関節リウマチ(RA)は、関節を包む関節包の内側の表面をおおう滑膜が炎症を起こし、増殖し、関節全体が腫れ、炎症がさらに続くことで軟骨や骨が破壊され、関節の可動域制限(拘縮)や変形が生じる。
近年、RAの早期診断・早期治療も進展し、また、新たな治療薬の登場で炎症および炎症による疼痛は、かなりコントロールできるようになってきた。
リウマチ患者の日常生活動作(ADL)においても、介護保険制度ADL評価での評価で自立できる人が7割程度と多くなっており、早期からの適切な抗リウマチ薬を使用開始することで身体機能も維持されていることも示されている。
関節リウマチ治療は、薬物療法により罹患関節数を減らし、疼痛を軽減するとともに、リハビリテーションを中心にした基礎療法によって、身体機能を保持、改善することが基本である。リハビリテーションというと、理学療法(運動療法や物理療法)や作業療法のみを指すように思われがちだが、リハビリテーションの本来の意味は、『復権』、つまり社会生活を送る上での権利を取り戻すことを表している。
すなわちリハビリは、関節リウマチの基礎療法における根幹を意味すると言っても過言ではないと考える。
リウマチ患者においては、発症時期、症状の進み具合、年齢、家庭環境などが、個々によって異なるため、様々な要素を考慮したリハビリのプログラム化が必要となる。日本リウマチ友の会のリウマチ白書では、医師からの具体的な話や指導がないので、実際実施できていない患者さんが多い実態がある。
大切なことは、複雑なプログラムではなく、患者さん自らが毎日意識して姿勢や筋肉を保持するためにエクササイズをすることが、身体機能を維持するためのポイントである。
そこで、運動器不安定症の人が行うべきCOME(Comprehensive One Minute Exercise;包括的1分間エクササイズ)を取り入れた関節リウマチ患者のためのポジティブ・エクササイズを紹介し、明日からのリハビリをより実践的・効果的に実施頂けるよう解説する。 |