関東・甲信越地区

平成26年11月22日開催

 

 

「バイオ時代におけるRA治療の安全性マネジメント 」

長崎大学大学院・医歯薬学総合研究科
医療科学専攻・展開医療科学講座 教授 川上 純  先生

 関節リウマチ(RA)の病変の首座は関節炎であるが、肺疾患の合併など関節外の臓器障害を呈する全身性疾患の一面がある。また、生物学的製剤が臨床に導入されて11年が経過し、これら分子標的治療に伴う有害事象の発現に十分に留意する必要があることもわかってきた。すなわちバイオ時代にRAを診療するには、関節炎に対するtreat to target(T2T)治療に加え、全身チェックと治療に伴う有害事象の評価が重要である。日本リウマチ学(JCR)ではメトトレキサート(MTX)、TNF阻害剤、トシリズマブ(TCZ)、アバタセプト(ABT)、トファシチニブに対するガイドラインを作成し、JCRホームページで公開している。活動性RAが治療の対象となるが、末梢血白血球数4000/mm3以上、末梢血リンパ球数1000/mm3以上、血中□-D-グルカン陰性が望ましいと記載されており、感染症に対する留意が重要なことがわかる。一般的にRAでは感染症および呼吸器感染症のリスクが高く、かつ、本邦における生物学的製剤の製造販売後調査においても感染症、呼吸器・縦隔障害は頻度が高い有害事象である。また、肺疾患既往、糖尿病、喫煙等はRA治療経過における肺炎の発症リスクを上げるとの報告があるが、RAでは間質性肺炎や下気道病変の合併は稀ではなく、薬剤導入前および導入後のリスク管理が薬剤の継続使用におけるkeyの一つとなる。結核に対しても胸部画像検査、ツベルクリン反応、インターフェロンγ遊離試験を導入前に行い、潜在性結核の可能性が高い場合は、イソニアジド(INH)の6-9ヶ月の内服が推奨される。非結核性抗酸菌感染症に対しては原則として投与すべきでないが、導入する場合は、患者の全身状態、RAの活動性・重症度、菌種、画像所見、治療反応性、治療継続性等の慎重かつ十分な評価が必須である。ニューモシスティス肺炎に関しては、年齢65歳以上、プレドニン内服6 mg/日以上、肺疾患の合併がそのリスクであることが明らかとなり、ハイリスクの場合はST合剤などの予防投与が考慮される。本邦ではB型肝炎ウイルス(HBV)既往感染者が比較的多く、既往感染者とHBVキャリアに対してMTX、生物学的製剤、トファシチニブを導入する場合は、日本肝臓学会「B型肝炎治療ガイドライン」を参考に、HBV DNA量の適切なモニタリングが必須となる。本講演では上記の安全性マネジメントについて解説する。



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