リウマチQ&A
- Q.160メトトレキサート8錠と、シンポニーを打っています。現在20代と若いので、先々の事を考えて少しでも肝臓、腎臓に負担の少ない治療を受けたいと思っています。主治医と相談して減薬を試したいと思いますが、飲み薬のメトトレキサートと注射薬のシンポニーでは肝臓や腎臓に負担が大きいのはどちらでしょうか? また、メトトレキサートの注射薬も出来たとのことですが、そちらについてはどうでしょうか?
薬の機序から考えますと、シンポニーよりメトトレキサートの方が、肝臓や腎臓への負担は大きいです。
メトトレキサートの注射薬による肝障害は、国内の安全性を検討した報告において、内服薬に比べ、肝障害は少ないです。治験のデータも過去の内服薬の頻度より少ないですが、まだ断定するまでには至っていません。腎臓への影響は同程度です。
関節リウマチの寛解(関節炎がないこと)が半年持続しているのであれば、主治医と相談した上で、減量を試みるのはよろしいかと思います。
(令和5年9月)
- Q.159メトトレキサート関連リンパ増殖性疾患(MTX-LPD)のため、メトトレキサートを中止しました。現在はイグラチモド25mgとブレドニゾロン2mgを朝晩、そして週一でオレンシア自己注射で治療しています。MTX-LPDを発症する前くらいまで、良くなったのですが、オレンシアはどのくらい続けた方がよろしいのでしょうか?現状は日常生活や仕事に支障なく、そして痛みもなく生活しています。なにぶん高価なものですから、考えてしまいます。
オレンシアの継続期間に特に決まりはありません。経済的に継続が困難であれば、主治医とご相談され、いつでも中止をすることはできますが、リウマチ再燃のリスクは覚悟しないといけません。もし再燃したら再度オレンシアを再開するか、他の薬剤を使用するか、主治医と相談して決めていただくことになります。
(令和5年9月)
- Q.158関節痛があります。 RFは30前後、CRP、CCP抗体、MMP-3は基準値内です。ステロイド少量や痛み止めのみで他の治療をしなかった場合どうなりますか?アレルギーや副作用で抗リウマチ薬が飲めません。高額な治療はできません。
診断が関節リウマチという前提ですが、この病気は、炎症が続くと関節の骨や軟骨が壊れ、だんだんと関節が使いにくくなったり、変形したりします。これらをなるべく抑えるのが抗リウマチ薬です。痛み止めは一時的な効果であり、ステロイド少量はリウマチの進行を抑える効果は少しはあるかもしれませんが、少量でも長期間服用すると副作用のリスクの方が高いと考えられています。ただし、リウマチの進行が速い要素として、関節の腫れや痛みが強い、炎症反応(CRPなど)高値、RFや抗CCP抗体高値、すでに骨にリウマチの変化がみられる、などが知られていますが現在はあまり当てはまるものはないかもしれません。
(令和5年9月)
- Q.157関節リウマチ患者です。生物学的製剤やJAK阻害薬を色々使いました。あと、残っていて使えるのがないという状況でナノゾラが出ました。これが使えないと次が本当に無くなりそうです。今開発や治験中の新薬はあるんでしょうか?
関節リウマチの治療薬の開発はほぼ現状で一段落しました。後1つ、現在リツキシマブ(抗CD20モノクローナル抗体)が治験中で、海外ではすでに使用されており、他の治療薬で無効の場合期待できる薬剤です。
(令和5年9月)
- Q.156生物学的製剤の効果が注射日の数日前にきれるということはありますか?2.3日短縮することはできないのですか?
生物学的製剤の効果は薬剤の血液中の濃度に関係するので、注射日前に効果が切れてしまう可能性はあります。薬剤によっては注射の期間を短縮したり、あるいは1回の量を増やしたりすることが可能です。また、抗リウマチ薬を内服すると生物学的製剤の効果が持続するようになることもあります。主治医とよく相談されてください。
(令和5年9月)
- Q.155二次無効が起こるのはなぜですか?リウマトレックスを飲んでいないからですか?体調不良時に休薬するからでしょうか?何度も二次無効を繰り返しています。対策はありますか?
二次無効は、生物学的製剤(特にキメラ抗体)で比較的よく経験します。これはタンパク質製剤ですので、病原体のような異物と認識し、それを排除しようとする生体の自然な反応です。内服の低分子化合物でも頻度は稀ですが同様のことは起こり得ます。対策は薬剤を変更するしかありません。ただし、体調不良で薬を休薬して再燃するのは当然であり、それは二次無効とは言いません。また、リウマチが悪化し二次無効だと思った症状が、他の原因であることもあり得ますので、主治医とよく相談して、本当に薬剤の二次無効なのか、を正しく判断していただく必要があります。
(令和5年9月)
- Q.154初期の関節リウマチと診断されてメトトレキサート6mgを毎週服用しましたが指の腫れの改善のないまま3か月たちました。CRPは当初の0.02から0.01と改善しました。全部の指が腫れていて曲げられる指は5本だけ、また腫れが硬くなり始めたように思います。初期対応が重要と聞いていますがこのままの治療でよいのでしょうか?
まず診断が正しいのか、今一度主治医に確認されてはいかがでしょうか?手指の腫れがありながら、むしろ悪化?している状態が続くことはよい状況ではありません。メトトレキサートの量は少なめですが、服用でも改善がないのであれば、診断自体を再度確認した方がよろしいかと思います。炎症反応も陰性で “CRP 0.02が0.01に改善している”と言われたようですが、それは改善とは言いません。さらに抗CCP抗体も高くはなく(低値陽性といいます)、診断自体が関節リウマチでよいのか疑問です。他の疾患(例えば強皮症や乾癬性関節炎、あるいはその他の膠原病など)の可能性もありますので、他の施設にセカンドオピニオンで受診されることをお勧めします。
(令和5年9月)
- Q.153メトトレキサートを初めてまだ1週間しか経っていないのですが、メトトレキサートを使っていても手のこわばりや関節の痛み、寒いとこでの痛み、気圧痛などは出ますか?
メトトレキサートの効果が出てくるのには1か月以上かかりますから、今痛いと言って諦めるのは早すぎると思います。
(令和5年9月)
- Q.1525年前に関節リウマチと診断されて以来リマチルを服用していますが変化ありません。リマチル服用を続けても大丈夫でしょうか?
リマチルは通常200-300mgを一日2~3回に分けて服用します。それほど強い薬ではないですが、かなり効果が出る人がいることは事実です。そうであるならば継続して使用されることをお勧めしますが。尿に蛋白が出現することがあり、定期的に検尿して調べることが重要です。(令和5年9月)
- Q.20関節リウマチでメトトレキサートを服用しています。 職場で新型コロナウィルスのワクチン接種の話が出てきていますが、このワクチンは接種しても大丈夫でしょうか?
メトトレキサートを服用していると、インフルエンザワクチンや肺炎ワクチンでは効果はあるとする論文と、作られる抗体がやや低くなる(十分効果がでない)とする論文はあります。ただ副作用が特に多くなるわけではなく接種は推奨されています。新型コロナウイルスの場合も十分免疫ができない可能性があるかもしれませんが、まだよくわかっていません。いずれにせよメトトレキサートを服用していても新型コロナワクチンを接種することは可能です。
(令和3年2月5日)
- Q.26甲状腺癌の手術をして機能低下症になっていて、内服薬も服用しています。それに加えシェーングレン症候群で、プレドニンやメトトレキセートも服用中です。医療従事者でもありコロナワクチン推奨されておりますが、接種可能ですか?
あなたが過去のワクチンで強いアレルギー反応を起こした場合には主治医にご相談ください。そうでない限り接種の危険性は一般の方と同じですが、一般の方に比べて抗体ができにくいかもしれません。
(令和3年2月17日)
- Q.25関節リウマチで肺気腫になりました。 新型コロナウィルスやインフルエンザワクチン等、接種しても大丈夫なのか気になりまして質問させて頂きました。
あなたが過去のワクチンで強いアレルギー反応を起こした場合には主治医にご相談ください。そうでない限りは接種の危険性は一般の方と同じです。一方肺気腫を含めて、肺の病気を持っている方は新型コロナにかかると一般の方に比べて死亡するリスクは高くなります。
(令和3年2月17日)
- Q.23現在関節リウマチで免疫抑制剤二種類とJAK阻害薬を併用し内服中です。医療従事者からコロナワクチン接種が始まりますが、接種しても問題ないのか?また、メリット、デメリットについて教えてください。
免疫抑制剤、JaK阻害薬をはじめ、全てのリウマチ治療薬について、新型コロナワクチンの接種に対す制限はありません。ただワクチンによる抗体の産生が弱い可能性はあります。しかしそのことを心配して内服薬を中止したり、注射をやめたりする必要はありません。
(令和3年2月17日)
- Q.27関節リウマチが寛解状態で8年位になりますが、コロナワクチン接種が引き金になって、再発する心配はないでしょうか。
関節リウマチが新型コロナウイルスで再発したという報告はいまのところありません
(令和3年2月17日)
- Q.1970歳以上リウマチ罹患者です。服薬の中にはサムチレールも含まれていますがコロナワクチン注射をするに際して、副作用は出ないでしょうか? 更に、インスリン注射とケアラムも常用しています。
サムチレール服用者でとくにワクチンの副作用が増えるというデータはいまのところありません。また本ワクチンは、万が一新型コロナウイルスに感染した場合、重症化を軽減する可能性が示されています。特に本患者様のように70歳以上で糖尿病を併発されている高リスク患者様は重症化率が高くなりますので、一般的には接種が推奨されています。しかしながら、人によって重症化リスクは異なり、薬剤による副作用の発現の仕方も様々ですので、主治医とよく相談したうえで接種の可否を判断してください。
(令和3年2月5日)
- Q.18このワクチンは、生ワクチンと不活化ワクチンの中間だと聞いています。 リウマチ治療中は生ワクチンの接種は禁止で、不活化ワクチンのみの接種を勧められておりますが、新型コロナワクチンは中間という事で、接種して良いものかどうか、今のところの見解をお聞きしたいです。 リウマチ自体が免疫の暴走を起こすものなので、ワクチン接種での服反応により肺炎の重症化(肺血栓症)などにつながるのでないかと心配です。しかし、ワクチン接種をしなければ新型コロナウイルスに感染してもリウマチという原疾患があるために重症化する可能性もあるわけですよね。とても複雑で悩んでおります。
現時点で国内において接種可能な新型コロナウイルスワクチンは、従来の「生ワクチン」や「不活化ワクチン」とは異なる「メッセンジャーRNAワクチン」と「ウイルスベクターワクチン」の2種類があります。
メッセンジャーRNAワクチンは、投与された遺伝情報をもとに体内でウイルスのタンパク質を作り、そのタンパク質に対する抗体が作られることでウイルスに対する免疫ができます。
ウイルスベクターワクチンはウイルスのRNAの一部をアデノウイルスベクターという運び手に組み込んで化学的に合成したもので、ベクターは細胞内にウイルスRNAを運びウイルス蛋白を産生させ、免疫反応を引き起こすとされています。
新型コロナウイルスワクチンは、万が一新型コロナウイルスに感染した場合、重症化を軽減する可能性が示されています。特に高齢者や免疫疾患などをもつ高リスク患者様は重症化率が高くなりますので、接種が推奨されています。リウマチが免疫異常の病気であるからワクチンで重症化しないかどうかについて、今までインフルエンザや肺炎球菌ワクチンではそのような例は認められていません。ただしリウマチ等の疾患活動性が高いときにはワクチン接種は推奨されず、できれば病気が安定している時期が望ましいと考えられています。
現在の患者様の状況により、ワクチンがもともとの病気を悪化させるかどうかはわかっていませんので、主治医とよく相談したうえで接種の可否を判断してください。
(令和3年2月5日)
- Q.29コロナワクチンの副反応として稀に自己免疫疾患の発現が見られるという項目がありますが、 過去に自己免疫疾患の既往歴がある場合、発現しやすくなるという事は考えられますか。
新型コロナウイルスの場合がどうかは未だデータなく、わかりません。今後のデータをみていくしかありませんが、一般にワクチン接種によって自己免疫疾患患者の活動性があがるとか、既往歴がある方が再燃するというデータはありません。
(令和3年2月24日)
- Q.31シェーグレン症候群で通院中です。症状は目、口の分泌物減少のみですが、採血でのリウマチの値は高めです。コロナウイルスのワクチンは打っても大丈夫でしょうか?
リウマチ因子(RF)が陽性だからといって、ワクチン接種ができないことはありません。
(令和3年2月24日)
- Q.28昨年6月関節リウマチと診断され、免疫抑制剤を処方されました。 しかしながら、新型コロナウイルス感染が怖くて一度も薬を飲んでいません。手指、膝、足底に痛みがあります。 免疫抑制剤を飲んだほうが良いでしょうか?飲んでもコロナ感染率が高くならないでしょうか?
あなたのように多くの専門家も当初は関節リウマチの治療を受けている患者さんは新型コロナウイルスにかかりやすいのではないかと心配してきました。しかしこれまでいろいろな報告がありますが、免疫抑制剤を飲んでいる関節リウマチの患者さんが特に新型コロナウイルスにかかりやすい、また重症化しやすいという報告は出ていません。日本でまとめている報告でも、一般の人たちとほぼ同等の頻度です。安心して治療を優先にされた方が良いと思います。
(令和3年2月17日)
- Q.244年前よりリウマチ患者であり医療従事者です。 1年以上前からエンブレルの皮下注射をしています。服薬はメトトレキサートとケアラムです。エンブレルのお陰で症状はかなり落ち着いています。リウマチ患者はコロナに感染すると重症化しやすいと言われているので、コロナワクチンを接種するつもりでいますが、副作用が心配です。 現在2週に一本のエンブレルですが、コロナワクチンはどのタイミングで接種した方が安心でしょうか?
あなたが過去のワクチンで強いアレルギー反応を起こした場合には主治医にご相談ください。そうでない限りは接種の危険性は一般の方と同じです。一般の方に比べて抗体ができにくいかもしれません。いつ打つべきかの明確なエビデンスはありませんが同時に打つことはお勧めしません。
(令和3年2月17日)
