関節リウマチの合併症(治療による合併症を含む)
日和見感染症
関節リウマチやリウマチに関連する病気に対してはグルココルチコイド(副腎皮質ステロイド)や抗リウマチ薬などの免疫調整・抑制薬や生物学的製剤、Jak阻害薬などが使われます。こうした薬剤の使用により患者さん自身の免疫が低下するために健常人では起こらないような感染症が発症することがあり、これを日和見感染症(ひよりみかんせんしょう)と呼んでいます。いずれも高齢者になるほど発生頻度は高くなります。これらに対しては予防薬の投与、ワクチン接種が有効です。
ニューモシスチス肺炎
真菌(カビ)の一種であるニューモシスチス・イロベチにより起こる肺炎で、健常人の肺にも高い頻度で存在していますが、免疫抑制状態になると菌が増殖し、発熱や空咳ののち急速に肺炎が進行し適切な処置をとらないと命が危ない病気です。免疫抑制薬(メトトレキサートなど)とグルココルチコイドを併用して服用すると発症率が高くなり、また生物学的製剤、Jak阻害薬の使用者も発症頻度が高くなるために予防薬の併用が必要です。予防薬としてはST合剤(バクトラミン🄬など)を毎日あるいは隔日に服用することで回避することができます。ST合剤服用が難しい方にはアトバコン(サムチレール🄬)があります。
真菌感染
ニューモシスチス肺炎以外にも、カンジダ、アスペルギールス、クリプトコッカス、ムコールなどという真菌でも健常人は見られない肺炎や髄膜炎、眼炎などを起こすことがあります。
結核
結核は健常人でも感染することがありますが、関節リウマチの患者さん、特に生物学的製剤などを使用する場合には肺結核、あるいは腸結核などの肺以外の結核に感染する頻度が高くなります。生物学的製剤、Jak阻害薬を使用する場合には胸部レントゲンの他、CTやクォンティフェロンテスト、T-SPOTテストなどを行い、必要があれば抗結核薬の予防投与を行います。
非結核性抗酸菌症
結核と同じ抗酸菌症ですが、土壌や水から感染するとされ、人から人へは感染はありません。結核よりも進行はさらに遅いですが、アブセッサスなど種によっては抗生物質に対して抵抗性で適切な治療薬のないものもあり、特に関節リウマチの患者さんで生物学的製剤を使用している場合は感染すると治療に難渋することがあります。
【情報掲載】令和6年7月