表2 EULAR2022 ANCA関連血管炎の治療推奨

 

ANCA関連血管炎EULAR治療:2022 Update 
NEW! REVISED!

Level of agreement (LOA)

Level of Evidence/Grade of Recommendations

包括的な原則A

ANCA関連血管炎における最良の医療のために、治療は効果や安全性や費用を考慮した上での患者ー医療者における共有意思決定に基づくべきである。

 

 

 

包括的な原則B

患者は、ANCA関連血管炎の影響とその予後、主要な警告症状および治療(治療に関連する合併症も含む)に焦点を当てた教育を受ける必要がある。

 9.8±0.6

 

 

包括的な原則C

 

ANCA関連血管炎の患者は、治療に関連する副作用と併存疾患について定期的にスクリーニングする必要がある。治療に関連する合併症やその他の併存疾患を減らすために、予防とライフスタイルのアドバイスが推奨される。

 9.6±0.5

 

包括的な原則D

稀で症状も多彩で、生命や臓器を脅かす可能性のあるANCA関連疾患は、多くの専門科が揃う医療施設で、血管炎の専門医と共にまたはすぐに連絡ができる状況下での治療が望まれる。

 9.8±0.5

 

 

 

ANCA関連血管炎EULAR治療:2022 Update 
                   NEW! REVISED!

Level of agreement (LOA)

Level of Evidence/Grade
of Recommendations

#1:組織生検

生検結果の陽性は血管炎の診断を強く支持する。ANCA関連血管炎と診断するときやその再燃の有無を評価するときに生検を推奨する。

8.7±1.9 3b/C
#2:ANCA測定

ANCA関連血管炎を疑う兆候や症状のある患者では、高品質の抗原特異的アッセイを使用したPR3-ANCAとMPO-ANCAの両方を最初の検査法として推奨する。

10.0±0

1a/A

#3:GPA/MPA寛解導入療法(Ⅰ)

臓器障害や生命を脅かす新規または再発性のGPA/MPA患者での寛解導入療法では、糖質コルチコイドとリツキシマブまたはシクロホスファミドいずれかを組み合わせた治療を推奨する。 再発例ではリツキシマブが好まれる§

※CYCLOPS試験プロトコールによるIVCY投与量。 15mg / kg @ 0,2,4週,その後3週間ごと(腎臓/年齢調整が必要)

9.6±0.8

1a/A,

§2b/B

#4:GPA/MPA寛解導入療法 (Ⅱ)

臓器障害や生命を脅かすことのないGPA/MPA患者での寛解導入療法では、糖質コルチコイドとリツキシマブの組み合わせによる治療が推奨される。メトトレキサートまたはミコフェノール酸モフェチルは、リツキシマブの替わりに考慮可能である。

9.2±0.8

1b/B

#5:糖質コルチコイド(GPA/MPA)

GPA / MPAの寛解導入療法のレジメンの一環として、体重に応じて、プレドニゾロンは50〜75mg/日の開始用量で経口糖質コルチコイドによる治療を推奨する。糖質コルチコイドは段階的に減らし(図)、4〜5か月でプレドニゾロン5mg/日を達成することを推奨する。

9.4±0.8

1b/A

#6:アバコパン

アバコパンは、リツキシマブまたはシクロホスファミドと組み合わせることで、糖質コルチコイドへの曝露を大幅に減らす戦略として、GPA/MPAの寛解導入療法にて考慮してもよい。

9.0±0.9

1b/B

#7:血漿交換

血漿交換は、活動性のある糸球体腎炎によって血清クレアチンが300μmol/L(3.39mg/dL)を超える患者のGPA/MPAにおける寛解導入療法の一部と見なすことができる。 MPA /GPAの肺胞出血に対するルーチンでの血漿交換は勧められない§。 

8.0±1.7

,§8.8±1.3

1a/B,

§1b/B

#8:難治性GPA/MPA

寛解導入療に抵抗性を有するGPA/MPAの患者では、疾患の状態と併存疾患を徹底的に再評価し、追加または異なる治療の選択肢を検討することを推奨する。これらの患者では、血管炎の専門知識を備えたセンターと緊密に連携した管理または紹介が必要となる。

 

5/D

#9: GPA/MPA維持療法

GPA / MPAの維持療法は、リツキシマブまたはシクロホスファミドのいずれかによる寛解導入療後、リツキシマブで治療することを推奨する。アザチオプリンまたはメトトレキサートはその替わりとして考慮してもよい。

9.3±1.0

1b/A

#10:維持療法の治療期間

新規発症のGPA / MPAの維持療法は、寛解導入療法後24〜48か月間継続することを推奨する

再発例または再発のリスクが高い患者では、より長い維持療法の期間を考慮すべきであるが、患者の好みおよび長期的な免疫抑制治療によるリスクとのバランスを取るべきである§

9.1±1.4

1a/B,§ 4/D

#11: EGPA寛解導入療法 (Ⅰ)

臓器障害または生命を脅かしうる新規発症または再発性のEGPAにおける寛解導入療法は、高用量の糖質コルチコイドとシクロホスファミドとの組み合わせによる治療を推奨する。高用量の糖質コルチコイドとリツキシマブの組み合わせを替わりに考慮してもよい。

9.6±0.8

2b/B

#12: EGPA寛解導入療法 (Ⅱ)

臓器障害または生命を脅かすことのない新規発症または再発性のEGPAにおける寛解導入療法は、高用量の糖質コルチコイドによる治療を推奨する。

9.3±0.9

1b/B

#13: 再発性・難治性EGPA

活動性の臓器障害または生命を脅かすことのない再発性または難治性のEGPAでは、メポリズマブの使用を推奨する。

8.9±1.3

1b/B

#14: EGPA維持療法

臓器障害または生命を脅かしうるEGPAにおける寛解導入療法後の維持療法では, メトトレキサート§, アザチオプリン&, メポリズマブ& またはリツキシマブ& の使用を考慮すべきである§

再発時に臓器障害または生命を脅かしうる病態ではない再発例のEGPAの寛解後は、メポリズマブによる治療を推奨する

8.8±1.5

§2b/D,& 4/-, 1b/B

#15:バイオマーカー

ANCA関連血管炎の管理では、ANCAおよび/またはCD-19 + B細胞検査のみの評価というよりは、体系的な臨床評価も用いることで治療の変更の決定を行うことを推奨する。

9.3±1.1

1b/B

#16: 免疫グロブリン

リツキシマブを投与しているANCA関連血管炎の患者では、二次性の免疫不全を検出するために、各コースのリツキシマブ投与前に血清免疫グロブリン濃度を測定することを推奨する。

9.2±1.4

1b/B

#17: ニューモシスチス肺炎予防

リツキシマブ、シクロフォスファミド、および/または高用量の糖質コルチコイドを投与されているAAVの患者には、ニューモシスチス・ジロベシイ肺炎およびその他の感染症の予防としてトリメトプリム-スルファメトキサゾールの併用を推奨する。

9.5±1.1

3b/B