第1 目的 |
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リウマチ患者は、常時治療を必要とすること、身体に障害があるということ及び新薬の出現により患者が厳しい医療の管理下におかれていること等から、災害時においても、適正な医療環境の確保のための個別対応が必要となる。しかしながら、災害対策基本法に基づく施策としては、現在、個別対応がなされていないところである。
本事業は、災害時におけるリウマチ患者の適正な治療の継続を確保し、疾患の悪化防止策を図ることを目的とするものである。
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第2 用語の定義 |
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本災害時リウマチ患者支援事業実施要綱(以下「要綱」という。)の中の用語を以下のように定める。
1 災害
災害とは、地震、風水害及び火山活動等により、リウマチ患者及び当該患者が受療するリウマチ医療機関が被害を受け、リウマチ医療の需要及び供給が困難になった場合を指し、必ずしも災害救助法適用の災害を指すものではない。
2 災害時支援協力医療機関(協力機関)
災害時支援協力医療機関(以下「協力機関」という。)とは、日本リウマチ財団(以下「財団」という。)のリウマチ登録医(以下「登録医」という。)が常勤し、かつ、本事業に賛同し、第7 に定める事務手続きにより、財団に登録した医療機関をいう。なお、登録医が不在となった場合および登録医要件を満たせない場合については、別途定めるものとする。
3 幹事災害時支援協力医療機関(幹事機関)
幹事災害時支援協力医療機関(以下「幹事機関」という。)とは、都道府県内の協力機関の中から、当該協力機関のうち後方支援機能及び被災地の行政機関並びに関係機関との連絡調整・実態把握等の機能を有する医療機関をいい、選定方法等は次によるものとする。
(1) 幹事機関の役割を理解し、賛同した医療機関とする。
(2) 複数の医療機関を選定するものとする。
(3) 原則として、災害拠点病院以外の医療機関とする。
(4) 交通機関及び道路事情を十分考慮して選定することとする。
(5) 選定に当たっては、地域医療及び専門性の観点を考慮し関係団体等との連携に配慮するよう努めるものとする。
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第3 実施主体 |
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事業の実施主体は、財団とし、本事業の目的を達成するために協力機関と連絡を密にするとともに、関係機関等と十分な連携をとり実施するものとする。
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第4 対象者 |
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協力機関において治療中のリウマチ患者(以下「支援対象者」という。)とする。ただし、他医療機関において治療中のリウマチ患者に対する災害時の治療支援を排除するものではない。
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第5 実施体制 |
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財団、協力機関及び幹事機関は、以下の体制を整備するとともに情報管理等を行い、相互のネットワークを構築し、事業を実施するものとする。
なお、当該事業の実施に当たって収集した情報は財団の「個人情報の保護に関する規程」に基づき、その目的以外に利用してはならないものとし、法令等で定めるもののほか、やむを得ず目的外に使用する場合には、財団の了解を得るとともに、可能な限り協力機関の了解を得るものとする。
1 財団
(1) 財団の内部体制については次のとおりとする。
ア 理事長は、事業の実施に当たり担当理事を別に定めるものとする。
イ 事務局の連絡集合体制は、理事長が別に定める。
(2)地域医療の一端を担うこととなることから、必要に応じ厚生労働省の指導を受けるとともに、関係団体等との連携に勤めることとする。
(3)本事業の推進について、社団法人日本リウマチ友の会(以下「リウマチ友の会」という。)との広報等における連携を密にすることとする。
2 協力機関
(1)協力機関は、各地域内の提供可能な医療、支援対象者数等についての情報を代表幹事機関に提供するものとする。
(2)災害時、協力機関は、担当地域内の幹事機関,または、その他の協力機関から診療の求めがあった際には、可能な限りその求めに応じるものとする。
3 幹事機関
(1) 幹事機関の中から、幹事機関の業務を総括する代表幹事機関を選出することとする。
(2)幹事機関は、当該地域内の協力機関との連携を密にし、当該地域内における医療提供能力、支援対象者等を把握するものとする。
(3)幹事機関は、災害時、担当地域内の協力機関からの求めに応じ、提供しうる医療の情報を提供するものとする。
(4)幹事機関は、都道府県の災害対策部局との連携につとめるものとする。
(5)代表幹事機関には、幹事機関の中から予め定めた順位に従い代行を置くものとする。
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第6 事業内容 |
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事業の内容については、平常時における事業と災害時における事業とに区分することとする。
1 平常時における事業
(1) 財団の事業
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① |
協力機関であることを証するステッカーを作成し、当該機関へ配布すること。 |
② |
支援対象者の加療状況(治療内容及び服薬等の情報)を記載するカードを作成し、協力機関へ配布すること。 |
③ |
幹事機関との情報共有・連携体制の整備及び管理を円滑に行うため、情報交換の場を設けること。 |
④ |
当該事業の地域格差解消のために、関係団体等の協力を得て、協力機関の拡大を図ること。 |
⑤ |
財団の機関紙及びホームページ等あらゆる機会を捉えて当該事業の普及啓発を図ること。 |
⑥ |
リウマチ友の会の会員へは協力機関名の広報及び特別会員の医療機関へは協力機関への参加の推進を依頼する。 |
⑦ |
災害時における支援活動の基礎となる、協力機関からの患者医療情報の維持・管理を行うこと。 |
(2)協力機関の事業
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① |
支援対象者にカードの配布を行うとともに、平常時における留意事項及び災害時における注意事項についての指導を行うこと。 |
② |
リウマチ友の会の都道府県支部との連携を密にして、情報伝達の活性化を図ること。 |
③ |
当該機関の提供可能な医療についての情報を別途定める様式に基づき財団へ提供すること。 |
(3)幹事機関の事業
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① |
上記(2)の協力機関としての業務 |
② |
協力機関の登録医、提供可能な医療、支援対象者の状況把握及び情報交換については、常時行うこと。 |
③ |
協力機関との意見交換の場を年1回程度定期的に開催すること。 |
④ |
各都道府県内の関係団体との意見交換の場を定期的に設けるよう努めるものとすること。 |
2 災害時における事業
(1)財団の事業
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① |
被災地域の幹事機関より得た情報をもとに幹事機関等への連絡を行い、協力機関の対応(医薬品の配布等)の調整を依頼すること。 |
② |
被災地域が都道府県を超える場合にあっては、幹事機関との間で代替する協力機関(以下「代替協力機関」という。)の調整を行うこと。 |
③ |
協力機関の被災状況及び代替協力機関が開設された場合にあっては、代替協力機関について、財団のホームページ等を活用し広報を行うこと。 |
(2) 協力機関の事業
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① |
リウマチ患者のリウマチに関する医療を提供すること。 |
② |
可能な限り幹事機関へ自機関及び支援対象者の被害状況の報告を行うこと。 |
③ |
幹事機関から得た被災患者情報により対応をとること。 |
④ |
リウマチ患者及び一般医療機関のリウマチに関する相談窓口としての機能を果たすこと。 |
⑤ |
被災した協力機関を代替する協力機関その他のリウマチ患者に対する支援体制を広報すること。 |
(3) 幹事機関の事業
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① |
幹事機関と協力機関間において被災状況の情報交換を行うこと。 |
② |
必要に応じ、協力機関の被災状況について、都道府県災害対策部局と連絡を取り確認すること。 |
③ |
代替協力機関及び支援体制の連絡調整を行うこと。 |
④ |
財団から得た被災患者情報をもとに協力機関への連絡調整を行うこと。 |
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第7 事務手続き |
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1 協力機関に参画を希望する医療機関は、別途定める様式に必要事項を記載し、代表者印を押印のうえ、財団理事長宛提出するものとする。
なお、財団での受付は、毎年5月1日から6月末日までとする。
2 財団は、提出された書類の内容を確認後協力機関台帳の作成を行うものとする。
3 財団は、協力機関に対して、協力機関である証のステッカー、ID・パスワード、を送付するものとする。
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第8 経費 |
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当該事業に参加する協力機関及び幹事機関に対する報酬は無いものとする。ただし、次の経費は財団負担とする。
(1)ネットワークの構築、維持・管理、情報の発信にかかわる経費
(2)ポスター及び協力機関である証のステッカーの制作並びに協力機関までの発送費
(3)カードの制作及び協力機関までの発送費
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第9 その他 |
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この要綱に定めるもののほか、災害時リウマチ患者支援事業の実施に関し必要な事項は、別に定める。
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附 則 |
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この要綱は、平成19年4月10日から施行する。 |