リウマチにより上肢の関節に炎症がおこると、それが原因となって様々な変形や機能障害が出現し、スプリント療法の対象となる場合が少なくない。
スプリントとは手や指に装着する装具のことであり、市販品もあるが個々のリウマチ患者の状態に合わせて作業療法士(OT)が作製する場合が多い。リウマチのスプリント療法の主旨を以下に記す。
1.リウマチのスプリント療法の目的
・関節の安静・固定および外力からの保護
・安定性・支持性の向上および負荷時疼痛の軽減による手指機能の向上
・変形の進行防止または予防
・術後の後療法としてのスプリント
2.リウマチのスプリントに求められる条件
・炎症の活動性が変化した場合の関節の周径値の変化に対応できる材質やスプリントであること。
・女性が多い疾患のため、水仕事の多い家事動作時にも使用可能な材質やスプリントであること。
・多関節障害となりやすい疾患のため、装着・脱がしやすいこと。
・できるだけ軽量であること。
3.リウマチのスプリントの材質
スプリントの材質は、手の状態と使用目的にあわせて選択することが重要である。一般のスプリントは硬性の熱可塑性樹脂で作製されることが多く、装着期間が限られる術後療法の使用では装着してもらいやすい。しかし、恒久的使用となることが多いリウマチ患者では硬性のスプリントは受け入れてもらいにくく、オペロンやネオプレンゴムなどの軟性材質を主材料としたスプリントの方が日常生活上においても装着してもらいやすい。
4.スプリントの作製、手渡す際の留意点
スプリントを作製した際には、作製目的を達成しているか?しばらく装着してから圧痛部のチェック等が必要となる。スプリントを手渡す際には、装着方法・期間(時間)や手入れ方法、取り扱い上の注意事項(材料が熱可塑性樹脂の場合、お湯につけたり真夏の車の中に置いて変形させないなど)の説明が適切な装着のために重要である。また、新規に作製したスプリントは写真などの記録や見本として同じ物を作製しておくと同様の変形や機能障害の際に説明や試用ができ有用となる。
演題発表では、当院で作製しているスプリントを装着部位や目的別に工夫点や有効性も含め紹介したい。
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