膠原病・リウマチ患者さんのための新型コロナウイルスについてのQ&A

 

令和2年6月15日

 

 

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関節リウマチの治療(生物学的製剤(エタネルセプト(エンブレル)、インフリキシマブ(レミケード)、トシリズマブ(アクテムラ)、アバタセプト(オレンシア)など)、メトトレキサート(リウマトレックス)、ステロイド剤(プレドニゾロン、メチルプレドニゾロンなど)、タクロリムス(プログラフ)、Jak阻害薬(トファシチニブ(ゼルヤンツ)、バリシチニブ(オルミエント)、ペフィシチニブ(スマイラフ)など)をしていると新型コロナウイルスにかかりやすいですか?

 

 

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これらの薬剤はいずれも免疫を抑える、免疫抑制薬です。免疫を抑えることで病気をコントロールしますが、一方で身体の抵抗力を落とす薬でもあります。これらを服用、注射している人が特に新型コロナウイルスにかかりやすいという直接のエビデンス(証拠)はまだありません。
そもそもかかりやすさは一定量のウイルスに接触すれば誰でも同じですが、免疫という抵抗力が弱まっているので、ウイルスが体内で広がりやすいかもしれません。しかしその免疫低下の程度がどれくらいかというと、強い抗がん剤の治療をしている人たちの免疫力の低下に比べればごく弱いものです。心配されていることは感染を怖がって薬を飲むのをやめてしまったり減らしてしまった結果、病気自身が悪くなることで、その状態で新型コロナウイルスにかかると最悪の状態になり、回復困難になってしまいます。ですから新型コロナウイルスが流行っていても、今処方されている薬は必ず今まで通り続けるようにしてください。

 

 

 

 2 生物学的製剤、メトトレキサート、プレドニゾロンなどの量が少ない方が新型コロナウイルスにかかりにくいのではないですか?

 

 

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確かに量が少ない方が免疫力の低下が弱くなることでインフルエンザなどほかのウイルスの感染にかかりにくくなると考えられます。しかしその量がどれくらいなら安全なのかの判断基準はありません。病気が安定していてコントロールされている人の薬の量(維持量)は病気を抑えるための最小量に近いので、実際には内服薬を1錠、あるいは注射を減らすことで免疫の低下が軽くなること以上に病気が悪くなる危険性が大きいと考えられますから、医師に相談しないで減量することは大変危険です。

 

 
 

 

 

3 どの薬が免疫力の低下を強くおこしますか?
 

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免疫力の低下について薬同士を比較して、どの薬の何錠が別の薬の何錠に相当するというようなデータはありません。免疫力といってもいろいろな成分、要素から構成されていて、これらを単純に比較することは難しいのです。
 
 

 

 

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リウマチの治療(生物学的製剤、メトトレキサート、プレドニゾロンなど)をしていると新型コロナウイルスの肺炎が重症化しますか?


 

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これについてもまだ十分な証拠がありません。重症化しやすいとも、逆にしにくいともいえません。

 

 
 

 

 

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トシリズマブ(アクテムラ)が新型コロナウイルスの重症肺炎の治療に使われるといいますが、トシリズマブを注射しているとコロナ肺炎にならないのですか?

 

 
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トシリズマブは新型コロナウイルスで起こるサイトカインストーム(炎症惹起物質の爆発的産生)という重症の状態に効果があるとされています。しかし新型コロナウイルスにかかりにくくなるわけではありません。またトシリズマブを使っているから重症化しないというデータも出てはいません。

 

 

 

 

 

 

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ブシラミン(リマチル)、サラゾスルファピリジン(アザルフィジン)、ヒドロキシクロロキン(プラケニル)、イグラチモド(ケアラム)を服用しています。これらの薬を服用すると免疫の力は低下しますか?



 
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これらの薬剤による免疫力の低下はステロイドや生物学的製剤、メトトレキサート、タクロリムスなどに比べると小さく、あまり心配されなくてよいと思います。

 

 
 

 

 

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ヒドロキシクロロキン(プラケニル)は新型コロナウイルスに効くと聞きましたが。

 
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当初そのような論文が一流医学誌に載りましたが現在は削除されており、効能は定まっていません。

 

 
 

 

 

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ジクロフェナクナトリウム(ボルタレン)やロキソプロフェンナトリウム(ロキソニン)、アセトアミノフェン(カロナール)などの鎮痛解熱薬は免疫の力を低下させますか?

 

 
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これらの薬剤(非ステロイド系消炎剤)による免疫力の低下はほぼありません。

 
 

 

 

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関節リウマチの患者が新型コロナウイルスにかかったときには症状や治療法が変わりますか?

 

 

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トシリズマブ(アクテムラ)やサリルマブ(ケブザラ)、ステロイド(プレドニゾ
ロンなど)を使っている人では発熱や咳、痰などの症状が出にくいことがあります。
特に関節リウマチの患者さんが新型コロナウイルスにかかったときに、普通の人と治療法が違うわけではありません。それまでの関節リウマチの治療についてどうされるかは主治医の先生にご連絡ください。一般的に38℃以上の発熱がでているときはメトトレキサートの内服は血中濃度が上がる危険があり、とりあえず中止してください。生物学的製剤についても注射を延期して主治医の意見を聞いてください。ステロイドについては発熱したときにどうするかは場合によって異なるので主治医にご相談ください。
 
 

 

 

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発熱や咳が出て新型コロナウイルス感染が心配なときはどこにかかればよいですか?
 
10 普段かかっているリウマチの専門医、登録医の先生に電話で相談してその先生の指示に従うのが良いと思います。直接先生が診てくださる場合や、遠方の場合は近くの適切な施設を紹介していただいた方が適切で早い対応になると考えられます。熱が出たからといってみんな新型コロナウイルスではなく、そうではない別の病気の可能性も考えなければいけません。

 

 

 
 

 

 

 

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リウマチの患者は発熱したら普通の人よりも早く相談したほうがよいですか?

 
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早く相談したほうが良いと思います。熱が2日以上続くようであれば電話で連絡してどのように受診したらよいか指示を受けてください(発熱していると病院・診療所に直接入れてくれないことがあります)

 

 
 

 

 

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電車や病院で新型コロナウイルスにうつることはありますか?
 
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いわゆる3密の状態は避けるべきです。タクシーやミニバスなどの狭い空間に他人と同乗するのは感染の危険が高いです。一方あえて満員電車に乗ることは勧めませんが、十分換気をしている、会話のほぼない電車に乗って感染する可能性は小さいと考えられます。病院などの医療施設では新型コロナウイルス感染を疑われる発熱者などの患者は別扱いしているところが多く、外来の待合でも感染防止の工夫がされているところが増えています。

 
 

 

 

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オンライン診療でもよいのでしょうか?
 
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オンライン診療では自宅から直接先生の診療を受けることで通院する間あるいは医療施設内での感染の危険はなくなりますからそうした意味では感染を防止できます。一方でオンライン診療では血液やレントゲン検査をすることはできませんが、症状が安定している方であればオンライン診療で先生とお話しすることで十分管理することは可能です。ただ毎回オンライン診療というわけにはいきません(通常は2回に1回は直接の診察が必要です)。

 
 

 

 

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免疫抑制剤を服用しているとワクチンを接種しても効果がありませんか?

 
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まだ新型コロナウイルスのワクチンができておらず、どのようなワクチンができるのかも不明な状態です。ワクチンができた際の接種については主治医に相談してください。またこれらの薬剤で多少免疫が低下するとしてもワクチン接種は受けたほうがよいでしょう。インフルエンザワクチンなどでアレルギーのある方は主治医にご相談ください。

 

 

 
 

 

 

 

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免疫抑制剤を服用しているとPCR検査や抗原検査の結果が変わってくることはありますか?

 
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免疫抑制剤を服用していても、PCR検査や抗原検査の結果に影響することはありません。

 

 

 



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免疫抑制剤を服用していると抗体検査をした時に陰性になることはありませんか?

 
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免疫抑制剤を服用していても、既に感染をして抗体をもっていれば、抗体検査は陽性になります。
但し、リツキシマブなど一部の強い免疫抑制薬では抗体の産生が抑えられて抗体検査が陰性になることがあります。

 

 
 

 

 

 

 

 

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  日本リウマチ学会
 

新型コロナウイルス(COVID-19)への対応について(患者様向け情報)

 

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