リウマチQ&A
- Q.8私は10歳から若年性特発性関節炎を患って29年ぐらい経つのですが両膝・両股関節・右肘が拘縮してしまい、生活するうえで介助してもらわないと生活できない状態です。例えば車椅子からのベット・トイレ移乗などです。現在の生活を向上させたいと思っているのですが、拘縮した関節の人工関節・手術は麻痺やその他のリスクがあるので、あまり主治医も勧めません。何か良い方法はありませんか?とても悩んでいます。
破壊された関節の程度にもよるのですが、軟部組織の剥離や術前の拘縮改善の十分なリハビリ・拘縮除去手術後の人工関節などの2期的手術・特殊形状の人工関節を使うことにより手術が出来る場合もあります。
ただし、長年車いす生活であれば、手術が成功した後の歩行に耐えうる筋力が維持されているかも心配です。まだ年齢的にもお若いのでもう一度希望を話されて手術についても、また手術方法や手順についてもリウマチ手術を専門に行っている医師に相談されては如何でしょうか?(平成26年1月)
- Q.1331年半程前から、アクテムラ皮下注射と、ケアラム25mg朝1錠、ファモチジンD10mg朝1錠服用しています。 主治医からケアラムで胃が荒れないようにと言われていますが必ずファモチジンも飲んだ方がいいのでしょうか。 私はやせ形で、体力をつけるため食事に気をつけていますが、全く体重が増えず、胃酸抑制剤が原因のひとつではないかと思っています。
まず、医師から処方されたお薬は、医師の指示通りに服用することが大原則です。それは、医師は診察の際に処方されたお薬をきちんと服用した上での治療効果や副作用などを総合的に判断して治療方針を立てているからです。
現在服用されているケアラム錠には副作用として消化性潰瘍があらわれる可能性があることから、主治医の先生はファモチジンを処方されている意図が読み取れますので、自己判断で中止しないで必ず主治医に相談してください。
(令4年7月)
- Q.140関節リウマチです。生物学的製剤、JAK阻害薬と色々試しJAK阻害薬で落ち着いています。しかし少しずつ痛みが増えて来ました。これまでの流れだと違う治療薬に変更していますが今の薬にしてから初めてこわばりがありません。このままで治療の追加とかはできないのでしょうか?薬が効かなくなってから薬の変更以外にできることはありますか?
JAK阻害薬だけで落ち着いていたのが少し関節リウマチの炎症に再燃傾向が出てきた、ということでしょうか。再燃の場合、いくつか方法があります。①他の抗リウマチ薬を追加併用する②他のJAK阻害薬に変更する、③今まで使用していない生物学的製剤に変更する、などです。軽い再燃なら現在のJAK阻害薬を継続して、非ステロイド抗炎症薬や少量のステロイドを追加併用するのも良いかもしれません。またリウマチの再燃でなく、関節が壊れたりしている場合などは薬でなく外科的な治療法も考えられます。
(令和5年2月)
- Q.14188才の母が、2年前にリウマチ性多発筋痛症と診断され、プレドニンを1年以上服用(徐々に減薬)し、今はアクテムラの皮下注射のみを月2回していて、血液検査の結果が良く、変化がなければ、今後は減らしていくようです。アクテムラはいつまで、投与しなければなりませんか?筋肉低下がみられますが、改善方法はありますでしょうか?胸のレントゲンで、胸部大動脈瘤があるかも、と言われ、もし、動脈瘤があった場合、アクテムラは継続して良いのでしょうか?
リウマチ性多発筋痛症にはアクテムラは日本の健康保険での利用はできません。ただし有効であることは国内外の報告でわかっています。特に高齢者ではステロイドの長期投与による骨粗鬆症、糖尿病などの有害事象を回避することができます。本例はステロイドを中止してアクテムラのみでも症状が治まってるとのことですが、いつまで続けるかの決まりはなく、ある程度良い状態が続けば、アクテムラの投与間隔を伸ばして(3〜4週に1回など)、その後に中止できれば良いと思います。
筋力低下はステロイドの長期投与ではステロイドミオパチーと呼ばれるステロイドの副作用で見られます。それ以外では、疼痛であまり動けなかったための廃用性筋萎縮が原因と思われます。回復には大変時間がかかりますがリハビリを丹念に行うしかないと思います。
大動脈瘤については、ほとんどが動脈硬化が原因ですが、リウマチ性多発筋痛症では巨細胞性動脈炎による動脈瘤であった可能性もあります。その場合はしっかりアクテムラを使用して炎症を抑えることが重要です。
- Q.142今はJAK阻害薬を服用しています。効果無し、副作用等で3種類目です。次は生物学的製剤の注射の治療しかないといわれていますが、どうしても注射は苦手です。他に方法はないのでしょうか?
関節リウマチの治療法は、現在幅広く、一般的な効果と一人一人の患者さんにおける反応は必ずしも同じではありません。まずは、診断や併存疾患の検索も含めて相談してみることも一つの方法と考えられます。
(令和5年2月)
- Q.143リウマトレックスを飲んでいましたが吐き気が酷く中止になりました。他の治療をしていますがだんだん効かなくなり、リウマトレックスを飲んでないとできない治療や効果が続かないものもあると言われ治療が限られています。また、リウマトレックスを試してみることはできないのですか?量を調整することはできないのでしょうか。
メトトレキサート(リウマトレックスの一般名)を少ない量にすれば吐き気は弱くなる可能性がありますが、効果も低下します。最近、メトトレキサートの注射製剤が発売されました(商品名:メトジェクト)。週1回の皮下注射ですが、ご自宅で自分で打つ自己注射も可能です。飲み薬に比べて、吐き気などの消化器症状が出にくいことが知られていますので主治医の先生に相談していただくとよいかと思います。
(令和5年2月)
- Q.13910年ほど前から関節リウマチがありメトトレキサートで治療を受けてきました。最近痛みが増してきたので、先生からエンブレルを薦められ、悩んでいます。エンブレルを使用するとき、現在服用しているメトトレキサートも併用するというお話がありました。メトトレキサートをやめて、エンブレルだけにすることはできますか?
痛みが増してきたとのこと、お辛いかと思います。
今回医師から勧められたエンブレルは、単独使用も可能な薬剤ではありますがが、これまでの臨床データによりますと、メトトレキサートと併用することで、その効果を最大限発揮できるため、エビデンスに基づき、寛解を目指してメトトレキサートを併用することを医師がお勧めしているかと思います。
しかしながら、メトトレキサートの副作用等でどうしても使用継続が困難な場合には、単独使用も可能な薬剤です。
関節リウマチは早期から適切な治療を行えば、症状をコントロールできるため、現在何が一番辛いのかを担当の医師と十分に話し合った上で治療をすすめることが大切と思います。
(令和5年1月)
- Q.138母親(70代)が関節リウマチのため、治療開始時からメトトレキサートとプレドニンを約20年間服用しています。また、骨粗鬆症のための注射、胃炎の薬も使用しています。症状は落ち着いた状態が長く続いています。 このように関節リウマチの関節炎や痛みがコントロールされている状態で、数十年という長期間、ステロイドを使用することがあるのでしょうか。
現代においてはリウマチの治療薬が進歩し、ステロイドは少量で使用するとしてもなるべく短期間とすることが推奨されています。もちろんステロイドは使用しなくてすめば、それに越したことはないのですが、他剤の副作用やそのリスクある場合や、経済的理由など、何らかの理由で有効な薬剤が使用できないことがあり、ステロイドを使わざるを得ない場合もあります。また、過去長期間使用されている場合にはなかなか中止できない場合も少なくありません。 (令和5年1月)
- Q.137B型肝炎Hbs抗体陽性です。45歳に発症して現在63歳です。いままでメトトレキサートを使って来ましたが、肝臓の数値が悪い状態が1年以上続いているので、肝臓がこれ以上悪くならないか心配です。何か別の治療方法があるのでしょうか?
ご相談の患者さんにみられる肝臓の障害には、メトトレキサート(MTX)が原因の場合とB型肝炎の悪化、そしてMTX以外の薬剤が原因の場合が考えられます。B型肝炎の悪化についてはB型肝炎のDNAを定期的に調べてると思いますので、それを確認すれば良いと思います。葉酸を1錠(5mg)毎週服用してれば葉酸の摂取量は十分であり、葉酸欠乏が原因の肝臓の障害ではありませんので葉酸を増量する必要はありません。むしろMTX自体による肝臓の細胞毒性が原因と思いますので、リウマチの状態が安定しているならMTXを減量(可能なら中止)するのが良いと思います。リウマチの状態もある程度活動性があるなら、MTXは減量して頂き、肝障害のリスクの少ない他の抗リウマチ薬(ブシラミン、タクロリムス、生物学的製剤など)を代わりに投与していただくのが良いと思います。 (令和4年12月)
- Q.136関節リウマチで治療中です。ネットで見たのですがリンパ球除去療法(LCAP)という治療は現在も行われていますか。
関節リウマチのリンパ球除去療法(LCAP)につきましては、使用するフィルターの製造が困難となり、2020年3月に製造中止となったことに伴い、現在は行われておりません。また、残念ながら製造再開の見込みはないとのことです。(令和4年12月)
- Q.13関節痛が始まり2年になり現在通院しています。午前中は膝、手、肘、肩がこわばり痛みが激しいです。筋肉注射は効果があるが副作用もあると聞いています。 私と同じ様な病状の方がどのような療法を行っておられるのか、教えてください。
多くの関節の痛みと午前中のこわばりという症状からおそらく診断は「関節リウマチ」だと思いますのでそれを前提に述べます。関節リウマチの治療で「筋肉注射」といえば、通常金製剤(商品名シオゾール)かステロイド製剤のトリアムシノロン(商品名ケナコルト)のどちらかでしょう。シオゾールは一部の患者さんには有効ですが、現在ではほとんど使用されなくなった薬剤です。またケナコルトは定期的・継続的に使用する薬剤ではありません。まず、主治医の先生に現在の注射薬の内容を確認されることが大切でしょう。現在ではメトトレキサート(商品目リウマトレックス)などの有効性の高い経口の薬剤がありますので、そのことについてもお聞きになるのがよいと思います。
(/平成29年10月更新)
- Q.11膝に水が溜まります。水を抜く事の悪影響はないのでしょうか?痛みはあまりありません。
水(関節液)を抜くこと自身は繰り返しても問題はありませんし、くせになるものではありませんが、何度も抜くことになるのでしたら、水がたまらないような治療を考えるべきだと思います。たとえば関節内にお薬を注入するとか、内服薬を変えてみるとかです。それでも難しい場合もありますが。あとは膝によけいな負担のかからないような注意も必要です。
- Q.10海外で膠原病科のドクターにかかっており、メソトレキサートを週6錠(15mg)服用していますが、日本のある病院で多すぎるといわれました。 一般的なご意見を聞かせください。 また リウマチ科には 整形外科系と内科系がありますが、それによって 薬の使い方の見解が異なることはあるのでしょうか。
海外でのメトトレキサート使用量はコントロール不良の場合15〜20mg/週くらいまで増量することは稀ではないですが、日本では従来は2-8mg/週の範囲で用いられることがほとんどです。これは医療保険で認可されている量は8mg/週までのためでした。しかし、2011年2月から医療保険上も16mg/週まで使用可能となり、海外に近い使用量となりました。したがって15mg/週が多すぎるわけではありません。
整形外科と内科の違いですが、専門医であればどちらも同じような使い方をします。日本では日本リウマチ財団リウマチ登録医、日本リウマチ学会リウマチ専門医、日本整形外科学会認定リウマチ医の制度があり、内科医、整形外科医に関係なく関節リウマチに精通した医師を認定しています。ようは整形、内科という分け方でなく、どのぐらい関節リウマチに精通している医師であるかにかかると思います。(/平成29年12月更新)
- Q.1574歳ですが、副腎皮質ステロイドを減らすため抗リウマチ薬(ミゾリビン、タクロリムス)を勧められています。 場合によって白血球除去療法(LCAP療法)を併用とのことですが、体力もないのでできれば抗リウマチ薬を使わずいきなりLCAP療法を試してみたいのですが可能ですか。
LCAP療法は、以下の関節リウマチの患者さんに適応となります。
抗リウマチ薬の効果がないか効果が減弱した場合にその使用を考えます。抗リウマチ薬を使用しないでいきなりLCAP療法を試すことはできません。
医療保険で認められる条件は、次のように決まっています(血球成分除去療法(吸着式))。
活動性が高く薬物療法に抵抗する関節リウマチ患者または発熱などの全身症状と多関節の激しい滑膜炎を呈し薬物療法に抵抗する急速進行型関節リウマチ患者であって、以下の2項目を満たすもの
●腫脹関節数6か所以上
●ESR(赤沈、血沈)50mm/h以上またはCRP≧3mg/dL以上
最近では確実に有効な治療薬が多数使用可能となったことから、LCAP療法は以前ほど行なわれることはなくなってきています。LCAP療法でも完全に安全であるとはいえません、
年齢のみを考慮するのでなく、患者さんの全体的な身体状況からどの治療法がその時点で適切かを専門医は判断します。
(/平成29年12月更新)
- Q.12疼痛緩和目的の罨法(湿布)について、温かいものと冷たいものとどちらがよいのでしょうか?
まず簡単に申し上げると、「急な痛みには冷罨法(冷湿布)、慢性の痛みには温罨法(温湿布)」ということになります。
温めると局所の血管が拡張して血液の循環がよくなり、関節リウマチの関節内で生産された炎症性物質が血管内に戻って流れ去るという好影響があります。しかし急性の炎症の直後では、逆に炎症を引き起こす細胞(白血球など)や炎症性蛋泊(補体など)が炎症部位に動員されやすくなります。そこで温湿布は急性炎症には避けるということになります。
一方、冷やすと血管が収縮し、炎症性細胞が動員されにくくなるので、急性炎症の増悪を抑制することができます。急性炎症には冷湿布がよいのはこういう理由からです。
まとめると、温湿布は起こってしまった炎症反応の結果を改善する(炎症性物質を減らす)方法、冷湿布は炎症を続かないようにする方法ともいえるかもしれません。
炎症の活動期には冷やして炎症部位への炎症を引き起こす成分の流入を抑えて炎症が続かないようにし、ある程度落ち着いて新たな炎症を引き起こす成分の動員が少なくなってきたら、局所に蓄積した炎症性物質を流出させるために温めて血流をよくする、というのが一般的な考えではないかと思います。
(/平成29年12月更新)
- Q.130バイオシミラーを使用している施設はどのように探したらよいでしょうか。
バイオシミラーを使用している施設がどこにあるかを調べる方法はありません。しかし多くの施設で導入されていますので担当の先生にご相談ください。
(令和4年6月)
- Q.131関節リウマチ歴17年になり、各関節などに変形があります。2週間前に中指の第二関節が脱臼したようなのですが、元に戻す治療はありますか? もうこのまま変形していくのを待つだけなのでしょうか?
「2週間前に第3指第2関節の脱臼した」ということですが、急に脱臼すると激痛になりますので、徐々に亜脱臼が進行していたものが2週間前に判明したということだと考えられます。亜脱臼の程度によりますが、軽度の亜脱臼や関節変形が出現してあまり時間が経っていない状況であれば、関節周囲の軟部組織に対する手術のみで変形が解消する場合があります。一方、中等度の亜脱臼や関節変形が出現して時間が経った関節の場合、人工関節置換術や関節固定術の適応になる場合があります。一度亜脱臼が出現すると、いくら薬物治療を強化しても亜脱臼は解消せず、関節変形が進行する場合がありますので、日常生活に支障がある場合は手術を考慮されてよいと思います。
リウマチの手指関節の手術は専門性が高いため、通常の整形外科では対応不能の場合が多いので、関節リウマチの手術を積極的に行っている、あるいはより具体的に、リウマチ手の手術を行っているという施設を探されるとよいと思います。(令和4年6月)
- Q.132私は診断から6年目の関節リウマチ患者で、ずっとメトレートを週一回現在は8mgを服用しています。また約1年前からリンヴォックを服用しています。 最近メトレートを朝に飲むと昼ごろから具合が悪くなり、下痢をするようになりました。排便したもののなかにメトレート(あるいはリンヴォック)の錠剤がそのままの形でありました。この現象が3週くらい続いています。下痢の体調不良は大変辛いですが半日程度で動けるようになり、関節リウマチ自体は良くも悪くもなっていないと感じています。これはよくある副作用なのでしょうか、すぐに主治医に受診したほうがよいでしょうか。
メトレートを服用した後に下痢や気分不快があり、服用しない日はあまり異常が無いならば、メトレートの副作用である可能性が高いと思いますので、主治医に相談してメトレートの減量や中止を検討していただくのが良いと思います。もし、下痢が持続してるなら、メトレートだけでなくリンヴォックも含めた薬剤の有害事象(感染症や悪性腫瘍など)かもしれませんので、やはり主治医に相談して、消化器科の専門医に診療をいらしてもらい、内視鏡などできちんと精査をしてもらうのが良いと思います。
(令和4年7月)
- Q.134なかなか治療が効かない関節リウマチです。副作用やアレルギー、二次無効で生物学的製剤やJAK阻害薬を使い切ってしまった場合今後はどうなるのでしょうでしょうか?痛みを抑えられず痛み止めも多く使っているため腎臓に負担がかかっています。良い方法はありますか?
ご相談の患者様の場合、詳細なデータが分かりませんので正しいコメントはできませんが、全ての薬剤が使えない/無効ということはあまり経験なく、もしリウマチによる痛みならステロイドを使うしかないと思います。しかし、診断が本当に関節リウマチなのか、が気になります。線維筋痛症など精神的ストレスなが背景にあって起こる「痛覚変調性疼痛」のこともあります。またそれ以外の病気も再検討される必要があるかと思います。
(令和4年9月)
- Q.135関節リウマチとアレルギーは関係ありますか?関節リウマチになってから色々な薬にアレルギーが出ることが多くなりました。今後色々な薬を使うことも不安です。
関節リウマチと薬剤アレルギーの関連は特にいわれておりません。ただ、抗リウマチ薬の副作用で、薬疹がみられる場合があります。点滴で投与する生物学的製剤レミケードは投与中や投与後にアレルギー症状がみられることがあり、重篤な場合もあるため、慎重に投与します。内服薬ではアザルフィジンで強い薬疹がみられることがあります。バファリン(アスピリン)で喘息となったことがある場合は、痛み止めは避けることが必要です。その他の薬剤でも薬疹の可能性はありますが、アナフィラキシーなど重篤なアレルギーがみられることはあまりありません。主治医とよく相談し、治療薬を選択するようにしてください。
(令和4年9月)
