リウマチQ&A
- Q.3左手中指の第2関節の痛みがひどくなってきたので、採血、レントゲンをしました。結果、レントゲンは異常なし、CRP 0.1未満、MMP-3 22.9、RF3で、全て陰性でした。 関節痛はありますが、主治医より腫れはないといわれました。見た目は腫れてないのですが、手首も痛く、むくみがあるので、自分では腫れてるように感じます。 関節リウマチでも血液検査に出ないこともあるようですので、今後1か月毎に採血するようにいわれましたが、毎月必要でしょうか?またこのような結果でも関節リウマチの可能性はあるのでしょうか?
関節リウマチのはじまりはご質問者のような症状のこともあります。できるだけ早期に正確に関節リウマチを診断し、積極的な関節リウマチ治療を行うことが、関節の破壊・変形予防にきわめて重要です。そのような意味からも、ごく早期の関節リウマチの可能性も十分にあります。
したがって、症状のある関節の超音波検査(エコー検査)やMRI検査で早期の関節炎を検出する必要がありますし、血液検査でも抗CCP抗体のような早期の関節リウマチに有用な検査があります。また、血液検査で異常がなくても超音波検査やMRI検査で診断できる場合もあります。
このような点からも、症状が続くのであればもう少し検査をしたほうがよいかもしれません。リウマチの専門医、日本リウマチ財団登録医などのもとで定期的経過観察を行てください。(平成23年7月/平成29年12月更新)
- Q.42年前、産後に手の腫れがあリ、リウマチの検査をしました。RAは陽性、CCPは陰性と診断されました。その後手の腫れも収まりましたが、定期的に検査を勧められていたこともあり、今年RA検査をしました。RAは数値が20台から40台に上がっていました。痛みや腫れはないため様子見となりましたが、CCP検査は定期的に行う必要はありますか。
ご質問のなかのRAというのはリウマトイド因子(通称リウマチ因子、専門的にはRFと記載されます)のこと、CCP検査は抗CCP抗体のことだと思いますので、その観点から回答します。
RFという検査は、一般に関節リウマチの患者の70%〜80%で陽性となる一方で、関節リウマチではない人が陽性になることが20%くらいあります。つまり、質問者の様に、何の症状もない健常者でも陽性となることがときどきあります。
一方抗CCP抗体は関節リウマチ患者さんの約80%で陽性、関節リウマチではない患者さんでは90%以上が陰性で、より正確な検査とされています。
したがって、関節リウマチかどうかを判断する場合は、従来のRFより抗CCP抗体のほうが、少しですが優れている検査といえます。ただし、抗体が陽性であるというだけでは、治療はしません。実際には関節の腫れや痛みなどの症状が出てから医療機関を受診してRFや抗CCP抗体などの検査を受ければ十分だと思いますし、定期的に抗CCP抗体を測定する必要はありません。(平成24年2月/平成29年12月更新)
- Q.5皮膚筋炎/多発性筋炎は筋生検や筋電図は確定診断には必須なのでしょうか?
皮膚筋炎/多発性筋炎は臨床症状や複数の検査所見を元に総合的に判断し診断します。検査としては、筋肉が炎症でダメージを受けた際に血液中に流出するクレアチンキナーゼやアルドラーゼの量を血液検査で調べます。また、筋炎の患者さんの20%程度に陽性となる抗Jo-1抗体という自己抗体の有無も血液検査で調べます。
その他に、筋力低下の原因が筋肉の障害なのか神経の障害なのかを区別するための針筋電図や、筋炎の拡がりを把握するためにMRI検査を施行しますが、これで筋炎の確定診断には至りません。診断確定には筋生検を行います。筋生検は、患者の同意がなければできませんが、筋ジストロフィーや糖原病などの他の筋疾患との鑑別診断のために重要です。(平成26年8月)
- Q.6人間ドッグを受けたところリウマトイド因子(RF)の数値が高かったため、リウマチの専門医を受診しました。血液検査をし、RF133、抗CCP抗体48.1、MMP-3 13.1、赤沈1時間値8でした。今後発症する可能性はあるが、現在関節痛などの症状がないため、定期的に血液検査をして経過観察することになりました。 血液検査のみしかしてませんが、ほかの検査は必要ないでしょうか?このまま経過観察でいいでしょうか?
健診でリウマトイド因子(RF)が陽性となり相談に来る人は少なくありません。関節リウマチの診断は、血液検査だけではできません。
実際に自覚症状があるかどうかが重要になります。赤沈、CRPといった炎症反応検査の動きがなく、自覚症状がまったくなければ、他の検査は必要ないと思われます。
もし一部の関節が腫れたり、痛い関節があるのであれば、血液検査よりも鋭敏といわれている関節の超音波検査(エコー検査)やMRI検査が行うことができます。また、シェーグレン症候群など、ほかの疾患がないかについても確認する必要があります。
(平成29年5月/平成29年12月更新)
- Q.7ここ10年ほど、ときどき関節が痛むので、そのつど検査をしてきましたが、「リウマトイド因子(RF)の数値は高いが治療はまだ必要ない」との診断でした。現在も冬場に関節がたまに痛むくらいで、腫れや炎症はありません。 最近の検査ではRFが102で陽性、抗CCP抗体が、29.7で陽性、CRP0.28、抗核抗体が40でしたが、主治医より「現在即治療の必要はない。様子をみましょう」といわれ安心しています。しかし、これからも関節リウマチになりませんか。
リウマトイド因子(RF)、抗CCP抗体が確実に陽性であり、すでに関節症状が出ていますので、関節リウマチの可能性が高いと思われます。積極的な治療が必要かどうかは、関節痛を認める関節に滑膜性の関節炎があるかによりますので、関節の超音波検査(エコー検査)やMRI検査による評価が必要でしょう。
関節リウマチは、早期であればあるほど、治療効果が十分に期待できます。
(平成29年12月更新)
- Q.81ヶ月前から朝の肩こりと手の指の強張りが激しかったため、最寄りの膠原病・リウマチ内科にかかりました。 血液検査の結果、リウマチではないとの診断でしたが、抗CCP抗体の検査がありませんでした。更年期によくある症状とのことで、漢方薬を処方され飲み始めたところ、朝の手の強張りは軽くなりました。 抗CCP抗体の検査は必須と考えてよろしいでしょうか。
リウマトイド因子(RF)、抗CCP抗体がいずれも陰性でもリウマチの場合がありますので、まずは症状が大事です。RFが陰性で、抗CCP抗体が陽性のリウマチ患者さんの割合は高くありませんが、手や指などの関節に腫れや、痛みが持続しているようであれば、抗CCP抗体を測定したほうがよいと思います。症状がよくなっているようなら、とくに測定の必要はなく、もし今後、関節症状があったときに測定を依頼することで宜しいかと思います。
(令和3年12月更新)
- Q.9これまで整形外科では3ヶ月か半年での血液検査でしたが、リウマチ専門医に通うようになり、毎月毎月のように血液検査があります。症状は寛解状態でとても元気です。骨の破損変形ありません。関節リウマチ治療を早期に始め10年以上MTXでコントロールできています。 血液の頻度は毎月必要なのでしょうか?
定期的な血液検査は必要ですが、必ずしも毎月必要とは限りません。
主治医の先生とご相談ください。
(令和3年12月更新)
- Q.10関節リウマチ診察時、当日の血液検査結果がわかる医院と、前回の検査結果しか分からない医院があると思いますが、当日の検査結果は重要ではないのでしょうか? 病状によって異なるとは思いますが、当日に結果がわからなくても問題はないのでしょうか?
結果が当日わかるのは大病院など施設内に測定する検査機器が揃っているからです。特殊な検査などはどの病院も他の研究施設に運ぶことになるので、すべての検査結果がわかる施設はないと思います。もちろん診察にあたり検査結果は新しいものがあった方がよいでしょう。治療薬開始後などは当日に血液検査結果がわかれば、より安心かと思いますし、その日の関節リウマチの状態(疾患活動性)もより正確に把握できると思います。但し、実際には後日の結果でも診療に大きな支障をきたすことは少ないため、ご推察の通り、施設の設備上、結果は後日ということも少なくないと思います。
(令和4年8月更新)
- Q.512週間毎の生物学的製剤を使用しています。注射日の2、3日前から徐々に痛み出し、注射後2、3日で痛みがなくなっていきます。これは注射の効果が出ていると言うことでしょうか?
これだけの情報では何とも言えませんが、注射製剤の効果が切れてきて、投与後に効果が出て改善したという可能性はあります。
(令和3年12月)
- Q.52リウマトレックスを飲んでいますが、貧血のような症状や口内炎ができます。また倦怠感とともに最近突然悲しい気持ちになったり、メンタルが不安定に感じます。葉酸が不足して鬱(うつ)になることがあるのでしょうか?
重症な養蚕欠乏ではうつ症状が出ることがありますが、その場合は血液検査での異常もでる可能性が高いと思われます。
口内炎などがあり、リウマトレックスの量や葉酸の薬剤など調節が必要かもしれませんので、主治医にご相談ください。
- Q.53間質性肺炎と肺炎の違いはなんですか。
普通に肺炎と呼ばれているのは細菌性肺炎のことで肺胞(肺の気管支の先端の小さな袋)の炎症です。
間質性肺炎とはこれとは異なり薬剤やリウマチ性疾患などでみられるもので、
肺胞ではなく肺を支える組織である間質に炎症が起こる病気で抗生物質による治療では治りません。(令和4年6月)
- Q.54RF定量200以上、CCP200以上、関節リウマチの診断ですが、2年前と数値は変わっていません。5年前から1年のある時期だけ痛む、年によって痛むところは違い、収まるので治療はしていません。今年は5ヶ月の間に痛むところは手、足、アキレス腱など多く場所が変化しています。リウマチで期間ごとに症状が収まることはありますか?膠原病科で他の膠原病の検査もしたほうがいいでしょうか。
関節リウマチで特に早期には周期的に症状がでることがあります。
炎症がなく、レントゲン検査でも関節リウマチの進行がなければ、治療は必要ないと考えられます。
可能であれば、念のため他の膠原病の検査(血液検査)もしていただいたほうがよいかと思われます。(令和4年8月)
- Q.55関節リウマチと高血圧は関係ありますか?
治療薬でステロイドを長期に使用したり、腎機能が悪化したりした場合は高血圧になることがありますが、関節リウマチとは直接的には関係ありません。
(令和5年2月)
- Q.56関節リウマチで治療していますが熱が下がりません。CRPも高くありません。そういうものなのでしょうか?
関節リウマチでは炎症が強いと発熱がみられることがありますが、通常はCRPが上昇します。高熱がでることはありません。発熱が続くようなら、何か別の原因がないか、主治医もしくは内科医にご相談いただいたほうがよいかと思われます。
(令和5年2月)
- Q.45節々が痛いため近医に受診し、採血をしたところRF19でした。他CCP、炎症反応等々は正常です。先生からは抗リウマチ薬はいらないとのことでした。私はリウマチは早期発見早期治療が大事ですぐ薬を投与のイメージですが、この場合抗リウマチ薬は飲まなくていいのでしょうか?日常生活は関節の腫れ、強張りは全くなく夜もよく眠れていて、痛いのも痛くない時間の方が長いくらい不便なく過ごせています。 またリウマチになったらリウマチ専門に通ったほうがいいのか教えてください。リウマチ専門病院は少し遠いので、、整形外科でも大丈夫であればそちらで通院したいと思っています。
リウマトイド因子は関節リウマチでなくとも陽性になることがあり、高齢者では4-5人にひとりが陽性といわれています。また、典型的には関節リウマチでは、関節の痛みと腫れが持続し、熱感をもったりします。関節の痛みはリウマチ以外の様々な原因で起こるので、一度はリウマチ専門医に診てもらい、定期的に経過をみたほうがよいのか判断してもらったほうがよいと思います。もちろんお近くの整形外科の先生にまずはご相談いただいてもよろしいかと思います。
- Q.462年前に関節リウマチと診断され、現在サラゾスルファピリジン500㎎×2を処方。昨年から最初は左手だけ、現在は両手の握力が10未満、蓋を開けれない、親指を横に開けない、手をまっすぐに出来なくて指が浮いている状態です。包丁を持つのも力が入らないです。レントゲンでは軟骨の減りは少々。むくみもあります。装具の装着、注射も何回か受けましたがよくなりません。これ以上は、よくならないものでしょうか?
ご質問ありがとうございます。
読ませていただいた内容からは、2018年に診断を受けられてから約2年で手指の変形がある程度進んでいらっしゃるようで、生活でのご苦労や精神的なご負担は相当強いと思いました。
まず、2年間で手指の変形が明らかに進行しているようであれば、薬による治療の強化(他の薬に変更、あるいは新しい薬に替える)が必要と考えます。担当医にご相談された方がよいかと思います。患者さんからはなかなか伝えにくいことですが、勇気を出して伝えてみてください!
一般的に手指の“痛み”に対しては装具療法や関節注射はとても有効ですが、“変形”に関しては改善を期待するものではありません。ただ、装具を使って行う日常生活動作は変形の進行を遅らせる意味はありますし、リハビリテーションでは軽度の変形ならば矯正する(指が浮いている状態を戻す)ことが可能かもしれません。
手指の手術を受けるという選択肢もあります。リウマチの手指の手術に関しては私の施設では積極的に行っていますが、患者さんによって満足度に差がある(手術をして”とてもよかった”から“しなければよかった”まで)ので、慎重な判断が必要です。また手術では、決して元通りの関節・指に戻すことが目標ではなく、新しい手指の形を手にいれる、と考えた方がよいと思います。
薬による治療や手術のどちらも、患者さんが思い立ったらすぐに担当医に伝えることが大切だと思います。関節リウマチによる関節変形は知らぬ間に進行していることが多いので、早め早めの対応が大切です。ご参考になれば幸いです。(令和2年10月)
- Q.47現在、ケブザラ治療を開始して4ヶ月経過しています。先月までは徐々に症状もよくなり、あともう少し良くなればというかんじでした。しかし、関節の痛みや腫れが復活し、自分でベッドから起き上がれるようになったものの、今ではリクライニングを使用、家のなかでの杖歩行も復活してしまいました。免疫抑制剤を使用していても、また症状は戻ってしまうのでしょうか?
治療を受けていて一旦良くなっても、症状が再燃してまた悪くなることはよくあります。その原因として、疾患自体の勢いが自然に強くなる場合や、ケブザラのような生物学的製剤では、製剤に対する「抗体」ができて製剤の効果が弱まる場合があります。その場合は、他の薬剤に変更するか、ケブザラを使用しながらステロイドやメトトレキサートなどの免疫抑制薬を併用(増量)すると改善することがありますので、主治医の先生にご相談されれば良いと思います。
(令和3年1月)
- Q.48関節リウマチは温めると痛むことがありますか?血液検査やレントゲンでは異常なし(好中球の割合のみ多い)ですが、一月ほど両手足の関節の痛みと若干の腫れ、動かしづらさがあります。圧痛はなく、動かしたときに時々痛みます。はじめの頃は1時間ほど朝のこわばりがありましたが、今は朝よりも、入浴後や身体が温まると痛みやこわばりが悪化するような気がします。
関節リウマチは全身性炎症性疾患ですので、一般的には温熱療法は有用とされています。温熱療法では局所の血流増加や血行促進効果があると報告されており、また疼痛による筋肉の異常な緊張を抑えると考えられています。ただし熱感や腫脹を伴う急性期症状を示す関節では逆効果(痛みが増す)の場合もあります。
患者さんによって関節の疼痛やこわばりの感じ方には違いもあり、服用している薬の作用時間との兼ね合いも影響している場合も考えられます。例えば副腎皮質ステロイド薬は朝に服用すると1日が問題なく過ごせる方がいらっしゃる一方で、夕食後に服用したほうが、翌朝の起床時からスムーズに動ける方もいます。日常生活のパターンや症状の出方などを含めて担当の先生にご相談してみてはいかがでしょうか?(令和3年5月)
- Q.49リウマトイド結節とはどのようなものですか?検査に現れないほどの発症初期にも出ますか?左右対称にできたり、耳の裏にできることはありますか?
リウマトイド結節は、関節リウマチ患者に見られる皮下の腫瘤性の病変で、代表的な部位は前腕の肘関節の近くにできます。その他、後頭部、仙骨部(お尻のあたり)、足の裏やかかと、手指の関節周囲など、圧迫を受けやすい場所にできると言われています。その他稀ですが、声帯にできると嗄声(声がかすれる)となることもあります。耳の後ろもできる可能性はあると思います。通常は活動性の高い患者で見られますが、まれに活動性のまだ低い初期の段階で見られることもあると言われていいます。リウマトイド結節ができる場合、関節以外の症状(目の強膜炎、心膜炎や胸膜炎、皮膚潰瘍など)を伴うことがありますので注意が必要です(このような場合、悪性関節リウマチといいます)。(令和3年7月)
- Q.50関節リウマチになり治療中ですが、だいぶ落ち着いています。しかし、生活の中で当たり前に出来ていたことがうまく出来なくなってしまいました。 痛みが収まってもうまくいきません(変形はないです)。字を書いたり、ハサミを使ったり、蓋を開けたり、運転時ハンドルを回したりするのが難しいです。 よくなる方法がありますか?こういった症状はよくあることで、続くものでしょうか?
関節リウマチのコントロールが良好で、かつ全く変形のない状態では、ご相談のような日常生活動作が困難となることは考えにくいです。自分では気づかない変形が既に始まっている、あるいは病気のコントロールが不十分なことによって症状が出ている可能性があります。また以前、病気の勢いが強かった時があれば、その際に関節破壊が若干出現し(変形と認識されるほどではない程度)、それによって手が使いにくい状況があることもあり得ます。担当医に日常生活動作でやりにくいことなどを伝え、必要に応じて薬物治療の強化、リハビリテーション、あるいは手術治療の必要性などをご相談されることをお勧めします。
(令和3年11月)
