近畿地区

平成26年10月5日開催

 

 

 

関節リウマチにおける合併症
(とくに関節外病変)

独立行政法人国立病院機構大阪南医療センター臨床研究部 部長
佐伯 行彦 先生

 関節リウマチ(RA)は持続的な滑膜炎による多関節炎とそれに続く、骨、関節破壊を特徴とする疾患であるが、全身性の慢性炎症性疾患であり、発熱、体重減少、倦怠感などの全身症状とともに多臓器にわたる関節外病変、症状をきたす多彩な病像を呈する疾患である。これまでに関節外病変の存在はRAの予後を左右することが報告されており、RAの診療においては、関節炎だけでなく、関節以外の病変や合併症についてもきちんと診断、評価し、病勢をコントロ-ルすることが必要である。

 関節外病変は、原因別に、(1)RA固有のもの、(2)他疾患の合併、(3)薬剤の副作用によるものの主に3つに分けられる。そして、代表的な関節外病変には、皮下結節、皮膚潰瘍、強膜炎、胸膜炎、心膜炎、間質性肺炎、器質化肺炎、血管炎などがあり、多臓器にわたり、非常に多彩である。このような関節外病変をもつRA患者は、しばしば難治性病態となり、しばしば治療に難渋することがある。そこで、本邦では、関節外病変をもつRAは、悪性関節リウマチ(MRA)とよばれ、国の特定疾患に指定され、公費治療の対象となっている。関節外病変の中でも血管炎が最も重要で、欧米では、血管炎合併のRAはrheumatoid vasculitisと呼ばれている。その疾患概念は、MRAとオーバーラップしているが、同一ではない。合併症としては、シェーグレン症候群など他の膠原病との合併とともに感染症の併発がとくに重要である。RAにおける感染症は、肺炎などにおいては、原因菌のプロファイルが市中肺炎と異なり、疾患に特徴的な傾向があり、その対策においては、そのことを十分考慮することが必要である。また、悪性腫瘍の合併については、以前からとくに悪性リンパ腫との関連が指摘されている。最近、メトトレキサート関連のリンパ増殖性疾患の存在が報告され注目されている。

  この講演では、RAにおける合併症、とくに関節外病変について基本的なことを概説するとともに最近の知見を紹介する。



トップへ  戻る