リウマチQ&A
- Q.140関節リウマチです。生物学的製剤、JAK阻害薬と色々試しJAK阻害薬で落ち着いています。しかし少しずつ痛みが増えて来ました。これまでの流れだと違う治療薬に変更していますが今の薬にしてから初めてこわばりがありません。このままで治療の追加とかはできないのでしょうか?薬が効かなくなってから薬の変更以外にできることはありますか?
JAK阻害薬だけで落ち着いていたのが少し関節リウマチの炎症に再燃傾向が出てきた、ということでしょうか。再燃の場合、いくつか方法があります。①他の抗リウマチ薬を追加併用する②他のJAK阻害薬に変更する、③今まで使用していない生物学的製剤に変更する、などです。軽い再燃なら現在のJAK阻害薬を継続して、非ステロイド抗炎症薬や少量のステロイドを追加併用するのも良いかもしれません。またリウマチの再燃でなく、関節が壊れたりしている場合などは薬でなく外科的な治療法も考えられます。
(令和5年2月)
- Q.14188才の母が、2年前にリウマチ性多発筋痛症と診断され、プレドニンを1年以上服用(徐々に減薬)し、今はアクテムラの皮下注射のみを月2回していて、血液検査の結果が良く、変化がなければ、今後は減らしていくようです。アクテムラはいつまで、投与しなければなりませんか?筋肉低下がみられますが、改善方法はありますでしょうか?胸のレントゲンで、胸部大動脈瘤があるかも、と言われ、もし、動脈瘤があった場合、アクテムラは継続して良いのでしょうか?
リウマチ性多発筋痛症にはアクテムラは日本の健康保険での利用はできません。ただし有効であることは国内外の報告でわかっています。特に高齢者ではステロイドの長期投与による骨粗鬆症、糖尿病などの有害事象を回避することができます。本例はステロイドを中止してアクテムラのみでも症状が治まってるとのことですが、いつまで続けるかの決まりはなく、ある程度良い状態が続けば、アクテムラの投与間隔を伸ばして(3〜4週に1回など)、その後に中止できれば良いと思います。
筋力低下はステロイドの長期投与ではステロイドミオパチーと呼ばれるステロイドの副作用で見られます。それ以外では、疼痛であまり動けなかったための廃用性筋萎縮が原因と思われます。回復には大変時間がかかりますがリハビリを丹念に行うしかないと思います。
大動脈瘤については、ほとんどが動脈硬化が原因ですが、リウマチ性多発筋痛症では巨細胞性動脈炎による動脈瘤であった可能性もあります。その場合はしっかりアクテムラを使用して炎症を抑えることが重要です。
- Q.111私はB型肝炎の無症候キャリアで半年に1度定期健診を受けています。 3月に手指の痛みがあり診察を受け関節リウマチと診断されました。 リウマトイド因子が20で腎臓や関節に異常はありません。 最近は痛みもあまり気にならないので痛み止めもほとんど飲まずに生活しています。 リウマトレックスを飲むことになったのですが薬を飲むにあたり肝臓にも影響があるとのことで同じ総合病院内の整形外科と内科を行ったり来たりして私が整形の先生と内科の先生に双方の話を説明して整形からリウマトレックス、内科から抗ウイルス薬のエンテカビルを処方してもらうことになったのですが肝臓に対してのリスクを考えると症状がほとんどないため薬を飲むのを延期してもらうことにしました。 できれば1人の先生に肝炎の状況も把握しながらリウマチの治療をしてもらうのが理想的ではないかとも思っていますがどうでしょうか?
当初関節痛があり、リウマチと診断されてリウマトレックスで効果があり、痛みも無くなったということですね。肝臓の専門医からエンテカビルを処方されている、ということはB型肝炎のキャリアだと思いますので、これは継続しておいた方が良いと思います。リウマトレックスは確かに長期投与で肝障害など、色々副作用が出てくる可能性がありますので、長期間良い状態が続いているなら、減量や中止を検討しても良いと思います。ただ、中止をするとリウマチが再燃する可能性はあります。 一人の医師がリウマチとウイルス肝炎を管理するのは理想的ですが、肝臓の専門医はリウマチを診療できません。リウマチを専門とする整形外科医も、ウイルス肝炎の管理が十分にできない場合が多いと思いますが、よく理解してくれる先生もいると思います。肝臓も見ながらリウマチ診療を行う医師が理想的ですが、そのような医師はどこでもいるわけではなく、現在の肝臓の専門医とリウマチ専門医にかかるのは、少し面倒かもしれませんが、医師間の連携がうまく取れていれば良いと思います。
(令和3年 4月)
- Q.110関節リウマチ と診断されて薬を飲む事になりました。不安でネットで検索したら薬は飲み始めの飲み方によってひどい副作用がでる事があると書いてありましたがどんな飲み方がよくないのかは具体的になく薬を飲むのが不安になりました。本当にその様な事があるのでしょうか? また今は熱はないのですが喉が痛くて少し風邪気味です。この様な状態でも薬を始めてもいいのでしょうか?
どんな薬剤もアレルギーや消化器症状などの副作用は早期に出ることが多いです。また、新たに薬剤を服用したことによる不安感から、精神的な面による種々の症状も初期には出やすいです。逆に2週間以上服用しても大丈夫な場合は、その後も安全に継続できます。もちろん、抗リウマチ薬によっては、長期間の服用後に出てくる副作用もあり、それは主治医がしっかりわかって管理しているはずですので、患者さんはあまり心配しないで良いと思います。リウマチに使用する薬では、きちんと用法用量を守って服用していれば、細かい飲み方の違い(例えば、食後直後と1時間後に服用など、)で副作用の出方が変わる、ということはありません。軽度の感冒のみであれば、抗リウマチ薬はそのまま服用を続けても問題ないと思います。明らかな感染症を起こしている場合などでは、主治医と相談され、一時的に休薬するのが良いと思います。あまり細かいことにとらわれず、用法と用量をきちんと守って指示通りに服用していれば、まず大きな問題はないと思います。
(令和3年 4月)
- Q.109一か月前、関節リウマチと診断され、メトトレキサート2mg、フォリアミン錠を飲み始めました、2回目の血液検査でRFが405.CRPが0,50です、前回は572と1,15でした、少し下がったようですが、MMP−3が45.0とあります、整形外科で治療をしていますが、専門医に行ったほうがいいでしょうか?年齢は82歳です。
現在受診されている施設の先生が日本リウマチ財団の登録医、日本リウマチ学会の認定する“リウマチ専門医”、あるいは日本整形外科学会の認定する“リウマチ医”であれば、問題ありません。
もしそうでない場合で、治療に満足している(治療の効果を感じる)のであれば、転医する必要はないと思います。治療に対して満足していない場合は、他の施設に紹介していただく、あるいは自ら転医することも一案かと思います。ちなみにMMP-3 45.0は正常範囲内の値です。(令和3年 4月)
- Q.108生物学製剤へ移行する基準はありますか?CRP1.0が続いてます。
生物学的製剤に移行する基準は特にありません。主治医が現在の治療で不十分と判断したら、次のステップの治療を考慮します。CRPが1.0が持続しているとのことで、効果が十分とは言えないようです(寛解ではないと言えます)が、その場合も必ずしも生物学的製剤を使うとは限りません。患者さんの状態(肺や腎臓が悪くないか)、注射製剤が使えるかどうか(適応があるかどうか)、経済的負担、患者さんの好み、など種々の条件を鑑みて、患者さんに納得していただいた上で、生物学的製剤にするか、従来の抗リウマチ薬を併用するか、などを決定します。主治医と今後の治療をどうするか、よくご相談ください。
(令和3年 2月)
- Q.107関節リウマチで、乳がんも治療中です。関節リウマチがコントロールできないのでリウマチの主治医からリウマトレックスをアクテムラにかえることを勧められましたが、乳がんの主治医は再発のリスクが高くなると心配しています。どうしたらよいのでしょう。
この量のリウマトレックスに乳がんを抑える効果があるのかは疑問です。一方でリウマトレックスが癌を誘発するという報告もありますが、これについても意見が分かれています。またアクテムラを使うときにリウマトレックスをそのまま併用することもできます。リウマチの医師と乳がんの医師でよく話し合っていただくようにお勧めします。
(令和3年 2月)
- Q.106線維筋痛症の患者です。長い間何種類も薬を服用しており現在は8種類処方されています。調べてみると、てんかん薬や胃薬のようなものも処方されているようです。どうして痛みに対する薬ではなく、抗てんかん薬や胃薬など多数の薬が処方されるのでしょうか?また、薬は減らすことはできないでしょうか?
線維筋痛症は原因不明の病気であり、原因療法ができないために、主症状であるつらい全身の痛みを和らげる(緩和)慢性疼痛治療薬が使われます。線維筋痛症の痛みは、痛みを感じる神経が、痛みを感じる場所(例えば腕や背中など)にまったく異常がなく、その部位の痛みを感じる神経が、自然に過剰に興奮しているために感じる痛みです。急性の痛みの薬剤(ロキソニンなど)はまったく効果がなく、痛みの過剰興奮を抑えるために、薬の分類としては本来は抗てんかん薬と分類される薬剤(リリカなど)が使われます。十分な効果が得られない場合は、時には他の抗てんかん薬(デパケン、リボトリールなど)を併用したり、抗うつ薬(サインバルタなど)なども使用されます。ですから線維筋痛症に抗てんかん薬を使うのはてんかん発作を抑えるためではありません。一方、線維筋痛症では精神・心理療法(認知行動療法など)、運動療法も行われることがあります。さらに、線維筋痛症では痛み以外に、随伴症状として抑うつ気分、疲労、睡眠障害や脱力症状など多彩な症状があり、これらに対しても対症療法として、いくつかの薬剤(ドグマチールなど)が、しばしば追加されることがあり、結果的に多数の薬剤の服用(ポリファーマシー)となります。しかし、線維筋痛症の中心症状である身体の広範囲の痛みが緩和・軽減されれば、上記の随伴症状も改善し、薬剤を減らすことも可能です。
線維筋痛症は痛みと多彩な随伴症状があっても、改善すれば、後遺症はまったく残しません。したがって、ご自身なりに、線維筋痛症とうまく付き合う無理のないライフスタイルを工夫され、軽い運動を定期に行い、症状の改善がみられれば、服用する薬剤を一つでも減らせ、気分もよくなり、さらなる好循環で薬剤の減量につながります。(令和3年1月)
- Q.1052年前より総合病院の整形外科で、右膝の変形性膝関節炎の治療を受けていましたが、改善が見られない事から内科転科で検査の結果、昨年、関節リウマチと診断されました。薬の服用により、血液検査の数値は正常値になりましたが、関節の症状に改善は見られません。先月のレントゲンでは膝関節の破壊が進んでいるとの診断を受けて、エンブレル投与が開始されました。丁度一か月が経ちますが、症状に改善がありません。むしろ、これまで唯一、右手中指にだけあった痛みが今は他の指にも広がり、強ばりがあります。このまま、内科で治療を続けるべきか悩みとても不安です。
現在の治療については、エンブレルを導入されても症状の軽快・消失がなく、逆に他の手指の症状やこわばり感の増強があるということですので、エンブレルの効果の判定(効いているのかいないのか?)やエンブレル以外の内服薬の変更などを主治医にまずご相談されてはいかがでしょうか?
関節リウマチの関節痛には主に二つの原因があります。一つは“関節の炎症(関節炎)”による痛みで、もう一つは“関節の変形・破壊”による痛みです。ご相談いただいた膝関節に関しては、元々“関節の炎症”による痛みよりは、“関節の変形・破壊”による痛みの方が強かったのではないかと考えます。“関節の炎症”による痛みのみであれば、エンブレルや他の薬剤に効果があればある程度治まるはずですが、今回の場合症状に改善がないということですので、エンブレルを含めた薬剤が効いていないか、あるいは“関節の変形・破壊”による痛みの方が強いのではないかと考えます。
小さな関節であれば生物学的製剤には関節修復の効果も期待できることがありますが、膝関節のような大きな関節では一般的に修復は望めません。“関節の変形・破壊”の程度にもよりますが、手術治療が必要となる場合もあります。(令和3年 1月)
- Q.104この1月初旬から起床時に両手の指(第2、第3関節)にこわばりの症状が出始め、マッサージをすると5分くらいで治る感じです。でも毎日なので心配で今、検査をしてもらおうと考えています。 関節リウマチと診断された場合どのような治療が始まるのでしょうか? 現在ジョギングで週末10kmほど走っていますが、やめた方が良いでしょうか?治療しうまく寛解状態になったとしたら、どのくらいまで運動しても大丈夫でしょうか?これまでトレッキングもしていましたが続けることは出来ますか?
① ご相談いただいた症状からは関節リウマチの可能性が高いと思われます。なるべく早くリウマチ専門医の診断を受けた方がよいと考えます。
② 仮に関節リウマチの診断がなされた場合、治療に関しては内服の薬剤による治療が開始になると思います。その他関節保護や日常生活動作の指導なども必要になります。薬物治療の詳細に関しては、様々な選択がありますので主治医の先生と十分な話し合いをして決めていただくことが大切です。
③ 関節変形や関節破壊がなければ、元々運動をされていた方は寛解状態にあれば、元の運動レベルに戻してよいと考えます。
(令和3年 1月)
- Q.112リウマチの診断を受けたのはもう20年以上前ですが初診を最後に通院を辞め痛みを堪えながら仕事をし生活をしてきました。今年に入り両腕を切り捨てたい程の痺れと強ばりが出てきましたがそれでも病院に行くのを躊躇い痛みをガマンしています。私のような人が他にもいるのでしょうか。
20年前とは診断も治療も大きく進歩しました。疼痛はかなりコントロールできるようになっています。
リウマチ専門医、登録医の先生にもう一度受診することをおすすめします。
(令和3年 5月)
- Q.113関節リウマチの患者で、手指、足指に腱鞘炎が出ています。生物学的製剤は腱鞘炎の症状も改善させるのでしょうか?
一般的な(機械的刺激による)腱鞘炎とは違い、関節リウマチ患者さんでの腱鞘炎は“腱鞘滑膜の炎症”による腱鞘滑膜炎であることが多いため、生物学的製剤は有効なことが多いと思います。
(令和3年 5月)
- Q.142今はJAK阻害薬を服用しています。効果無し、副作用等で3種類目です。次は生物学的製剤の注射の治療しかないといわれていますが、どうしても注射は苦手です。他に方法はないのでしょうか?
関節リウマチの治療法は、現在幅広く、一般的な効果と一人一人の患者さんにおける反応は必ずしも同じではありません。まずは、診断や併存疾患の検索も含めて相談してみることも一つの方法と考えられます。
(令和5年2月)
- Q.143リウマトレックスを飲んでいましたが吐き気が酷く中止になりました。他の治療をしていますがだんだん効かなくなり、リウマトレックスを飲んでないとできない治療や効果が続かないものもあると言われ治療が限られています。また、リウマトレックスを試してみることはできないのですか?量を調整することはできないのでしょうか。
メトトレキサート(リウマトレックスの一般名)を少ない量にすれば吐き気は弱くなる可能性がありますが、効果も低下します。最近、メトトレキサートの注射製剤が発売されました(商品名:メトジェクト)。週1回の皮下注射ですが、ご自宅で自分で打つ自己注射も可能です。飲み薬に比べて、吐き気などの消化器症状が出にくいことが知られていますので主治医の先生に相談していただくとよいかと思います。
(令和5年2月)
- Q.1194年前、手首の腫れと痛みで検査したところ、抗CCP抗体が329、CRP、RFは正常値でした。リマチルとピリドキサールが処方され、2年間は症状も安定して治った?と思っていましたが、2年後、CRP、RF、MMP3が少し基準値を超え、症状も悪化の一途で、MTXとフォリアミン6mgが追加され1年、さらに8mgになり1年服用。今度は肝機能が全て高値になり、4mgになりました。手足指の関節痛の腫れは良くならないのに減薬して大丈夫なのでしょうか?薬を服用していてもリウマチ は進行していくものなのですか?主治医は、薬が体に慣れてしまうからということですが。
関節リウマチRA)の診断でよいと考えます。発病間もない時期は一時的に軽快することもありますが、RAとして完成しますと、関節炎は持続し、病変関節も次第に拡大していきます。そこで、病変の持続、拡大を抑えるためにMTXが世界標準薬として使用されます。しかし、MTX単独では十分に病勢を抑えられないとか、肝障害などのような副作用で必要量を使用できない、あるいは中止せざるを得ない場合があります。そのような場合は他の抗リウマチ薬に変更ないし、併用療法が行われます。MTXの次に選択される薬剤は生物学的製剤(注射製剤)が一般的です。したがって、一度病変部の関節エコー(超音波)検査を受けられ、病変関節部のRA病勢の評価を行って、生物学的製剤併用療法の導入を考えることが関節機能を障害させないためも必要だと思います。担当医とご相談ください。
(令和3年8月)
- Q.118妊娠前はエンブレルで炎症をコントロールしていましたが、産後エンブレル3ヶ月続けましたが効果が現れず、シンポニーとメトトレキサート10ミリに切り替え半年経過しましたがCRPは6のまま高い状態でしたので増量しました。増量して2ヶ月になりますが効果がないのですがこの状態で好転しないのではないかと心配しています。職場復帰もして育児も平日はワンオペ状態なので心身共に限界を感じます。今の病院では取り扱っている注射は3種類らしく転院も視野に入れております。他に効果がありそうな選択薬はないのでしょうか。
エンブレルもシンポニーもTNFという炎症物質を抑える薬剤で、通常はリウマチに非常に効果がありますが、時に効果がでない患者さんもいます。その場合、IL-6という炎症物質を抑える薬剤(アクテムラ、ケブザラの2種類あります)が有効な場合が多いです(前者は4週間隔の点滴と2週間隔の皮下注射、後者は2週間隔の皮下注のみ)。その他、オレンシアという製剤もあります(4週間隔の点滴または毎週の皮下注射)。さらに、内服薬でJAK阻害薬という薬剤も非常に有効性が期待できます(ゼルヤンツは1日2回内服、オルミエント、スマイラフ、リンヴォック、ジセレカの4つは1日1回のみ)。リウマチの薬剤はかなり進歩して、有効性の高い薬剤が出ていますので、これらへの変更を検討していただくのが良いと思います。ただし、いずれも非常に高価(シンポニー50mgと同等)です。どれが適切かは、患者さんの種々の状態で少し変わりますので、主治医とよくご相談して決めて下さい。(令和3年8月)
- Q.117MTXを週1回、朝6㎎・夜6㎎飲んでいます。吐き気がするため、フォリアミンを5㎎、翌日と翌々日に飲んでいます。吐き気がしないように、週2回、3日ごとに夜6㎎MTXを飲んだりするのはダメでしょうか?MTX代謝物ポリグルタミン酸は半減期3日と、どこかの論文で読んだのですが、半減期3日であれば週3日ごとに、たとえば月曜日夜6㎎、木曜日夜6㎎MTXを飲んでもよいでしょうか?または、毎日夜2㎎飲んでもよいでしょうか?足指が腫れてきているので、MTXといういい薬を処方してもらっているのを、吐き気無く、倍、効くようにできたらいいなと思っています。
MTXポリグルタミン酸までご存知の患者さんはあまりいないと思いますが、医療関係のかたでしょうか? 関節リウマチの治療において、MTXの服用は1週間分を1〜2日で服用することになっていますが一定ではなく、1回で全て服用しても良いし、2〜3回に分割して12時間ごとに服用しても結構ですが、3日ごとに服用する、というのは用法として正しくありません。フォリアミンは葉酸を補充するだけのもので、肝機能障害や貧血や白血球減少の進行を防止するために必要ですが、吐き気を抑制する作用はありません。従って、MTXを服用する時にドンペリドンなど制吐作用のある薬剤を服用すれば改善すると思います。ただし、吐無理に継続するのは個人的にはあまり推奨しません。またMTXを12 mg/週で服用しても関節炎が抑えられない状態なら、MTXをさらに増量して治療強化するより、生物学的製剤やJAK阻害薬などを併用することをお勧めします。(令和3年7月)
- Q.116寛解して5年ほど経ちます。その間も膝の痛みがありますが、痛み止めを服用することで痛みを抑えています。最近、少しその痛みが強くなっている気がしますが、痛み止めで抑えることもできます。 痛み止めで抑えることができる程度であれば、医療機関を受診するほどでもないか、寛解後も受診は必要なのか教えてください。
初期の適切な対処により薬物療法なしで寛解が長期継続されることはありますが、再発した場合に再度長期間寛解を目指す場合は必要に応じた早期の治療が理想的と考えられます。受診して問題なければ安心材料になりますので、症状があれば対症療法のみで経過観察し続けることと、念の為でも再受診することの利点と不利益をよく考えて判断されることをお勧めします。(令和3年7月)
- Q.11520代前半です。昨年、膝が突然腫れて病院を受診したところ、リウマトイド因子の出ない偽陰性リウマチの診断を受けました。現在、メトトレキサート10mg、ケアラム25mg、アザルフィジン、フォリアミン、ロキソプロフェン、ランソプラゾールを服用しています。まだ膝に多少の違和感はあるものの、服用前に比べて症状はかなり落ち着きましたが、常に胃部不快感があり吐気で寝付けないこともしばしばあります。このような症状はこれらの薬を服用しているとよくあることなのでしょうか?また、胃部不快感に対する対処法や予防法はなにかありませんか?
胃部不快感に関してですが、現在服用されている中で、消化器系のお薬であるランソプラゾールは別として、ほぼ全てのお薬に消化器系の副作用があります。
メトトレキサートによる重篤な副作用対策としてのフォリアミンの併用やプロドラッグであるロキソプロフェンNaなど副作用に対する配慮はなされているものの、現在の症状からいたしますと薬剤の休薬や投与量の変更、あるいは他のお薬への変更などを必要とする場合も考えられます。
特にケアラムは消化性潰瘍のある患者さんは服用できません。
吐気で寝付けないこともしばしばあることから、早めに医師の診断が必要かと思います。(令和3年7月)
- Q.114五年前に出産により関節リウマチを発症。 メトトレキサート、フォリアミンを使用していますが5錠/週を3〜4ヶ月続けると脱毛が始まります。5錠飲んでる時のリウマチ症状はほとんどなく体調もよいです。減薬すれば脱毛は収まりますが脱毛が収まるまで減薬するので症状は悪化していきます。 よって薬を変えてメトトレキサート4錠/週とタクロリムス2mg/日、フォリアミンにしたところやはり3〜4ヶ月で脱毛が始まりました。減薬で脱毛は収まりましたがやはり症状は悪化しました。 この悪化の時は痛みがでてとてもつらいです。脱毛以外の副作用はないのでどうにかしてこの脱毛を防ぎたいです。脱毛が始まる前に薬の量を調整して脱毛を回避できる様な指針となる血液検査の項目や他の方法などないでしょうか? 因みに白血球数は変化はありませんでした。
脱毛がひどいようでしたら、メトトレキサートを増やさない治療を検討するしかないように思われます。主治医とご相談いただき、別の抗リウマチ薬を検討してもらってはいかがでしょうか。リウマチの炎症が強い場合は生物学的製剤などが必要になることもあるかと思います。また、肝機能異常とともに脱毛が出てくるなどがない場合は、残念ながら血液検査で脱毛の指標となる項目はないかと思います。
(令和3年7月)
