1.非ステロイド抗炎症薬(消炎鎮痛薬)

2.副腎皮質ステロイド(ステロイド)
3.抗リウマチ薬と免疫抑制薬
4.生物学的製剤

5.JAK阻害剤薬

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5.JAK阻害薬

 

 

 

 

 

トファシチニブ(商品名:ゼルヤンツ)

 

ゼルヤンツは、2013年7月30日に発売された全く新しいタイプの関節リウマチ治療薬で、JAK(ヤヌスキナーゼ)阻害薬と呼ばれる経口の薬です。

関節リウマチでは、炎症が起きている関節のなかに白血球など免疫に関与する細胞が多数みられます。サイトカインという物質が、これらの細胞の表面にあるサイトカイン受容体に結合すると細胞に刺激が入り、その刺激は細胞内のシグナル伝達経路によって細胞の中心にある核まで伝わります(わかりにくいのでに示します)。その結果、細胞は活性化して増殖したり、自らも炎症を起こすサイトカインなどの物質をつくるようになります。現在、広く使われている生物学的製剤はTNFやインターロイキン(IL)‐6といった特定のサイトカインを細胞の外でブロックすることにより、細胞に炎症を起こす刺激が入らないようにします。これに対して、ゼルヤンツはサイトカイン受容体からの刺激を伝えるJAKという細胞内の酵素を阻害し、刺激が核に伝わるのを遮断して炎症を抑えます。

ゼルヤンツは、過去の治療においてメトトレキサート(リウマトレックス、メトレートなど)をはじめとした少なくとも1剤の抗リウマチ薬による適切な治療を行っても効果が不十分な場合に、1回5mgを1日2回内服します。発売前の臨床試験では、メトトレキサートなどの抗リウマチ薬や生物学的製剤である抗TNF製剤で効果が不十分であった患者さんに対して、ゼルヤンツは関節の症状を軽減し血液検査の炎症反応を改善すること、関節破壊を抑制すること、などが報告されています。しかし、一方で、感染症(結核、帯状疱疹、肺炎、敗血症)、肝臓の機能障害・黄疸、消化管の穿孔、ガン、貧血などがみられることがあり特に注意が必要とされています。従って、感染症を合併している患者さんや内臓機能が悪い患者さんなどには投与することができません。また、ゼルヤンツの開始前には、現在および過去の感染症の有無や内臓機能などについての診察や検査が行われます。

ゼルヤンツは新しい薬剤であるため、長期間使用した場合にガンやその他の副作用が起こりやすくなるのかどうか、まだよくわかっていません。そこで、ゼルヤンツが使用された患者さんについては、これまでに発売された生物学的製剤などと同様、すべての患者さんで市販後調査を行うことによって、その安全性が認められ、当初心配されていたほどガンとの関係は高くなく、他の生物学的製剤と同程度であることがわかりました。日本リウマチ学会による「全例市販後調査のためのトファシチニブ(ゼルヤンツ)使用ガイドライン」では、安全性を考慮して「週10mg以上のメトトレキサートを3カ月以上継続しても効果が十分でない活動性の関節リウマチ患者さん」に対して、ゼルヤンツによる治療を行うことが推奨されています。今回の市販後の調査は、同じ条件でゼルヤンツ以外の薬剤で治療された患者さん2,000名についても比較検討のための調査が行われます。

どのようなリウマチ患者さんに使用するのが最もよいのか、これからもっと明らかになっていく薬だと思われます。

【情報更新】平成28年9月

 

 

 

バリシチニブ (商品名:オルミエント)

 


オルミエントは2017年7月に国内で製造承認された経口の抗リウマチ薬で、トファシチニブ(商品名:ゼルヤンツ)に続く2番目のヤーヌスキナーゼ(JAK)阻害薬です。JAKという細胞内の酵素を抑えることで、関節リウマチで炎症や関節破壊を起こすサイトカインといわれる物質の働きを抑える作用があります。トファシチニブがJAKのうちJAK1,JAK2, JAK3を抑えるのに対して、バリシチニブはJAK1とJAK2を特に強く抑えるところが作用として異なる点です。通常はオルミエント錠4㎎を1日1回内服しますが、この薬剤は腎臓から排出されるため、腎臓の機能が低下している場合には1日1回2mgに減量する必要があり、また腎臓の機能が高度に低下している場合には使用することができません。
この薬剤は、メトトレキサートやTNF阻害薬で効果不十分な関節リウマチ患者さんで、関節リウマチの痛みや関節の破壊を抑えることが報告されています。副作用としては、トファシチニブと同様に感染症(結核、帯状疱疹、肺炎、敗血症)、肝機能障害、白血球の減少、貧血、消化管の穿孔、血液中のコレステロール値の上昇などがみられることがあります。呼吸器感染症や帯状疱疹は重症になることがあるため特に注意が必要です。この薬剤の開始前には、現在および過去の肺炎やウイルス性肝炎などの感染症がないか、肝臓や腎臓の機能などについての検査を行います。現在までのところJAK阻害薬服用が関節リウマチ患者さんでの悪性腫瘍の発生を増やすというデータはありません。
この薬剤も使用されたすべての患者さんで市販後の安全性調査を行うこととなっており、日本リウマチ学会による「全例市販後調査のためのバリシチニブ(オルミエント)使用ガイドライン」では、トファシチニブと同様に「週10mg以上のメトトレキサートを3カ月以上継続しても効果が十分でない活動性の関節リウマチ患者さん」に対して、バリシチニブによる治療を行うことが推奨されています。

 

【情報更新】平成29年10月

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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