リウマチを知ろう!

リウマチQ&A

妊娠と育児について

Q.28先日出産をしました。妊娠前から、エンブレル、タクロリムスを使用していましたが、妊娠後期より、エンブレルのみとしタクロリムスの服用を中止していました。 完全母乳での育児ではありませんが、事前に病院の薬剤師さんに子供の予防接種への影響を調べてもらった結果、エンブレル投与にあたり、生ワクチンの接種を遅らせるように(ロタウイルスの予防接種は受けない)との回答をもらいました。 出産後、リウマチの状態が悪化しており、タクロリムスの服用を再開したいと考えています。タクロリムス服用を追加することで、子供の予防接種に更なる影響を与えますか。

母乳を介した胎児のタクロリムスの血中濃度はごくわずかです。そのため、子供の予防接種への影響はほぼないと考えます。従って、エンブレルの影響を主体に考えて頂ければと思います。

(令和5年6月)

Q.27シムジアを使い、出産しました。母乳をあげながらシムジアも続けています。母乳による赤ちゃんへの免疫抑制剤の影響はほぼないことは知っていますが、母乳に含まれる免疫はどうなのでしょうか。助産師さんからは、母乳をあげることによって子どもに免疫を与えることができると聞きましたが、免疫抑制剤を使用している場合は、母乳に免疫を期待することはできないのでしょうか。現在、ミルクとの混合育児のため、母乳を与えるメリットがないならば、ミルクだけにしたいとも考えています。

母乳には免疫グロブリンやリゾチームなど様々な感染制御に関する物質が含まれます。
中でも、免疫グロブリンのひとつであるIgAは、人の腸管、気道などの粘膜や母乳に多くあって、局所で細菌やウイルスを排除するなど感染の予防に役立っています。
シムジアは炎症を引き起こす主要な体内物質を押さえるお薬であって、免疫に関与するIgAを排除したり、母乳に含まれるIgAの効果が減弱するようなことはほとんどありません。
補足ですが、人工乳も母乳の組成に近づけるため、ラクトフェリンやビフィズス菌増殖因子等が含まれております。
人工乳に比べ、母乳は消化吸収が良く、内臓への負担も少ない点からも、母乳を与えるメリットは十分あるかと思います。
(令和5年6月)

Q.26産後1ヶ月過ぎた頃から関節の痛みが出てきたので、リウマチ科で血液検査したところ、リウマチ因子、抗CCP抗体が共に陽性でした。 母乳育児をしていたのですが、生理が再開したら症状が和らぐと見かけたのですが、本当でしょうか?

一般的には妊娠中は関節リウマチの症状が落ち着く傾向になり、出産後に悪くなるといわれていますが、生理との明らかな関係は不明かと思われます。

(令和5年1月)

Q.25妊娠中と出産後もエンブレルをずっと注射してきました。 子供のロタウィルス(生ワクチン)接種は問題ないのでしょうか? 色々なHP見ると出生児も生まれてから半年は生ワクチンを控えるべきとありますが、医師、製薬会社各者意見に相違があり迷っています。

エンブレルの医薬品添付文書では、ワクチンに関して、「妊娠後期に本剤を投与した場合は、乳児の生ワクチン接種で感染のリスクが高まる可能性があるので、少なくとも生後6か月頃までは生ワクチンを接種しないことが望ましい」と記載されております。これを参考に各患者の状況を考えて最終的に担当医が判断することになります。
(令和4年6月)

Q.24昨年の9月に関節リウマチの診断を受け、メトトレキサート2mgを週に2日3カプセル服用しています。診断を受けたときにこれから妊娠は諦めてくださいと言われたのですが、2人目を諦められず、思い切って相談しました。すると先生は「自己責任ではありますが、一緒に期間を決めてやっていきましょう」と言ってくださいました。それと「メトトレキサートは妊娠が判明したら、中断してください」と言われました。メトトレキサートを服用する患者さんへの第3版では、それでは流産や奇形を誘発すると書いてありますが、服用を続けて大丈夫なのでしょうか。セカンドオピニオンで相談しようか悩んでいます。

メトトレキサートは妊娠中あるいは妊娠する可能性のある患者さんには投与しないことになっています。妊娠希望がある場合には、メトトレキサート中止後3カ月以上あけれることが必要です。関節リウマチの状態にもよりますが、メトトレキサート中止後から出産後までは、比較的胎児に影響が少ないリウマチ治療薬を投与することが多いです。別の医師にご相談されたほうがよいかと思います。

(令和4年3月)

Q.23妊活をしようと考えています。 MTXを飲んでいたんですが、結婚、妊娠に控えてプログラフへの切り替えを行うことになりました。しかし、ネットで検索するとプログラフについての記載があまりなく、妊活、妊娠中、胎児への影響はどうなのかが想像できません。使用についても△ラインであり、安全性はどうなのかが気になります。 本当に妊活中、妊娠中も飲めるのか、胎児にはどれくらい影響がでるのか、授乳できるのかなど教えてください。

プログラフは腎臓移植後にも広く使われており、妊娠中も継続された例が報告されており、先天奇形の発生率が一般妊娠の場合の3.5%と変わらないということで現在では妊娠中に免疫抑制薬が必要な患者さんで使われることの多い薬剤となっています。服用する場合は、妊娠中の血圧上昇、糖尿病発症などに注意が必要です。リウマチの活動性が高い事自体も胎児への影響があることが報告されているので、使うことのリスクと使わずに活動性が高いことのリスクのバランスを考えて、関節リウマチの程度から配偶者とともに主治医と相談して使用を決めることをお勧めします。母乳への移行もありますが、授乳にて赤ちゃんが摂取する量はごく僅かであり、継続も不可能ではありません。欧米のガイドラインでは妊娠中、授乳中の使用は許容されるとされていることが多い薬剤です。プログラフの添付文書も参考にしてください
(令和4年2月)

Q.22現在妊娠5-6週の初期です。 妊娠が判明してから、アクテムラを中断して1ヶ月経ったところで胸膜炎が再発して、CRPが9.3まで上がりました。 妊娠初期の器官形成期に母体の炎症反応上昇は、胎児に影響ないでしょうか?

関節リウマチの患者さんの病気の勢い(活動性)が強いと妊娠しにくいという成績はでています。
妊娠された方の初期の炎症に関しての器官形成の影響についてははっきりとした成績はないと思います。
しかし、活動性が高いと、早産になったり、赤ちゃんの発育に影響する(低出生体重)割合が高くなるという成績はありますので、妊娠を継続していくためには炎症を抑えた方が良いと思われます。

TNF阻害薬(シムジアなど)が使えるようならそれが望ましいとは思います。
アクテムラに関しては、確実に安全と言い切る症例数は揃っていないので多くの関節リウマチの患者さんは妊娠が判明したところで中止しますが、質問者様のように中止することで悪化してしまった患者さんや、関節リウマチ以外の患者さんで、患者さんの同意を得て妊娠中も使用継続している症例の報告も少しずつされておりかなり多くの症例数で先天異常に関しては、アクテムラを使っていなかった患者さんと同等で問題がなかったことが報告されています(ただし、前述したように確実といわれる症例数ではありませんので担当の先生と話し合って決める必要があります)。
私の診ている患者さんでも妊娠および授乳期間中ずっと注射を続けていた患者さんがいますが、問題なく出産されました。
(令和2年10月)

Q.21最近、生物的製剤を処方されました。 私は、妊娠希望で今、妊活中です。主治医にも伝えていますが、妊活中で神経質になっているからか、処方された薬をついネットで調べたりしてしまって、本当に大丈夫なのか不安になりました。 私が、処方された生物学的製剤は、妊娠前、妊娠中、使用しても安全なのでしょうか?

妊娠を考えている場合は、生物学的製剤の選択が通常とは異なることがあります。しかし、合併症やその他の併用薬なども治療の選択には重要であり、主治医の先生にもう一度妊娠予定であることを強調してお話して、治療を相談されることをお勧めします。
(令和2年6月)

Q.20メトトレキサートを服用して7年ほど経ち、症状は安定しています。 しかしこの度、乳ガンであることが分かり手術をする予定です。術後にホルモン治療が始まりますので、それまでに受精卵の温存凍結を考えています。 メトトレキサートを服用停止後、3回月経が来ないと妊娠してはいけないと聞きました。 それは具体的に、卵子そのものに影響が出るからなのでしょうか? もしくは、着床し成長していく段階で影響が出るのでしょうか? 治療スケジュールがあり、卵子そのものに影響があるのでしたら温存も難しくなってきますので、ご教示いただければと思います。

日本リウマチ学会が発行している「メトトレキサートを服用する患者さんへ」という冊子(第3版)によると、「少なくとも1月経周期が終了するまで妊娠を避けるように」とあります。すなわち、1回月経が来れば、その後は妊娠はしても良いと言えます。もちろん、3回月経がきてから妊娠する方がより安全だとは思います。メトトレキサートは抗がん剤であり、卵子を含めた正常細胞にも障害が及びます。受精卵の分割や、細胞の増殖にも影響があり、奇形や流死産の原因になりますので、妊娠中破絶対に服用してはいけません。乳がんの治療を控えておられるとのことで、卵子の温存を早急にする必要があるようですので、まずはすぐにメトトレキサートを中止し、1回以上月経がきてから卵子保存を行うのが良いでしょう。メトトレキサート中止後に関節リウマチの活動性が出て関節痛が悪化したら、従来ではステロイド(プレドニゾロンなど)少量投与で対応するところですが、一部の抗リウマチ薬や生物学的製剤は、妊娠中も使用可能なものがありますので、関節リウマチの治療については主治医とよくご相談されたら良いと思います。
(令和2年6月)

Q.19関節リウマチと診断され8年が経ちます。 当初はリウマトレックス等の内服治療をしてきましたが、現在はオレンシアの注射のみとなりました。 年齢的にも妊娠を望んでいるのですが、オレンシアを使い続けたまま妊娠しても大丈夫でしょうか?

一般的に、オレンシアは妊娠中には安全性で確立されていないため勧められません。関節リウマチの治療は多くの選択肢があり、妊娠中も継続できる治療法がありますので、妊娠の希望があれば主治医と早めに相談されることをお勧めします。
(令和2年2月)

Q.188月に出産しました。関節リウマチの症状が出始めて、2年目になります。 妊娠前に薬を飲み始め、サラゾスルファピリジンを飲み始めました。その後妊娠中も飲んで出産に至りました。授乳中も変わらず飲んでいいと主治医から話があり授乳を続けています。しかし、子どもの予防接種は100パーセント安全ではない、母乳を中止したらいいと言われました。薬をその間飲まない方法もあると言われ、母乳を続けて薬を休もうかと思ってます。しかしやめて大丈夫なのかそこも不安になっています。 薬を飲んで授乳を続けてはダメなのですか。 そして薬を辞めたらやはり進行しますか。

サラゾスルファピリジンを内服中の授乳について、その説明書(添付文書)には、母乳中に移行するため中止することが望ましいが、やむを得ず投与する場合は授乳を中止すること、とあります。しかし、最近の厚生労働省の専門医による検討では、サラゾスルファピリジンの授乳中の安全性は、「安全」、「比較的安全」、「中等度安全」、「有害の可能性」、「禁忌(使用してはいけない)」の5段階のうち真ん中の「中等度安全」となっており、実際には影響が少ない場合がほとんどだと考えられます。 ワクチン接種については、TNF阻害薬という注射薬を妊娠中に使用していた場合には赤ちゃんの免疫の状態が低下することがあるため、BCGや麻しん、風疹などの生ワクチンは生後6か月以降に行うことが勧められています。しかし、サラゾスルファピリジンを内服中の生ワクチンに対する影響については特に報告はなく、免疫を抑える薬剤ではないため、授乳中であったとしても基本的に影響はない可能性が高いと考えられます。主治医の先生とよく相談されてください。            
 (令和元年9月)

Q.17夫がリウマトレックスを服用しているんですが、妊娠しました。夫がリウマトレックスを服用して無事出産された方はいますか?

メトトレキサート(商品名リウマトレックス)を男性に投与する場合は、投与中および投与終了後3か月間は配偶者が妊娠を避けるようにと、薬剤の説明書である添付文書に記載されています。しかし、海外の報告ではメトトレキサートを内服中の男性の配偶者が妊娠しても、流産や先天性奇形の率は上昇しなかったとされています。日本人で違いがあるのか不明ですが、一般的には女性が内服して妊娠した場合に比べて、危険性はかなり低いと考えられます。産科の先生にもご相談してみてください。

(令和元年5月)

Q.16寛解中だったのですが、子ども二人目妊娠中に再発してしまいました。プレドニンで妊娠中はやり過ごし、産後痛みが酷くなったので、エンブレルを追加しています。授乳は続けています。エンブレル使用中は本人は生ワクチンの注射が受けれないようですが、授乳中の子どもは接種しても問題ないのでしょうか?

乳汁のなかにあるエンブレルについては、ほとんど吸収されないと考えられておりますのでワクチン接種への影響は少ないと考えられますが、詳細は明らかにはなっておりません。念のため、主治医にご確認いただいたほうが宜しいかと思います。
(平成30年8月)

Q.1520歳で関節リウマチを発症し、30歳で第一子を出産し、1年間、母乳で育てました。その頃から症状が悪化してきた為、断乳と同時に受診し、リウマトレックス12ミリ、リマチル、プレドニン3ミリを服薬し、1年半経ちました。そろそろ第二子希望で休薬し、プレドニン5ミリ服薬の予定です。薬に慎重なタイプのようで、飲めるのはプレドニンだけ。と言われています。ただ痛みが完全に無くなった訳ではなく、寝る前にロキソニンを1錠飲めば、1日快適に過ごせるといった状態です。この場合、まだ、妊娠を計画するには早すぎるのでしょうか?主治医は、患者に寄り添うタイプでは、ありません。子供もいるので、待ち時間が少なく診察が早いという理由で、その医院にかかってます。

リウマトレックス12㎎を服用されている方が妊娠するとなるとこれを絶たなければなりませんが、それをステロイドだけでコントロールするとなるとかなり大量が必要になると考えられます。最近はエンブレルなどの生物学的製剤を使いながら妊娠を継続される方もおられますので、まずは妊娠について先生に相談されてはいかがですか?ステロイドだけとおっしゃるのであればセカンドオピニオンをとられてもよいかと思います。    

(平成28年2月)

Q.14エンブレルを使用していましたが、出産後、効果がなくなってきて、アクテムラ(生物学的製剤)に変更しました。 また妊娠できるでしょうか。

関節リウマチに用いられている生物学的製剤と妊娠との関係については、不明な点が多く、専門家でも意見が異なります。
一般的には、「抗体」と呼ばれる分子(主にIgG型の免疫グロブリン)は胎盤を通過し、胎児の血液に入っていきます。その移動は抗体分子のFc部分を介して起こるとされています。したがって、レミケード、ヒュミラ、シンポニーとアクテムラはFcをもつ抗体ですので、注意が必要です。しかし、レミケードやヒュミラでは胎児に抗体は移行しても大きな障害はもたらさなかったという成績があるようです。おそらく、アクテムラもそのような危険は少ないとは思います。
エンブレルとオレンシアは抗体ではありませんが、Fc部分をもっており、エンブレルでは胎児への移行が確認されています。しかし、最近の成績ではエンブレル使用中の妊婦で正常分娩したケースは多数あり、胎児や新生児に障害をもたらす可能性は少ないようです。
シムジアは抗体様の分子ですが、Fc部分がないため、胎児への移行は、理論的にはおこらないとされています。
英国では妊娠する3〜6か月前(製剤により異なる)には生物学的製剤を中止することが推奨されています。したがって、多くの専門医は妊娠希望の患者様には生物学的製剤を避けて、安全性が確立されている副腎皮質ステロイドのみに治療を変更して、妊娠中はそれを維持します。副腎皮質ステロイドのみで治療できない場合で、生物学的製剤が必要な場合は、理論的にはシムジアが安全と思われます。ただし、本ケースではアクテムラが大変有効であり、継続希望なら継続でもよいと思います。抗がん剤とは異なり、抗体製剤が卵子の遺伝子に傷害を与えることは考えにくいと思いますので、あらかじめ採卵をして対応する必要はないと思います。    (平成28年1月)

Q.135年程前から関節リウマチを患い、このたび妊娠が判明しました。リウマトイド因子(RF)や抗核抗体が陽性だと流産しやすいとの情報を目にし、心配になっています。 流産予防にバイアスピリンが有効だと聞きました。 不育症の検査で、抗リン脂質抗体は陰性なのですが、その場合、バイアスピリンの服用は不必要でしょうか?

残念ながら、いろいろな理由で流産します。一方で、抗核抗体などが陽性であるだけで流産するわけではありません。
したがって以前に流産されたことがないのであれば、今回はバイアスピリンを服用する必要はないと思います。
一方以前に流産を経験されているのであれば、その時には対策を検討してもよいかと思います。 (平成26年6月)

Q.12私は24歳の女性です。夫が関節リウマチで休薬していないのに妊娠してしまいました。このままだと健康な子どもは産まれないのでしょうか?やはり休薬しないで妊娠は危険なことですか?

どの薬を服用されていたのかが問題になります。一般的によく服用されているメトトレキサートの添付文書には、男性の場合も「使用を中止してから少なくとも3か月間は妊娠を避けるように注意すること」となっており、妊娠後のリスクも高いので、一般的には投薬を中止します。
男性に対する薬剤の悪影響として、①精子にダメージ(遺伝子の異常)を与える、②精液の中に薬剤成分がでてくる、の2つの場合が考えられます。①については一部の抗がん剤や抗ウイルス剤で危険が指摘され、警告が出ており、避妊に努めるべきとされてますが、抗リウマチ薬では警告が出ているものはありません。メトトレキサートやレフルノミドなどは精子に影響を与える可能性が動物での研究から示されていて、できればこれらを服用中の男性は避妊に努めるべきです。しかし、抗リウマチ薬として使用するときにはメトトレキサートは少量であることが多く、精子への影響は少ないと考えられます。
また、数億の精子が1回の射精で出て、卵子にたどり着くのは通常1個であり、しかもほとんどの場合、正常な機能をもった精子が受精する確率が高いと思います。
②の薬剤成分が精液中に出てくる場合も、よほど高い濃度(大量に服用した場合)でないと、ほぼ無視できる程度だと思います。また、仮に薬剤成分が精液中にあっても、受精に影響するかどうかは不明です。
結論として、せっかく妊娠された方が非常に可能性の低いと思われる胎児への影響や流産を心配して、人工中絶する必要はないと思います。ただ、2人目の妊娠の際は、さらに危険性を下げるために互いになるべく薬剤を服用していない(できれば3カ月以上)時期に、妊娠するようにしたほうがよいでしょう。心配であれば、成育医療センターの妊娠と薬情報センター」に問い合わせてみてはいかがでしょうか? http://www.ncchd.go.jp/kusuri/index.html  

(平成26年6月/平成29年12月更新)

Q.11現在、リウマトレックス、ロルカム、セルベックスの内服薬とシムジア皮下注射を使用してますが、妊娠前にはシムジアと副腎皮質ステロイド剤のみでコントロールしたいと考えてます。胎児には影響はないですか?

関節リウマチで一般的に使われている副腎皮質ステロイドのなかで、プレドニンやプレドニゾロンという薬は、胎盤を通らないため胎児に影響はありません。これに対してリンデロン、デカドロンは胎盤を通過します。一般に抗体は胎盤を通過しますが、シムジアなどの一部の抗TNF抗体は胎盤を通過することができず胎児への影響は非常に少ないと考えられます。
一般的には妊娠が判明したら抗TNF製剤は中止しますが、一部の患者さんでは中止後にリウマチの症状が強くなり、妊娠中もシムジアやエンブレルなどの抗TNF製剤をやむを得ず使用することがあります。胎児への危険性は高くないと考えられていますが、その場合は担当医とよくご相談ください。(平成26年2月/平成29年12月更新)

Q.10産後に関節リウマチと診断され「リウマトレックス」を服用しています。週に6mg服用して、現在3週間服用しました。主治医には授乳中であることを伝えたうえで処方してもらいましたが、最近インターネットで調べてみると「リウマトレックスは授乳中の服用禁止」という記事をいくつも見かけました。生後2ヶ月の娘がおり、完全母乳で育てています。このまま服用を続けていいのでしょうか?

産後のお母さんにとって、母乳とお薬についてはたいへんに悩めるところだと思います。母乳はお母さんと赤ちゃんとのスキンシップという大切な役割以外にも、さまざまな効用があります。しかし、薬の説明書には「乳汁中に薬剤が分泌されるので使用する場合は母乳を中止してください」というような内容が、リウマトレックスだけでなく、鎮痛剤や胃薬などにも書かれています。母乳をあげなくてもミルクという代用品があり、確実なことが言えない以上、母乳を中止しましょうというものです。そして一般にリウマトレックスは授乳時には使うべきでないとされていますから今後は可能であればミルクに変更した方が安全でしょう 。
しかし母乳中へのリウマトレックスの分泌濃度は実は低いとされています。また、母乳中に出た薬も乳児の胃や腸から吸収されないと乳児にとってはなんともないものになります。ですから母乳中の薬の濃度だけではなく、乳児の血液中の濃度を知りたいところですが、そのようなデータがあるのはわずかな薬に限られます。詳しいことを知りたい場合、「妊娠と薬情報センター」のホームページに母乳をあげていても飲める薬が載っておりますので、ご参考にしてください。
ただ、リウマトレックスに関しては、直接ご相談という方法をとっていますので、「妊娠と薬情報センター」にご相談されることをお勧め致します。

「妊娠と薬情報センター」
http://www.ncchd.go.jp/kusuri/
関節リウマチ患者さんに限らず妊娠中の薬物使用について悩んでいる女性や医師はたくさんいます。そのような方々に最新で確かな情報を提供すること、相談された方の妊娠結果を教えていただいてそのデータをまとめて安全性について評価すること、このふたつを目的に厚生労働省の事業として「妊娠と薬情報センター」が2005年開設されました。相談を受け付けていますのでご利用ください。相談方法はホームページをご覧ください。

(平成25年12月/平成29年12月更新)

Q.9関節 リウマチが発症して5年経過している女性が、生物学的製剤及びリウマトレックスを利用して1年以上全く痛みがない場合(関節の破壊も進んでいない)、リウマトレックスの使用をやめて、エンブレルとステロイドなど妊娠中も使用してよい薬を使用継続して妊娠・出産し、出産したらすぐリウマトレックスの使用を再開して、子供はミルクで育てるという対応をした場合、関節リウマチはほとんど悪化しない可能性が高いと考えていますが、いかがでしょうか?

妊娠を前提とせず、リウマトレックス(MTX)、ステロイド薬、エンブレルなどの生物学的性製剤で治療されている場合の治療薬の中止の順序は以下のとおりです。すなわち、ステロイド薬の減量、中止、次に生物学的製剤の投与間隔の延長、中止の移行、さらにMTXの漸減、中止です。しかし、妊娠希望のある場合は、妊娠期間の40週間を胎児への影響が極力低い薬剤でRAをコントロールすることになります。妊娠時可能な薬剤として、アザルフィジンEN、ステロイド薬、どうしても生物学的製剤を使用せざるを得ない場合は胎児への影響の少ないエンブレルとなります。一般に関節リウマチ(RA)は妊娠後半期は比較的落ち着いていますが、妊娠前半期や特に分娩後は悪化することがあるとされていいます。したがって、ご質問のように妊娠中はステロイド薬とエンブレルで治療を継続し、妊娠中RAが悪化したなら、ステロイド薬の増量で対応し、分娩後は授乳は控えて頂き、MTXを可及的に速やかに再開する方法は理にかなっているものです。
 (平成25年10月)

Q.8現在妊娠7周目です。昨年4月に関節リウマチと診断され妊娠希望のため昨年秋にアザルフィジンを服用するようになってから主治医から妊娠の許可がでました。しかし3月から少し症状の悪化がありプログラフを追加して飲んでいたときに3月下旬に妊娠が分かり主治医に報告しました。主治医は比較的安全なのでこのまま飲んでも大丈夫とおっしゃい現在もプログラフとアザルフィジンを服用しています。妊娠中もずっと飲んでいいのか不安でたまりません。子供への影響は大丈夫なのでしょうか?

妊娠と抗リウマチ薬の安全性についてはこのFAQでもいくつか事例はありました。アメリカではアザルフィジンは妊婦への使用はレベルB(動物実験での安全性は確認されてるが人では未知)で、注意しながら使用は可能とされています。プログラフはレベルC(動物実験で催奇形性はあるが、有益性が高いと判断すれば使用可能)とされています。しかし、この判断は国によって若干異なります。日本では、アザルフィジンの添付文書には、「妊婦又は妊娠している可能性のある婦人、授乳中の婦人には投与しないことが望ましい。」と記載されています。プログラフの添付文書では禁忌として「妊婦又は妊娠している可能性のある婦人」と記載されています。したがって日本では、妊娠中は、プログラフは中止すべきですし可能ならアザルフィジンも中止し、胎児への安全性が経験的にほぼ確立されており、添付文書でも禁忌ではない(有益性が上回る場合に投与可能な)ステロイド(プレドニンなど)を使うのが望ましいと思います。ただしプログラフにしても絶対禁忌の薬剤ではなく、移植を受けた患者さんではやめることができないので分娩時にも使用したが問題ないとする報告も多く、SLEなどの膠原病でも妊婦に使用されることがあり、アザルフィジンも抗リウマチ薬の中ではむしろ比較的妊婦に使用されることがあります。あくまであなたの症状との兼ね合いで考えるべきで、専門医への相談が必要だと思います。 (平成25年7月)

Q.7レミケードで治療中です。妊娠を考え始めたのでリウマトレックスもやめてアクテムラの治療に切り替えると主治医と話してますが、いろいろ調べているとエンブレルで妊娠されてる方のほうが多いような気がします。どちらの治療法で妊娠するのが望ましいのでしょうか?

妊娠中には、リウマトレックスが使えませんので、レミケードは使えません。エンブレルは、妊娠中でも使えるかもしれませんが、まだはっきりしません。しかし、妊娠希望がある患者さんについては、関節リウマチの活動性を速やかに押さえ込む必要があります。活動性が高いと、妊娠の成功率は低下します。妊娠までの時点では、エンブレルによる治療が勧められます。エンブレルは妊娠が判明した後、基本的には休んでいただくことをお勧めしますが、どうしても関節リウマチが悪化してつらいときには短期間使用することも可能と考えられています。アクテムラに関しては純国産の製剤であり、妊婦に対する安全性はまだはっきりしていません。どちらを選択するかについては、主治医に良く相談してみてください。(平成23年11月)

Q.610年程前、指と手首の腫れを腱鞘炎と診断され、シップと痛み止めだけの処方で手首の骨が固まってしまい曲げる事が出来ません。今年、専門医に関節リウマチの診断を受けました。現在、高齢ですが、妊娠を希望しています。治療にメトトレキサート(MTX)をすすめられました。妊娠は諦めて…との事でした。この6〜7年間は時々は強ばりや痛みがでますが、10年前の様な腫れは出ません。あと1年位の間は、薬を使用せず、子作りに専念しても大丈夫でしょうか?抗CCP抗体/91、CRP/0.04,リウマチ因子定量/51です。現在44歳です。

関節リウマチの世界標準薬がMTXであり、将来の関節の破壊・変形予防にまず使用すべき薬剤です。MTX使用中は妊娠、授乳は絶対に避けるべきです。MTX中止後1回排卵が終了すれば、その後の妊娠には問題がないとされていますが、月経が順調な方ならMTX中止後3か月経過すれば、妊娠されても心配いりません。ご質問の内容では関節リウマチが検査結果を含め比較的落ち着いているようです。この時期に計画的に妊娠され、たとえ関節リウマチが再発・悪化しても、分娩終了まで副腎皮質ステロイドでコントロールし、分娩後MTXを使用すれば良いでしょう。関節リウマチでの副腎皮質ステロイド使用量では妊娠への問題はありませんが、乳汁中には一部移行しますので、プレドニゾロン20mg/日以上の副腎皮質ステロイドでは授乳は避けるべきと考えます。

(平成23年11月)

Q.5両股関節が人工関節で妊娠をした場合、骨盤が広がり脱臼しやすくなるなど、そういったことはありますか? また、人工関節で出産できますか?

近年の人工関節の進歩により、若年の妊娠可能年齢の患者さんにも人工股関節手術が行われるようになってきました(股関節手術後の出産例は世界的にみて多数あります)。まだ日本ではまとまった多くの症例数の報告はありませんが、少数例の報告では産前産後とも特に問題がないとされています。米国を中心に2000年以降、複数の報告がなされていますが、その結果も同様で出産による股関節脱臼は心配ないとされています。
しかし、一部には妊娠中や出産後に再手術にいたらない程度の軽くかつ人工関節の破綻をきたしていないような股関節の疼痛がみられることも報告されています(妊娠による体重増加や産後乳児を抱いていることによる股関節への体重負荷のほうが、この股関節痛に大きく影響すると推察されています)。また、一部の患者さんには医師の判断で帝王切開もなされています(この場合でも産後も含め母子ともに問題とされたものはありません)。
いずれにしても、股関節手術のあとであっても出産はもちろん、性交の問題もほとんどないと考えられています(ただし騎乗位などの膝を内側に捻り、股関節を深く屈曲させるような、股関節に無理がかかる体位での性交は控えたほうが無難だと考えられます)。
(平成29年12月更新)

Q.4現在関節リウマチの症状が出ていて、検査中です。4か月の子どもがいて授乳中ですが、もし関節リウマチの場合、母乳の中にリウマトイド因子(RF)が出て、子どもに移ってしまうことはありませんか?

母乳にはIgAと呼ばれる免疫グロブリンの成分が分泌されますが、関節リウマチという病気をもっていても乳児に害毒を及ぼすことはありません。むしろ、母乳を与えることのほうが乳児の感染に対する防御能を高めると思われます。
しかし、関節リウマチの治療薬のなかには、母乳に移行して乳児に障害を与える可能性のある薬も多く存在します。主治医の先生とよく相談してください。
(平成29年12月更新)

Q.3関節リウマチと診断されましたが、現在、幼い下の子に母乳があげられなくなることが不安で病院に行けません。子供にアレルギーがあるため、できる限り母乳をながくあげていたいのと、まだ離乳食をあげてもひとさじも食べず、ミルクも嫌がるという理由もあります。一番の不安点は関節リウマチの治療をしながら母乳をあげらるか?というところです。どうぞよろしくお願いします。

どの程度の関節リウマチなのかで判断が変わってきますが、お話からすればすぐに強い治療をするようなことではなさそうですし、そうであれば母乳のことはあまり気にされないで、早く治療をすべきだと思います。どんな薬も100%安全なものはないので、母乳を介して赤ちゃんに影響する可能性がある以上、薬を飲まないにこしたことはありません。しかし一般には母親が服用した薬剤の量の1〜2%のみが母乳に移行するといわれており、妊娠初期の胎児への影響に比べれば、一般に薬剤の影響は小さいと言えます。したがって、一般に関節リウマチの治療に使用されている非ステロイド抗炎症薬(いわゆる痛み止め)や一部の抗リウマチ薬、少量の副腎皮質ステロイドなどはほぼ安全に使用できると思います。最近話題の生物学的製剤のエンブレルも、母乳中の濃度は母親の血液中の1〜2%であると言われています。エンブレルは、乳児が母乳を飲んでも胃腸で分解される可能性があり影響は少ないと思われます。すなわち、赤ちゃんは小さいとはいえ、母乳から移行した薬剤の過剰による副作用の心配はないと言えそうです。ただ、微量でもアレルギー反応などは起こる可能性があるので、その点では安全とは言えませんが、このために子供が大変なアレルギーを起こしたという報告はありません。本人(母親)の病気が悪くて、痛みで普通の生活が困難であったり、関節破壊がすでに始まっているような場合は、将来関節の変形などで身体障害をきたす可能性が高いので、関節リウマチの治療を優先した方がよいと思います。現在の病気の活動性が低いようなら、お子様の安全を重視してしばらく治療開始を待ってもよいと思います。また母乳でないとだめだとのお考えですが、どうしても薬剤を心配するお気持ちが強ければ、治療によっては母乳をやめることも考えたほうがよいかもしれません。

Q.2関節リウマチでも妊娠できますか?

もちろん妊娠可能です。ただし一般的な妊娠の条件として、
1)病状が安定していること
2)腎臓や心臓、肺などの内臓に重大な病変がないこと
3)免疫抑制薬(イムラン、エンドキサン、メトトレキサート)を服用していないこと
が挙げられます。病状が落ち着いていない状態で妊娠された場合、途中で具合が悪くなるとそれこそたいへんなことになってしまいます。また、心臓や腎臓が悪いと、普段はなんでもなくても、いざ妊娠して胎児の分まで血液・栄養をまわすためには臓器の負担が増え、妊娠を続けることが難しくなることがあるので、前もって内臓に大きな異常がないことを確認しておかなければなりません。
妊娠中の関節リウマチの薬による胎児への影響の問題については、サラゾスルファピリジン(商品名:アザルフィジンEN)は比較的安全と考えられています。
しかしながら、妊娠予定者の患者さんや妊娠が判明した場合は、その時点で中止することが多く、胎児への影響が少ない副腎皮質ステロイドのプレドニンを用いて治療することが一般的です。プレドニンは胎盤を通過するときに80%が分解されるので、1日量が20mg未満であればほぼ胎児への影響はないとされています。エンブレルなど生物学的製剤については専門医と相談して判断してください。

(平成29年12月更新)

Q.1夫は現在リウマトレックスを服用中であり、胎児への影響を考え避妊しておりました。しかし今回妊娠していることが判明し、出産しようと決意している反面、出産をあきらめようかと悩んでおります。どうしたらよいかアドバイスをお願いいたします。

リウマトレックスの主成分であるメトトレキサートは、動物実験などでは精子の数を減らすという実験成績はありますし、もともと抗がん剤として使用されていた薬剤ですので、多少なりとも精子へのダメージがあると考えるべきですが、どの程度のダメージがあるかはまったく不明です。しかもリウマチに使用するメトトレキサートの量はがん治療の際に使用する量よりはるかに少量ですので、胎児には何の問題もないことの方が多いと思いますが、絶対大丈夫とは言えません。とりあえず妊娠は継続とし、どうしても不安であれば、主治医や専門医にご相談ください。