平成22年11月21日(日)開催

 関節リウマチ診断と薬物治療

熊本リウマチセンター リウマチ膠原病内科  部長
中村 正 先生

 関節リウマチ(RA)は自己免疫学的異常に基づく関節滑膜炎に始まり、関節骨軟骨破壊による身体機能障害を来たし、関節外症状といわれる全身諸臓器の合併症を伴う。有病率は0.6%、患者数約70万人、男女比は1対3-4、好発年齢は30-50歳で、50-60歳をピークに各年齢層に分布する。

 米国リウマチ学会と欧州リウマチ学会との合同RA予備診断基準(新基準)が2009年に発表され、その目的はできるだけ早期からRAを診断し、持続性関節炎あるいは骨びらんを来たす可能性の高い症例に対してメトトレキサート(MTX)を用いることで関節破壊を阻止することにある。人種差や治療環境の違いが存在する可能性はあるが、この新基準は早期RAを含むRAの診断基準となりうる。

 RAの病態解明進展により生物学的製剤とアンカードラッグとしてのMTXの使用で、RA治療は画期的な変貌を来たした。早期診断と早期治療、更にきめ細かく疾患活動性を制御するタイトコントロールで、臨床的寛解の導入とその維持を目指す。その後に構造的寛解、機能的寛解が続き、一定期間の臨床的寛解が維持できればドラッグフリーの可能性を検討することも治療目標である。

 RA薬物治療の実際について私見を交えて記す。早期RAへは遅効性が許されるならブシラミンか注射金剤、速効性を要すればスルファサラゾピリン、上記が無効であればMTXとなる。抗リウマチ薬は基本的には単剤で、無効であれば早期に他剤へ変更するか、追加併用で、疾患活動性が高ければ早期にMTXを導入する。以上で効果不十分あるいは、実施が不可能のときは、ステロイド剤の併用、抗リウマチ薬の多剤併用、生物学的製剤の導入を考慮する。

 生物学的製剤は2003年にRAの治療に導入されてから、その治療成績は画期的な成果を挙げる一方で、経済的な制約を含めて、この治療の恩恵に浴している症例数は十分とは言えず、また、合併症としての重篤な感染症や日和見感染の増加とその対策は重要な問題となってきている。RAへの生物学的製剤の有効性は明らかであり、RAを早期に診断し早期に治療を開始し、更にきめ細かく疾患活動性を制御しながら臨床的寛解の導入を図ることが先ず重要である。各生物学的製剤の特性や特徴を活かしながら有害事象に配慮しつつ、症例の集積とそれらの科学的分析に基づき、個々の症例に最適な選択肢と使用法が求められる。


 

関節リウマチの外科的治療の現状と将来

鹿児島赤十字病院 第二整形外科 部長
砂原 伸彦 先生

  関節リウマチ(以下RA)に対する診断の進歩は病気への早期介入を可能とし、生物学的製剤に代表される薬物治療の発展により骨関節病変の進展抑制ないしは改善が期待できる時代となっている。従来のムチランス変形への進行、股関節における臼蓋底突出、膝関節における内、外反変形、屈曲拘縮等により高度の機能障害に至り、急速なADL障害、QOL低下をきたす症例に遭遇することは少なくなっている。手術適応、周術期管理等の外科治療に関する事項も再考の時期に来ており、QOL向上を目指した治療が要求されている。股関節、膝関節等の大関節における機能再建、治療成績の向上、手指、足趾関節等の小関節でも外科的治療の適応、方法において積極的な検討がなされてきている。しかし、併存合併症による全身的問題、身体的、社会的問題等により積極的にRA薬物療法への介入が困難な場合もある。このような症例では、脊椎、関節病変の進行により機能障害が加速度的に進行していく。中長期の経過でも人工関節周辺骨折、感染症等の合併症の頻度は高く、一旦発生すれば難治性であり、急速なADL、QOLの低下により医療経済、社会上の問題も発生する 。外科治療の点でも全身合併症、予後の点をふまえた取り組みが求められ、骨関節の再建に立脚した術式の検討、周術期管理、術後経過を通じたシステムの構築が必要と考えている。
  地方においては公的医療機関、センターに限りがあり、診療において病院施設内での各科横断的な連携、地域での病病、病診連携が重要となってくる。当院では1982年リウマチ膠原病センターを設立し集学的治療に取り組んできた。2000年には鹿児島大学整形外科及び関連病院でリウマチ研究班を設立,基礎、臨床研究並びに実際の現場での知識、技術の向上、協力関係の構築を行ってきた。医学の進歩に根ざしたRAに造詣の深いサブクリニカルスタッフの充実により今後の治療、療養環境はさらに改善していくと思われる。

 

関節リウマチの社会福祉制度及び
介護保険の使い方

一番町リウマチクリニック 院長
今井 淳子 先生

 近年の関節リウマチ治療は、治療薬剤を中止したままで、治癒と同じ状態(寛解状態)に維持することをgoalに設定することが可能になりつつある。しかし、そのためには、より早期から、より厳密なリウマチの病状管理が必須であり、また莫大な治療費が必要となる。現在の治療がスムーズに行われるためには、やはり社会福祉資源をタイムリーに的確に利用出来るように患者を社会的にサポートする必要がある。H18年4月に障害者自立支援法が制定され、福祉医療の体系が一本化されて来つつあるが、尚、介護保険制度が重視されている状況である。リウマチ患者にとっては年令の制約、自立心旺盛なために援助を断わる患者の多い事実など、横たわっている阻害要因は沢山ある。当院でも昨年の実態調査では、年間来院患者に占める生物学的製剤使用患者は約1割と、経済的な理由で生物学的製剤を利用できない方が多いことを示唆しており、その内公費を利用している方は20%であった。又、通院中CRP2.0以上、又はX線所見上関節破壊の進行している患者で生物学的製剤使用適応者なのに、経済的な理由で実施できない方は50%以上を占めている。これらの状況を克服するにはどうしたら良いか考えてみたいと思う。

  まず、公費負担の中心的役割を占める身体障害者認定申請だが、この制度では、医療費の公費負担の基準が、各都道府県で異なる点が問題である。この統一が望まれる。

 次いで介護保険申請だが、これは近年見直しが行われ、RA、認知症などの患者のハンディキャップは随分解消された。尚一層、妥当な認定が得られるように指導していきたいと思う。少なくとも慨況調査は可能な限り、午前中に受けることが大切である。

 自立心の充分あるRA患者の人生をサポートするに当たっては、特にそれを阻害する愚を犯してはならないが、このような展開もあるんですよ、と提示することは善と考えている。より広い視点で、各職種の方々とディスカッションしつつ、明るい展望を見出したいと考えている。

 

関節リウマチ治療薬の薬剤指導
佐世保中央病院 薬剤科長 兼 治験管理室室長
平方 尚之 先生

 2009年10月ACR/EULAR criteriaにおいて、関節リウマチ(rheumatoid arthritis:以下、RA)の分類/診断基準が22年ぶりに共同改訂された。その最大の特徴は、生物学的製剤の登場を背景に、RAの治療目標が早期診断と積極的治療によって、骨破壊などの不可逆的進行を抑え寛解導入・寛解維持も可能とする点である。一方RAの治療薬に関しては、従来の生物学的製剤(TNF-α阻害剤および抗IL-6受容体抗体)に加え、2010年9月にT細胞の共刺激を標的とするアバタセプトが新たに登場したが、現在も多くのRA治療薬の治験が進行中であり、今後更に様々な生物学的製剤の臨床応用が期待されている。また、アンカードラッグMTXの日本における承認用量の増量が公知申請中であり、今年度内に世界基準に近づく見込みである。

 この様にRA薬物治療のパラダイムシフトが加速する中で、生物学的製剤は、RA患者の臨床症状改善・関節破壊進行抑制・身体機能の改善が最も期待できる治療薬である。しかし、重篤な有害事象を合併する可能性もあり、適正使用と共に、有害事象の予防や早期発見のマネジメントが安全使用のために重要であると考える。

 医療法人財団佐世保中央病院(以下、当院)のリウマチ膠原病センターでは、専門医を中心に法人内認定リウマチ膠原病専門看護師や領域担当薬剤師などによる多職種協働体制をもとに診療活動を実施している。その中で担当薬剤師は、RA治療の各種生物学的製剤の初回導入時の薬剤指導(作用・期待される効果・投与方法・安全性および日常生活の注意点)、同点滴製剤の外来化学療法室における施行時の継続的フォローアップ、RA入院患者への薬剤管理指導を担当すると共に、RA治療薬に係る治験や臨床研究にも深く関与している。

 今回は、RA薬物療法のトレンドと共に、当院における担当薬剤師の業務概要とMTX・生物学的製剤の薬剤指導について紹介する。

 

リウマチの外来看護ケア

吉玉リウマチ・内科クリニック 看護師
神薗 妙子 先生

 近年、関節リウマチの治療で生物学的製剤を使用する患者は増加しており、当クリニックも例外ではない。当クリニックの関節リウマチ患者は750名(2010年7月1日~2010年9月30日現在)、その中で生物学的製剤の治療を受ける患者は146名であり、すべて外来で治療を行っている。外来通院で生物学的製剤の治療を行うということは、仕事の都合や家庭の事情などで入院できない患者や、入院することにストレスを感じる患者が入院せずに治療ができるというメリットがある。しかし外来通院では、入院で生物学的製剤を投与する場合に比べ、投与後の副作用出現の発見が遅れる場合がある。また在宅自己注射の指導に関しては、限られた時間内で行わなければならず、患者が指導した内容を十分に理解した上で自己注射できているかどうか、確認が難しいというデメリットもある。そのため、私たち看護師は、患者が自分の症状の変化に気づくことができるような指導や副作用出現時の対応についての指導を行っている。在宅自己注射の場合は、受診ごとに注射手技の確認を行い、また在宅自己注射移行後も手技に不安がある患者に対しては、来院して練習が行える場所の提供など、患者が安心して治療が受けられるように働きかけを行っている。

 さらに、当クリニックで生物学的製剤治療を行っている患者の中には、北薩地域や大隅・鹿屋、宮崎県・熊本県などから1時間以上かけて通院している患者も少なくない。これらの患者は、長時間かけて通院するという身体的・経済的な負担に加え、副作用出現時や体調不良時にすぐに受診できないという不安を抱えていることが多い。そのため当クリニックでは、患者が安心して安全に治療が受けられる環境を整えるために、他施設との連携も行っている。自宅近くの病院で治療が行えるということは、身体的・経済的な負担を軽減するとともに、近医で対応してもらえるという安心感をもつことができると考えられる。

 今回、当クリニック外来で行われている生物学的製剤治療の実際と、他施設との連携状況について報告する。

 

リウマチの入院看護ケア

鹿児島赤十字病院 看護係長
池田 聡子 先生

 鹿児島赤十字病院内科病棟では、看護チームを急性期、慢性期、生物学的製剤治療専門に
分け、それぞれの患者に必要な看護の提供に努めている。

 急性期チームは、主に関節リウマチの合併症により重篤な状態になった患者、発症が急激で細やかな観察やケアが必要になる患者の看護を行っている。病状の不安を口にされる患者、家族には傾聴して不安の軽減に努め、特に家族ケアに重点を置いている。そして医師らとのチーム医療により患者・家族へ最善の医療が行えるように、環境づくりを行っている。

 慢性期チームは、急性期を脱出した患者や比較的症状が安定した患者の看護を行っている。このチームでは、代替療法として和温療法(低温サウナ療法)を行っている。線維筋痛症、難治性潰瘍などの症状緩和に効果があり、患者に希望を与えられる治療法のひとつである。患者の多くは看護必要度が高く、細かな観察と優れた看護技術を必要とする。退院調整においては、様々な背景があるが、患者、家族の希望に沿うような選択をMSWと共に検討している。

 生物学的製剤治療専門チームは、レミケード、アクテムラ、エンブレル、ヒュミラを投与されている患者の看護を行っている。看護ケアの中心は教育・指導になる。生物学的製剤は関節リウマチの症状の改善、骨破壊の進行予防など優れた薬であるが、その一方で副作用に注意が必要である。そのため入院された日から退院後の生活指導を具体的で実施可能な計画に基づいて行っている。 

 関節リウマチ患者の療養目標はセルフケア能力の獲得である。関節リウマチを含む多くの膠原病の患者は自分の病気をよく知り、自分で生活のコントロールを行っていく必要がある。病気に良いこと、良くないことを知り、良くないことは避けること、治療について自分の意見を積極的に述べることも必要である。そして、自身の病状と折り合いをつけながら、上手に医療関係者を活用していただけるよう、私たちはよきサポーターでありたいと思っている。

 

リウマチ医療におけるSWの役割

鹿児島赤十字病院 医療社会事業部係長 兼 地域医療推進係長
末吉 里枝子 先生

【はじめに】
  リウマチは、関節に炎症をおこし痛みを引き起こすだけでなく、骨を破壊し関節機能を低下させる。身体的な機能低下にとどまらず、そこから波及する日常生活機能の低下が患者や家族にとっては大きな問題である。昨今のリウマチ医療は劇的に進歩し、その立役者的な役割を担っているのが「抗サイトカイン治療」である。炎症を強力に抑える「生物学的製剤」の登場により「進行阻止」から「治癒・寛解」の状態が目指せるようになったと言われているリウマチ医療であるが、リウマチに罹患している患者や家族の生活における問題点がなくなってきている訳ではない。患者や家族、地域(ケアマネージャー、民生委員、他機関など)からうける相談の内容からリウマチ医療をとりまく問題点とSWの役割について報告する。

【概要】
  リウマチ医療を取り巻く環境は、大きく進歩し、早期診断・早期治療によりかつては治らない難病とされていたリウマチが、生物学的製剤の登場により積極的に寛解を目指す薬物治療へと変革してきている。生物学的製剤を使用する際の最大の問題はその高額な「薬剤費」である。重度心身障害者医療費助成制度や高額療養費制度などの各種制度があるものの、生物学的製剤を1回投与する際の医療費(自己負担額)が患者の生活を圧迫していることは事実である。また高額な薬剤費がかかる生物学的製剤は、患者の転院の際にも問題が生じる。医療改革が推し進められ、機能分化された各医療機関では、包括医療などの体制のため、薬剤費が転院時における問題点となる。また、生物学的製剤の使用ができる病院がまだまだ少ないことも問題である。診断早期のため、身体的な機能低下が少なく、そのことにより家族や職場、世間にリウマチを理解してもらえないという問題もある。また生物学的製剤を投与することで、痛みから解放され患者自身が日常生活において関節を酷使したり、負荷を与える生活をしてしまう傾向があることも問題である。リウマチは介護保険の対象疾病であるため、第二号被保険者も介護保険の申請ができるが、必要とされる一部の福祉機器などが、条件付貸与であったり、各制度の優先度の問題によりサービス利用に支障がでる、などの問題点がある。

【考察】
・生物学的製剤の最大の問題点はその高額な薬剤費である。
・医療改革によるリウマチ医療への問題点が存在する。
・生物学的製剤を使用しても、患者や患者を取り巻く関係者の病気への理解や注意が欠如することで、病態を悪化させてしまう要因が発生する。
・福祉政策における制度活用の困難さも見られる。


【おわりに】
  SWはリウマチが身体にもたらす影響を理解しつつ、病状を悪化させないための支援を行っていくことが重要で、さらに医療情勢や福祉政策の動向などを把握し、SWとしてのスキルを活かしながら院内外の各機関・各職種の方々との連携・ネットワーク構築をしていくことが必要である。

 

 リウマチのスプリント療法

鹿児島赤十字病院 リハビリテーション第二係 係長
松元 義彦 先生

 リウマチにより上肢の関節に炎症がおこると、それが原因となって様々な変形や機能障害が出現し、スプリント療法の対象となる場合が少なくない。
スプリントとは手や指に装着する装具のことであり、市販品もあるが個々のリウマチ患者の状態に合わせて作業療法士(OT)が作製する場合が多い。リウマチのスプリント療法の主旨を以下に記す。


1.リウマチのスプリント療法の目的
  ・関節の安静・固定および外力からの保護
  ・安定性・支持性の向上および負荷時疼痛の軽減による手指機能の向上 
  ・変形の進行防止または予防
  ・術後の後療法としてのスプリント


2.リウマチのスプリントに求められる条件
  ・炎症の活動性が変化した場合の関節の周径値の変化に対応できる材質やスプリントであること。
  ・女性が多い疾患のため、水仕事の多い家事動作時にも使用可能な材質やスプリントであること。
  ・多関節障害となりやすい疾患のため、装着・脱がしやすいこと。
  ・できるだけ軽量であること。


3.リウマチのスプリントの材質
 スプリントの材質は、手の状態と使用目的にあわせて選択することが重要である。一般のスプリントは硬性の熱可塑性樹脂で作製されることが多く、装着期間が限られる術後療法の使用では装着してもらいやすい。しかし、恒久的使用となることが多いリウマチ患者では硬性のスプリントは受け入れてもらいにくく、オペロンやネオプレンゴムなどの軟性材質を主材料としたスプリントの方が日常生活上においても装着してもらいやすい。


4.スプリントの作製、手渡す際の留意点
 スプリントを作製した際には、作製目的を達成しているか?しばらく装着してから圧痛部のチェック等が必要となる。スプリントを手渡す際には、装着方法・期間(時間)や手入れ方法、取り扱い上の注意事項(材料が熱可塑性樹脂の場合、お湯につけたり真夏の車の中に置いて変形させないなど)の説明が適切な装着のために重要である。また、新規に作製したスプリントは写真などの記録や見本として同じ物を作製しておくと同様の変形や機能障害の際に説明や試用ができ有用となる。

 演題発表では、当院で作製しているスプリントを装着部位や目的別に工夫点や有効性も含め紹介したい。

 

リウマチの足指への対応

鹿児島赤十字病院 リハビリテーション第一係 係長
俵積田 光宏 先生

 2005年のリウマチ白書によるとリウマチ患者が靴で悩んでいる・悩んでいたと回答された方は
71.2%にもおよんでいる。
 主に前足部の問題であるリウマチの足趾の変形には開張足・外反母趾・内反小趾・槌趾変形・
鉤爪趾変形などがある。また変形に伴って胼胝・バニオン等で苦慮することが多い。
 当院ではリウマチの足趾への対応として軽度なものから以下の(1)~(4)を中心に行っている。

(1)アーチサポート装着
 変形の初期の段階としては開張足があり、足の横アーチの平坦化によって前足部の足幅が広くなる変形である。対応としては横アーチサポートの装着が一般的であるが、当院では患者の状態に合わせ装着しやすい工夫を行っている。

(2)外反母趾矯正装具等の装着
 開張足が主な原因となる外反母趾で矯正できるものに対しては、横アーチサポートを伴った外反母趾矯正装具の装着や市販のクッション等の紹介を行っている。

(3)胼胝等に対する徐圧やアーチサポートを目的にした足底板作製
 外反母趾・内反小趾・槌趾変形・鉤爪趾変形に伴って、第1中足骨頭外側のバニオンの形成や第2・第3中足骨頭底部の胼胝が問題となることが多い。これらに対しては徐圧やアーチサポートを目的にした足底板の作製や市販品の紹介を行っている。

(4)手術後の足趾調整装具の作製・装着
 装具や足底板等で対応不能な変形や胼胝・バニヨンの疼痛・感染などで保存的な治療が困難である場合は手術療法の適応となる。当院では平成21年度に13件の足趾の手術を行っている。
 手術は中足骨頭切除術、内転筋切離や中足骨の骨切り・人工関節等の外反母趾矯正術などを行っており、理学療法士が手術後2日目より足趾調整装具〈ハード〉を作製装着し抜糸後は足趾調整装具〈ソフト〉を作製装着している。足趾調整装具を術後3ヶ月程度装着することにより、おおむね良好な状態を維持している。術後、装具を装着しなかった例との比較では装具を装着した例での変形の再発が少なかった。
 変形の再発をきたさないためには、術後の腫脹が強い早期から装着が可能で足趾の多様な変化にも対応できる装具の装着が重要である。
 リウマチの患者へはいずれの装具・足底板も長期間の装着が重要で、そのためには患者の状態に合わせた形状や装着しやすい工夫が必要である。

 


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