膠原病・リウマチ患者さんのための新型コロナウイルスについてのQ&A |
令和2年11月25日更新 |
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関節リウマチの治療(生物学的製剤(エタネルセプト(エンブレル)、インフリキシマブ(レミケード)、トシリズマブ(アクテムラ)、アバタセプト(オレンシア)など)、メトトレキサート(リウマトレックス)、ステロイド剤(プレドニゾロン、メチルプレドニゾロンなど)、タクロリムス(プログラフ)、Jak阻害薬(トファシチニブ(ゼルヤンツ)、バリシチニブ(オルミエント)、ペフィシチニブ(スマイラフ)など)をしていると新型コロナウイルスにかかりやすいですか?
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これらの薬剤はいずれも免疫を抑える、免疫抑制薬です。免疫を抑えることで病気をコントロールしますが、一方で身体の抵抗力を落とす薬でもあります。これらを服用、注射している人が特に新型コロナウイルスにかかりやすいという直接のエビデンス(証拠)はまだありません。 そもそもかかりやすさは一定量のウイルスに接触すれば誰でも同じですが、免疫という抵抗力が弱まっているので、ウイルスが体内で広がりやすいかもしれません。しかしその免疫低下の程度がどれくらいかというと、強い抗がん剤の治療をしている人たちの免疫力の低下に比べればごく弱いものです。心配されていることは感染を怖がって薬を飲むのをやめてしまったり減らしてしまった結果、病気自身が悪くなることで、その状態で新型コロナウイルスにかかると最悪の状態になり、回復困難になってしまいます。ですから新型コロナウイルスが流行っていても、今処方されている薬は必ず今まで通り続けるようにしてください。
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生物学的製剤、メトトレキサート、プレドニゾロンなどの量が少ない方が新型コロナウイルスにかかりにくいのではないですか?
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確かに投与量が少ない方が免疫力の低下が弱くなるため新型コロナウイルスやインフルエンザウイルス等による感染にかかりにくくなると考えられます。しかしその量がどれくらいなら安全なのかの判断基準はありません。少なくとも、免疫抑制剤を服用されていない方に比べ少しでも服用されている方の方がそのリスクは高いと考えられます。しかしながら、病気が安定していてコントロールされている人の薬の量(維持量)を自己判断により減らしてしまいますと免疫の低下が軽くなること以上に病気が悪くなる危険性が大きいと考えられますから、医師に相談しないで減量することは大変危険です。
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どの薬が免疫力の低下を強くおこしますか? |
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免疫力の低下について薬同士を比較して、どの薬の何錠が別の薬の何錠に相当するというようなデータはありません。免疫力といってもいろいろな成分、要素から構成されていて、これらを単純に比較することは難しいのです。 | ||||
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リウマチの治療(生物学的製剤、メトトレキサート、プレドニゾロンなど)をしていると新型コロナウイルスの肺炎が重症化しますか?
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これまでの報告では、生物学的製剤を含めたリウマチ治療中でも特に重症化が起こりやすいわけではないようです。しかし、これについてもまだ十分な根拠があるとは言えません。一般的な予防対策はきちんとすることが必要です。
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トシリズマブ(アクテムラ)が新型コロナウイルスの重症肺炎の治療に使われるといいますが、トシリズマブを注射しているとコロナ肺炎にならないのですか?
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トシリズマブは新型コロナウイルスで起こるサイトカインストーム(炎症惹起物質の爆発的産生)という重症の状態に効果があるとされています。しかし新型コロナウイルスにかかりにくくなるわけではありません。またトシリズマブを使っているから重症化しないというデータも出てはいません。
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ブシラミン(リマチル)、サラゾスルファピリジン(アザルフィジン)、ヒドロキシクロロキン(プラケニル)、イグラチモド(ケアラム)を服用しています。これらの薬を服用すると免疫の力は低下しますか?
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これらの薬剤による免疫力の低下はステロイドや生物学的製剤、メトトレキサート、タクロリムスなどに比べると小さく、あまり心配されなくてよいと思います。
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ヒドロキシクロロキン(プラケニル)は新型コロナウイルスに効くと聞きましたが。 |
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当初そのような論文が一流医学誌に載りましたが現在は削除されています。その後の多くの論文が、この薬剤には効果がないとの結論となりつつあります。また、心臓への悪影響も報告されており、ヒドロキシクロロキンを新型コロナウイルスの治療として現在は使われなくなってきています。
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ジクロフェナクナトリウム(ボルタレン)やロキソプロフェンナトリウム(ロキソニン)、アセトアミノフェン(カロナール)などの鎮痛解熱薬は免疫の力を低下させますか?
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これらの薬剤(非ステロイド系消炎剤など)による免疫力の低下はほぼありませんが、新型コロナウイルスにかかり、重症になった場合は、肝臓や腎臓も悪くなりますので、これら薬剤により一層、腎臓、肝臓の悪化の懸念から使用しないのが一般的です。
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関節リウマチの患者が新型コロナウイルスにかかったときには症状や治療法が変わりますか?
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トシリズマブ(アクテムラ)やサリルマブ(ケブザラ)、ステロイド(プレドニゾロンなど)を使っている人では発熱や咳、痰などの症状が出にくいことがありますので注意が必要です。また非ステロイド系消炎剤使用でも発熱が抑えられる可能性もあり、さらに腎臓や肝障害が起きることもあります。 関節リウマチの患者さんが新型コロナウイルスにかかった場合は、免疫抑制の作用のある抗リウマチ薬(MTX、生物学的製剤、JAK阻害剤を含む)は一般には休薬することが勧められますが、確定的でないので、最終的には患者さんと担当医が相談して決めざるを得ません。ステロイドの急な休薬はかえって症状の悪化や中断による症状がでますので、継続しますが、その服用量は主治医と相談して下さい。
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発熱や咳が出て新型コロナウイルス感染が心配なときはどこにかかればよいですか? | ||||
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新型コロナを心配される場合には、発熱外来、新型コロナ専門外来にかかることでPCRなどの検査を受けることができます。しかし熱が出たからといってみんな新型コロナウイルスではなく、そうではない別の病気の可能性も考えなければいけません。よくわからない場合は普段かかっているリウマチの専門医、登録医の先生に電話などで相談してその先生の指示に従うのが良いと思います。
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病院で新型コロナウイルスにうつることはありますか? |
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病院などの医療施設では新型コロナウイルス感染を疑われる発熱者などの患者は別扱いしているところが多く、外来の待合でも感染防止の工夫がされているところが増えています。 それでも心配な場合はオンライン診療や電話診療を受けることも可能です。各医療施設にご相談ください |
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オンライン診療でもよいのでしょうか? |
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現在のところ新型コロナウイルス禍の特例措置として、初診からのオンライン診療が認められています。オンライン診療では自宅から直接先生の診療を受けることで通院する間あるいは医療施設内での感染の危険はなくなりますからそうした意味では感染を防止できます。一方でオンライン診療では血液やレントゲン検査をすることはできませんが、症状が安定している方であればオンライン診療で先生とお話しすることで十分管理することは可能です。ただ毎回オンライン診療というわけにはいきません(通常は2回に1回は直接の診察が必要です)。 また、最近では厚労省及び関係機関で初診からのオンライン診療に関して、かかりつけの医師に限って恒久化することも議論されていますので、今後の国の方針が変わることも予想されます。 |
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免疫抑制剤を服用しているとワクチンを接種しても効果がありませんか? |
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インフルエンザワクチン、肺炎球菌ワクチンに関しては、今まで通りリウマチ治療の薬剤で多少免疫が低下するとしてもワクチン接種は受けたほうがよいでしょう。また、インフルエンザワクチンなどでアレルギーのある方は主治医にご相談ください。新型コロナウイルスのワクチンに関しては、新型コロナウイルスに効果が期待される複数のワクチンがアメリカで開発、市販され、日本にも導入されるところですが、その効果が実際にどれほどのものなのか、またどのような副作用が起こるのかはまだはっきりしていません。わかり次第発表しますが、新型コロナウイルスワクチンが利用できる際の接種については必ず主治医にも相談してください。 |
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免疫抑制剤を服用しているとPCR検査や抗原検査の結果が変わってくることはありますか? |
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免疫抑制剤を服用していても、PCR検査や抗原検査の結果に影響することはありません。 |
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免疫抑制剤を服用していると抗体検査をした時に陰性になることはありませんか? |
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免疫抑制剤を服用していても、既に感染をして抗体をもっていれば、抗体検査は陽性になります。
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さらに ご質問がございましたら下記よりお願いいたします。
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なお日本リウマチ学会では
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新型コロナウイルス(COVID-19)への対応について(患者様向け情報)
日本リウマチ学会が患者様向けに発信されています。参考にしてください。 |
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