国際学会におけるリウマチ性疾患調査・研究発表に対する 助成者報告書(APLAR 2021)
京都府立医科大学リハビリテーション医学教室 助教
菱川法和
このたびリウマチ財団登録理学療法士として初めて国際学会におけるリウマチ性疾患調査・研究発表に対する助成を賜り、2021年8月28日から31日にKyoto International Convention Center(Kyoto, Japan)で開催された23rd Asia-Pacific League Associations for Rheumatology Congress(APLAR)に参加させていただきました。一方で100年に1度といわれる未曾有のパンデミックが世界各国で起こり、未だ予断を許さない状況が続いています。まずはCOVID-19により、お亡くなりなられた方々のご冥福をお祈り申し上げるともに、ご遺族の方々には心よりお悔やみ申し上げます。また闘病中の皆様にはお見舞い申し上げます。このようなCOVID-19の拡大防止の一貫として、本学会はオンライン参加の形式で行われました。
小生は、Allied health: Physiotherapyのセッションにて、Relationship between sarcopenia and physical activity in patients with rheumatoid arthritis-associated foot impairment: an accelerometer study という演題名でPoster Presentationを行いました。Sarcopeniaは、1989年にRosenbergによって提唱された概念で、加齢を原因とする骨格筋量減少(1次性サルコペニア)と加齢以外を原因(疾病、身体不活動など)とする骨格筋量減少(2次性サルコペニア)に分類されています。2010年には、European Working Group on Sarcopenia in Older People において「骨格筋量と筋力の進行性かつ全身性の低下に特徴づけられる症候群で、身体機能障害、QOLの低下、死のリスクを伴うもの」と定義されました。また2016年には、ICD-10のコードを取得し疾患として認識されるなど、すでに超高齢化者会を迎えたわが国においてもSarcopeniaは非常に注目されています。とりわけリウマチ患者では、sarcopeniaの合併が多く(同年代の健常者の約3倍)、適切な予防や治療といわれています。本研究では、歩行時に疼痛により移動が制限されやすい足部病変を有するリウマチ患者に着目した結果、sarcopeniaはさらに高率に合併し、特に中高強度(3METs以上)の身体活動量が著明に減少していることが明らかになりました。そのため今後の研究では、運動リスクの高いとされるリウマチ患者でも、骨格筋量が増加させる治療法を開発することが必要であると考えています。また幸いにも本発表の内容は、APLAR 2021 Excellent Abstract Award on JCRに選出して頂きました。このような名誉ある学会での受賞を励みにより一層、日常診療や研究に取り組みたいと思っています。
末筆になりますが、リウマチ財団登録理学療法士・作業療法士制度を確立して頂いたリウマチ専門職委員会の先生方、国際学会における参加にご支援くださいました学術助成委員会および企画運営委員会の先生方、ならびに本発表に多大なるご指導を賜りました本学の三上靖夫教授、遠山将吾講師に深謝いたします。