関節リウマチの治療

 

 

 

4.生物学的製剤   (総論) 

 

 

              

 

 

生物学的製剤とは

 

 生物学的製剤とは化学的に合成したものではなく、生体が作る物質を薬物と使用するものです。現在日本で関節リウマチに使用できる生物学的製剤は8剤あります。

 腫瘍壊死因子(TNF)というリウマチを引き起こす分子と結合してその作用を抑制する抗TNFαモノクローナル抗体であるインフリキシマブ、可溶性TNFαレセプター(TNFと結合する受容体)とヒトIgGとの融合蛋白であるエタネルセプトが、2005年から使用が可能になりました。

 

 関節リウマチは何らかの刺激を受けることによりマクロファージと呼ばれる細胞から分泌されるTNFα(腫瘍壊死因子)が産生されます。さらにマクロファージと接触することにより情報を広げるリンパ球のT細胞が活性化されTNFαの刺激とともに、IL-6と呼ばれるサイトカインを分泌します。IL-6はさらにいろいろな細胞に刺激を伝え炎症の反応が広がっていきます。現在の関節リウマチの生物学的製剤としてはこのTNFα、マクロファージとT細胞との結合部位、IL-6のレセプターのそれぞれと結合して反応を止めてしまう3種類が知られています。

 


 

どのような効果が期待できますか?

 

 生物学的製剤は今までの関節リウマチの薬剤とは全く異なり、炎症サイトカインの働きをしっかりブロックするので、炎症の反応が完全に止まってしまうことで関節リウマチに対する強い効果が期待できます。それまで痛くて寝たきりだった方が注射のあと僅か数日で元気に歩けるようになったなど、劇的な効果をみることもあります。また関節の破壊を止めるだけでなく、生物学的製剤の投与で壊れていた関節、骨がある程度修復することもわかってきました。しかしこの効果も完全に関節が壊れてしまえば期待できませんので、治療は早期に行うべきという方向にあります。生物学的製剤の効果はこのように従来の抗リウマチ薬よりずっと強いので、従来飲んでいた薬は中止することができることが多いです。ただしMTX(メトトレキサート)は生物学的製剤の効果を増加させることが知られており、この薬と併用することはよくあります。特にインフリキシマブ(レミケード)の場合は、その抗体を患者さんの体が作るのを抑えるためにMTXの服用は必ず必要です。

 

 

 

 

どのような副作用がありますか?

 

 

インフュージョンリアクション
 インフュージョンリアクションと呼ばれる、注射直後にアレルギー反応のために、湿疹ができたり、頭痛、発熱を起こすことがあります。このため点滴のはじめはゆっくりにして、様子をみつつ途中からスピードを上げます。

 

日和見成感染症

 免疫力が低下するため、肺炎のほか普段はかかりにくい結核、非定型抗酸菌症 カリニー肺炎などを発症することがあります。

 

肝障害

 特に過去にウイルス性肝炎にかかったり、そのウィルスを持っている人は、 肝炎が悪くなることがあるので使用する前にウィルスのチェックが必要です。

 

 

 

 

 

いつからはじめるべきですか?

 

 生物学的製剤は大変高価な薬であり、しかも長期間使うことになりますから、その使用には慎重でなければなりません。一方であまり時間がたって関節に変形が起こってからでは遅すぎます。現在は関節リウマチと診断され3か月のMTXの治療によっても十分な改善がみられない例について適応が認められます。

 

 

 

 

 

 

 

途中でやめられますか?

 

 いつまで生物学的製剤を続けるかについての結論は出ていません。臨床的寛解(完全に痛みや腫れがなく、かつ血液学検査でも異常が見られない場合)といわれる安定した時期が続いても最低一年は様子を見たうえで休止を考えるべきです。この状態においてある頻度で中止しても関節リウマチの再燃(再度悪くなること)はないことが知られてきており、どのような方が中止できるかはこれからの研究の重要な課題です。

 

 

 

 

 

 

 

高い薬だと聞いていますが、どれくらいかかるのでしょうか?

 

 

 生物学的製剤は大変高価な薬剤です。健康保険が適用されても、月額1万5千円~3万円くらいこの薬剤だけのためにかかってしまいます。このため簡単には使用に踏み切れないでしょうし、また薬剤により価格も違います。しかしどの薬の効果が強いかとか、どの薬が安いかというよりは、どの薬がそれぞれの患者さんにとって合っているかを専門医と相談して決めることが大切です。また効果が出てきた段階で、量を減らすことや休止することも考えることはありますが、単に症状のよしあしだけで減らしたり、中止してしてはいけません。医師と相談しながら使用しないと、知らないうちに関節が壊れたり、リウマチが悪化してしまうことが起こるからです。

 

 

高額療養費制度を利用される皆さまへ  厚生労働省HP

○高額療養費制度とは・・・
長期入院や治療により、ひと月あたりの医療費の自己負担額が高額になった場合、申請により一定の金額(自己負担限度額)を超えて支払った医療費について給付を受けることができる制度です。

○医療費の限度額(自己負担限度額)は・・・
被保険者の所得区分に応じて決まります。

 

 

 

 

 

 

 

 

生物学的製剤を変更することはあるのですか?

 

 

 一つの生物学的製剤で効果がないときや、あるいは途中で効果がなくなってきたようなときに、他の生物学的製剤に変更すると効果があることも経験されます。またある生物学的製剤でアレルギー反応が起こっても、他の薬では大丈夫なこともあります。一方二つの生物学的製剤を同時に一緒に使うことは危険で、現時点ではこのような治療法は許されていません。

 

 

妊娠と授乳時の使用は?⇒

 

 

生物学的製剤の種類⇒

 

 

 

 

 平成28年4月更新