リウマチを知ろう!

リウマチQ&A

Q.47ホームページの説明の中に 「この免疫系の異常で、関節の毛細血管が増加し血管内から関節滑膜(かつまく)組織にリンパ球、マクロファージなどの白血球が出現します。このリンパ球やマクロファージが産生するサイトカイン(TNFα、IL-6など)と呼ばれる物質の作用により関節内に炎症反応がひきおこされ、関節の内面を覆っている滑膜細胞の増殖が起こり、痛みや腫れを起こし、関節液が増加し、軟骨・骨の破壊が進んでいきます。」 というのがありました。つまりリンパ球や単球が増えるということですか? 痛みが悪化してしまい検査結果では炎症値の上昇と単球が多くなっていました。でもリンパ球は減っていました。どういう意味なんでしょうか?

血液検査は血管の中の白血球をみているので、必ずしも関節滑膜での状況とは一致しません。血液検査のリンパ球減少は関節リウマチやステロイドなどの治療でよくみられます。リンパ球数の増減について、通常はあまり問題にすることはありません。(令和6年1月)

Q.171プレドニゾロン2ミリを継続しています。少ない量でも副作用はありますか?どのような副作用がどの程度起こりますか?

プレドニンは少ない方が副作用は減少しますが、長期間になるとどんなに少量でも副作用があると報告されています。副作用の種類や頻度は、毎日の内服量のみならず、今まで投与されたステロイド積算量、年齢、性別、患っている病気によっても異なります。ただ、多くの副作用は予防も可能です。当財団の関節リウマチの治療のステロイドの項も参考になさってください。(令和6年1月)

Q.170シンポニーは半減期が14日とありました。ですが投与間隔は4週なのはなぜですか?

健康な人にシンポニーを1回注射した場合の血液中の濃度は3.5~5.5日後に最高となり、半減期(血中薬物濃度が半減するまでに要する時間)は約12~13日であることが報告されています。ただし、シンポニーの濃度はこの倍の期間である24-26日で0になるわけではないため、関節リウマチ患者さんではシンポニーを4週毎に注射した場合には12週後には安定した血中濃度になるといわれています。シンポニーはTNFαという炎症を起こすサイトカインに結合してその作用を抑えるため、TNFαが多い状態の患者さんではシンポニーの効果が4週間持続しない可能性が考えられ、その場合は注射する量を増やすことがあります。シンポニーの用法用量は、50㎎、100㎎をそれぞれ2週間投与と4週間投与で投与した試験の6週後の有効性の評価において、50 mgを4週間隔で皮下投与する用法用量が治療効果が得られる最小の用量と考えられたため、4週に1回の投与になりました。(令和6年1月)

Q.169シェーグレン症候群で治療中ですが。インフルエンザのワクチンを受けてもいいでしょうか。 また、受けてもよいなら血液検査を受けた日からどのくらい期間は空けた方がいいのでしょうか。

シェーグレン症候群を始めとする膠原病患者さんの多くはステロイド、免疫抑制薬を服用しており、いずれも免疫力低下が懸念されます。そのため、厚生労働省が作成した「新型インフルエンザワクチンの優先接種の対象とする基礎疾患の基準の手引き」においても、 新型インフルエンザに感染した時に重症化するおそれが高いことから、優先対象とすると記載されています。
また、定期的な血液検査を受けた日にちとインフルエンザワクチン接種期間については特に問題はございませんので、いつでも接種可能です。(令和6年1月)

Q.168関節リウマチに関連したこわばり、冷えや筋肉痛への対処法はありますか?

冷えや筋肉痛は一般的には関節リウマチには直接的な関連はないと思います。朝の手指のこわばりに関しては、起床時にお湯に5分ぐらい浸けてから日常生活を始めるとよいと、以前から言われています。(令和6年1月)

Q.167免疫抑制剤とステロイド、生物学的製剤とたくさんありますが、免疫力は実際どのくらい下がるのですか?薬の効き具合とは関係なく、免疫の下がり具合を見た時、強弱や、レベル、どう違うんですか?

免疫は生体の防御反応で、リンパ球や免疫グロブリンなどさまざまなもので構成されています。たとえていえば、攻撃に対して種々の撃退方法を持っているような自己防衛隊のようなものです。そのどの部分を抑えるかが薬によって異なりますので、一概に薬同士の強さを比較するのは難しいです。(令和6年1月)

Q.166関節リウマチになり2年がたちます。最初が肝心と言われて治療を色々しましたがあまり上手くいっていません。薬があいにくいみたいです。最初というのはどのくらいですか?その後はどう変化していくんですか?

関節リウマチは、以前は長期にわたり徐々にゆっくりと関節変形・破壊が進行していくと考えられていましたが、現在では発症2年以内に患者さんの70~90%でレントゲン所見で骨びらん(関節破壊)が起こることが確認されており、以前考えられていたよりも病初期に関節破壊が進行することが分かってきました。ですから2年以内に適切な治療を導入することが必要だと言われています。(令和6年1月)

Q.165関節リウマチで海外でアナキンラの治療を受けていました。帰国して日本ではないと言われました。似ている作用のものや良く効くものはないのでしょうか?

関節リウマチに対して保険適用があるのはTNF阻害薬6剤、IL-6阻害薬も2剤など、アナキンラに代わる生物学的製剤は多数あります。また内服薬でJAK阻害薬も有望ですので、主治医とご相談して決めていただければ良いと思います。(令和6年1月)

Q.164関節リウマチにおける平均的な通院頻度、検査頻度はどのくらいですか?生物学的製剤、ステロイド内服中です。

生物学的製剤を用いていても状態が安定していれば1-3か月に一回ということになると思います。(令和5年11月)

Q.46関節リウマチのステージや診断の基準を見ると関節が中心で書かれています。合併症や全身の状態が悪くてもメインの判断は関節ということになるのですか?

「関節リウマチの診断」では、関節の所見が一番の重要点となります。具体的には関節の腫脹がないと診断自体ができないことになっています。
また一般的に用いられている「関節破壊の進行の程度(Steinblocker分類)」では、関節のX線所見により個々の患者さんの関節破壊の「ステージ」を分類します。
一方、「合併症や全身状態」はあくまで関節リウマチの合併症や、疾患に付随する全身的な状態を表すものであり、関節リウマチの「診断」自体には直接かかわるものではありません。(令和6年1月)

Q.4530代女性です。近所の整形外科を受診し、1年間メトトレキサート週3錠セレコキシブ・アザルフィジンを毎朝夕、プレドニン毎朝・週1フォリアミン飲んでいます。しかし痛みや腫れも完全には収まっていません。最近の検査結果はCRP0.33/RF46/MMP-3 152です。担当医からは生物学的製剤を使うといわれましたが、専門医を受診した方がよいでしょうか?

ご年齢と、お示し頂いた検査結果、症状の経過などから診断は関節リウマチでほぼ間違いないように思います。現在受けておられる治療は関節リウマチの治療としてほぼ標準的な治療であり、現在の主治医の先生は専門医のご資格がないのかもしれませんが、十分専門医として通用する診療をされているように思います。セカンドオピニオン的に他の専門医のご意見を訊いてみるのも良いですが、現在の先生に症状が完全に治らないこと、検査所見も正常化しないこと、などをご相談され、たとえばメトトレキサートを、現在の週3錠から4〜5錠に増量する、生物学的製剤を使用する、など、治療強化をご検討頂くのがよろしいかと思います。(令和5年6月)

Q.60生理中に関節痛が悪化する気がします。生理と関節リウマチに関連はありますか?

女性ホルモン(エストロゲン)の低い時期、具体的には生理10日位前から生理終了までに悪化しやすいという考えがありますが、生理周期とリウマチの関連については確定していません。月経前症候群が含まれていることもありますので、区別は難しいです。(令和6年1月)

Q.59毎回生物学的製剤の投与日の夜全身の関節がものすごく痛くなります。なぜでしょうか?

生物学的製剤を投与された後に逆に関節痛がでることは全く報告がありません。主治医の先生にご相談ください。(令和6年1月)

Q.58私が関節リウマチです。姉が潰瘍性大腸炎、妹が皮膚筋炎です。 みんな自己免疫疾患ですが家族性、遺伝等関係はありますか?

それぞれ膠原病、リウマチの病気(自己免疫疾患)でお互いに遺伝関係があると考えられていますが、親兄弟に病気があれば必ず遺伝して発症するわけではありません。

(令和5年11月)

Q.57関節リウマチで治療しています。薬を飲んでいても症状が出ることはありますか?

薬を飲んでいて完全に痛みを取ることが理想ですが、なかなか完全に痛みをとることはできないこともあります。
ただし痛くて自制ができないような状態にはならないはずです。また既に関節が破壊されてしまっているときには動作などで痛みが発生することはあります。
(令和5年11月)

Q.163生物学的製剤での治療をしてきましたが、金銭的に厳しく中断せざるを得ない状況です。月に5000円が限度です。痛み止めやステロイドだけでなんとかならないですか?リウマトレックスなどの飲み薬は副作用で飲めません。何か良い方法がありますか?

痛み止めやステロイドだけでも、痛みは取れますが、骨の破壊は止められず将来関節が変形していくことになります。また、ステロイドは5年以上長く続けると副腎不全を起こし、また糖尿病や緑内障、骨粗鬆症など多くの合併症を起こす可能性があります。ステロイドはできるだけ少量(3mg以内)にして従来のサラゾスルファピリジン、ブシラミン、イグラチモドを試す価値はありますので、これらを単独あるいは併用して使っていくのが良いと思います。レフルノミド(商品名アラバ)という薬もあり、安くて有効性も高いのですが、副作用が多いことから日本ではほとんど使用されていません。ただアラバは海外ではメトトレキサートに代わる第2選択との位置付けになっており、一部の患者さんでは大変有効ですので、試す価値はあるかと思います。
(令和5年10月)

Q.162生物学的製剤とJAK阻害薬の違いについて教えてください。それぞれのメリットやデメリット、使っている人の割合などが知りたいです。

生物学的製剤は、炎症を引き起こす細胞外分子の働きを抑える作用がある注射製剤で、JAK阻害剤は、炎症を引き起こす細胞内分子を標的とする経口薬です。
いずれも免疫力を低下させる作用も強いため、感染症に気をつける必要があります。特に JAK 阻害薬の感染症の特徴として帯状疱疹が多いため、ワクチンの投与なども推奨されています。
お薬の選択基準は、炎症の強さや骨破壊の程度、患者さんの年齢、腎機能などの生理機能や生活スタイルなどを考慮して治療薬を選択します。

日本のガイドラインでは副作用の観点からまず生物学的製剤を先行して使用することが推奨されています。
詳しくは財団ホームページの「治療」の中の薬物療法を参照ください.。
(令和5年9月)

Q.161JAKと新しい薬ナノゾラとどちらの方が効果が大きいのでしょうか?

今までナノゾラとJAK阻害薬との直接の比較をしたデータはありません。
(令和5年9月)

Q.7関節リウマチでJAK阻害薬の治療をしています。合う薬がなかなか無くてやっとという感じです。 高額医療の区分ですが2か月に1度の処方でも年間30万円を超えるくらいかかっています。仕事量(アルバイト)もなんとかできる最低限です。このまま治療を続けるのは厳しいです。役所、病院の相談窓口、税務署とあちこち行きましたが解決策は何もありませんでした。何か対策はないのですか?

残念ながら関節リウマチは「難病」には指定されず、一般的な高額医療に対する補助制度があるだけです。病状が安定すれば、JAK阻害薬の減量は可能だと思いますので、主治医と相談して試みると良いかと思います。
(令和5年9月)

Q.159メトトレキサート関連リンパ増殖性疾患(MTX-LPD)のため、メトトレキサートを中止しました。現在はイグラチモド25mgとブレドニゾロン2mgを朝晩、そして週一でオレンシア自己注射で治療しています。MTX-LPDを発症する前くらいまで、良くなったのですが、オレンシアはどのくらい続けた方がよろしいのでしょうか?現状は日常生活や仕事に支障なく、そして痛みもなく生活しています。なにぶん高価なものですから、考えてしまいます。

オレンシアの継続期間に特に決まりはありません。経済的に継続が困難であれば、主治医とご相談され、いつでも中止をすることはできますが、リウマチ再燃のリスクは覚悟しないといけません。もし再燃したら再度オレンシアを再開するか、他の薬剤を使用するか、主治医と相談して決めていただくことになります。
(令和5年9月)