リウマチを知ろう!

リウマチQ&A

Q.107関節リウマチで、乳がんも治療中です。関節リウマチがコントロールできないのでリウマチの主治医からリウマトレックスをアクテムラにかえることを勧められましたが、乳がんの主治医は再発のリスクが高くなると心配しています。どうしたらよいのでしょう。 

この量のリウマトレックスに乳がんを抑える効果があるのかは疑問です。一方でリウマトレックスが癌を誘発するという報告もありますが、これについても意見が分かれています。またアクテムラを使うときにリウマトレックスをそのまま併用することもできます。リウマチの医師と乳がんの医師でよく話し合っていただくようにお勧めします。

(令和3年 2月)

Q.106線維筋痛症の患者です。長い間何種類も薬を服用しており現在は8種類処方されています。調べてみると、てんかん薬や胃薬のようなものも処方されているようです。どうして痛みに対する薬ではなく、抗てんかん薬や胃薬など多数の薬が処方されるのでしょうか?また、薬は減らすことはできないでしょうか?

線維筋痛症は原因不明の病気であり、原因療法ができないために、主症状であるつらい全身の痛みを和らげる(緩和)慢性疼痛治療薬が使われます。線維筋痛症の痛みは、痛みを感じる神経が、痛みを感じる場所(例えば腕や背中など)にまったく異常がなく、その部位の痛みを感じる神経が、自然に過剰に興奮しているために感じる痛みです。急性の痛みの薬剤(ロキソニンなど)はまったく効果がなく、痛みの過剰興奮を抑えるために、薬の分類としては本来は抗てんかん薬と分類される薬剤(リリカなど)が使われます。十分な効果が得られない場合は、時には他の抗てんかん薬(デパケン、リボトリールなど)を併用したり、抗うつ薬(サインバルタなど)なども使用されます。ですから線維筋痛症に抗てんかん薬を使うのはてんかん発作を抑えるためではありません。一方、線維筋痛症では精神・心理療法(認知行動療法など)、運動療法も行われることがあります。さらに、線維筋痛症では痛み以外に、随伴症状として抑うつ気分、疲労、睡眠障害や脱力症状など多彩な症状があり、これらに対しても対症療法として、いくつかの薬剤(ドグマチールなど)が、しばしば追加されることがあり、結果的に多数の薬剤の服用(ポリファーマシー)となります。しかし、線維筋痛症の中心症状である身体の広範囲の痛みが緩和・軽減されれば、上記の随伴症状も改善し、薬剤を減らすことも可能です。
 線維筋痛症は痛みと多彩な随伴症状があっても、改善すれば、後遺症はまったく残しません。したがって、ご自身なりに、線維筋痛症とうまく付き合う無理のないライフスタイルを工夫され、軽い運動を定期に行い、症状の改善がみられれば、服用する薬剤を一つでも減らせ、気分もよくなり、さらなる好循環で薬剤の減量につながります。

(令和3年1月)

Q.1052年前より総合病院の整形外科で、右膝の変形性膝関節炎の治療を受けていましたが、改善が見られない事から内科転科で検査の結果、昨年、関節リウマチと診断されました。薬の服用により、血液検査の数値は正常値になりましたが、関節の症状に改善は見られません。先月のレントゲンでは膝関節の破壊が進んでいるとの診断を受けて、エンブレル投与が開始されました。丁度一か月が経ちますが、症状に改善がありません。むしろ、これまで唯一、右手中指にだけあった痛みが今は他の指にも広がり、強ばりがあります。このまま、内科で治療を続けるべきか悩みとても不安です。

現在の治療については、エンブレルを導入されても症状の軽快・消失がなく、逆に他の手指の症状やこわばり感の増強があるということですので、エンブレルの効果の判定(効いているのかいないのか?)やエンブレル以外の内服薬の変更などを主治医にまずご相談されてはいかがでしょうか?
関節リウマチの関節痛には主に二つの原因があります。一つは“関節の炎症(関節炎)”による痛みで、もう一つは“関節の変形・破壊”による痛みです。ご相談いただいた膝関節に関しては、元々“関節の炎症”による痛みよりは、“関節の変形・破壊”による痛みの方が強かったのではないかと考えます。“関節の炎症”による痛みのみであれば、エンブレルや他の薬剤に効果があればある程度治まるはずですが、今回の場合症状に改善がないということですので、エンブレルを含めた薬剤が効いていないか、あるいは“関節の変形・破壊”による痛みの方が強いのではないかと考えます。
小さな関節であれば生物学的製剤には関節修復の効果も期待できることがありますが、膝関節のような大きな関節では一般的に修復は望めません。“関節の変形・破壊”の程度にもよりますが、手術治療が必要となる場合もあります。

(令和3年 1月)

Q.104この1月初旬から起床時に両手の指(第2、第3関節)にこわばりの症状が出始め、マッサージをすると5分くらいで治る感じです。でも毎日なので心配で今、検査をしてもらおうと考えています。 関節リウマチと診断された場合どのような治療が始まるのでしょうか? 現在ジョギングで週末10kmほど走っていますが、やめた方が良いでしょうか?治療しうまく寛解状態になったとしたら、どのくらいまで運動しても大丈夫でしょうか?これまでトレッキングもしていましたが続けることは出来ますか?

① ご相談いただいた症状からは関節リウマチの可能性が高いと思われます。なるべく早くリウマチ専門医の診断を受けた方がよいと考えます。
② 仮に関節リウマチの診断がなされた場合、治療に関しては内服の薬剤による治療が開始になると思います。その他関節保護や日常生活動作の指導なども必要になります。薬物治療の詳細に関しては、様々な選択がありますので主治医の先生と十分な話し合いをして決めていただくことが大切です。
③ 関節変形や関節破壊がなければ、元々運動をされていた方は寛解状態にあれば、元の運動レベルに戻してよいと考えます。
(令和3年 1月)

Q.103母が2年前からリウマチの治療を受けており、現在シェーグレン症候群と間質性肺炎を併発しています。 薬はメトトレキサートを服用中です。 今年の7月に関節の痛みが酷くなり、かかりつけの病院を受診したところ、関節リウマチが急激に悪化していると診断され、アクテムラの皮下注射を週に1回、5週分処方して頂きました。 しかし、アクテムラの副作用の項目に間質性肺炎と書かれており、既に間質性肺炎を患っている母がアクテムラを打つ事により、病状が悪化するのではないかと心配です。

間質性肺炎は何らかのきっかけで炎症が一気に悪化することがあり、命に関わる非常に危険な状態であるため、何よりも早期発見が大切となっています。    

アクテムラを使用の際には間質性肺炎に気を付けなければならないのは確かですが、抗リウマチ薬には少なからず間質性肺炎への注意喚起がなされております。現在メソトレキサートを内服中とのことですが、この薬剤も(むしろ本剤の方が)同様に間質性肺炎について注意が必要な薬剤であります。            

大切なのは、肺炎の症状が悪化した時にしっかりと対応できることを考え、かかりつけの医師(呼吸器科の先生やリウマチの先生)に使用している薬剤と自覚症状の報告をきちんとしてフォローしてもらえるようにしてください。自覚症状は空咳が増えたり、倦怠感があったりしますが、自覚しづらい場合があるため、普段からお母様が呼吸を苦しそうにしていないか注意して観察するようにしてください。   

薬の影響のみならず、病態の影響があることを理解して、症状が悪化したときに自身が対応できる方法(普段から相談できるかかりつけ医や薬剤師などに相談)を検討ください。

(令和2年 10月)

Q.97悪性リウマチを10年以上患っています。 生物学的製剤も、レミケード、アクテムラをしましたが、足だけでしたが、右手も腫れて、物が持てなくなったので、オルミエントにかえて2ヶ月になろうとしていますが、膝から下の浮腫が酷く、靴が履けないくらいになり不安になっています。 足首からリウマチが始まっているので、足に薬が効果を出しているのでしょうか? 手の腫れはましになりましたが、足が浮腫み不安です。

悪性リウマチというのは悪性関節リウマチ(血管炎を伴い全身の臓器障害を伴う関節リウマチ)のことでしょうか?そうであれば心臓や腎臓にも影響を及ぼして、特に下肢(足)のむくみがでることがあります。また多くの薬剤の関連で浮腫むこともあります。さらに関節自身が腫れていてむくみになることもあります。これらのことを主治医の先生に鑑別していただき、どのような治療をするのかを考えていただくようにご相談ください。(令和2年4月)

Q.98扁桃病巣感染症として、扁桃摘出術をすることで一部の関節リウマチに改善が見られたという情報を知り、かかりつけ医に扁桃摘出の了承を得たところです。 扁桃摘出後にリウマチの症状が改善された症例がどのくらいあるのか教えてください。

関節リウマチでは歯周病や腸内細菌が関連しているということが言われていますが、扁桃の病巣感染との関連は一般的ではないと思われます。扁桃摘出は、皮膚の掌蹠膿疱症という病気に伴う骨関節炎や、扁桃炎後にみられる溶連菌感染後反応性関節炎という病気では有効性が報告され、行われることがあります。関節リウマチに対して扁桃摘出が行われることは通常はありません。
(令和2年6月)

Q.99東京医科歯科大学の研究で乳がんの治療薬CDK阻害剤がリウマチを根本から治す可能性があるとの記事を見ました。私は生物学的製剤4種類の効果なし&二次無効であまり後がない状態です。このお薬の治験や認可は進んでいるのでしょうか、また今後の発売される予定の新薬はどれくらいあるのかお解りになれば教えてください。

乳がん治療にすでに使用されているCDK(サイクリン依存性キナーゼ)阻害薬は、簡単に言うと細胞の増殖(分裂して増えること)を抑制する薬剤です。したがって、癌細胞の様に異常に増殖する細胞を抑える、ということで効果を発揮しています。関節リウマチは、関節の滑膜に炎症を起こす疾患で、癌ではありませんが、炎症を起こしている細胞があたかも「癌細胞」の様に増殖し、いろいろな炎症性サイトカイン(TNFアルファや、インターロイキン6など)を出して滑膜炎を起こします。したがって、この様な増殖する細胞を抑える、という観点から、理論的には抗癌剤はある程度関節リウマチに有効です。実際、関節リウマチの第1選択薬であるメトトレキサートは抗癌剤です。しかし、CDK阻害薬は現時点で乳がんだけに保険適用である様に、すべての癌に効く訳ではありません。まして癌ではない関節リウマチに本当に効果があるかどうかは、「治験」をきちんとしないとわかりません。医科歯科大学では、当初動物モデルや、患者の滑膜から得た細胞を使って基礎実験として、関節リウマチに効く「可能性」を指摘してきました。しかし、まだ実際にリウマチ患者に投与する様な治験は行われていません。これからに期待はしたいと思いますが、関節リウマチの新薬として使用できるまでの道のりは長く、そして簡単なものではないでしょう。ただ、最近では、JAK阻害薬が、生物学的製剤に勝とも劣らない有効性があることがわかってきました。開発も進み、2013年に発売されたゼルヤンツを皮切りに、2017年オルミエント、2019年スマイラフ、2020年にリンヴォックが発売されました。さらに9月頃に5番目のJAK阻害薬が製造承認される予定で、大変期待されています。安全性についても大きな問題はないことが徐々にわかってきました。JAK阻害薬は、生物学的製剤とは異なり、内服薬であり、現在の第1選択であるメトトレキサートより有効性が高いことも明らかになっていますので、今後のリウマチ治療の大きな柱になることが期待されています。(令和2年 6月)

Q.100右中指第2関節の痛みと腫れが気になり健康診断でリウマトイド因子を調べて貰ったところRF数値が148となっており、再検査を勧められ リウマチ科を受診。 再度詳細な血液検査をしたところRf153. MMP3は24、血沈17,抗ccp抗体0.5未満でした。 生物学的製剤での治療を勧められたたのですが迷っています。 リウマトイド因子があるのは確実かと思いますが今のところは日常生活には支障はありませんが早目にから治療開始した方が良いのでしょうか?

右第2近位指節間関節に腫れと痛みがあり、検査ではリウマトイド因子がそれなりに高値陽性であることから、発症早期の関節リウマチ(RA)であろうと評価されます。RAの治療方針は関節の構造的破壊を起こさないために、早期診断、早期治療が原則です。したがって、現在の関節炎症状で日常生活に影響がないから様子をみることは、好ましいことではありません。しかし生物学的製剤をはじめから使用することは現時点では推奨されていません。発病早期であればあるほど従来型の抗リウマチ薬でも十分な効果が期待でき、使用可能な方にはメソトレキサート(MTX)が第一選択薬とされています。生物学的製剤は次の段階での使用薬剤と分類されています。そこで、現在の担当医と開始すべき薬剤とについて相談頂くことが必要ではないかと思います。(令和2年 6月)

Q.101子供を出産後手のこわばりが強まり、検査で関節リウマチと診断されて治療していますが、数値が低いので医師は強い治療は控えています。しかし痛みが強いので注射を始めたほうが良いのか迷っています。注射をはじめて効かなくなったらとも思うと不安になります。

痛みが強いのは困りましたが、だから注射を使うというのではなく、医師は治療の方針を関節リウマチの病気の勢いを症状や検査の値から数値化してその判断をしています。注射(バイオ製剤)は単なる痛みどめではなく、病気をコントロールすることで痛みが消失するのです。また効かなくなる心配よりも使わないでいて関節が壊れてしまう方が心配です。リウマチの治療は多くの新しい薬が次々でてきており、効かなくなるのを心配して使わないという不安はありません。
(令和2年 7月)

Q.102シェーグレン症候群と強皮症の未病といわれ、さらに関節が痛いのは血液学的陰性リウマチと言われて、たくさんの薬剤を処方されたが服用しなければならないのでしょうか?(メトトレキサート、プレドニン、フォリアミン、ネキシウム、ボンビバ、エディロール)

あなたの場合はいくつかの病気が合併しているように見えますが、これらはお互いに関係があり、もともとは同じ一つの病気から出ている症状と考えたほうがご理解いただけるものと思います。それらの症状に対していろいろな薬剤が必要になりますし、これらの薬の副作用を予防するためにあらかじめ葉酸、胃薬や骨粗鬆症の薬が必要になります。拝見したところ処方内容に医師としては違和感はありませんが、薬が多いというのであれば医師にそれぞれの薬の必要性を確認されてはいかがでしょうか?

(令和2年 7月)

Q.96リウマチとがんの因果関係についてお尋ねしたいことがあります。 最近では、関節リウマチだからといってがんになる可能性が高くなるわけではないというふうに聞きますが、その真偽はどうなんでしょうか? またその逆、がんが原因で、あるいはその治療の影響で、関節リウマチになることやリウマチになる可能性はあるのでしょうか?

現在のところ、血液のがんのひとつである悪性リンパ腫に関しては、関節リウマチの患者さんで一般人口と比べて多いとされ、肺がんに関しても、若干、その傾向があることが報告されています。しかし、がん全体でみると、関節リウマチと一般人口でほとんど差はないとされています。がん患者さんの一部では、関節痛が起こることがあります(腫瘍随伴症候群)。また、ニボルマブ(商品名オプジーボ)などの免疫チェックポイント阻害薬といわれる薬剤では、副作用として関節炎が起こることがあります。しかし、一般的には、がんやその治療薬が原因で関節リウマチが起こるとは考えられていません。(令和2年4月)

Q.365年以内にリウマチになるでしょう、大きな関節が腫れたら診察に来るように言われました。半年たって小さな関節の痛み、腫れが数か所に増えています。整形では定期的に検査することを勧められました。リウマチ専門ではないですが整形で検査をお願いしても同じでしょうか。RFとCCPは陽性の場合CPRの数字次第でリウマチ科にかかるか決めたらいいのでしょうか。腱鞘炎や年齢で関節が悪くなっているのか自分で検討をつける方法はないものでしょうか。なるべく薬は使いたくないのですがリウマチならば母のように骨が変形しないように治療したいです。

現在の状況ですが、医療施設を受診されて“5年以内にリウマチになる可能性があると言われ、現在は小関節の炎症が数か所ある“ということでよいでしょうか?
もしそうであれば、既に関節リウマチがしっかりと発症していると考えられます。病気の現状(疾患活動性)や関節の状態は御自身で正確に把握することは不可能ですので、リウマチ専門医(内科でも整形でも可)を早めに受診された方がよろしいかと思います。また“なるべく薬は使いたくない”というお気持ちは理解しますが、もし関節リウマチの診断がつくのであれば、薬物治療は必要と考えられます。薬剤の量や種類の調整はしばらくの間必要ですが、将来的にずっと薬を飲み続けなければならないとも限りません。大切なことは、今ある関節炎を放置しないことです。(令和3年8月)

Q.37手足指の第一関節がリウマチの審査診断の基準になら入っていないのは何故でしょう。変形性関節症と区別するためと何かで見ましたが、リウマチではそこには痛みや腫れが出ないということでしょうか。

関節リウマチでは第二関節の腫れと痛みが特徴です。第一関節に関節炎があることもありますがその場合も第二関節に何らかの変化があり、第一関節だけに関節炎がみられることは一般的にほとんどありません。一方、変形性関節症では第一関節に節のような硬い腫れがみられ、へバーデン結節と呼ばれています。また、皮膚の乾癬という病気に伴う関節炎は第一関節にみられることがあります。

Q.38関節リウマチでリウマトレックス7mm/週、フォリアミン15mg/週、タクロリムス1mg/日を服用し症状は安定しています。一方血液検査ではALTが昨年平均35U/Lが今年は55U/Lに、γGTが昨年平均45U/lが60U/lになっています。担当医はASTは正常値なので減薬しなくても大丈夫だといいますが、このままにしていて大丈夫なのか心配です。 あるいは他の病気を疑われるということでしょうか。

薬剤については直ちに減量や中止をする必要はないと思われますが、持続するようでしたら他の原因がないか検査されてもよろしいかと思います。

(令和3年12月)

Q.395年程前より手指の違和感があり、経過観察をしていました。その間、血液データでの異常はありませんでした。約8か月前にX-Pにて肘の骨びらんが見つかり、手指の腫れや熱感などトータル的にみてリウマチ症状なので、陰性リウマチとして内服をはじめました。現在ケアラム25mgを2錠、メトトレキサート2mgを5錠、フォリアミン2錠に胃薬、鎮痛剤です。血液データ上での判断ができないため、医師(3名)にはたびたび『ほんとにリウマチかな?』と不安な発言をされます。きちんと診断して治療をしたいです。診断は無理なのでしょうか?

関節リウマチの診断ですが、血清リウマトイド因子や抗CCP抗体などの検査は診断を行う上で非常に重要ですが、それが陽性であるだけで診断が可能なわけではありません。逆にこのような検査が陰性のいわゆる“血清反応陰性の関節リウマチ”の患者さんは数多くいらっしゃいます。
今回のケースでは、おそらく血清学的検査は陰性であったものの、肘の骨びらんを認めたため、主治医は“血清反応陰性の関節リウマチ”と診断して、抗リウマチ薬を処方していると考えます。『ほんとにリウマチかな?』というのは治療をする側にはよくある思いですが、今回はそれがそのまま患者さんに伝わって誤解を生じたのだろうと思います。

(令和4年4月)

Q.41両方の足指の根本が腫れ、歩く度に痛みがでます。また、時折、肩や手首に動かせなくなるくらいの激痛が襲ってきます。痛みは3日ほどで治っていました。病院へ行き、血液検査をすると、RF定量18、抗CCP抗体168でしたが、CRP0.1、MMP3 28.9と基準値のため、たぶん関節リウマチだろうけど、治療はしないといわれました。足指と肩はずっと痛みが続いています。このまま何もしないでおくのも不安です。ネットにはHRTでリウマチの発症を抑える効果も期待できる。とでていました。関節リウマチであれば早目の治療がよいのではないでしょうか。

無治療の状態で、RFや抗CCP陽性のみでCRPが陰性の場合は、関節リウマチではない可能性があります。あるいはまだ初期で今後典型的なリウマチ症状が出てくるかもしれません。RF陽性などがあるので、背景にシェーグレン症候群などが潜んでいることも考えられますが、痛風などほかの病気の検査もすべきかと思います。単に痛いだけでなく、実際に腫れているのであれば、炎症を抑える薬が必要です。また不安や緊張など、精神的なストレスでも痛みを感じることがありますので、そのような可能性がある場合は、原因となるストレスの解消に努め、どうしても困難な場合は精神科やメンタル科に相談して、抗うつ薬や抗不安薬などを検討していただくのが良いかもしれません。痛みがあるのに何もしないで我慢されることはないと思います。

(令和4年8月)

Q.42関節リウマチ治療中でオルミエントを服用しています。微熱が続いています。血液検査は問題ありません。感染を疑い抗生物質が出されました。飲んだら熱は下がりました。飲みきり2日後からまた発熱しています。怠さのみで風邪症状はありません。どうしたらいいのでしょうか?CRPは高くないので大丈夫と言われますが発熱しているとどこも行けまません。

発熱の原因を探して治すべきです。抗生剤で熱が下がりやめたら再度発熱したということは、体のどこかの細菌感染症が疑われます。オルミエントを服用していると感染を起こしていてもCRPはあまり上昇しないので気を付けなければなりません。

(令和4年12月)

Q.43関節リウマチで生物学的製剤を使った治療を受けています。血液検査でカビ感染していることが分かりました。仕事で野菜や果物を扱い、カビの生えたものを毎日処理したりしています。カビ感染はここからのものなのでしょうか?

血液検査で「カビ感染」ということですが、「βーD-グルカン」の値が高いということだと推察します。その場合、ほとんどは体内に元々持っているカビ(ニューモシスチス、カンジダ、アスペルギルスなど)が生物学的製剤の使用などによって免疫が低下することで増殖してくるのが原因です。アスペルギルスなどは環境から吸入して侵入することもありますが、扱っておられる食物に生えるカビから感染することは、一般的には知られていません。ニューモシスチスを疑うならST合剤の内服(バクタなど)または点滴(バクトラミンなど)、カンジダならイトリコナゾールやボリコナゾールなどを使用すると良いと思います。

(令和4年12月)

Q.44関節リウマチです。検査数値は変わりませんが痛みが増えてきました。悪化しているのでしょうか?薬が効かなくなってきたのでしょうか?

関節リウマチの状態は関節の腫れや痛み、血液検査(CRPやMMP-3など)、患者さんや医師の評価を用いて総合的に判断します。また、関節超音波で関節に炎症があるかみることもあります。IL-6という物質を抑える生物学的製剤(アクテムラやケブザラ)などでは炎症があってもCRPが上がらないこともあります。また、痛みは様々な原因が起きるので、やはり主治医の先生にお聞きいただくのがよいかと思います。

(令和5年2月)