国際学会報告

 

 

 

 

 

日本リウマチ財団ニュース177号に掲載しています「アメリカリウマチ学会(ACR)2022学会速報 」のロングバージョンです。


 

田巻 弘道 氏

聖路加国際病院 Immuno-Rheumatology Center 医長

 

 

責任編集:岡田 正人

医療情報委員会委員
聖路加国際病院 Immuno-Rheumatology Center


 

はじめに
 2022年11月10日から14日まで、ACR Convergence 2022がフィラデルフィアで開催された。前回並びに前々回は完全オンラインでの開催であったが、今回は現地とWebとのハイブリッドでの開催となった。セッションによって、オンラインのみ、現地のみ、あるいはハイブリッドと分かれていた。筆者は久々にアメリカの地を踏み、現地にて参加したが、さまざまな人との交流はやはりオンラインだけでは味わえないものであり、集まって行うことができることの嬉しさを感じた。今回は、ポスター発表はオンラインのみであったが、ポスターの前で、世界の大御所達と議論ができる日を楽しみにしている。
今回もいつものように筆者の独断と偏見で選んだ興味深い報告を紹介させていただく。

 

 

 

  1. The Great Debate: 13S127:
  2. To Treat or Not? The Role of DMARDS in Subclinical Rheumatoid Arthritis

 近年、血清反応陽性関節リウマチの発症機序が解明されるに従い、発症してから治療するというのではなく、予防することが可能かという議論がよく行われる。関節リウマチは遺伝的素因のある個人に環境因子が加わり、局所そして全身の自己免疫(リウマチ因子や抗CCP抗体にて測定される)の出現、潜在性関節炎(診察で関節炎がないが関節痛がある状況)、分類不能関節炎(関節炎はあるものの関節リウマチの分類基準を満たさない)、そして分類可能な関節リウマチ(関節リウマチの分類基準を満たす関節炎)へと進展していくとされる。臨床的には自己免疫が形成されている段階で、疲労、倦怠感などといった非関節症状が出現、その後、関節症状が出現するとされている。今回の議論ではDMARDsで治療すべきという立場から、アメリカ・コロラド大学のMichael Holers医師とKevin Deane医師が、治療すべきでないという立場からカナダのマニトバ大学Hani El-Gabalawy医師とウェスタンオンタリオ大学Janet Pope医師が発表を行っていた。
 治療すべきとの立場からは、以下のポイントが考慮すべきこととして挙げられた。

  • 関節リウマチは発症すると大抵は永続的に持続する
  • 現在の関節リウマチの治療の効果は限定的である
  • 多くの人は関節リウマチになりたくない
  • 関節リウマチになると個人のレベルでも集団レベルでもお金がかかる
  • 関節リウマチは健康や死亡率に悪影響を与える
  • 関節リウマチが予防できなくても、治療することでその後の関節リウマチがより軽症になる可能性がある
  • 関節の炎症のない段階で治療することで、痛みや倦怠感などの観点から利益があるかもしれない

 現時点では有効で確立された治療法はないものの、自己免疫が起きてくるところから関節炎が発症するまでのそれぞれの段階の生物学的機序を解明し、それぞれの段階に応じた介入をすることで、上記に挙げられた関節リウマチを発症させないことによるメリットを説いていた。個人のレベルでさまざまな介入ポイントがあることが予想されるが、特に今後さらに科学的にこの分野を進展させる必要がある、未来へ向けたメッセージとなっていた。
 治療すべきではないという立場からは、科学的に今後この領域は発展させていく必要があることに関しては同意するものの、2022年の段階では治療すべきではないという点に関して同じデータを違う角度からみた論点を展開していた。
 まずは、リウマチ医と患者の会話を示しながら、実際の会話の内容に加えて会話には出てこないが心の内を併記した内容で以下のポイントを示していた。

  • CCP抗体陽性でも全員が関節リウマチを発症するというわけではない
  • 抗CCP抗体が陰性になってしまう人も一定の割合でいる
  • 現在ある薬物療法では予防ができることを示したものがない (表1)
  •    表1 関節リウマチ予防の主な臨床試験一覧
  • 生活習慣の変更やビタミンD内服などの介入で予防効果が期待できる
  • 患者側は副作用の出る可能性のある薬剤を始めるよりも、生活習慣改善などを望むことが多い

 また、自己免疫は介入しようとした時点ではもう不可逆的な段階に来てしまっている可能性、抗体陰性の関節リウマチが3~4割いる中で抗体による予測は多くの潜在的な関節リウマチを発症してくる患者を検知できない可能性があることなどを挙げていた。最後には、健康的な生活習慣で35%の関節リウマチのリスクを減らせるデータを示し、また抗CCP抗体高値陽性患者の5人に4人は次の年に発症しないことを考えると、治療することはその4人を無益な治療によるリスクに晒すことを示して議論を締めくくった。
 二つの立場をみていくと、前者は基礎研究、トランスレーショナルリサーチをする立場からの将来的な展望を見据えた議論であるというのに対して、後者は現実的な臨床の立場から現時点では有効な方法がない状況を示していた。今後、予防が可能になるための超えるべき研究の課題が明らかになるとても良い議論であったと感じた。

 

 

 

2.ACR Guidelines for Vaccination: 12S136

 

 SARS-CoV-2の流行に対してワクチン接種が行われるようになり、ワクチンへの注目が高まっている。その中でもとりわけリウマチ科医の関心が高いこととして、免疫抑制剤内服者に有効にワクチン接種するための戦略が挙げられる。SARS-CoV-2以外のワクチンに関してのガイドラインがACR 2022で発表された。アメリカでのガイドラインなので実際に日本では適用上難しいこともあること、日本での実際の運用は添付文書の範囲内で行うことをお勧めすること、並びに正式にまだ出版されていないことに注意いただきたい。このことを前提とし、3つに限定して気になるポイントを取り上げる。

    ①インフルエンザはタイミングを逃さずに、打てるときに打つ。メトトレキサートに関しては接種後2週間休む

 メトトレキサートの休薬に関しては、休薬期間が1週間でも良いのではないかという発表が今回のACRであった。(Abstract 0936)

  1. ②65歳未満でも、免疫抑制剤を使用する患者では肺炎球菌ワクチンを打つ

 現在、日本ではPPSV23とPCV13が手に入るが、アメリカではPCV15やPCV20が手に入るようになっており、PCV15の場合にはその後PPSV23の追加接種、PCV20の場合には単独の接種が勧められている。
 リツキシマブ使用時には、PCV13をday 0と7に接種後、5ヵ月後にPPSV23を接種するというやり方が、PCV13をday 0に接種後、5ヵ月後にPPSV23を接種するというやり方より抗体のつきが良かったという発表があった。(Abstract L16)
③母がTNF阻害薬を妊娠中に使用していた場合の、児に対するロタワクチンの接種は条件付き推奨されている
 児が子宮内で母の使用するTNF阻害薬に暴露された際に、児のBCGワクチン接種に伴い播種性BCGを発症したという症例報告がある1)。このため、胎内でTNFに暴露した児に対して出生後6ヵ月は生ワクチンを避けるのが勧められてきた。ロタワクチンに関しては、3つの観察研究で58名の児が生物学的製剤に暴露され、ロタワクチンでの有害事象は認めなかったという少数の報告に基づいている。

 ガイドラインの全容に関しては、表2を参照にしていただきたい。

 表2 ACRのリウマチ性疾患を持つ患者に対するワクチンのガイドライン

 

  1. 3.2022アメリカリウマチ学会ステロイド性骨粗鬆症の予防と治療のガイドライン

 糖質グルココルチコイドの内服により骨粗鬆症のリスクの増大、骨折のリスクの増大があることは幅広く知られていることである。グルココルチコイドによる治療を行う際には、骨粗鬆症のリスクをしっかりと推定し、必要であれば骨折予防のために治療を行う必要がある。2017年にACRのステロイド性骨粗鬆症のガイドラインは発表されていたが、今回はそれの改訂となる。全体の情報は図1を参照していただけたらと思う。

 図1 2022 ACR guideline for the prevention and treatment of GIOP

ここでは40歳以上の患者での流れを簡単に説明する。
3ヵ月以上糖質グルココルチコイドをプレドニゾロン換算で2.5mg/日以上を3ヵ月以上使用する様な場合には骨折のリスクの臨床的評価を行う。40歳以上ではFRAXを使用し、プレドニゾロン換算で7.5mg/日以上使用している場合はFRAXは骨折のリスクを低く見積もってしまうので、Major fractureのリスクは1.15倍、大腿骨頸部骨折のリスクは1.2倍して補正する。FRAXによりリスクは高リスク(以前の脆弱性骨折あるいは骨密度でT score ≦-2.5または補正したFRAXでMajor fracture risk ≧20%、大腿骨頸部骨折≧3%)、中リスク(Major fracture 10-20%, 大腿骨頸部1-3%)、低リスク(Major fracture risk <10%、大腿骨頸部骨折< 3%)と分けることができる。基本的には中リスク以上は薬物療法の対象となる。
今回のガイドラインで大きく追加された部分は以下の2点となる。

  1. ①薬物療法を12ヵ月以上使用しているなかで新規骨折が発症した場合にどの様な薬剤へ変更するか
  2. ②糖質グルココルチコイドが終了となった際に、リスクに基づいて治療薬をどの様にするのか

 基本的には薬剤の変更の際の注意点はデノスマブを使用していた場合には、股関節の骨密度の低下のリスクを考え、PTHやPTHrP製剤への変更は避けるべきであるということ、また、糖質グルココルチコイド終了時に骨折リスクが低リスクであれば、ビスホスホネートやSERMを使用していた場合はそのまま中断できるが、デノスマブ、テリパラチド、アバロパラチド、ロモソズマブなどを使用していた場合は、薬剤の中断とともに骨密度の低下を起こしてしまうので、ビスホスホネートなどを投与後に中断をすることを考慮する。

 

 

  1. 4.抗リン脂質抗体症候群の分類基準案 13S150
 元々のSapporo基準は、臨床兆候が血栓症あるいは産科的合併症に限られ、また血液検査の所見も12週明けて2度陽性にならなければならないという基準であった。実際の抗リン脂質抗体症候群では、劇症型の様に2度血液検査による測定を行う以前に不幸な臨床的な転機をとってしまう様な場合や、血栓症や産科的合併症以外の臨床兆候をきたす場合もあったりする。また、抗体の中でもリスクが高いものと低いものの重み付けがなされていないことや、元々血栓症のリスクも元来の基準では考慮されていなかった。
 今回の新しい分類基準では臨床の領域が6領域ある。静脈、動脈の血栓症では元々のリスクがある場合とない場合で点数の重み付けが変えられている。また、臨床兆候からの疑いのみなのか、画像や病理で確認できているのかでも重み付の差がつけられてる。さらに、抗体検査の結果もその抗体価や種類によって重み付けがなされる様になった。
 臨床ドメインと検査ドメインでそれぞれ3点以上あれば分類基準を満たすということである。分類基準の当てはめ方、その項目や点数に関しては図2を参照にしていただきたい。

 図2 ACR/EUALR APS syndrome classification criteria

 

  1. 5.その他

 その他にも、CPPDの分類基準案(14M158)、ACR 関節リウマチに対する統合的介入のガイドライン(理学的、心理的、心身的、栄養的介入)(13S161)(表3)、ACR/AAHKSガイドライン:人工膝関節や人工股関節にいつ踏み切るかあるいはいつ保存的加療とするか(13S145)などがあった。今後正式に論文化されるのが待ち遠しい内容である。

 表3 2022 ACR guideline for exercise, rehabilitation, diet and additional integrative intervention for Rheumatoid Arthritis

6. さまざまな研究の発表

a. Cancer Screening in Inflammatory Myopathy(Abstract 0002)
 デルファイ法を用いた22ヵ国75名のエキスパートによる推奨である。4つのパートから成り立っており、①リスクファクター、②スクリーニング方法、③スクリーニング頻度、④追加推奨である。

    ①リスクファクター

低リスク、中リスク、高リスクのリスクファクターが挙げられている。臨床表現系や抗体がリスクファクターとして取り上げられている(表4)。 

  表4  リスク因子

高リスクファクターが2つ以上あると高リスク、中リスクファクターが2つ以上あるいは高リスクファクターが1つある場合は中リスク、それ以外を低リスクと分類する。

    ②③スクリーニング方法並びにスクリーニング頻度

基本スクリーニングと強化スクリーニングの2種類があり(表5)

  表5  スクリーニング

高リスク群では診断時並びに発症から1、2、3年目それぞれに基本スクリーニングを、また、強化スクリーニングを診断時に行うことが勧められている。中リスク群では診断時に基本スクリーニング並びに強化スクリーニングを、低リスク群では診断時に基本スクリーニングを行うことが勧められている(図3)

  図3 特発性筋炎の悪性腫瘍スクリーニング
④追加推奨
追加推奨としては、以下のような内容がある。

  • ハイリスクの患者では診断時に癌がスクリーニングでみつからなかった場合には、上部下部内視鏡並びに18F-FDG-PETを考慮すべきである
  • 抗TIF1-γ抗体陽性のDMで40歳以上発症かつ1つ以上の追加の抗リスクファクターがある場合には、18F-FDG-PETを唯一のスクリーニングとして考慮すべきである
  • 鼻咽頭癌のリスクが上昇している地域では、成人の炎症性筋疾患診断時に鼻の内視鏡を行うことを考慮すべきである

b. Denosumab for OA(Abstract L05)
 手のerosive OAは決定的な薬物療法を欠いているのが現況である。単施設の第2相二重盲検プラセボ比較試験にて手のerosive OAに対するデノスマブの効果が検証された。デノスマブは60mgを3ヵ月ごとに投与されている。主要評価項目は24週時点でのΔGUSSTM(Ghent University Scoring System)でΔがプラスであればリモデリング、マイナスであればびらんの進行となる。10の変化以上あれば臨床的に意義があるとされる。プラセボ群に比べてデノスマブ群は24週で+8.9、48週では+14.3であり両者とも統計学的に有意に差がついた。ペインスケールに関しては、24週、48週の時点では特に差がなかった。48週以降に両群ともにデノスマブに移行するオープンラベル延長に入るが、96週時点ではペインスケールがデノスマブ群では2.4、プラセボ群では3.5で有意に最初の48週デノスマブを投与した群で低くなっているのは興味深い。OAの構造的進展を防げる可能性のある薬剤の候補としてデノスマブが挙がることとなった。

 

c. 脊椎関節炎に対する生物学的製剤のコンビネーションによる治療 (abstract 1044)
脊椎関節炎はぶどう膜炎、乾癬、炎症性腸疾患など様々な領域の合併症をきたしうる疾患である。治療に際して、一つの領域は十分に抑えられているものの他の領域はうまく抑え切れていないという事象が起こることがある。生物学的製剤やJAK阻害剤などをコンビネーションで使用することは、その有害事象の心配から現在は標準的には行われないものであるが、今回、コンビネーションについて少数ではあるがまとまった報告があったので紹介する。29名のSpAの患者が含まれており、31のコンビネーション治療が行われた。29名のうち20名は炎症性腸疾患を合併していた。最も多かったコンビネーションはTNF阻害薬とIL-12/23阻害薬(54%)で、その次はTNF阻害薬とIL-17阻害薬(22.5%)であった。寛解や低疾患活動性は66.7%に見られ、薬剤を中止した人は12名(37.8%)であった。理由としては、7名で効果不十分、2名が有害事象、3名がその他の理由であった。重篤な有害事象は2名あり、非感染性び慢性肺浸潤影とブドウ球菌菌血症であった。治療抵抗性の患者に対しての、コンビネーション治療の更なる研究が行われる事で、治療抵抗性の患者に対する治療方法のさらなる発展が望まれる。

 

d. STOP RA試験(abstract 1604)
Great DebateのトピックでもあったPre-RAに関する研究である。抗CCP-3抗体が正常上限の2倍以上ある患者で過去やベースライン時に関節リウマチ様の関節腫脹が無い患者を対象に行われたランダム化二重盲検プラセボ比較試験である。実薬群はヒドロキシクロロキンを理想体重で6.5mg/kg/日以下の量で1年間投与され、その後2年間薬物なしで経過をフォローしていく試験デザインとなっている。中間解析で144名の参加者がおり、関節リウマチの発症はヒドロキシクロロキン群で34%、プラセボ群では36%であり有意差を認めなかった。有害事象や有害事象に伴う薬剤の中止率なども両群には大きな差はなかった。この中間解析の結果を受け、この臨床試験は中止となった。

 

e. ループス腎炎の寛解になるまでの時間や再燃の腎予後に与える影響(abstract 2061)
カナダのトロント大学のループスコホートを解析したデータである。5年位以上フォローアップされているループス腎炎のある患者を対象に行われた解析で、寛解は24時間尿で蛋白尿が0.5g/日未満、尿沈渣で活動性の兆候なし、そしてクレアチニン がベースラインの120%以下であると定義されている。少なくとも5年以上のフォローアップがなされているということで、実際に長期にフォローされたデータであることが特徴であるこのデータにおいて、ループス腎炎発症後20年までの生存曲線を示している、前向きコホート試験ならではのデータである。主要評価項目をCKDのstage4やstage5への悪化としている。当然のことながら、1年以内に寛解が得られた患者に比較すると1-3年で寛解が得られた患者(1年以内に寛解を得られた群と比較して、多変量解析で HR[ハザード比]2.48 [95%CI(信頼区間)1.14-5.37])、3年以上寛解が得られるまでにかかった患者(1年以内に寛解を得られた群と比較して、多変量解析で HR2.99 [95%CI:1.41-6.34])では主要評価項目へ至るリスクが高かった。また、再燃を起こさなかった群に比べて、1回の再燃(再燃のない群と比較して、多変量解析で HR2.68 [95%CI:1.05-6.86])、2回以上の再燃(再燃のない群と比較して、多変量解析で HR3.55 [95%CI:1.51-8.34])を起こす方が主要評価項目に至るリスクが高いことも示された。また、寛解をしてからの免疫抑制剤の使用の年数が3年未満と3年以上で3年以上の方が主要評価項目を満たすことが少なかったと示されている。

 

f. Pre-RAでの発症予測因子としての喀痰ないのCCP抗体 (abstract 0533)
抗CCP抗体陽性者では2-5年程度の間にそのうちの30%程度が関節リウマチを発症してくることが知られている。血清の抗CCP抗体が陽性者を対象とし、喀痰内の抗CCP抗体を測定し、関節リウマチの発症予測に寄与するかという研究が行われた。Derivationコホートでは、性別、リウマチ因子で調整した関節リウマチ発症のハザード比が3.4(95%信頼区間1.04-11.2)であった。Validationコホートではハザード比が5.4(95%信頼区間 1.2-23.1)であり、両コホートを合わせるとハザード比が4.2(95%信頼区間 1.7-10.4)となった。関節リウマチ発症のリスクの高い抗CCP抗体陽性者の中から、さらにリスクの高い患者を抽出する方法となり得る可能性がある。このコホートでは抗CCP抗体陽性のみであれば32%が関節リウマチを発症したが、喀痰内の抗CCP抗体も陽性である場合には67%が関節リウマチを発症した。大きなコホートでの結果の検証が重要となってくる。また、気道粘膜面以外の粘膜面の寄与に関しても検証が必要となってくる。

そのほかにも多くの興味深い発表があった。スペースの都合上、限られた情報のみの紹介となってしまったが、より良いリウマチ膠原病疾患の治療を実現するためにとても有益な学会であった。

 

文献
1) Cheent K, et al.: J Crohns Colitis. 4(5): 603-605, 2010