膠原病・リウマチ患者さんのための新型コロナウイルスについてのQ&A

 


 

令和3年10月 8日 更新

 

新型コロナウイルスワクチンについて

 

 

 

 

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リウマチを薬で治療しています。どのような薬を飲んでいると新型コロナウイルスワクチンに影響がでますか。飲んでいけない薬、飲んだら効果がない薬はありますか?

 

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基本的に新型コロナウイルスワクチンを接種するときに、関節リウマチや膠原病に関連する薬剤について服用、注射しているからワクチンを接種することができないということはありませんし、副反応が強くなることも知られていません。

ただリウマチの治療薬は免疫抑制を起こすために、服用により新型コロナウイルスワクチンの効果を弱めてウイルスに対する抗体が十分作られない可能性があります。このためリウマチの治療薬をワクチン接種前後でどのようにするかについてはいろいろな意見があります。日本リウマチ学会からは以下のような見解がでています



現時点でステロイドや免疫抑制剤がこのワクチンにあたえる影響は十分にわかっていません。通常のワクチン接種の場合、免疫抑制剤やステロイドを中止・減量することはありません。よって基本的には接種前後で免疫抑制剤やステロイドは変更せず継続すべきであると考えます。ただし、リツキシマブ(商品名リツキサン)で治療している場合には、ワクチン接種の時期とリツキシマブの注射の時期との兼ね合いを考慮する必要があります。その他の免疫抑制剤やステロイドの治療についてワクチン接種の前後に具体的にどうするかについては、担当主治医と事前にご相談ください。

(一般社団法人日本リウマチ学会HPより引用)


またバイオ製剤(レミケード、エンブレル、アクテムラなど)の注射をしている患者さんはいつワクチンを打てばよいのかということについても意見が分かれています。現在日本では、ワクチンの副反応なのかどうかわからなくなるので、少なくても同日ではない日にワクチン接種すべきというのが一般的です。


アメリカリウマチ学会ACRからは2021年6月15日さらに2021年8月19日にタスクフォース(専門委員会)の見解として出されたものを以下の表に示します。多くの薬剤について、ワクチンの効果が弱まりウイルスに対する抗体ができにくくなるのでワクチン前後で休薬したほうが良いという見解です。この中でMTX(リウマトレックス)とJak阻害薬(ゼルヤンツ、オルミエント、リンヴォック、スマイラフ、ジセレカ)、ミコフェノレート(セルセプト)、カルシニューリン阻害薬(ネオーラル、プログラフ)については、ワクチン接種後1週間は服用を避ける、アバタセプト(オレンシア)の1回目の皮下注射は前後それぞれ1週間注射を避けるようにとしています。他のバイオ製剤(エタネルセプト、シンポニー、アクテムラなど)については特に変更しなくて良いとしています。それ以外の多くのリウマチの薬剤については特にワクチンのためにやめたり、注射日を変えたりはしなくてよいとしています。ただしこれはアメリカリウマチ学会の委員会の見解であって明確なエビデンス(根拠)があるわけではありません。また委員会の全会一致で決まったことではなく、絶対にこの休薬をしなければいけないということではありません。 


リウマチに関する研究成果をまとめるところとして、世界には大きくこのACRと欧州リウマチ学会Eularがあります。現在のところEularからは特段リウマチ薬に関する制限についてのコメントは出ておりません。日本リウマチ学会も前述のように明確に休薬をすすめるガイドラインを出してはおらず、各先生方の個人の考えでリウマチ薬の制限について決めています。したがってここに載せたものはあくまで参考であって、絶対的なものでないことをよくご理解ください。また薬剤の中止・延期はあくまで病気が安定して休薬することが可能な状態に限られます。最終的な判断はそれぞれの主治医の先生とご相談されて決めていただくようにお願いします。


 
 

表 (参考)アメリカリウマチ学会(ACR)COVID19 ワクチン委員会の見解

 

 薬剤、治療法

 ワクチン接種時の

 服用・投与

専門委員会の合意度

プレドニン20㎎/日未満相当の

ステロイド

 そのまま服用  高度

プレドニン20㎎/日以上相当の

ステロイド

 そのまま服用  中等度
ヒドロキシクロロキン(プラケニル)  そのまま服用  中等度

タクロリムス(プログラフ)、

シクロスポリン(ネオーラル)

 ワクチン後1週間休薬  中等度
アザチオプリン(イムラン)  そのまま服用  中等度

SASP(アザルフィジン)

 そのまま服用  中等度
ミコフェノレイト(セルセプト)  ワクチン接種後1週間は

 服用しない

 中等度

TNF阻害薬(レミケード、エンブレル、シンポニー、シムジア、ヒュミラ)

 投与期間を変えずに

 そのまま投与

 中等度
IL6R抗体(アクテムラ、ケブザラ)

 投与期間を変えずに

 そのまま投与

 中等度
MTX(リウマトレックス)

 ワクチン接種後1週間は

 服用しない

 中等度

Jak阻害薬(ゼルヤンツ、オルミエント、リンヴォック)

 ワクチン接種後1週間は

 服用しない

 中等度
アバタセプト(オレンシア)皮下注

 1回目のワクチン前後

 各1週間は投与しない  

 2回目はワクチンには

 関係なく注射してよい

 中等度
アバタセプト(オレンシア)点滴静注

 1回目のワクチン接種4週間前から

 注射しない     

 1回目のワクチン接種後1週間は

 注射しない      

 2回目のワクチンには関係なく

 射してよい   

 中等度
エンドキサンパルス療法  ワクチン接種後1週間は行わない  中等度
リツキサン療法

 リツキサン療法の4週間以前に

 ワクチン接種をする

 中等度
鎮痛解熱薬(カロナール、イブプロフェン、ロキソニン、ボルタレンなど)  

 ワクチン接種の24時間前からは

 服用しない(ワクチンで発熱など

 の症状がでたときには使用できる)

 中等度
 

*ここにはアメリカリウマチ学会の見解を参考資料としてつけました。国内でこれに準拠している施設もありますが、もちろんこれに従わなければならないというわけではありません。また病気が安定していて薬が中止できるであろうと考えられる場合での話です。リウマチ薬を飲んでしまったからといってワクチンの効果が全くなくなるとか、ワクチンを受けてはいけないわけではありません。あくまで参考資料として最終的な決定は主治医の先生とよく相談されて決めてください。

 

★リウマチ情報センターQ&Aに、新型コロナウイルスワクチン接種とリウマチ患者さんたちが服用されているお薬の関係についての問い合わせが多数来ております。上記内容をご理解いただくことで個々の薬剤についての回答は差し控えさせていただきます。

 

 

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関節リウマチで治療をしているのでワクチン接種はしないほうが安全でしょうか?

 

 

 

 

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関節リウマチの患者さんで新型コロナワクチンの副反応が特に起こりやすいという報告はありません。また副反応による直接の死亡例は極めて稀と考えられます。血栓症を起こすとされるアストラゼネカのワクチンで100万人に4人の発症です。今国内で流通しているファイザーのワクチンで血栓症との関連は知られておらず、死亡率はもっと低いものです。一方でもしあなたが新型コロナに感染すると死亡率は80歳代で4.62%、70歳代で1.65%、 65-69歳で1.0%、60-64歳で0.33%、50歳代では0.17%となります(厚労省HER-SYSデータ2021年7月)。以前に比べて致死率は下がっていますが、ワクチンを2回接種すれば95%以上が発症することがなく、かつ発症しても重症化しないことを考えて、どちらを選択するかを考えてください。

 

 

 
 

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関節リウマチやアレルギーを持っているので、ワクチンの副反応が心配なのですが。

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関節リウマチや、気管支喘息、薬剤や食品のアレルギーがあるからワクチンの接種はできないということはありません。リウマトイド因子が高い、抗核抗体が高いといったことは、ワクチンの副反応とは関係ありません。多くの人には何らかのアレルギーがあるのが普通です。ただしアレルギーの中でもエチレングリコールという化粧品などに入っている化学物質にアレルギーをもっている人が起こりやすいと言われています。特に気を付けなければいけない人は、過去のワクチン接種で強いアレルギー反応を示したことのある人、一回目のワクチン接種で強い反応が出た人は、中止も考えたほうがよいでしょう。

 

 

 

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関節リウマチなのでアナフィラキシーが怖いのですが、かかりつけ医で注射を受けるべきでしょうか?

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関節リウマチだからアナフィラキシーが起こりやすいわけではありません。もちろんかかりつけ医の施設で接種を受けることができれば安心でしょうが、国民のほとんどが短期間に受けるとなると、なかなかそうもいかないと思われます。どの施設も、特に集団接種会場ではアナフィラキシーを想定して準備していますから、集団接種会場で接種を受けてなんら心配ないと考えます。

 

 
 

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ワクチンを接種すれば感染から身を守ることができるのでしょうか?

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mRNAワクチン2回を接種した人では、接種後の数か月間、80~90%程度の感染を予防する効果が認められたことが海外から報告されています。それ以降の期間の有効性についてはまだデータがありません。今後発表されるデータを参考にしてください。抗体価が次第に下がることを懸念して3回目のワクチンが今後行われる予定です。
デルタ株に対する感染、発症の予防効果は30%程度落ちる可能性が2021年7月にイスラエルより報告されましたが、重症化を予防する効果はほぼ全ての変異株に対して90%程度認められており、デルタ株に対してもワクチンの有効性がある程度示されています。ただしワクチン接種により新型コロナウイルスの感染を100%防ぐことはできませんので、ワクチン接種後も基本的な感染対策の継続が必要です。

(一般社団法人日本リウマチ学会のHPより一部変更して引用)

 

 

 

                                   過去の掲載 ⇒

 

※詳細な情報につきましては個々人で異なります。主治医とご相談ください。

 

 
 

なお日本リウマチ学会でもHPに

 

新型コロナウイルス(COVID-19)への対応について(患者様向け情報)

 

として患者様向けに発信されています。