リウマチを知ろう!

リウマチQ&A

Q.5私は偽痛風ではないかと診断されました。偽痛風はピロリン酸カルシウムの沈着が原因とのことです。一方私はサプリメントとしてカルシウムを1日当り 224mgを摂取しております。偽痛風の原因は不明で、体質の可能性もあるとのことですが、過剰なカルシウムが一因となっている可能性を考えて、カルシウムの摂取を中止した方が良いでしょうか?

偽痛風はピロリン酸カルシウム(CPPD)が関節腔内に形成されて、痛風と同様に結晶誘発性関節炎をきたします、CPPD結晶は偽痛風の患者さんではかなり広範な部位に沈着しています。確かに加齢によるカルシウム代謝の異常がCPPD結晶の沈着をきたすとされていますが、カルシウムの過剰摂取が明らかに偽痛風を増やすとの成績はありません。したがって、記載されているようなカルシウム摂取量は特に多いものでなく、摂取は問題ないと考えてよいと思います。ただ、日本人に必要なカルシウム摂取量(第6次改定日本人の栄養所要量では60歳代男性では、目標量750mg/日、目安量600mg/日、上限量2,300mg/日)を越えた過剰なカルシウムの摂取は他の問題も生じますので注意が必要でしょう。(平成23年5月)

Q.4テレビ番組で赤ちゃん用ミルクが関節リウマチによいと放送されたのですが、どうでしょうか?

関節リウマチに対する食事療法で人工乳の効果についての御質問ですが、明確な治療効果を有する食物はないと思われます。動物実験において人工乳に含まれる脂肪酸の有効性を示す報告がありますが、否定的な報告もあり、明らかではありません。

Q.10私は8歳のときに、若年性特発性関節炎と診断されました。病状はそれなりに落ち着いていますが、両手両足首と両ひじの可動域が狭くなっています。痛みがなくなるまで待っていたら、関節が固まってしまったのですが、これからリハビリを行うことで、可動域を元どうりに治すことは可能なのでしょうか?

関節炎の活動性が落ち着いている時期には、関節の動きや筋力を回復させるためのリハビリテーションを行います。関節可動域訓練は関節可動域に制限があれば、関節面に負荷がかからないように少し引っ張りながら、ゆっくりと曲げ伸ばしします。動かす時に痛みを感じるようであれば、温めたり、逆に冷やしたりすることで痛みを和げてから行うと効果的です。可動域が元どうりに戻ることは難しいですが、リハビリテーションを試してみる価値はあると考えます。
(平成26年8月)

Q.1温水プ−ルでの運動・体操は、どのようにすればいいですか?

温水プール療法は、水温による温熱効果、浮力による関節荷重の負荷軽減、有酸素運動など筋力増強に大変適した運動療法です 。
関節に負荷をかけずに運動でき、自然に筋力がつきますが、プールの深さや水の温度によりその効果や運動療法は大幅に異なります。また、患者さんの病気の程度により異なってきます。

たとえば、股関節の手術後や関節が壊れている患者さんのリハビリテーションに用いられる荷重の負荷は、首までつかって9割、胸で6割、へそで5割が目安で、少しずつ水の量を調整して、最後は陸での歩行に切り替えます。
目的が心臓疾患リハビリテーションの場合、深さは関係なく水温で調整します。一般に33〜36℃がよく利用され、この温度で水中歩行すると末梢血管が開き、血管の抵抗が下がるために、血圧は約6割まで下げることが出来ます。関節リウマチの場合も温度は高いほうがよく、一般の競泳対象にしたプールでは冷たすぎます。
また、温水プールには鎮静効果があることも知られています。これには水の温度が影響しますが、冬は高め37〜40℃、夏は低め32〜37℃が適します。
障害の程度に応じてプログラムも変更が必要で、ほとんど立てない場合は、介助者により水に体を浮かせた状態で少しずつ支えてもらいながら歩行します。その後は、自力のみで歩行し、筋力がついてくれば水中から空中へ飛び出す運動をします。
歩行速度は最初はゆっくり、筋力がつけば早い動きで行います。水中歩行による最大酸素摂取量は陸上運動の6〜7割になりますが、運動は、最大酸素摂取量の5〜8割、運動時間は20〜30分、週2〜3回を目安として行います。ただし、障害の程度や年齢、水温(22℃の水温下での心拍数は70、34℃では85など)、水の深さでリハビリテーションの強弱は変わるので、詳しいことは指導員とよく相談し、正しいプログラムで行ってください。

Q.4温泉は、関節リウマチに効果がありますか?

温泉が関節リウマチに効果があるというのは昔から知られている事実ですが、これは温泉に含まれている鉱物の影響もさることながら、温めるという効果が大きいためだと思われます。考えてみればほんの100年ほど前までは、いま使うことのできる薬のどれもなかったうえに、お湯で悪い場所を温めることでさえたいへん難しいことであったので、温泉はこうした治療ができる貴重な場所だったといえるでしょう。
しかし、現在の薬物療法以上に温泉の効果が高いと考えるのであれば、それは間違いだと思います。過度の期待は禁物です。よく「〇〇温泉は関節リウマチによい」などといわれていますが、実際にどの鉱物が関節リウマチに効果があるといえるほどの科学的エビデンス(証拠)は示されていません。また、関節が熱く腫れているようなときには、温めることはお勧めはできません。
しかし、動きが悪く硬くなってしまった関節を動かしたりするには、こうして保温してからリハビリテーションをするほうが効果的ですし、また、いまだ十分にわかっていないこともありますので、温泉中のなんらかの物質が関節リウマチの症状の改善をきたすことは考えられないわけではありません。
いずれにせよ、現在はたくさんの薬がある時代なので、あくまで温泉による効果は補助的手段として考えるべきものであると思います。

(平成29年12月更新)

Q.6固定装具とはどういうものですか?また費用はどのくらいかかりますか?

関節リウマチの関節炎症が強く痛みや腫れが続くときにこれを軽減させようとして用いられます。材質としては皮、布、ポリエチレン、可塑性プラスチックなど様々あります。主に関節可動域より除痛のほうが重視される手関節や足関節で使われます。既製品からオーダーメイドまで様々ありますが価格は7千円から2万円ぐらいまでが一般的です。保険が使われるのが一般的で主治医の診断書があれば保険の自己支払い分(3割負担であれば3割)が最終の支払額になります。

Q.3関節リウマチの症状進行により、頸椎が損傷し、全身がしびれてきました。現在、カラーを着用しておりますが、装具の重みで肩こり、首筋の皮膚の痛みなどで苦労しています。 関節リウマチ患者に適した軽量でいい装具はないものでしょうか。

頸椎の装具の素材にはどのようなものが使われているのでしょうか。
確かに交通事故のむちうち(頚椎捻挫)などに使われるもの(ポリネック)では肩にくい込んだり、重いという不満はよく聞かれます。
メッシュにしたものや軽くて肌触りをよくしたスポンジ素材のものもあります。また、自費負担分はありますが、軽量金属のみで作られたはめ込み式のものも利用されています。手が不自由な患者さんも多いので、自分で着脱できるようにした前開き式のものもありますが、このなかにも軽量タイプのものがあります。一度主治医と相談されればと思います。
ただ質問の中に「全身のしびれが強い」とあります。脊椎が圧迫されている可能性が考えられますので、一度、リウマチの専門医(整形外科系)を受診してMRIなどの検査をされることをお勧めします。

(平成29年12月更新)

Q.7リストバンド、スプリント等の装具は、どこで買い求めることができますか?

リウマチやリハビリテーションの専門医が勤務する整形外科には、義肢装具を取り扱う作業療法士がいたり、義肢装具の業者が定期的に来ているので、担当の先生と相談し、必要があれば医療保険を使って購入することが出来ます。また一部の自助具はリウマチ友の会でも販売しています。ご相談されては如何でしょうか?
ただし、装具は「装具選び」が最も大切です。正しくない装具選びは関節に悪いだけでなく、費用も無駄になってしまいます。リウマチ専門医や義肢装具士に相談してください。
(平成29年12月更新)

Q.8リウマチ性多発性筋痛症のリハビリテーションは、どのようなことを行えばよいですか?

リウマチ性多発筋痛症は、副腎皮質ステロイドが劇的に奏功する疾患で、血管炎(巨細胞性動脈炎を含む)の合併がなければ2年くらいで完治する(ただし日本では再燃率が高い)ため、治療の主体は副腎皮質ステロイドによる薬物療法で、リハビテーションは直接の治療効果がないため積極的には行われていません。

治療方法は、小〜中等量副腎皮質ステロイドの服用からはじめ、その後副腎皮質ステロイドの漸減療法に移行し、少量副腎皮質ステロイド、最後に副腎皮質ステロイド離脱による薬物療法が主体となります(多くはこの薬物療法のみで治癒します)。

ただし、この間、消炎鎮痛を目的とした医療機関による疼痛局部への温熱療法などが行われることもあります。また、筋力維持のため無理のない範囲での(痛みをともなわない程度)握力訓練や下肢筋力訓練、拘縮予防のための軽いストレッチが症状に応じて併用されることもあります。(平成29年12月更新)

Q.2家族が関節リウマチで、手足の変形があり、とても痛いようなので、手足のマッサージ機を購入しようかと思うのですが、マッサージは実施してもよいのでしょうか?。 関節リウマチに効果がある機器等があるのであれば、教えてください。

マッサージは、なでたり、優しくもんだりする程度のものであれば疼痛の軽減や疲労回復作用がありますが、高速で強く押したりひねったりするようなカイロプラクティックは、骨の弱い関節リウマチではむしろ危険です。最近のマッサージ機はつぼを押すような強い力のあるものが多いので危険かもしれません。主治医とよく相談されてから購入してください。
また、関節リウマチに効果があり安全な機器としては、電子レンジで温めて使えるようなホットパック低周波の電気刺激機などがあります。根治療法ではありませんが、疼痛を和らげたり、動かない筋肉の萎縮を防ぐリハビリテーションには役立ちます。

(平成29年12月更新)

Q.9関節リウマチのリハビリテーションにおける問題点について詳しく知りたい。

関節リウマチのリハビリテーションは、大別して①理学療法(物理療法・運動療法)、②作業療法、③装具療法にわけられます。
物理療法とは温熱・寒冷・光線・水治療などにより筋肉の緊張緩和、局所の血流改善、鎮痛消炎を目的に行われます。手技としては、パラフィン・電磁波(マイクロウェーブ)・超音波・低出力レーザー・牽引療法などがありますが、電磁波は人工関節などの体内金属がはいっている場合、金属も加熱してしまうためふさわしくありません。また進行した関節リウマチは頸椎に障害があることもあり、牽引は避けたほうが無難です。運動療法は、筋力増強や拘縮した関節可動域回復のために行われますが、痛みが残るほど過度の負荷をかけた運動はかえって関節破壊を進行させてしまうので、熟練した経験のある医療機関で治療されるのがいいでしょう。
作業療法は、作業訓練を通じて社会復帰を図るためのものです。絵画やパソコン指導などが行われていますが、クラフト(手工芸)は手指に負荷をかけることがあるので推奨されません。
装具療法は関節機能の代償や疼痛関節の痛み軽減を目的に利用されます。

(平成29年12月更新)

Q.11関節リウマチで生物学的製剤の治療を受けています。体力がなく困っています。リハビリを勧められましたが疲れが先に来て、発熱してしまい、中断になりました。体力や筋力を向上させる良い方法はありますか?

関節リウマチに特化した筋力向上トレーニングは知られていません。個々により状況が異なりますし、やリ過ぎれば筋肉や関節を逆に痛めてしまうこともありますので、理学療法士、作業療法士の先生とよくご相談して行ってください。またリウマチ体操がホームページにありますのでご参考にしてください。
(令和5年1月)

Q.5手先の不自由な患者さんに補助具があると聞きましたが、どのようにしたら購入、提供していただけますか。 もしくは無償提供先などがありましたら、お教えてください。 坐薬を入れる装置などもありますか?

一般的な自助具や補助具については介護保の認定を受けていれば介護保険サービスの福祉用具の購入費支給サービスや福祉用具の貸与サービス(車いす、歩行器、介護用ベッドなど)により購入や貸与をしてもらえます。また、身体障害者1−6級の認定があれば補装具の交付や修理サービスを受けられます。両方認定されている場合、車いす、歩行器、つえは介護保険が優先されますが、義肢、装具、座位保持装置は身体障害者手帳に基づくサービスとなります。
坐薬を入れるための装置(自助具)は、診療機関に出入りしている装具会社やリウマチ友の会などで有償または無償(社会福祉制度を使った場合)で入手できます。

(平成29年12月更新)

Q.2母は、5年前に右ひざの手術をしましたが、その手術をした部分がむくんでいます。熱をもち、寝る前に氷枕を当ててむくみをとっています。 むくみを防ぐ方法は、ありますか。

5年前の手術とは恐らくひざの人工関節の手術ではないでしょうか。手術した部位が発熱したり、腫脹したりしたときは、まずばい菌(細菌)による感染の可能性を考えなければなりません。なぜならば、人工関節を含めた関節手術の部位が感染を起こして手遅れになれば、人工関節の抜去や、ひどいときには下肢の切断まで考えなければならないからです。自分で判断せずに、症状を主治医に細かく説明し、腫脹や発熱がなぜ起こっているのかの原因を究明することが先決です。もし、主治医がわからないようであれば専門医にセカンドオピニオンを求めるのもひとつの方法です。

人工関節の術後の症状が発熱や腫脹の場合、その他の原因として、人工関節の緩みや、中にある構造物の磨耗が原因のこともあります。また、人工関節術後の感染は、手術直後に感染がなくても、その他の全身の感染巣が血流に乗って人工関節に付着することもあります(虫歯の菌でさえ、人工関節術後、感染を引き起こした例も報告されています)。また非常に弱い菌が、術後しばらくして感染を起こした例も報告されています。主治医との相談、または専門医との相談をお勧めします。

(平成29年12月更新)

Q.8私は10歳から若年性特発性関節炎を患って29年ぐらい経つのですが両膝・両股関節・右肘が拘縮してしまい、生活するうえで介助してもらわないと生活できない状態です。例えば車椅子からのベット・トイレ移乗などです。現在の生活を向上させたいと思っているのですが、拘縮した関節の人工関節・手術は麻痺やその他のリスクがあるので、あまり主治医も勧めません。何か良い方法はありませんか?とても悩んでいます。

破壊された関節の程度にもよるのですが、軟部組織の剥離や術前の拘縮改善の十分なリハビリ・拘縮除去手術後の人工関節などの2期的手術・特殊形状の人工関節を使うことにより手術が出来る場合もあります。

ただし、長年車いす生活であれば、手術が成功した後の歩行に耐えうる筋力が維持されているかも心配です。まだ年齢的にもお若いのでもう一度希望を話されて手術についても、また手術方法や手順についてもリウマチ手術を専門に行っている医師に相談されては如何でしょうか?(平成26年1月)

Q.1関節リウマチによ人工股関節手術を受けました(70代・男性)が、その後39℃地位の熱が頻繁に出て、座薬で抑えたりしています。血液検査では異常がないようなのですが、何か原因があってのことだと思います。(手術前に熱が出るような事はありませんでした。)ただ、手術前から原因不明の嘔吐がたまにあり、首の軟骨が圧迫している様だとの所見でした。何かアドバイスをお願い致します。

リウマチの熱の原因は様々で、術後となるとさらに難しくなります。情報量が少ないので的確な回答はしかねるかもしれませんが、考えられる原因について述べます。関節リウマチの熱はリウマチそのものの悪化によっても出ますが、多くは38℃以下です。術後の感染では一般にCRPの上昇が参考になりますが、リウマチでは手術前の数値も高いことが多く、判断に迷うところです。ちなみにMMP-3の手術前後の変動はありますか?MMP-3もCRP同様、リウマチの炎症により増加しますが、CRPと異なり滑膜の炎症性変化をより強く受けるため、もしCRPとMMP-3両方が顕著に上がっているようであればリウマチの増悪を、CRPが顕著に上がっているがMMP-3の増加がないかわずかであれば感染症が疑われます(ただしMMP-3は副腎皮質ステロイド服用中で増加するので、副腎皮質ステロイド服用者では塾考が必要です)。ただし手術前の値は参考になるので、現在どのくらい変化しているかは大切です。(今回の場合、血液検査は異常がないとのことですが?)また股関節の手術後の感染は創部が深いことから膿や浸出液が体表に出ることもなくわかりづらいので血液検査の値は重要な指標となります。通常手術そのものの侵襲でも39℃ぐらいの熱は出ますが多くは1週間でおさまります。その他術後ベッド上での安静が長い場合は、尿路感染や誤飲による肺炎・腸炎などの他部位の感染症が合併症として出ることもあります。嘔吐されているようですが下痢はないのでしょうか?術後その他の合併症とし血栓症があり、足が腫れる様な程度のひどい場合は発熱することもあります。あまりにも多くの原因があるため充分な回答は出来ませんが、主治医の先生と良く相談されるのが一番いいのではないでしょうか。

Q.3両手首の軟骨が減り、一部は骨まで侵されているため、固まっているようで、動きに制限があります。よく使う手首が痛くつらいです。 それでも軽症のため、補助具や湿布などしか治療はないと言われました。 手術は適当ではないのでしょうか?

手首の手術についてのご質問かと思います。軽症とありますが破壊がどの程度のものなのか、また関節リウマチの活動性がどの程度なのかによって手術をするべきかどうかを判断しなければなりません。

痛みが関節リウマチの炎症で起こっているのか、あるいは炎症の結果、壊れてしまったために痛いのかを区別して、手術するかどうかを考えるべきです。火事で燃えている家に消火もしないでまた家を建てるようなもので、炎症の強い段階ではまずその勢いを止めませんと、せっかく手術してもまた悪くなってしまいます。
しかし、専門医が手術の適応があると判断される例においては、手関節手術後の成績は良好で、患者さんの満足すべき成績が報告されています。
術式としては、滑膜切除術、または、これに手関節形成術を併用した方法がとられます。手術の効果は、主に手関節の痛みの軽減または消失に対して効果がありますが、術後関節の動きはむしろ低下する傾向にあります。それでも、患者さん自身による評価が高いのは、確かな徐痛が得られるためだと思います。
痛みがあるようなら手術を受けられるのがよいと思いますが、動きをよくすることをを主に考えられているようでしたら、期待するほどの効果は得られにくいと思われます。

(平成29年12月更新)

Q.4右手の薬指と小指の腱が切れてしまい、指が内側にしか曲がらなくなり、腱をつなぐ手術を勧められています。また、左手の中指の第二関節が腫れて伸びなくなり、ほかの指に負担がかかるため、その手術もしようかといわれています。 仕事で手をよく使うのですが、手術すれば、今までと同じように指を動かすことがせきるでしょうか? なお、第二関節には、人工関節を勧められています。

関節リウマチで頻繁に切れてしまうことの多い手の指の腱は、指を伸ばす働きのある伸筋腱です(特に小指と薬指)。切れたままでは日常生活を送るうえで大変不便です。やはり手術をなされたほうが良いかと思います。

切れてから間がないのであれば、アキレス腱断裂のように切れた腱の断端どうしを縫合するという手術で済みますが、日数がたってしまうと(切れてからしばらく放置したままにした場合)、整形外科を受診してもその切断された腱の断端どうしの間にうめがたいギャップが生じ端と端を単純に縫合することが出来なくなり、他から採取した代替の腱を移植するか切れていない隣の腱に切れ端を縫い付けるしか方法がなくなります。この場合、手術そのものが大掛かりになるばかりでなく機能的にも端と端を縫合する手術の術後に比べ劣ることが多くなります。
また頻度は少ないながら手の滑膜腱鞘炎や骨の変形のため指の屈筋腱(指を曲げるための腱)が断裂することもあります。 この場合は、手の手術の専門家でないと再建がむずかしいことがあります。人工関節については、近年のもので成績が良いものも出てきています。少なくとも手術しないよりは日常生活の改善が見込まれると主治医の先生が判断されたため、手術を勧められているのでしょうから、今現在よりは指が使いやすくなるものと思われます。

(平成29年12月更新)

Q.6左ひじの滑膜切除術を受けました。ひじの痛みがひどく薬を増やすか手術をするかしないと痛みはとれないといわれ手術を選びました。右ひじは人工関節術をすでに受けていますので、左ひじは人工関節をせずにと思って手術を決心した次第です。 しかし、術後半年経過しても左ひじの痛みはとれていません。手術をしても痛みがとれない事があるのでしょうか?

滑膜切除術により、かなりの疼痛の程度が軽減されると考えられますが、若干(1〜3割程度)の痛みが残存することもあります。これは、手術の手技的な要因より手術前の関節破壊の程度(かなり進行し残余の軟骨が失われていたなど)に起因している場合と、関節リウマチの治療が不十分である場合が考えられます。主治医の先生とご相談されたらよいと思います。

(平成29年12月更新)

Q.769歳の主婦です。手指(特に右手第4、第5指とその下の掌)に痛みがあり、通院中です。治癒するのであればと手術を考えていますが、どのような手術になるのでしょうか?また術後に術前と同じような手の状態に戻るでしょうか?

手ならびに手指の滑膜炎と、腱鞘滑膜炎による狭窄性腱鞘炎が原因と考えられます。保存的には安静を保つためのテーピングや消炎鎮痛薬の内服・外用(湿布、塗り薬)副腎皮質ステロイドの腱鞘内注射が有効なことがありますが、効果が乏しい場合や症状が進行している場合には手術療法が行われます。

手術は当該領域の腱鞘性滑膜炎を含めた滑膜切除と狭窄している腱鞘の切開術です。術後経過は一般に良好ですが、病変部位の炎症による腱鞘の肥厚が著しく、かつ広範である場合には稀に切開の範囲が広範となり術後に自力で指が曲げにくくなることもあります(ただし大半は術後1〜3か月以内に自然治癒します)。また手術をしても薬物による治療が不充分であると、また再発してしまいます。ご自身の術後経過については主治医の先生とよくご相談ください。(平成23年1月)