからリウマチ医にメトトレキサートを中断して良いか相談
**予定通りにインフルエンザワクチンを投与。その後のリツキシマブを最低でも2週間病勢が許すのであれば遅らせる
全て条件付き推奨

海外での推奨ですので、実際の投与は日本の添付文書を参考にしてください
ACR convergence 2022 12S136

https://www.rheumatology.org/Portals/0/Files/Vaccinations-Guidance-Summary.pdf

 

 

 

糖質コルチコイド投与中の非生ワクチン投与タイミング

 

 

インフルエンザワクチン

他の非生ワクチン

プレドニゾロン≦10mg/日と同等量

投与

投与

プレドニゾロン>10mg/日でプレドニゾロン<20mg/日と同等量

投与

投与

プレドニゾロン≧20mg/日と同等量

投与

延期**

**プレドニゾロン換算<20mg/日になるまで延期する

  強く推奨   条件付き推奨

 

生ワクチン使用時の免疫抑制剤のマネジメント

RMD患者で免疫抑制剤を使用している場合は、生ワクチンは延期することが条件付きで推奨される

RMD患者では、免疫抑制剤を下表の期間生ワクチン投与前に中断し、生ワクチン投与後4週間中断することを条件付きで推奨する

 

海外での推奨ですので、実際の投与は日本の添付文書を参考にしてください
ACR convergence 2022 12S136 https://www.rheumatology.org/Portals/0/Files/Vaccinations-Guidance-Summary.pdf

 

 

 

 

 

投与前中断期間

投与後中断期間

糖質グルココルチコイドa

4週

4週

メトトレキサート 、アザチオプリンb

4週

4週

レフルノミド、ミコフェノール酸モフェチル、カルシニューリン阻害薬、経口シクロホスファミド

4週

4週

JAK阻害薬

1週

4週

TNF, IL17, IL12/23, IL23, BAFF/BLyS阻害薬

1投与サイクルc

4週

IL6経路阻害薬

1投与サイクルd

4週

IL1阻害薬

1投与サイクルd

4週

アバタセプト

1投与サイクルc

4週

アニフロルマブ

1投与サイクルc

4週

静注シクロホスファミド

1投与サイクルc

4週

リツキシマブ

6ヶ月

4週

IVIG e
300-400mg/kg
1gm/kg
2gm/kg

 
8ヶ月
10ヶ月
11カ月

 
4週
4週
4週

a プレドニゾロン換算<20mg/日または体重10kg未満の場合は<2mg/kg/日、隔日投与の場合、もしワクチンがとても重要で病気の悪化や副腎不全のリスクが高ければ、これらの低容量は継続しても良い。
b メトトレキサート≦0.4mg/kg/週またはアザチオプリン≦3mg/kg/日の内服の場合、ワクチンが重要で免疫抑制剤なしでの病気の悪化のリスクが高い場合中断期間を短くしても良い。
c 投与間隔が二つ以上承認されている場合、長い方の投与サイクルを用いること 
d 小児の自己炎症性疾患あるいは全身型JIAでワクチンが重要であれば、生物学的製剤中断により病気の悪化のリスクが高い場合、中断期間を短くすることを考慮できる
e ワクチン前にIVIGを中断するのは、安全性のためではなく、効果を増強させるためである。状況によっては、麻疹が流行っている場合など、早期のワクチンが遅らせるよりも好ましい場合がある

 

海外での推奨ですので、実際の投与は日本の添付文書を参考にしてください
ACR convergence 2022 12S136 https://www.rheumatology.org/Portals/0/Files/Vaccinations-Guidance-Summary.pdf

 

 

 

子宮内で免疫抑制剤に暴露した乳児にロタウィルス生ワクチンを投与するタイミング

 

妊娠第2期、3期での薬剤暴露

生まれて最初の6ヶ月以内

生まれて6ヶ月後以降

TNF阻害薬

ロタウィルスワクチンを投与

 

リツキシマブ

ロタウィルスワクチンを投与しない

ロタウィルスワクチン投与

 

海外での推奨ですので、実際の投与は日本の添付文書を参考にしてください
ACR convergence 2022 12S136 https://www.rheumatology.org/Portals/0/Files/Vaccinations-Guidance-Summary.pdf