リウマチを知ろう!

リウマチQ&A

COVID-19

Q.45新型コロナワクチン2回目接種後、手の動きが悪くなる副反応があり膠原病の検査を勧められました。膠原病検査はまだ出来ていませんが、3回目接種は受けて大丈夫ですか? また3回目接種後の副反応の事例はありますか?

2回目までに副反応があった方に3回目を大丈夫だと勧めることはできません。
主治医にご相談ください。
(令和5年6月7日)

Q.44現在週に1回エタネルセプト bs を自己注射して治療しています。 先日pcr検査で無症状陽性(ct値30)の判定が出て、自宅隔離をしています。 数日後家族も検査も行いましたが、幸い誰も陽性判定がでませんでした。 感染後日にちが経って、感染力が弱まっていると考えられるのですが、私だけ検出されるということは、コロナの残骸の排出スピードが遅いのではないかと考えました。 現在海外在住で、日本に帰国予定があり陰性結果が必要なのですが、完治後のコロナの排出スピードと免疫抑制剤に影響はあると考えられますでしょうか?

関節リウマチ患者において、あるいは免疫抑制剤の使用者において、ウイルスの断片の排除が健康人より遅いかどうかについての正確なエビデンスは知られていません。いずれにせよ医学的にはCt値が高値になれば感染能力はなくなっていると考えられますが、現時点で法的な問題とはギャップがあると思います。
(令和4年4月5日)

Q.43関節リウマチが寛解していましたがコロナ感染後再燃しました。関係ありますか?

関係あるとする報告もありますが、実際に証明することは困難です。まずは、今の状態を再寛解にコントロールすることを第一に主治医と相談してはどうでしょうか。
(令和5年3月29日)

Q.42生物学的製剤のみを使った治療を受けています。もしコロナになってしまったら生物学的製剤は中止した方がいいのですか?(風邪の時は延期する様に言われています)生物学的製剤の投与日を待って打つぐらい欠かせません。使えない場合どのように対処すればいいでしょうか? 濃厚接触者になってしまいました。生物学的製剤を使用してもよいですか?

どの生物学的製剤を使っているのか、またあなたの関節リウマチがどのような状態であるのかによって変わってきます。したがってどのようにすべきかは主治医、かかりつけの医師にご相談ください。
(令和4年2月24日)

Q.41リウマチを薬で治療しています。どのような薬を飲んでいると新型コロナウイルスワクチンに影響がでますか。飲んでいけない薬、飲んだら効果がない薬はありますか?

基本的に新型コロナウイルスワクチンを接種するときに、関節リウマチや膠原病に関連する薬剤について服用、注射しているからワクチンを接種することができないということはありませんし、副反応が強くなることも知られていません。

ただリウマチの治療薬は免疫抑制を起こすために、服用により新型コロナウイルスワクチンの効果を弱めてウイルスに対する抗体が十分作られない可能性があります。このためリウマチの治療薬をワクチン接種前後でどのようにするかについてはいろいろな意見があります。日本リウマチ学会からは以下のような見解がでています

現時点でステロイドや免疫抑制剤がこのワクチンにあたえる影響は十分にわかっていません。通常のワクチン接種の場合、免疫抑制剤やステロイドを中止・減量することはありません。よって基本的には接種前後で免疫抑制剤やステロイドは変更せず継続すべきであると考えます。ただし、リツキシマブ(商品名リツキサン)で治療している場合には、ワクチン接種の時期とリツキシマブの注射の時期との兼ね合いを考慮する必要があります。その他の免疫抑制剤やステロイドの治療についてワクチン接種の前後に具体的にどうするかについては、担当主治医と事前にご相談ください。

(一般社団法人日本リウマチ学会HPより引用)

またバイオ製剤(レミケード、エンブレル、アクテムラなど)の注射をしている患者さんはいつワクチンを打てばよいのかということについても意見が分かれています。現在日本では、ワクチンの副反応なのかどうかわからなくなるので、少なくても同日ではない日にワクチン接種すべきというのが一般的です。

アメリカリウマチ学会ACRからは2021年6月15日さらに2021年8月19日にタスクフォース(専門委員会)の見解として出されたものを以下の表に示します。多くの薬剤について、ワクチンの効果が弱まりウイルスに対する抗体ができにくくなるのでワクチン前後で休薬したほうが良いという見解です。この中でMTX(リウマトレックス)とJak阻害薬(ゼルヤンツ、オルミエント、リンヴォック、スマイラフ、ジセレカ)、ミコフェノレート(セルセプト)、カルシニューリン阻害薬(ネオーラル、プログラフ)については、ワクチン接種後1週間は服用を避ける、アバタセプト(オレンシア)の1回目の皮下注射は前後それぞれ1週間注射を避けるようにとしています。他のバイオ製剤(エタネルセプト、シンポニー、アクテムラなど)については特に変更しなくて良いとしています。それ以外の多くのリウマチの薬剤については特にワクチンのためにやめたり、注射日を変えたりはしなくてよいとしています。ただしこれはアメリカリウマチ学会の委員会の見解であって明確なエビデンス(根拠)があるわけではありません。また委員会の全会一致で決まったことではなく、絶対にこの休薬をしなければいけないということではありません。 

リウマチに関する研究成果をまとめるところとして、世界には大きくこのACRと欧州リウマチ学会Eularがあります。現在のところEularからは特段リウマチ薬に関する制限についてのコメントは出ておりません。日本リウマチ学会も前述のように明確に休薬をすすめるガイドラインを出してはおらず、各先生方の個人の考えでリウマチ薬の制限について決めています。したがってここに載せたものはあくまで参考であって、絶対的なものでないことをよくご理解ください。また薬剤の中止・延期はあくまで病気が安定して休薬することが可能な状態に限られます。最終的な判断はそれぞれの主治医の先生とご相談されて決めていただくようにお願いします。

表 (参考)アメリカリウマチ学会(ACR)COVID19 ワクチン委員会の見解
【表はWordpressに記事を作成後、追加いたします】
*ここにはアメリカリウマチ学会の見解を参考資料としてつけました。国内でこれに準拠している施設もありますが、もちろんこれに従わなければならないというわけではありません。また病気が安定していて薬が中止できるであろうと考えられる場合での話です。リウマチ薬を飲んでしまったからといってワクチンの効果が全くなくなるとか、ワクチンを受けてはいけないわけではありません。あくまで参考資料として最終的な決定は主治医の先生とよく相談されて決めてください。

★リウマチ情報センターQ&Aに、新型コロナウイルスワクチン接種とリウマチ患者さんたちが服用されているお薬の関係についての問い合わせが多数来ております。上記内容をご理解いただくことで個々の薬剤についての回答は差し控えさせていただきます。
(令和3年10月8日)

Q.40関節リウマチで治療をしているのでワクチン接種はしないほうが安全でしょうか?

関節リウマチの患者さんで新型コロナワクチンの副反応が特に起こりやすいという報告はありません。また副反応による直接の死亡例は極めて稀と考えられます。血栓症を起こすとされるアストラゼネカのワクチンで100万人に4人の発症です。今国内で流通しているファイザーのワクチンで血栓症との関連は知られておらず、死亡率はもっと低いものです。一方でもしあなたが新型コロナに感染すると死亡率は80歳代で4.62%、70歳代で1.65%、 65-69歳で1.0%、60-64歳で0.33%、50歳代では0.17%となります(厚労省HER-SYSデータ2021年7月)。以前に比べて致死率は下がっていますが、ワクチンを2回接種すれば95%以上が発症することがなく、かつ発症しても重症化しないことを考えて、どちらを選択するかを考えてください。
(令和3年10月8日)

Q.39関節リウマチやアレルギーを持っているので、ワクチンの副反応が心配なのですが。

関節リウマチや、気管支喘息、薬剤や食品のアレルギーがあるからワクチンの接種はできないということはありません。リウマトイド因子が高い、抗核抗体が高いといったことは、ワクチンの副反応とは関係ありません。多くの人には何らかのアレルギーがあるのが普通です。ただしアレルギーの中でもエチレングリコールという化粧品などに入っている化学物質にアレルギーをもっている人が起こりやすいと言われています。特に気を付けなければいけない人は、過去のワクチン接種で強いアレルギー反応を示したことのある人、一回目のワクチン接種で強い反応が出た人は、中止も考えたほうがよいでしょう。
(令和3年10月8日)

Q.38関節リウマチなのでアナフィラキシーが怖いのですが、かかりつけ医で注射を受けるべきでしょうか?

関節リウマチだからアナフィラキシーが起こりやすいわけではありません。もちろんかかりつけ医の施設で接種を受けることができれば安心でしょうが、国民のほとんどが短期間に受けるとなると、なかなかそうもいかないと思われます。どの施設も、特に集団接種会場ではアナフィラキシーを想定して準備していますから、集団接種会場で接種を受けてなんら心配ないと考えます。
(令和3年10月8日)

Q.37ワクチンを接種すれば感染から身を守ることができるのでしょうか?

mRNAワクチン2回を接種した人では、接種後の数か月間、80〜90%程度の感染を予防する効果が認められたことが海外から報告されています。それ以降の期間の有効性についてはまだデータがありません。今後発表されるデータを参考にしてください。抗体価が次第に下がることを懸念して3回目のワクチンが今後行われる予定です。
デルタ株に対する感染、発症の予防効果は30%程度落ちる可能性が2021年7月にイスラエルより報告されましたが、重症化を予防する効果はほぼ全ての変異株に対して90%程度認められており、デルタ株に対してもワクチンの有効性がある程度示されています。ただしワクチン接種により新型コロナウイルスの感染を100%防ぐことはできませんので、ワクチン接種後も基本的な感染対策の継続が必要です。

(一般社団法人日本リウマチ学会のHPより一部変更して引用)
※詳細な情報につきましては個々人で異なります。主治医とご相談ください。
(令和3年10月8日)

Q.36リウマチ性多発筋痛症発症2年弱になります。プレドニゾロンを現在服用中です。 プレドニゾロン服用中でも接種は可能でしょうか。接種で注意することはありますか。

プレドニンを大量投与(1mg/kg以上)していない限りワクチンの効果はあると考えられます。これはプレドニン服用中の患者さんにインフルエンザワクチン接種などの例からウイルスに対して抗体産生が起こるからで、コロナワクチン自身での治験データはありません。一方これは生ワクチンではないので、プレドニンを服用しているためにワクチン接種で問題が起こるとは考えにくいですし、また危険なことが起こったという報告もありません。
(令和3年4月2日)

Q.35新型コロナウイルスは、2週間の潜伏期間があり、2週間待機しなければならないと聞きましたが、膠原病の人はかかったらすぐに症状がでるとも聞きました。膠原病の人でも2週間後に発症するということはありえますか?

膠原病であるから早く発症するというようなエビデンスはありません。普通の方と変わりありません。
(令和3年4月2日)

Q.344年程前から強直性脊椎炎を患い、非ステロイド抗炎症薬を服用していたところ、新たに昨年10月から皮膚血管炎を患い、プレドニゾロンを服用するようになりました。 プレドニゾロン30ミリグラムから始めて、現在はプレドニゾロン12.5ミリグラムとメトトレキサート8ミリグラムを服用しています。 これらの病気と、現在のステロイド及び免疫抑制剤の服用量で、コロナウイルスに感染した場合、やはり重症化リスクが高いのでしょうか。また、ワクチン接種による副作用等のリスクは高いのでしょうか。

新型コロナウイルスがリウマチの患者さんでうつりやすいかどうかについては、現在までのところ(2021年3月)特にリウマチ患者で新型コロナウイルス感染が多いという報告はありません。一方で家族内感染は2倍であるという報告もあります。いずれにしても極端にうつりやすいとは考えにくく、もともとの病気の治療を考えれば今までのお薬をそのまま続けることが最善だと思います。新型コロナウイルスワクチンのリウマチの患者さんへの効果についてはデータがまだありません。しかし今のところリウマチの患者さんでワクチン接種の副作用が高くなるという報告はありません。
(令和3年3月6日)

Q.33リツキサンの投与中は抗体が出来ないので、コロナワクチン接種は無意味ですか?

リツキサンによる新型コロナウイルスワクチンについての情報はまだ不十分です。免疫には液性免疫と細胞性免疫があり、ワクチンはこの両者を刺激します。一方リツキサンが抑えるのはこの液性免疫です。インフルエンザの場合であれば、たしかに液性免疫である抗体価の上昇はあまりありませんが、細胞免疫の働きが残っているために完全に抵抗力がないわけではありません。このことを考えると、コロナの場合もワクチン接種が無意味ではないと考えます。
(令和3年3月6日)

Q.3210年来、抗核抗体高値が続いています。コロナワクチンの接種により自己免疫性疾患の誘発に繋がる恐れはありますでしょうか。

核抗体価が高い方がワクチンを接種した時に自己免疫疾患を誘発するかどうかについての長期的検討はされていませんので、現時点では明確な回答はできませんが、今までにそうした事実があったという報告はありません。これは今までのインフルエンザワクチンでもなかったことです。一方でインフルエンザなどコロナウイルス感染後に関節リウマチなど膠原病疾患が増えるという研究はあります。
(令和3年3月6日)

Q.31シェーグレン症候群で通院中です。症状は目、口の分泌物減少のみですが、採血でのリウマチの値は高めです。コロナウイルスのワクチンは打っても大丈夫でしょうか?

リウマチ因子(RF)が陽性だからといって、ワクチン接種ができないことはありません。
(令和3年2月24日)

Q.30混合性結合組織病(MCTD)と橋本病があります。 現在症状は落ち着いていますが、抗生剤でもアレルギーがあり、アナフィラキシーになった事が何度かあります。

アナフィラキシーに何度かなった方には、ワクチン接種は薦められません。希望される場合はかかりつけの先生にご相談ください。
(令和3年2月24日)

Q.29コロナワクチンの副反応として稀に自己免疫疾患の発現が見られるという項目がありますが、 過去に自己免疫疾患の既往歴がある場合、発現しやすくなるという事は考えられますか。

新型コロナウイルスの場合がどうかは未だデータなく、わかりません。今後のデータをみていくしかありませんが、一般にワクチン接種によって自己免疫疾患患者の活動性があがるとか、既往歴がある方が再燃するというデータはありません。
(令和3年2月24日)

Q.28昨年6月関節リウマチと診断され、免疫抑制剤を処方されました。 しかしながら、新型コロナウイルス感染が怖くて一度も薬を飲んでいません。手指、膝、足底に痛みがあります。 免疫抑制剤を飲んだほうが良いでしょうか?飲んでもコロナ感染率が高くならないでしょうか?

あなたのように多くの専門家も当初は関節リウマチの治療を受けている患者さんは新型コロナウイルスにかかりやすいのではないかと心配してきました。しかしこれまでいろいろな報告がありますが、免疫抑制剤を飲んでいる関節リウマチの患者さんが特に新型コロナウイルスにかかりやすい、また重症化しやすいという報告は出ていません。日本でまとめている報告でも、一般の人たちとほぼ同等の頻度です。安心して治療を優先にされた方が良いと思います。
(令和3年2月17日)

Q.27関節リウマチが寛解状態で8年位になりますが、コロナワクチン接種が引き金になって、再発する心配はないでしょうか。

関節リウマチが新型コロナウイルスで再発したという報告はいまのところありません
(令和3年2月17日)

Q.26甲状腺癌の手術をして機能低下症になっていて、内服薬も服用しています。それに加えシェーングレン症候群で、プレドニンやメトトレキセートも服用中です。医療従事者でもありコロナワクチン推奨されておりますが、接種可能ですか?

あなたが過去のワクチンで強いアレルギー反応を起こした場合には主治医にご相談ください。そうでない限り接種の危険性は一般の方と同じですが、一般の方に比べて抗体ができにくいかもしれません。
(令和3年2月17日)

Q.25関節リウマチで肺気腫になりました。 新型コロナウィルスやインフルエンザワクチン等、接種しても大丈夫なのか気になりまして質問させて頂きました。

あなたが過去のワクチンで強いアレルギー反応を起こした場合には主治医にご相談ください。そうでない限りは接種の危険性は一般の方と同じです。一方肺気腫を含めて、肺の病気を持っている方は新型コロナにかかると一般の方に比べて死亡するリスクは高くなります。
(令和3年2月17日)

Q.244年前よりリウマチ患者であり医療従事者です。 1年以上前からエンブレルの皮下注射をしています。服薬はメトトレキサートとケアラムです。エンブレルのお陰で症状はかなり落ち着いています。リウマチ患者はコロナに感染すると重症化しやすいと言われているので、コロナワクチンを接種するつもりでいますが、副作用が心配です。 現在2週に一本のエンブレルですが、コロナワクチンはどのタイミングで接種した方が安心でしょうか?

あなたが過去のワクチンで強いアレルギー反応を起こした場合には主治医にご相談ください。そうでない限りは接種の危険性は一般の方と同じです。一般の方に比べて抗体ができにくいかもしれません。いつ打つべきかの明確なエビデンスはありませんが同時に打つことはお勧めしません。
(令和3年2月17日)

Q.23現在関節リウマチで免疫抑制剤二種類とJAK阻害薬を併用し内服中です。医療従事者からコロナワクチン接種が始まりますが、接種しても問題ないのか?また、メリット、デメリットについて教えてください。

免疫抑制剤、JaK阻害薬をはじめ、全てのリウマチ治療薬について、新型コロナワクチンの接種に対す制限はありません。ただワクチンによる抗体の産生が弱い可能性はあります。しかしそのことを心配して内服薬を中止したり、注射をやめたりする必要はありません。
(令和3年2月17日)

Q.22現在、リウマチ性多発筋痛症の治療2年目です。新型コロナワクチンは何種類かあるようですが、仮に接種指定されたワクチンが生ワクチンだった場合、影響はありますか?

現在準備されているワクチンはmRNAワクチン(ファイザー、モデルナ)、ウイルスベクターワクチン(アストラゼネカ)でいずれも生ワクチンではありません。また日本では阪大がDNAワクチンを作っていますが、いずれも生ワクチンではありません。
(令和3年2月5日)

Q.21関節リウマチと橋本病があります。関節リウマチの方は、症状が落ちついている為、休薬中ですが、橋本病の方は、病状が進行してしまい、昨年12月半ばより、メルカゾールを1日6錠内服しています。先日の血液検査では、TSHは、0.008以下。FT4は、2.7以上でした。亢進状態が落ち付けば、甲状腺機能低下症になる可能性が高いと医師に言われています。この様な状態で、今後、コロナワクチン接種を受けても良いのかどうか不安です。また、受けたとしても、大丈夫でしょうか?

甲状腺機能異常が入院治療をしているようなよほど極端な状態でない限りはワクチン接種は問題ないと思います。主治医にご相談ください。
(令和3年2月5日)

Q.20関節リウマチでメトトレキサートを服用しています。 職場で新型コロナウィルスのワクチン接種の話が出てきていますが、このワクチンは接種しても大丈夫でしょうか?

メトトレキサートを服用していると、インフルエンザワクチンや肺炎ワクチンでは効果はあるとする論文と、作られる抗体がやや低くなる(十分効果がでない)とする論文はあります。ただ副作用が特に多くなるわけではなく接種は推奨されています。新型コロナウイルスの場合も十分免疫ができない可能性があるかもしれませんが、まだよくわかっていません。いずれにせよメトトレキサートを服用していても新型コロナワクチンを接種することは可能です。
(令和3年2月5日)

Q.1970歳以上リウマチ罹患者です。服薬の中にはサムチレールも含まれていますがコロナワクチン注射をするに際して、副作用は出ないでしょうか? 更に、インスリン注射とケアラムも常用しています。

サムチレール服用者でとくにワクチンの副作用が増えるというデータはいまのところありません。また本ワクチンは、万が一新型コロナウイルスに感染した場合、重症化を軽減する可能性が示されています。特に本患者様のように70歳以上で糖尿病を併発されている高リスク患者様は重症化率が高くなりますので、一般的には接種が推奨されています。しかしながら、人によって重症化リスクは異なり、薬剤による副作用の発現の仕方も様々ですので、主治医とよく相談したうえで接種の可否を判断してください。
(令和3年2月5日)

Q.18このワクチンは、生ワクチンと不活化ワクチンの中間だと聞いています。 リウマチ治療中は生ワクチンの接種は禁止で、不活化ワクチンのみの接種を勧められておりますが、新型コロナワクチンは中間という事で、接種して良いものかどうか、今のところの見解をお聞きしたいです。 リウマチ自体が免疫の暴走を起こすものなので、ワクチン接種での服反応により肺炎の重症化(肺血栓症)などにつながるのでないかと心配です。しかし、ワクチン接種をしなければ新型コロナウイルスに感染してもリウマチという原疾患があるために重症化する可能性もあるわけですよね。とても複雑で悩んでおります。

現時点で国内において接種可能な新型コロナウイルスワクチンは、従来の「生ワクチン」や「不活化ワクチン」とは異なる「メッセンジャーRNAワクチン」と「ウイルスベクターワクチン」の2種類があります。
メッセンジャーRNAワクチンは、投与された遺伝情報をもとに体内でウイルスのタンパク質を作り、そのタンパク質に対する抗体が作られることでウイルスに対する免疫ができます。
ウイルスベクターワクチンはウイルスのRNAの一部をアデノウイルスベクターという運び手に組み込んで化学的に合成したもので、ベクターは細胞内にウイルスRNAを運びウイルス蛋白を産生させ、免疫反応を引き起こすとされています。
新型コロナウイルスワクチンは、万が一新型コロナウイルスに感染した場合、重症化を軽減する可能性が示されています。特に高齢者や免疫疾患などをもつ高リスク患者様は重症化率が高くなりますので、接種が推奨されています。リウマチが免疫異常の病気であるからワクチンで重症化しないかどうかについて、今までインフルエンザや肺炎球菌ワクチンではそのような例は認められていません。ただしリウマチ等の疾患活動性が高いときにはワクチン接種は推奨されず、できれば病気が安定している時期が望ましいと考えられています。
 現在の患者様の状況により、ワクチンがもともとの病気を悪化させるかどうかはわかっていませんので、主治医とよく相談したうえで接種の可否を判断してください。
(令和3年2月5日)

Q.17リウマチ治療薬はサイトカインストームを抑制する薬や注射ですが、コロナに感染した場合、飲んでいる人と飲んでない人でサイトカインストームを起こしやすいか差がありますか。 また、日頃サイトカインストームを抑制する薬を飲んでいるので、逆にサイトカインストームを起こしにくいという見地はないですか。

今回のコロナウイルス(COVID-19)は、肺の細胞に感染してその細胞内で増殖し、様々な血液の細胞などに働きかけて炎症性サイトカイン(IL-6、TNFαなど)を過剰に産生させ、サイトカインストームとも呼ばれる急性呼吸窮迫症候群(ARDS)という重症肺炎を引き起こします。特にIL-6の過剰産生が深く関与していることがわかってきましたので、IL-6を抑制するトシリズマブやサリルマブといった薬剤がこれらの肺炎に有効であると考えられます。
しかし、実際の患者さんにトシリズマブを投与した報告では、有効という報告もある一方で、効果が無かったという報告もあり、まだ本当に有効かどうか結論は出てません。
またJAK阻害薬もIL-6抑制作用があるため有効性が期待されています(その中でバリシチニブは抗ウイルス薬のレムデシビルとの併用で有効性が海外で示されました)。
しかし、これらの薬剤をリウマチの治療ですでに使用中の患者さんが、COVID-19に感染しにくいのか、感染しても重症肺炎にはならないのか、といった証拠は今のところありません。ただ、これらの抗リウマチ薬を服用していることでCOVID-19感染を起こしやすい、重症化しやすい、という情報もありません。
したがって、COVID-19が蔓延している現在も、リウマチの治療(生物学的製剤やJAK阻害薬も含めて)しっかり継続すべきとされています。 現在日本リウマチ学会が、全国の主要施設でCOVID-19に感染したリウマチ性疾患の患者さんの情報を集積して、それらを明らかにするための研究を開始しています。まだ症例を集めている段階で、解析には至っていませんが、今後これらのデータを使ってIL-6やTNFαの阻害薬、JAK阻害薬の服用がCOVID-19感染にどのような影響を与えるのかが少し明らかになることが期待されます。
(令和3年2月5日)

Q.16現在、全身性エリテマトーデスで治療中です。病院で勤務しています。医療従事者なのでワクチンの優先接種対象者ですが、一方、患者でもあるということで、今回ワクチン接種をする方がいいのか、しない方がいいのか、ご教示いただけますでしょうか。

ワクチンに関する情報は、効果、副作用とも日々更新されています。実際に接種できる時の情報に沿って判断することが最善となります。生ワクチンではないので、基礎疾患によって接種不可となることは少ないと考えられます。現時点ではこれまでの数千万人の接種状況から、高い効果が期待され有害事象の絶対値も他のワクチンと比較して特筆して高いとは考えられていません。今の時点では接種するつもりでいて、実際にワクチンを受ける時点の情報で最終的に判断する事が勧められます。
(令和3年2月5日)

Q.15免疫抑制剤を服用していると抗体検査をした時に陰性になることはありませんか?

免疫抑制剤を服用していても、既に感染をして抗体をもっていれば、抗体検査は陽性になります。
但し、リツキシマブなど一部の強い免疫抑制薬では抗体の産生が抑えられて抗体検査が陰性になることがあります。
(令和2年11月25日)

Q.14免疫抑制剤を服用しているとPCR検査や抗原検査の結果が変わってくることはありますか?

免疫抑制剤を服用していても、PCR検査や抗原検査の結果に影響することはありません。
(令和2年11月25日)

Q.13免疫抑制剤を服用しているとワクチンを接種しても効果がありませんか?

インフルエンザワクチン、肺炎球菌ワクチンに関しては、今まで通りリウマチ治療の薬剤で多少免疫が低下するとしてもワクチン接種は受けたほうがよいでしょう。また、インフルエンザワクチンなどでアレルギーのある方は主治医にご相談ください。新型コロナウイルスのワクチンに関しては、新型コロナウイルスに効果が期待される複数のワクチンがアメリカで開発、市販され、日本にも導入されるところですが、その効果が実際にどれほどのものなのか、またどのような副作用が起こるのかはまだはっきりしていません。わかり次第発表しますが、新型コロナウイルスワクチンが利用できる際の接種については必ず主治医にも相談してください。
(令和2年11月25日)

Q.12オンライン診療でもよいのでしょうか?

現在のところ新型コロナウイルス禍の特例措置として、初診からのオンライン診療が認められています。オンライン診療では自宅から直接先生の診療を受けることで通院する間あるいは医療施設内での感染の危険はなくなりますからそうした意味では感染を防止できます。一方でオンライン診療では血液やレントゲン検査をすることはできませんが、症状が安定している方であればオンライン診療で先生とお話しすることで十分管理することは可能です。ただ毎回オンライン診療というわけにはいきません(通常は2回に1回は直接の診察が必要です)。 また、最近では厚労省及び関係機関で初診からのオンライン診療に関して、かかりつけの医師に限って恒久化することも議論されていますので、今後の国の方針が変わることも予想されます。
(令和2年11月25日)

Q.11病院で新型コロナウイルスにうつることはありますか?

病院などの医療施設では新型コロナウイルス感染を疑われる発熱者などの患者は別扱いしているところが多く、外来の待合でも感染防止の工夫がされているところが増えています。 それでも心配な場合はオンライン診療や電話診療を受けることも可能です。各医療施設にご相談ください。
(令和2年11月25日)

Q.10発熱や咳が出て新型コロナウイルス感染が心配なときはどこにかかればよいですか?

新型コロナを心配される場合には、発熱外来、新型コロナ専門外来にかかることでPCRなどの検査を受けることができます。しかし熱が出たからといってみんな新型コロナウイルスではなく、そうではない別の病気の可能性も考えなければいけません。よくわからない場合は普段かかっているリウマチの専門医、登録医の先生に電話などで相談してその先生の指示に従うのが良いと思います。
(令和2年11月25日)

Q.9関節リウマチの患者が新型コロナウイルスにかかったときには症状や治療法が変わりますか?

トシリズマブ(アクテムラ)やサリルマブ(ケブザラ)、ステロイド(プレドニゾロンなど)を使っている人では発熱や咳、痰などの症状が出にくいことがありますので注意が必要です。また非ステロイド系消炎剤使用でも発熱が抑えられる可能性もあり、さらに腎臓や肝障害が起きることもあります。

関節リウマチの患者さんが新型コロナウイルスにかかった場合は、免疫抑制の作用のある抗リウマチ薬(MTX、生物学的製剤、JAK阻害剤を含む)は一般には休薬することが勧められますが、確定的でないので、最終的には患者さんと担当医が相談して決めざるを得ません。ステロイドの急な休薬はかえって症状の悪化や中断による症状がでますので、継続しますが、その服用量は主治医と相談してkださい。
(令和2年11月25日)

Q.8ジクロフェナクナトリウム(ボルタレン)やロキソプロフェンナトリウム(ロキソニン)、アセトアミノフェン(カロナール)などの鎮痛解熱薬は免疫の力を低下させますか?

これらの薬剤(非ステロイド系消炎剤など)による免疫力の低下はほぼありませんが、新型コロナウイルスにかかり、重症になった場合は、肝臓や腎臓も悪くなりますので、これら薬剤により一層、腎臓、肝臓の悪化の懸念から使用しないのが一般的です。
(令和2年11月25日)

Q.7ヒドロキシクロロキン(プラケニル)は新型コロナウイルスに効くと聞きましたが。

当初そのような論文が一流医学誌に載りましたが現在は削除されています。その後の多くの論文が、この薬剤には効果がないとの結論となりつつあります。また、心臓への悪影響も報告されており、ヒドロキシクロロキンを新型コロナウイルスの治療として現在は使われなくなってきています。
(令和2年11月25日)

Q.6ブシラミン(リマチル)、サラゾスルファピリジン(アザルフィジン)、ヒドロキシクロロキン(プラケニル)、イグラチモド(ケアラム)を服用しています。これらの薬を服用すると免疫の力は低下しますか?

これらの薬剤による免疫力の低下はステロイドや生物学的製剤、メトトレキサート、タクロリムスなどに比べると小さく、あまり心配されなくてよいと思います。
(令和2年11月25日)

Q.5トシリズマブ(アクテムラ)が新型コロナウイルスの重症肺炎の治療に使われるといいますが、トシリズマブを注射しているとコロナ肺炎にならないのですか?

トシリズマブは新型コロナウイルスで起こるサイトカインストーム(炎症惹起物質の爆発的産生)という重症の状態に効果があるとされています。しかし新型コロナウイルスにかかりにくくなるわけではありません。またトシリズマブを使っているから重症化しないというデータも出てはいません。
(令和2年11月25日)

Q.4リウマチの治療(生物学的製剤、メトトレキサート、プレドニゾロンなど)をしていると新型コロナウイルスの肺炎が重症化しますか?

これまでの報告では、生物学的製剤を含めたリウマチ治療中でも特に重症化が起こりやすいわけではないようです。しかし、これについてもまだ十分な根拠があるとは言えません。一般的な予防対策はきちんとすることが必要です。
(令和2年11月25日)

Q.3どの薬が免疫力の低下を強くおこしますか?

免疫力の低下について薬同士を比較して、どの薬の何錠が別の薬の何錠に相当するというようなデータはありません。免疫力といってもいろいろな成分、要素から構成されていて、これらを単純に比較することは難しいのです。
(令和2年11月25日)

Q.2生物学的製剤、メトトレキサート、プレドニゾロンなどの量が少ない方が新型コロナウイルスにかかりにくいのではないですか?

確かに投与量が少ない方が免疫力の低下が弱くなるため新型コロナウイルスやインフルエンザウイルス等による感染にかかりにくくなると考えられます。しかしその量がどれくらいなら安全なのかの判断基準はありません。少なくとも、免疫抑制剤を服用されていない方に比べ少しでも服用されている方の方がそのリスクは高いと考えられます。しかしながら、病気が安定していてコントロールされている人の薬の量(維持量)を自己判断により減らしてしまいますと免疫の低下が軽くなること以上に病気が悪くなる危険性が大きいと考えられますから、医師に相談しないで減量することは大変危険です。
(令和2年11月25日)

Q.1関節リウマチの治療(生物学的製剤(エタネルセプト(エンブレル)、インフリキシマブ(レミケード)、トシリズマブ(アクテムラ)、アバタセプト(オレンシア)など)、メトトレキサート(リウマトレックス)、ステロイド剤(プレドニゾロン、メチルプレドニゾロンなど)、タクロリムス(プログラフ)、Jak阻害薬(トファシチニブ(ゼルヤンツ)、バリシチニブ(オルミエント)、ペフィシチニブ(スマイラフ)など)をしていると新型コロナウイルスにかかりやすいですか?

これらの薬剤はいずれも免疫を抑える、免疫抑制薬です。免疫を抑えることで病気をコントロールしますが、一方で身体の抵抗力を落とす薬でもあります。これらを服用、注射している人が特に新型コロナウイルスにかかりやすいという直接のエビデンス(証拠)はまだありません。
そもそもかかりやすさは一定量のウイルスに接触すれば誰でも同じですが、免疫という抵抗力が弱まっているので、ウイルスが体内で広がりやすいかもしれません。しかしその免疫低下の程度がどれくらいかというと、強い抗がん剤の治療をしている人たちの免疫力の低下に比べればごく弱いものです。心配されていることは感染を怖がって薬を飲むのをやめてしまったり減らしてしまった結果、病気自身が悪くなることで、その状態で新型コロナウイルスにかかると最悪の状態になり、回復困難になってしまいます。ですから新型コロナウイルスが流行っていても、今処方されている薬は必ず今まで通り続けるようにしてください。
(令和2年11月25日)