1. メトトレキサート
  2. 生物学的製剤
  3. JAK阻害薬
  4. メトトレキサート以外の抗リウマチ薬と免疫抑制薬
  5. 副腎皮質ステロイド(ステロイド) 
  6. 非ステロイド抗炎症薬(消炎鎮痛薬)  
  7. 骨粗鬆症の治療薬

 
 
 

 

メトトレキサート以外の抗リウマチ薬と免疫抑制薬   

 

 

 

 抗リウマチ薬とは、関節リウマチ(RA)の免疫異常を改善させることにより、RAの炎症を抑え、寛解導入を目的とする薬剤の総称です。RAの進行を阻止する可能性があることから疾患修飾性抗リウマチ薬と呼ばれ、また効果発現までに時間を要することから遅効性抗リウマチ薬とも呼ばれています。 

 RAに使用される薬物には、1.抗リウマチ薬、免疫抑制薬、2.非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)、3.副腎皮質ステロイド、4.生物学的製剤、5. JAK阻害薬があります。 

 抗リウマチ薬によりRAによる炎症を抑え、関節破壊を防止するために、関節リウマチの診断とともに抗リウマチ薬を開始しますが、発症3か月以内などの早期に治療開始することによってより良い効果が期待できると考えられています。現在の抗リウマチ薬による治療はメトトレキサート(商品名リウマトレックスなど)を第一選択にすることが一般的ですが、個々の患者さんの社会的状況、合併症などを考慮し最適な薬剤を選択します。表に抗リウマチ薬の一般的な特徴を示しました。 

 

【抗リウマチ薬の特徴】

    

1.

一般的にRAの診断とともに開始する。

2. 効果が感じられるまでに数週間かかることが多いが、効果は持続性である。 
3. 早期に開始することでより効果が期待できる。
4. 効果が不十分で、他の薬剤追加併用や変更が必要なことがある。
5. 十分な効果が出てある程度の期間維持できたら減量も可能である。
6. 関節破壊の進行を防止する可能性がある。
7. 長期使用していても効果と副作用のモニタリングが必要である。
8. NSAIDsや副腎皮質ステロイドは必要に応じて併用可能である。
9. 生物学的製剤、JAK阻害薬などとも併用されることが多い
10. 服用している薬剤の特徴(期待される効果、副作用)を理解する。

         

主な抗リウマチ薬と免疫抑制薬の特徴を説明します。

 

金製剤

 

 

 注射金剤(商品名シオゾール)と経口金製剤(商品名リドーラ)があります。他の治療法の進歩もあり以前ほど使われなくなりましたが、十分な効果が得られ継続している方も多く存在します。

 

 

ブシラミン(商品名リマチル)

 

 免疫抑制薬ではないため感染症などのリスクが比較的少ない薬剤ですが、定期的な血液検査、尿検査で副作用のモニタリングは必要です。メトトレキサートとの併用で、それぞれ単剤で使用するよりも効果が高いと報告されています。

   
ミゾリビン(商品名ブレディニン)
  免疫抑制薬ですが、重篤な感染症の報告が比較的少ない薬剤です。他の抗リウマチ薬で樹分な効果が得られなかった場合に、追加併用されることがあります。
   
サラゾスルファピリジン(商品名アザルフィジンEN)
 

 免疫抑制薬ではないため感染症などのリスクが比較的少ない薬剤ですが、定期的な血液検査、尿検査で副作用のモニタリングは必要です。また、開始から数週間は過敏反応による皮疹などに注意する必要があります。
肝障害や間質性肺炎の報告は少なく、妊娠中も必要であれば継続可能な薬剤です。

メトトレキサートとの併用で、それぞれ単剤で使用するよりも効果が高いと報告されています。
   
メトトレキサート
   
レフルノミド(商品名アラバ)
 

 メトトレキサート同様に効果の高い免疫抑制薬で欧米では広く使用されていますが、日本の添付文書に記載されている初期投与の100mgを朝1回3日間は省略されることが多いとされています。メトトレキサートと同様に、肝障害、血球減少、間質性肺炎に注意する必要がありますが、腎機能の低下した場合でも使用できる特徴があります。

   
タクロリムス(商品名プログラフ)
 

タクロリムスは免疫抑制薬として移植拒絶反応やRA以外の自己免疫疾患の治療にも使用されています。メトトレキサートと同様に効果の高い薬剤ですが、肝障害や間質性肺炎の報告は少なく、妊娠中も必要であれば継続可能な薬剤です。副作用としては、腎障害に注意が必要で血液検査で血清クレアチニンを定期的に検査し、血中薬物濃度も参考にされることがあります。

   
イグラチモド(商品名コルベット、ケアラム)
 

サラゾスルファピリジン(商品名アザルフィジン)と同等の効果、に差がないといわれています。リウマトイド因子が高値の場合は、より効果が期待できるとも報告されています。副作用として腎障害、肝障害などがあり、一般的に1日1回1錠から開始し4週間後に腎機能、肝機能の血液検査で安全性を確認し、1日2回に増量します。口内炎、消化性潰瘍などの粘膜障害や、頻度は高くありませんが間質性肺炎なども注意が必要です。

メトトレキサートとの併用で、それぞれ単剤で使用するよりも効果が高いと報告されています。

 

令和5年1月更新