リウマチQ&A
- Q.27昨年8月からリウマトレックスを服用し11月からヒュミラを注射していますが、痛みは早々に無くなり寛解らしいので、そろそろ薬の離脱をするのかと思います。しかし昨年秋から腫れていた足の親指が今年になって腫れが引いて、1月に爪を切ってから伸びません。先月、皮膚科医からは爪が生えてきていないと診断されました。関節リウマチではよくあるのでしょうか?原因は薬ですか?爪は剥がれてもまた生えますか?
関節リウマチで時に爪の変化がみられることがあります。爪の周囲が赤くなったり(紅班)、爪のあまかわの血管の拡張、黄色爪、手足指の変形による陥入爪、巻爪など、爪白癬(爪の水虫)、爪の下の化膿があります。また、今回のような爪の発育障害があり、これは爪の皮膚の血行障害によっておこります。これら爪の変化は時にみられる程度です。足の指の腫れがとれたとのことですので、爪が根っこからゆっくりと出てきます。 (平成25年10月)
- Q.28関節リウマチとライター症候群のちがいは何ですか?またライター症候群は関節リウマチの内に入るのでしょうか?
ライター症候群と関節リウマチは全く異なる疾患です。ライター症候群は最近では反応性関節炎と呼ばれます。反応性とは、何らかの病原微生物(例えば性感染症の一つであるクラミジア感染症)に対する免疫反応によって関節炎を引き起すため、このように名付けられました。両疾患ともリウマチ性疾患に分類されますので、ご心配であれば内科系のリウマチ専門医を受診されることをお勧めします。なお反応性関節炎については、ホームページの対象とする疾患の中にありますので、ご覧になってください。 (平成26年1月)
- Q.29乾癬性関節炎でリウマトレックスを飲んでいます。リウマトレックスを始めて10か月経ちますが,数か月前から痙攣が頻繁におきるようになりました。太ももや二の腕が多く,痙攣しない日はほとんどありません。薬の副作用なのでしょうか。それとも,ただの痙攣で気にするようなことではないのでしょうか。
リウマトレックス(メトトレキサート)は関節リウマチ、その類似の関節疾患に基本的治療薬として使用されます。骨格筋の痙攣は、頻度は非常にまれですが、薬剤の重大な副作用としての報告例があります。したがって、現在処方を受けている担当医に相談して、薬剤(メトトレキサート)によるものか、他の原因によるかの検討が必要だと考えます。もしメトトレキサートが副作用のために使用できないとの結論になっても、乾癬性関節炎の治療薬は他にも有効なものがいくつかあります。(平成26年2月)
- Q.3074歳の女性です。5か月ほど前リウマチ性多発筋痛症の診断を受けてその後関節リウマチの診断を受けました。2か月ほど前から午後3時頃になると動悸や頻尿、目の前がかすむ等の症状が起こるようになりました。血圧は朝130〜75ぐらいだったのが155〜85ぐらいになります。症状は3,4時間すると良くなることが多いです。この症状についてどういったことが考えられるでしょうか?膠原病と循環器系の薬等を服用しています。現在服用している薬は、ブレド二ゾロン11mg/日、メトトレキサート16㎎/週、胃薬、葉酸、睡眠導入剤、血圧の薬、狭心症の薬等です。
おっしゃっている症状は通常の関節リウマチ自体の症状ではないので、内科の先生にご相談されたほうがよいと思います。また、プレドニゾロンを服用することにより血圧が高くなることがあります。その他の薬の影響もあるかもしれないので、それぞれの科の先生に今の症状をお話しして聞いてみたらいかがでしょうか。(平成26年4月)
- Q.11平成12年度頃から関節リウマチ(軽度)と診察されました。その後薬物治療しているのですが、平成17年度5月に肺炎をおこし、自宅で療養したのですが、それ以降咳と鼻水が止まらなく現在に至っています。関節リウマチと咳と鼻水との因果関係はあるのでしょうか?
関節リウマチと咳の関係についてはいろいろなことが考えられます。咳は通常肺や気管支、のどなどの炎症(肺炎/気管支炎)によって起こります。リウマチに合併する肺炎は大きく分けて3種類あります。ひとつは関節リウマチの炎症が肺に及んだもので間質性肺炎または細気管支炎という形をとります。2番目はリウマチに使用する薬剤のために免疫力が低下し、細菌やウイルス、真菌(かび)などの病原体による肺炎です。3番目は関節リウマチに使用する薬物が直接肺を傷害する「薬剤性肺炎」があります。いずれも症状は発熱と咳は共通の症状です。痰は細菌や真菌(かび)によるものでよくみられ、その他ではあまりみられません。しかし鼻水が出て咳が出るとなると、それは鼻水が喉まで落ちて、その刺激で咳がでるということで、これは関節リウマチとは関係なくしばしば認められることです。一般的には、アレルギー(原因は薬物、食物、植物、動物など様々なものがあります)またはウイルスによる鼻炎が多いと思います。これらすべての可能性の中で、ご相談のケースからは、関節リウマチとは関係のない副鼻腔炎や鼻炎が一番疑われるように思いますが、上記の可能性も考えてリウマチの専門医による総合的な判断をもう一度お願いしてみてはいかがでしょうか。
- Q.10関節リウマチの痛みに年齢の違いは関係ありますか? 一般的に高齢者の方が痛みを感じにくいのでしょうか?
年齢と痛みの強さとは特に関連はありません。むしろ高齢者に発症する関節リウマチで活動性が非常に高く、炎症の度合いや痛みや腫れといった症状が強い場合もあります。また同じ炎症度でも痛みの訴え方は患者さんにより異なります。あるとすれば、高齢者の方のほうが我慢強いのかもしれません。
- Q.9関節リウマチの人は糖尿病になりやすいため、糖尿病の予防薬を服用すると聞きましたが、本当でしょうか?
関節リウマチという病気と糖尿病との直接の関連はありません。つまり、「関節リウマチをもっているから糖尿病になりやすい」ということはありません。しかし、関節リウマチに使用する薬物(例えば副腎皮質ステロイド、抗リウマチ薬として最近承認されたタクロリムスなど)によって糖尿病が発症する事はしばしばあります。またリウマチの患者さんは運動能力が損なわれますので、健康な時と同じような食事をしていると、運動不足から糖尿病を発症する可能性はあります。ただし、一般に糖尿病の管理は、発症後でも食事と運動のコントロールで行うべきであり、まして発症する前から薬物によって予防する、という考え方は常識的ではありません。
- Q.8レントゲン写真から肺線維症が疑われました。KL-6値は250です。間質性肺炎になる可能性は高いでしょうか。 疲れると息苦しく、休んでは仕事をする状態です。 今後、どのように生活すればよいのでしょうか。
間質性肺炎と肺線維症はほぼ同義語であり、間質性肺炎が長く続いた結果、肺に残された病変が肺線維症と考えてよいでしょう。したがって、最初のご質問については、レントゲン所見で肺線維症があるということは、すでに間質性肺炎があった(ある)ということになります。ただし、KL-6が250というのは正常値(通常500以下が正常とされている)ですので、それから推察すると、間質性肺炎が本当にあるのか疑問ですし、あっても軽度なものと思われます。だとすると、現在の症状(息苦しいなど)は肺とは関係ないものかもしれません(心臓疾患や貧血など)。
関節リウマチに合併する間質性肺炎には種々のタイプのものがあり、進行が極めて早いものから何十年もかかってゆっくり進行するものまであります。治療に対する反応性(効果の出方)も様々です。レントゲンで肺線維症(間質性肺炎)が疑われたとのことですが、レントゲン所見とともに息苦しいという症状が最近出てきてどんどん悪化しているようなら、たとえKL-6が正常でも、早期に副腎皮質ステロイドや免疫抑制薬でしっかり治療する必要があるかもしれません。
まず息苦しい原因が本当に間質性肺炎(肺線維症)によるものかどうかをはっきりさせること、次に、間質性肺炎だとしたらどんなタイプのものかを専門医に判断してもらい、治療をするべきかどうかを決めてもらうことが重要です。
生活の注意については、息切れの原因にもよりますが、基本は安静(喫煙者は禁煙も)ですので、お仕事の内容を考え継続できるかどうか主治医とよくご相談ください。(平成29年12月更新)
- Q.7若年性特発性関節炎全身型(高熱)を3歳で発症しステロイドで治まりその後しばらく、様子をみていましたが、数年後に高熱で入院するなどし、ステロイドパルス療法などを行っていました。 この数週間で(プレドニン15mg飲んでいて)足首が少し腫れたり、手首、首に痛みが出たり引っ込んだりという事で受診したところ、データ上も異常で多関節型に移行したようです。とりあえず30mgに増やして様子をみることになりました。統計上こういうタイプが一番やっかいで関節症状も残りやすいと聞きました。そういうタイプについての情報が欲しいです。
若年性特発性関節炎(若年性関節リウマチ)の多関節型では、成人の関節リウマチの治療と同じように、メトトレキサートなどの抗リウマチ薬が治療に用いられます。通常の抗リウマチ薬の効果が充分でないときには、抗TNFα薬と呼ばれる炎症に関連にした物質を強力に抑制するお薬が有効であることも報告されています。”多関節型に移行したよう”とのお話しですが、お嬢さんは30mgという多関節型の治療としては比較的多めの副腎皮質ステロイドを内服されています。発熱などの全身症状や内臓の病変があったり、さらにここにあげた抗リウマチ薬などが副作用の問題で使えない可能性などもあります。主治医の先生によくお話しを伺って、現在の病状に対する適切な理解をした上で、今後の治療方針についてよくご相談されると良いと思います。
- Q.6薬の服用は全くなく、関節の炎症等も発病前の状態にまで戻りました。それでも、完治ではなく寛解になるのですか?
関節リウマチの「治癒」を断定することは実際にはできません。たとえば薬を止めて1年間、関節の腫れ、痛みが全くなく、CRPや赤沈などの炎症反応も正常を維持できていて、いわゆる「寛解」状態であっても「再発」が起こる事もあります。ただし、発症してから早期(1〜2年以内)に寛解状態になった場合は、いわゆる「単周期型のリウマチ」ということで「治癒」となる場合が少なからずあるようです。私は個人的に、すべての薬を止めて2年以上「寛解」が続けば「治癒」と考え、「通院は結構です」と言いますが、それでも「再発」は絶対ないとはいえませんので、もし症状がでたら来院するように言っております。
- Q.12若年性特発性関節炎(若年性関節リウマチ)によって寿命が縮むということはありますか?
若年性特発性関節炎(若年性関節リウマチ)には関節炎に加え、38℃以上の高熱やリンパ節の腫れ、肝臓や脾臓の腫れなどが出現する全身発症型と大人の関節リウマチによく似た多関節発症型、関節炎が発症6ヶ月以内に4つの関節に留まる少関節発症型に分けられます。このうち全身発症型では心臓や肺を包む心膜や胸膜に炎症が起こったり、心筋の炎症も出現することがあり、このような場合には副腎皮質ステロイドを投与しないと生命を脅かす危険な状態に陥ります。また、いずれの型でも経過中、感染症などの重症な合併症を発症したり、薬の副作用で生命に関わる問題が起こることがあります。また、関節リウマチの患者さんでは心筋梗塞などの発症率が普通の人より高くなることが知られていますが、同じような問題は若年性特発性関節炎の患者さんでも認められると思われます。いずれにせよ場合により内臓に病気を起こすことがありますので何も治療をしないでいれば寿命は縮まるとも考えられますので、リウマチの専門医による適切な治療を行うことが大切です。
- Q.13関節リウマチの治療を10年近く続けていますが今年に入り、眼が見えにくくなってきました。関節リウマチの進行や治療が、影響する場合があるのでしょうか?
関節リウマチがうまくコントロールされていても、治療薬の副作用が原因で視力の障害をきたすことがあります。最も多くみられるのは副腎皮質ステロイドを長期使用していることによる白内障と緑内障です。ゆっくり進むとするとその多くは白内障で、これは比較的簡単な手術によって治すことができます。まれですが、免疫を抑制する薬で眼の感染症(眼内炎など)をおこすと視力が障害されることもあります。
また関節リウマチ自体が関節のみではなく、からだの色々な場所に炎症をおこし、障害をきたすことがあります。
眼では上強膜炎、強膜炎やブドウ膜炎が知られています。特に、強膜炎や後部ブドウ膜炎は視力障害をきたしやすい病変です。これらもまれなことですが、関節リウマチの治療が不十分で、このような部位の炎症が続くと視力障害をきたすことがあります。
いずれにせよ、症状があるのでしたら眼科で精査されるのが良いと思います。その際、直接眼科を受診するより、関節リウマチの主治医から、関節リウマチに対する治療内容や関節リウマチの状態を記載した紹介状があれば、より適切な診断が得られると思いますので、できるだけそのようになさることをお勧めします。(平成29年12月更新)
- Q.14母親が関節リウマチを患ってます。診断されたのは32歳頃だと思います。私も兄弟も親族もリウマチ患者ではありません。隔世遺伝で自分の子供(母親からみて孫)に遺伝する可能性はあるのでしょうか?
関節リウマチは、必ず遺伝する病気ではありません。一卵性双生児は遺伝子が全く同じですが、片方が仮に関節リウマチになったときに、もう一方が関節リウマチになる確率は約30%と報告されています。また関節リウマチの患者さんでご親族内に関節リウマチの方がいるのは1%程度です。
以上から仮に遺伝が関係しているとしても、強いものではありません。隔世遺伝で発病することを全く否定することはできませんが、ご心配になるような高い確率ではないと思われます。
- Q.15私は小2の頃に川崎病を患い、後遺症として冠動脈瘤があり、30年近く経った今も経過観察をしています。リウマチに関しては、原因不明の関節炎が頻発し整形外科のリウマチ医にかかっていますが、症状から早期関節リウマチが疑わしいとは言われるものの、確定診断には至っていません。先日、川崎病の方でCT検査をした結果、冠動脈瘤が非常に肥大していることが分かりました。リウマチの様な症状が出たことで冠動脈瘤が肥大する関係性はあるのでしょうか?また逆に川崎病を患ったことでリウマチの様な症状が出るようになったのでしょうか?リウマチ症状が頻発したのはここ1年くらいのことで、今まで冠動脈瘤の異常を聞いていないだけに、関係性があるのか気になります。
ご質問の川崎病と関節リウマチとは直接の関連はありません。川崎病の急性期に関節炎を伴うことはありますが、現在の関節症状は経過からは早期関節リウマチの可能性が高いと考えます。リウマチ様症状は近医の整形外科で、また冠動脈瘤に関しては、循環器科で経過観察してもらってください。いずれにせよ担当医の先生に良く相談してください。(平成23年3月)
- Q.16レミケードの点滴を行ない、2週間後に2回目の点滴を行いました。左眉に発疹(帯状疱疹)が出てすぐ治療に入りましたが、前頭部、おでこ、目、こめかみに激痛がきて、麻酔科で神経ブロックを行っています。レミケードの点滴は中止しました。 レミケードの副作用なのでしょうか?前例はあるのでしょうか。
帯状疱疹は、水痘(水ぼうそう)と同じウイルスによって起こります。このウイルスは水痘が治っても神経節の中に潜んでおり、その後、身体の抵抗力が落ちたときに再び活動を始め、帯状疱疹を発症します。疲労やストレス、加齢だけでも発症することがありますが、免疫に影響する薬も帯状疱疹を発症しやすくなる要因となります。
関節リウマチや全身性エリテマトーデス(SLE)の患者さんは、副腎皮質ステロイド(ステロイド薬:一般名プレドニゾロン)をはじめとする治療薬の影響により帯状疱疹になりやすい傾向にあります。海外の報告で従来の抗リウマチ薬に比べて、レミケードやヒュミラなど抗TNF抗体製剤は、帯状疱疹の発症率を約1.8倍に上昇させると推測されています。
また、国内の市販後調査では、レミケードを受けた5,000人の患者さんのうち、64名(1.3%)で帯状疱疹の発症がみられています。これまでの報告をみると、エンブレル(TNF受容体製剤)使用時の帯状疱疹の発症は、ほかの抗TNF抗体製剤に比べて少ない傾向にあります。。実際には、帯状疱疹が治った後にレミケードを再開することはよく行われており、患者さんの免疫の状態や帯状疱疹の重症度などを考慮して、ケースバイケースで治療方針を決めているのが現状です。
最近は、特にリスクの高い患者さんに帯状疱疹のワクチンの予防投与が始まっています。また、帯状疱疹が再発してしまった場合には、早期に診断し、早期に抗ウイルス薬による治療を開始することで重症化を防ぐことができます。(平成23年3月/平成29年12月更新)
- Q.179歳の娘がヘノッホ・シェーンライン紫斑病にかかったのですが、長野県安曇野市の児童数670人の学校で、知っているだけでも3人同じ病気にかかりました。共通点は、みんな我が家から1キロ圏内に住んでいること、運動会のリレー選手だったということです。何か原因が考えられるでしょうか?
ヘノッホ・シェーンライン紫斑病の原因は不明ですが、ある種の感染症との関連が考えられています。ご質問の学童が同時期に発症したのであれば、何らかの感染症が引き金になった可能性があるかもしれません。また最近、我が国でインフルエンザワクチン接種後にヘノッホ・シェーンライン紫斑病が発症した症例が報告されています。(平成23年4月)
- Q.18発症から半年、治療に入って4か月になります。現在服用している薬は、プレドニン5㎎/日、週に1回メトトレキサート、そして毎食後ケンタン60㎎です。痛み止めの薬のケンタンは、昼食後の分は飲まなくてもなんとか我慢できそうに感じるのですが、やはり一日3回飲んだ方が良いのでしょうか。 痛みは我慢した方が良いのか、我慢すると骨によくないのか、教えてください。
ケンタンはロキソニンのジェネリック(後発)医薬品で、いわゆる非ステロイド抗炎症薬(ロキソニン、ボルタレン、セレコックスなど)に属する薬物です。これらの薬には、関節リウマチの骨破壊を抑制する作用はなく、症状緩和効果のみで、痛みがなければ無理に服用する必要はありません。
関節炎(関節の腫れや痛み)がまだ残っていて、検査で炎症反応(赤沈やCRP)の高値があるなら、痛みを我慢したり、非ステロイド抗炎症薬で痛みをとるだけの治療をするのでは骨破壊・関節変形が進行することになりますので、抗リウマチ薬を変更したり増量したりするのがよいと思います。具体的には、今服用されているメトトレキサート(MTX)(商品名リウマトレックス、メトレートなど)の増量や、生物学的製剤を追加投与する、などの方法が有効です。(平成23年9月/平成29年12月更新)
- Q.19リウマチ性多発筋痛症と診断され、約1年プレドニンを服用していました。炎症がなくなったということで薬はやめましたが、また最近、両肩・両腕、太ももが痛くなり、特に朝起きるときが一番痛いです。再燃したのでしょうか。痛くても我慢して軽い運動をしていますが、大丈夫でしょうか。
リウマチ性多発筋痛症の再燃が考えられますが、炎症反応(CRPや赤沈)を検査する必要があります。プレドニゾロン(商品名プレドニン)の中止や減量によって病気が再燃することは珍しくはありません。プレドニゾロンなどの副腎皮質ステロイドの再投与が必要です。またリウマチ性多発筋痛症以外の病気も検討すべきです。まずは治療を優先されるほうがよく、無理な運動は避け、主治医に相談してください。(平成23年11月/平成29年12月更新)
- Q.20私は30歳代の女性で、3年前から朝のこわばり、両手指・第2関節・付け根・手首・ひじ・両ひざ・肩の関節の痛みで検査しましたが、異常なしでした。しかし歩きづらくなったため、再度受診。両ひざに水がたまり、変形性膝関節症と診断されました。 リハビリをしていましたが、以前と比べ膝以外の関節の痛みがひどく、車のハンドルが握りにくくなり、両膝が動きにくい時は、ペンギンのようになってしまいます。 MMP3が80と少し高く、リウマトイド因子(RF)は15と正常範囲で陰性ですが、症状がどんどんひどくなります。リウマチかどうか非常に不安です。
年齢から変形性関節症は、考えにくいです。30歳代の女性は関節リウマチがもっとも発症しやすい世代ですし、手指の小関節や手関節(手首)などが多数痛むという症状から、関節リウマチの可能性が高いと思われます。リウマトイド因子(RF)は陰性でも、他の方法(RAHA/RAPA法)や抗CCP抗体などが陽性の場合もあります。これらが陽性ならほぼ関節リウマチといえます。また、MMPが高いことは関節リウマチであることを示すものではありませんが、関節リウマチの可能性が疑われます。
RFや抗CCP抗体が陰性でも、このような関節症状があって、炎症反応(赤沈やCRP)が高いようなら、かなり高い確率で関節リウマチと考えられます。(平成24年2月/平成29年12月更新)
- Q.5関節リウマチの影響で低ナトリウム血症はおこりますか? また、ナトリウムを食事に添加したりしてもナトリウム値が改善されません。
ナトリウムは種々の原因で低下しますが、関節リウマチと低ナトリウム血症とは直接関係はありません。しかし、関節リウマチの患者さんの一部でシェーグレン症候群という膠原病の合併がある場合、頻度は高くはありませんが腎臓の尿細管という部分が障害されてナトリウムが腎臓から失われることがあります。この場合は副腎皮質ステロイドなどで尿細管に起こっている炎症をとることが治療につながります。また、関節リウマチの患者さんがしばしば使用する非ステロイド抗炎症薬(いわゆる解熱鎮痛薬)の使いすぎで腎障害がおこることがあり、同様にナトリウムが腎臓から失われ低ナトリウム血症になります。この場合は原因薬を止めることが先決です。まれですが、腫瘍や、感染症などが引き金になって抗利尿ホルモンというホルモンが過剰に産生され、からだに過剰な水分がたまって血液が薄められる結果低ナトリウム血症になります。この場合、原因がある場合はその治療をしますが、とりあえずは水制限が基本であり、急激なナトリウムの摂取は逆にむくみなどの症状を悪化させたり、中枢神経障害をきたしたりします。したがって低ナトリウムの改善のためには、その原因を調べる必要があります。ナトリウムが低いからどんどんとればいいという発想は間違いであり、時に逆効果で危険です。
