リウマチQ&A
- Q.662・3年前から手指を酷使すると痛みと共に浮腫みが生じ、鎮痛剤を服用すると症状が軽減する。という状況が続きました。朝の手のこわばりと手指の痛みが鎮痛剤を服用しても治まらず受診したところ、リウマトイド因子124、抗CCP抗体435と高値でした。しかしWBC・血沈は陰性との事で発症前の状態との診断で、リマチル100㎎2T/2×で開始となりました。内服開始後約1週間経過した頃に急な倦怠感と高熱があり「無顆粒球症」の診断でリマチル中止、痛みに関してはロキソニン内服で経過観察の状況になりました。それからは朝のこわばりの時間が長くなり、痛みが強い時は鎮痛剤服用しないと仕事が出来ない状況が続きました。先月2か月ぶりに受診するとリウマトイド因子135、抗CCP抗体760と更に数値が上がっていましたが、相変わらずWBC・血沈は陰性との事で鎮痛剤で経過観察となりました。このまま次回予約日の2か月後まで経過観察でいいのか不安です。因みに採血検査以外の検査は行っていません。
拝見していないので何とも言えませんが、リウマトイド因子や抗CCP抗体が陽性のみで関節リウマチと診断はできません。血沈が「陰性」とは正常ということかと思いますが、そうだとすると少なくとも活動性の高いリウマチではありません。念のため、関節超音波やMRIなどの画像診断を行い、炎症があるか調べてみると良いかもしれません。
関節リウマチで関節の炎症が続くと、その関節の骨や軟骨がダメージを受けるので、早めに他の抗リウマチ薬による治療を始めた方がよいといわれています。しかし、もし痛みの原因が炎症でなければ、今のところ関節リウマチとは診断できないので、鎮痛剤で経過観察してもよいと思われます。リマチルで無顆粒球症という重篤な副作用もあったようですので、抗リウマチ薬の開始は慎重にした方が良いでしょう。リウマチの診断は難しいこともありますので、かかられている先生がリウマチ専門医でなければ、一度専門医を受診されたほうが宜しいかと思います。
(平成27年1月/平成29年10月更新)
- Q.1331年半程前から、アクテムラ皮下注射と、ケアラム25mg朝1錠、ファモチジンD10mg朝1錠服用しています。 主治医からケアラムで胃が荒れないようにと言われていますが必ずファモチジンも飲んだ方がいいのでしょうか。 私はやせ形で、体力をつけるため食事に気をつけていますが、全く体重が増えず、胃酸抑制剤が原因のひとつではないかと思っています。
まず、医師から処方されたお薬は、医師の指示通りに服用することが大原則です。それは、医師は診察の際に処方されたお薬をきちんと服用した上での治療効果や副作用などを総合的に判断して治療方針を立てているからです。
現在服用されているケアラム錠には副作用として消化性潰瘍があらわれる可能性があることから、主治医の先生はファモチジンを処方されている意図が読み取れますので、自己判断で中止しないで必ず主治医に相談してください。
(令4年7月)
- Q.131関節リウマチ歴17年になり、各関節などに変形があります。2週間前に中指の第二関節が脱臼したようなのですが、元に戻す治療はありますか? もうこのまま変形していくのを待つだけなのでしょうか?
「2週間前に第3指第2関節の脱臼した」ということですが、急に脱臼すると激痛になりますので、徐々に亜脱臼が進行していたものが2週間前に判明したということだと考えられます。亜脱臼の程度によりますが、軽度の亜脱臼や関節変形が出現してあまり時間が経っていない状況であれば、関節周囲の軟部組織に対する手術のみで変形が解消する場合があります。一方、中等度の亜脱臼や関節変形が出現して時間が経った関節の場合、人工関節置換術や関節固定術の適応になる場合があります。一度亜脱臼が出現すると、いくら薬物治療を強化しても亜脱臼は解消せず、関節変形が進行する場合がありますので、日常生活に支障がある場合は手術を考慮されてよいと思います。
リウマチの手指関節の手術は専門性が高いため、通常の整形外科では対応不能の場合が多いので、関節リウマチの手術を積極的に行っている、あるいはより具体的に、リウマチ手の手術を行っているという施設を探されるとよいと思います。(令和4年6月)
- Q.114五年前に出産により関節リウマチを発症。 メトトレキサート、フォリアミンを使用していますが5錠/週を3〜4ヶ月続けると脱毛が始まります。5錠飲んでる時のリウマチ症状はほとんどなく体調もよいです。減薬すれば脱毛は収まりますが脱毛が収まるまで減薬するので症状は悪化していきます。 よって薬を変えてメトトレキサート4錠/週とタクロリムス2mg/日、フォリアミンにしたところやはり3〜4ヶ月で脱毛が始まりました。減薬で脱毛は収まりましたがやはり症状は悪化しました。 この悪化の時は痛みがでてとてもつらいです。脱毛以外の副作用はないのでどうにかしてこの脱毛を防ぎたいです。脱毛が始まる前に薬の量を調整して脱毛を回避できる様な指針となる血液検査の項目や他の方法などないでしょうか? 因みに白血球数は変化はありませんでした。
脱毛がひどいようでしたら、メトトレキサートを増やさない治療を検討するしかないように思われます。主治医とご相談いただき、別の抗リウマチ薬を検討してもらってはいかがでしょうか。リウマチの炎症が強い場合は生物学的製剤などが必要になることもあるかと思います。また、肝機能異常とともに脱毛が出てくるなどがない場合は、残念ながら血液検査で脱毛の指標となる項目はないかと思います。
(令和3年7月)
- Q.11520代前半です。昨年、膝が突然腫れて病院を受診したところ、リウマトイド因子の出ない偽陰性リウマチの診断を受けました。現在、メトトレキサート10mg、ケアラム25mg、アザルフィジン、フォリアミン、ロキソプロフェン、ランソプラゾールを服用しています。まだ膝に多少の違和感はあるものの、服用前に比べて症状はかなり落ち着きましたが、常に胃部不快感があり吐気で寝付けないこともしばしばあります。このような症状はこれらの薬を服用しているとよくあることなのでしょうか?また、胃部不快感に対する対処法や予防法はなにかありませんか?
胃部不快感に関してですが、現在服用されている中で、消化器系のお薬であるランソプラゾールは別として、ほぼ全てのお薬に消化器系の副作用があります。
メトトレキサートによる重篤な副作用対策としてのフォリアミンの併用やプロドラッグであるロキソプロフェンNaなど副作用に対する配慮はなされているものの、現在の症状からいたしますと薬剤の休薬や投与量の変更、あるいは他のお薬への変更などを必要とする場合も考えられます。
特にケアラムは消化性潰瘍のある患者さんは服用できません。
吐気で寝付けないこともしばしばあることから、早めに医師の診断が必要かと思います。(令和3年7月)
- Q.116寛解して5年ほど経ちます。その間も膝の痛みがありますが、痛み止めを服用することで痛みを抑えています。最近、少しその痛みが強くなっている気がしますが、痛み止めで抑えることもできます。 痛み止めで抑えることができる程度であれば、医療機関を受診するほどでもないか、寛解後も受診は必要なのか教えてください。
初期の適切な対処により薬物療法なしで寛解が長期継続されることはありますが、再発した場合に再度長期間寛解を目指す場合は必要に応じた早期の治療が理想的と考えられます。受診して問題なければ安心材料になりますので、症状があれば対症療法のみで経過観察し続けることと、念の為でも再受診することの利点と不利益をよく考えて判断されることをお勧めします。(令和3年7月)
- Q.117MTXを週1回、朝6㎎・夜6㎎飲んでいます。吐き気がするため、フォリアミンを5㎎、翌日と翌々日に飲んでいます。吐き気がしないように、週2回、3日ごとに夜6㎎MTXを飲んだりするのはダメでしょうか?MTX代謝物ポリグルタミン酸は半減期3日と、どこかの論文で読んだのですが、半減期3日であれば週3日ごとに、たとえば月曜日夜6㎎、木曜日夜6㎎MTXを飲んでもよいでしょうか?または、毎日夜2㎎飲んでもよいでしょうか?足指が腫れてきているので、MTXといういい薬を処方してもらっているのを、吐き気無く、倍、効くようにできたらいいなと思っています。
MTXポリグルタミン酸までご存知の患者さんはあまりいないと思いますが、医療関係のかたでしょうか? 関節リウマチの治療において、MTXの服用は1週間分を1〜2日で服用することになっていますが一定ではなく、1回で全て服用しても良いし、2〜3回に分割して12時間ごとに服用しても結構ですが、3日ごとに服用する、というのは用法として正しくありません。フォリアミンは葉酸を補充するだけのもので、肝機能障害や貧血や白血球減少の進行を防止するために必要ですが、吐き気を抑制する作用はありません。従って、MTXを服用する時にドンペリドンなど制吐作用のある薬剤を服用すれば改善すると思います。ただし、吐無理に継続するのは個人的にはあまり推奨しません。またMTXを12 mg/週で服用しても関節炎が抑えられない状態なら、MTXをさらに増量して治療強化するより、生物学的製剤やJAK阻害薬などを併用することをお勧めします。(令和3年7月)
- Q.118妊娠前はエンブレルで炎症をコントロールしていましたが、産後エンブレル3ヶ月続けましたが効果が現れず、シンポニーとメトトレキサート10ミリに切り替え半年経過しましたがCRPは6のまま高い状態でしたので増量しました。増量して2ヶ月になりますが効果がないのですがこの状態で好転しないのではないかと心配しています。職場復帰もして育児も平日はワンオペ状態なので心身共に限界を感じます。今の病院では取り扱っている注射は3種類らしく転院も視野に入れております。他に効果がありそうな選択薬はないのでしょうか。
エンブレルもシンポニーもTNFという炎症物質を抑える薬剤で、通常はリウマチに非常に効果がありますが、時に効果がでない患者さんもいます。その場合、IL-6という炎症物質を抑える薬剤(アクテムラ、ケブザラの2種類あります)が有効な場合が多いです(前者は4週間隔の点滴と2週間隔の皮下注射、後者は2週間隔の皮下注のみ)。その他、オレンシアという製剤もあります(4週間隔の点滴または毎週の皮下注射)。さらに、内服薬でJAK阻害薬という薬剤も非常に有効性が期待できます(ゼルヤンツは1日2回内服、オルミエント、スマイラフ、リンヴォック、ジセレカの4つは1日1回のみ)。リウマチの薬剤はかなり進歩して、有効性の高い薬剤が出ていますので、これらへの変更を検討していただくのが良いと思います。ただし、いずれも非常に高価(シンポニー50mgと同等)です。どれが適切かは、患者さんの種々の状態で少し変わりますので、主治医とよくご相談して決めて下さい。(令和3年8月)
- Q.1194年前、手首の腫れと痛みで検査したところ、抗CCP抗体が329、CRP、RFは正常値でした。リマチルとピリドキサールが処方され、2年間は症状も安定して治った?と思っていましたが、2年後、CRP、RF、MMP3が少し基準値を超え、症状も悪化の一途で、MTXとフォリアミン6mgが追加され1年、さらに8mgになり1年服用。今度は肝機能が全て高値になり、4mgになりました。手足指の関節痛の腫れは良くならないのに減薬して大丈夫なのでしょうか?薬を服用していてもリウマチ は進行していくものなのですか?主治医は、薬が体に慣れてしまうからということですが。
関節リウマチRA)の診断でよいと考えます。発病間もない時期は一時的に軽快することもありますが、RAとして完成しますと、関節炎は持続し、病変関節も次第に拡大していきます。そこで、病変の持続、拡大を抑えるためにMTXが世界標準薬として使用されます。しかし、MTX単独では十分に病勢を抑えられないとか、肝障害などのような副作用で必要量を使用できない、あるいは中止せざるを得ない場合があります。そのような場合は他の抗リウマチ薬に変更ないし、併用療法が行われます。MTXの次に選択される薬剤は生物学的製剤(注射製剤)が一般的です。したがって、一度病変部の関節エコー(超音波)検査を受けられ、病変関節部のRA病勢の評価を行って、生物学的製剤併用療法の導入を考えることが関節機能を障害させないためも必要だと思います。担当医とご相談ください。
(令和3年8月)
- Q.120アクテムラの皮下注射をしていますが骨破壊の進行が進んでしまいました。骨破壊抑制の為にメトトレキサートを併用する、または手首の炎症を抑えるためステロイドを使用する事は有効なのでしょうか?それとも他の薬剤に変えるべきなのでしょうか?
生物学的製剤を使用しても、骨破壊が進行してしまうことは残念ながら珍しくはありません。特に軽度でも関節破壊をきたしている関節では、修復が起こることもありますが、反対に破壊が進行してしまうこともあります。メトトレキサートの併用が有効な場合もありますが、必ず骨破壊進行を抑制できるとは言えません。血液検査等で病気のコントロールがしっかりとなされていることが確認できれば、関節破壊の進行のリスクは減少しますが、病気のコントロールが不十分な場合はメトトレキサートをはじめとする抗リウマチ剤の併用は意味があると思います。また血液検査では、少数の小さな関節(例えば手指の関節)の炎症までは反映しないことも多く、そのような場合には炎症の残っている関節では関節破壊が進行する危険性がありますので、ステロイドなどを併用した関節注射は関節の炎症を抑えるために有用です。
(令和3年11月)
- Q.121間質性肺炎があり、生物学的製剤があまり効かなくて、JAK阻害薬を勧められましたが、顎の癌にかかったことがあります。使っても大丈夫でしょうか?
TNF阻害薬(MTX非併用で使用できるinfliximab以外)もまだ使用歴が無いようですので候補になりますが、IL-6阻害薬(MTX非併用)の方が良いと思います。JAK阻害薬は、現時点では、直近の悪性腫瘍の既往がある場合は避けておくのが賢明と思います。
(令和3年12月)
- Q.122メトトレキサートを服用してから10カ月たち、関節リウマチが収まってきたのですが、2か月に1回くらい痛いことがあり、また自然に治ります。CRPや血沈は正常だと言われます。メトトレキサートを痛いときにのみ服用するのではだめでしょうか?
メトトレキサートは基本的は抗リウマチ薬ですので、疼痛時のみ頓用で服用するという飲み方は正しくありません。疼痛時のみ非ステロイド系抗炎症薬を服用して対応すれば良いと思います。ただ、普段痛みもなく、検査も正常になっている状態であれば、メトトレキサートの減量は可能かもしれませんので主治医にご相談されたらいかがでしょうか?
(令和4年1月)
- Q.123母が関節リウマチです。 関節リウマチによる手の痛みがあります。 炎症からきているものと思いますが、鎮痛炎症作用のあるフェルビナク軟膏を塗っても大丈夫でしょうか?
局所の治療としては塗っても構いませんが、関節リウマチは全身の病気なので、まず全身の治療をしたうえで治らないところに重点的に塗布されることが大事です。そうでないともぐらたたきになりかねません。(令和4年2月)
- Q.124現在43歳です。両肩と両手首が順々に痛くなったので血液検査をしたところ、RF22.1 MMP3 57.4 抗CCP抗体72.3 血沈120分19でした。目立った骨の変形はありませんが、年齢相応に骨の隙間が狭くなっていること、肩が少しいびつになっていることを指摘されました。主治医から次回の診察までにリウマトレックスを飲むか否か決めてくるように言われましたが、治療を開始するべきでしょうか。 現在は、半月に一度程度、軽く肩が痛くなります。
RF、抗CCP陽性で両側の手関節(いわゆる小関節)に6週間以上持続する疼痛(関節炎?)がある、となると早期の関節リウマチ(RA)として、リウマトレックス(MTX)を開始するのは妥当です。しかし、120分の血沈が19(通常は60分値が基準でこのケースではおそらく10 mmくらいと推定しますので正常です)、現在は手首は痛まず肩の軽度の疼痛のみとのことで、明らかな関節腫脹がない(できれば関節エコーで確認すべき)ならば、当面はRA疑いとして非ステロイド抗炎症薬のみで経過観察の方が良い思います。
(令和4年3月)
- Q.125脊椎関節炎と診断され IgA腎症の持病があるのでタクロリムスを処方されました。調べてみると腎機能への影響のある薬を処方されたような気がするのですが、処方された通り飲んでも大丈夫なのでしょうか
脊椎関節炎の治療としてケアラムやタクロリムスを使用することは通常少ないと思われますが、詳しい状況がわからないので何とも言えません。
タクロリムスの副作用として腎障害があり腎機能が低下している場合には慎重に投与する必要がありますが、腎機能が正常でば定期的に検査をすれば大きな問題になることは多くありません。(令和4年3月)
- Q.126乾癬による関節炎でCRPの値が高くなりリウマトレックスを増やしました。 服用を初めて2か月目までは肝機能の数値は変わりなかったのですが、3か月目に上がってしまいました。薬の副作用は服用を初めてどのくらいの期間で出るものなのでしょうか? 肝機能数値は一時的なもので、下がったり上がったりするものでしょうjか。肝機能障害になってしまうことはありますか。 また、食生活で肝機能を上昇してしまうものがあるのでしょうか。
薬自体による肝機能の上昇は3カ月以内に出ることが多いですが、その後でも薬に加えて過労、脂肪肝などの薬事以外の要因などでも異常値になることもあります。一般的にはAST、ALTが正常値の上限の2倍以上になったときにはメトトレキサート(リウマトレックスなど)を減量、3倍以上では一時的に休薬して改善を確認してから減量して再開となることが多いです。肝障害の予防として葉酸を服用することが多いですが、併用にて改善するのは80%程度とされています。長期的に肝機能障害とならないために、定期的に検査を受けていただくこと、生活習慣などで脂肪肝などにも気をつけていただくことは重要です。いずれにせよ、一度肝臓の数値が上がったからといってメトトレキサートがもう服用できないというわけではありませんので、主治医の先生と相談して葉酸の併用、用量の調整などを行っていただくことをお勧めします
(令和4年4月)
- Q.127ロキソニンはどのくらい飲んでも大丈夫なんでしょうか? 生物学的製剤を使っていますが痛みがありロキソニンをもっと使ってもいいと言われましたが使い過ぎるのも心配です。どのくらいまでなら大丈夫なのでしょうか?
医師処方のロキソニンは腎臓や肝臓に問題がなければ、1日3回1錠づつの計3錠までは服用できます。しかし、関節リウマチとして生物学的製剤使用中でもまだロキソニンを使わなければならないほどの関節の痛みがあることの原因も考える必要があります。すなわち、生物学的製剤を使用しても、現在もなお関節痛がある原因として、1つは関節リウマチがまだ十分にコントロールされていない可能性があります。その場合には、治療方針の再検討が必要となります。治療法の変更には、他の生物学的製剤に変更するとか、さらに種々の生物学的製剤を使用してきても十分に関節リウマチがコントロールできなければ、ジャック(JAK)阻害剤の経口薬への変更などが行われます。2つ目は、関節リウマチが現在の治療により十分コントロールされているにもかかわらず、リウマチの治療が遅れたとか病勢コントロールまでに長時間要した場合には、リウマチの病勢と関係なく、痛みが慢性化して、いわゆる「慢性疼痛」に変化(痛みの中枢性感作といいます)し、関節の痛みが長期間持続することがあります。この慢性疼痛はロキソニンなどのいわゆる消炎鎮痛剤では効果がなく、慢性疼痛用治療薬 (リリカ、タリージェ、サインバルタン、トラムセット配合錠など)の薬剤で痛みの緩和が行われます。3つ目はこれまでの関節リウマチが進行性であり、関節の変形をきたしている場合は、生物学的製剤によるリウマチ治療でコントールされていても、関節変形に伴う関節痛が残ります。関節変形による痛みは、関節の安静時(関節を動かさない状態)には基本的には関節痛はほとんどありません。治療中にもかかわらず関節痛が残っている場合は、以上のような原因が考えられますので担当医といずれの原因によるかご相談ください。
(令和4年4月)
- Q.128ケアラム開始を開始して一週間後、寝れない程の痛みが続き鎮痛剤をいただけないかと受診した所、エタネルセプトBSをすすめられました。即効性があり副作用も少ないとの説明を受け注射をしてもらいましたが、後に生物学的製剤は抗リウマチ薬の有効性が見られない場合の次の段階の治療法だと知りました。現在ケアラムの有効性の有無を見ている段階ですが、注射を続ける必要性はありますか?注射は一回で中止しても問題はありませんか?
関節リウマチに対する生物学的製剤は1回注射後であっても中止しても、まったく問題がありません。一方、生物学的製剤はいずれの時期から使用するかについては、以前は従来の経口抗リウマチ薬で十分にコントロールされない場合に生物学的製剤導入が考慮され、使用の適否を患者さんとよく話し合った上で使用されの一般的でした。しかし、最近の生物学的製剤開始の時期については、関節リウマチの関節の破壊・変形はリウマチ発病早期にからすでに強く起こることから、病勢の強い、あるいは急速に関節の破壊が起こることが予測される場合には、従来の経口抗リウマチ薬と同時に生物学的製剤が開始されるようになってきています。したがって、貴方のリウマチが病勢が強く、早期から関節の破壊を予防する必要があるために、ほぼ経口抗リウマチ薬(ケアラム)の使用と同時に生物学的製剤が併用されたものと思われます。生物学的製剤併用によるリウマチの病勢が十分に抑えられ、一定期間コントロール(寛解)された時期が続けば、生物学的製の休薬も可能となることもあります。したがって、自己判断で併用開始となった生物学的製剤を中止するjことなく、担当医とよくご相談頂いて、リウマチ治療の方針を理解され、患者さんと担当医が協働で貴方のリウマチをベストコントロールにもっていきましょう。
(令和4年4月)
- Q.129祖父が関節リウマチと診断されています。肺結核の既往あり。石灰化されていますが胸水もあります。メトトレキサートの禁忌に胸水がありますが、臨床上それを踏まえた上でも第1選択となるのでしょうか?それとも絶対禁忌なのでしょうか?
いわゆる潜在性結核といわれる状態かと思われますが、事前に肺の状態のチェックが必要です。メトトレキサートは禁忌ではないと思われますが、他の免疫抑制が弱い経口抗リウマチ薬で治療できれば安全性は高いと考えられます。メトトレキサートを使用する場合には抗結核薬の事前からの投与が必要となります。投与前の肺の状態の評価や、メトトレキサート投与の是非、治療開始後の経過観察などは呼吸器内科の先生と相談して進めていくことが必要と思われます。
(令和4年5月)
- Q.130バイオシミラーを使用している施設はどのように探したらよいでしょうか。
バイオシミラーを使用している施設がどこにあるかを調べる方法はありません。しかし多くの施設で導入されていますので担当の先生にご相談ください。
(令和4年6月)
