関節リウマチの合併症(治療による合併症を含む)
メトトレキサート関連リンパ増殖性疾患(MTX-LPD)
メトトレキサート関連リンパ増殖性疾患とは、メトトレキサート内服により、リンパ球が過剰に産生され、色々な場所のリンパ節が腫れたり、内臓(肺やのどなど)にリンパ球が集まり、腫瘍や潰瘍のような形を呈して発症する病気です。メトトレキサートを中止すれば自然に改善する良性から治療が必要な悪性リンパ腫まで含まれます。
発現頻度
日本人の関節リウマチ患者さん100人が1年以内にリンパ増殖性疾患を発症するのは0.06-0.1人と報告されています。その中でメトトレキサートを服用している患者さんの割合がかなり高いのですが、メトトレキサート中止により自然に改善する例、メトトレキサート以外の薬を併用している場合の発病もあることから、正確な頻度は不明です。
発病しやすい因子
高齢(60歳以上)、関節リウマチ自体がコントロールされていない、メトトレキサート投与歴が長い(4年以上)ことが報告されています。
発病前の検査値異常
血液検査にて発病6ヶ月ほど前からリンパ球数が徐々に減少していることが多いです。
発病時の症状と検査値異常
リンパ節などの腫れのほか、発熱、寝汗、食欲不振、体重減少などの全身症状で発病することもみられます。血液検査では、LD(LDH)、CRP値や可溶性IL-2受容体値の上昇などを認めます。
診断
メトトレキサートを直ちに中止することにより症状が消失することで診断できることもあります。確定診断するには腫れているリンパ節や症状のある場所に針を刺し、その場所の組織を採取(生検)して、病理診断します。
治療
疑った場合は、メトトレキサートを中止します。自然に良くなる例では、2週間程度で改善傾向になります。約半数はメトトレキサートを中止するだけで改善するといわれています。4週間後も改善傾向がみられない場合や組織診断にて悪性度が強い場合は、血液内科を受診していただき、悪性リンパ腫に準じた治療を行います。
予後
組織の悪性度により異なります。早期診断が大切です。
【情報掲載】令和6年8月