リウマチの治療と関節リウマチ患者のトータルマネジメント

 

 

 

日本リウマチ財団リウマチのケア研究委員会 委員長
一番町リウマチクリニック 顧問

山本 純己 先生

1.関節リウマチ(RA)のマネジメント(管理)の目標

 関節リウマチ患者の治療は図1のごとく、基礎療法の上に立って、薬物療法、リハビリテーション、手術療法、ケアの4本柱の支えで成り立っているので、治療といわずマネジメントという表現をすることが多い。

 では、RA患者のマネジメントの目標は何であるか。疾患によっては、治療目標が傷を治したり、生命を救うことが目的になるものもあるが、RA患者では、治療の主目標は生活の質(QOL)の向上であるといえよう。

 QOLは図2に示すよう身体的要素、精神的要素、社会的要素の3つから成り立っていると考えられる。したがってRA患者のマネジメントでは、これら3要素を総合的に判断して、QOLの向上を目指すようにしなければならない。

 

2.関節リウマチという疾患の特徴

 RAを理解するためには、RA患者の症状のうちで特徴的な2つの主症状を、正確に評価し把握することである。

 第1はRA患者の全身の炎症度(または炎症のあばれ具合)を診断評価することである。炎症度は血液検査よりも、むしろ、関節の腫れの程度や痛みの程度の他に、疲労度やこわばりといった全身症状が参考になる。

 第2は身体機能の評価で、日常生活動作や動作時の関節の痛みの程度を参考にして評価する。これら炎症と機能といった2つの要素の兼ね合いを総合的に評価することが、RA患者の病状を理解するうえで重要となる。

3.RA患者のQOLを向上させるための条件

 RA患者のQOLを向上させるためのマネジメントは、各論的には先に述べたRAマネジメントの4本柱の内容をよく理解し知っていなければならない。それらはRA薬物療法の現状、RAリハビリの手法と特徴、手術の有用性とそのタイミング、初期から行うケアの重要性と他の疾患に対するケアとRA患者ケアの違いなどである。これらマネジメントの各分野の内容や特徴を知ることによって、自分達の職種の技倆をどのように生かせるかということを学ぶことができる。RAマネジメントの他分野をよく理解することがRAマネジメントチームの構成員である医師、看護師、理学療法士、作業療法士、MSW、薬剤師、ヘルパーなど専門職の方々がチーム力を発揮するために大切なことであろう。

 


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