リウマチを知ろう!

リウマチQ&A

Q.25妊娠中と出産後もエンブレルをずっと注射してきました。 子供のロタウィルス(生ワクチン)接種は問題ないのでしょうか? 色々なHP見ると出生児も生まれてから半年は生ワクチンを控えるべきとありますが、医師、製薬会社各者意見に相違があり迷っています。

エンブレルの医薬品添付文書では、ワクチンに関して、「妊娠後期に本剤を投与した場合は、乳児の生ワクチン接種で感染のリスクが高まる可能性があるので、少なくとも生後6か月頃までは生ワクチンを接種しないことが望ましい」と記載されております。これを参考に各患者の状況を考えて最終的に担当医が判断することになります。
(令和4年6月)

Q.23妊活をしようと考えています。 MTXを飲んでいたんですが、結婚、妊娠に控えてプログラフへの切り替えを行うことになりました。しかし、ネットで検索するとプログラフについての記載があまりなく、妊活、妊娠中、胎児への影響はどうなのかが想像できません。使用についても△ラインであり、安全性はどうなのかが気になります。 本当に妊活中、妊娠中も飲めるのか、胎児にはどれくらい影響がでるのか、授乳できるのかなど教えてください。

プログラフは腎臓移植後にも広く使われており、妊娠中も継続された例が報告されており、先天奇形の発生率が一般妊娠の場合の3.5%と変わらないということで現在では妊娠中に免疫抑制薬が必要な患者さんで使われることの多い薬剤となっています。服用する場合は、妊娠中の血圧上昇、糖尿病発症などに注意が必要です。リウマチの活動性が高い事自体も胎児への影響があることが報告されているので、使うことのリスクと使わずに活動性が高いことのリスクのバランスを考えて、関節リウマチの程度から配偶者とともに主治医と相談して使用を決めることをお勧めします。母乳への移行もありますが、授乳にて赤ちゃんが摂取する量はごく僅かであり、継続も不可能ではありません。欧米のガイドラインでは妊娠中、授乳中の使用は許容されるとされていることが多い薬剤です。プログラフの添付文書も参考にしてください
(令和4年2月)

Q.22現在妊娠5-6週の初期です。 妊娠が判明してから、アクテムラを中断して1ヶ月経ったところで胸膜炎が再発して、CRPが9.3まで上がりました。 妊娠初期の器官形成期に母体の炎症反応上昇は、胎児に影響ないでしょうか?

関節リウマチの患者さんの病気の勢い(活動性)が強いと妊娠しにくいという成績はでています。
妊娠された方の初期の炎症に関しての器官形成の影響についてははっきりとした成績はないと思います。
しかし、活動性が高いと、早産になったり、赤ちゃんの発育に影響する(低出生体重)割合が高くなるという成績はありますので、妊娠を継続していくためには炎症を抑えた方が良いと思われます。

TNF阻害薬(シムジアなど)が使えるようならそれが望ましいとは思います。
アクテムラに関しては、確実に安全と言い切る症例数は揃っていないので多くの関節リウマチの患者さんは妊娠が判明したところで中止しますが、質問者様のように中止することで悪化してしまった患者さんや、関節リウマチ以外の患者さんで、患者さんの同意を得て妊娠中も使用継続している症例の報告も少しずつされておりかなり多くの症例数で先天異常に関しては、アクテムラを使っていなかった患者さんと同等で問題がなかったことが報告されています(ただし、前述したように確実といわれる症例数ではありませんので担当の先生と話し合って決める必要があります)。
私の診ている患者さんでも妊娠および授乳期間中ずっと注射を続けていた患者さんがいますが、問題なく出産されました。
(令和2年10月)

Q.2関節リウマチでも妊娠できますか?

もちろん妊娠可能です。ただし一般的な妊娠の条件として、
1)病状が安定していること
2)腎臓や心臓、肺などの内臓に重大な病変がないこと
3)免疫抑制薬(イムラン、エンドキサン、メトトレキサート)を服用していないこと
が挙げられます。病状が落ち着いていない状態で妊娠された場合、途中で具合が悪くなるとそれこそたいへんなことになってしまいます。また、心臓や腎臓が悪いと、普段はなんでもなくても、いざ妊娠して胎児の分まで血液・栄養をまわすためには臓器の負担が増え、妊娠を続けることが難しくなることがあるので、前もって内臓に大きな異常がないことを確認しておかなければなりません。
妊娠中の関節リウマチの薬による胎児への影響の問題については、サラゾスルファピリジン(商品名:アザルフィジンEN)は比較的安全と考えられています。
しかしながら、妊娠予定者の患者さんや妊娠が判明した場合は、その時点で中止することが多く、胎児への影響が少ない副腎皮質ステロイドのプレドニンを用いて治療することが一般的です。プレドニンは胎盤を通過するときに80%が分解されるので、1日量が20mg未満であればほぼ胎児への影響はないとされています。エンブレルなど生物学的製剤については専門医と相談して判断してください。

(平成29年12月更新)

Q.7レミケードで治療中です。妊娠を考え始めたのでリウマトレックスもやめてアクテムラの治療に切り替えると主治医と話してますが、いろいろ調べているとエンブレルで妊娠されてる方のほうが多いような気がします。どちらの治療法で妊娠するのが望ましいのでしょうか?

妊娠中には、リウマトレックスが使えませんので、レミケードは使えません。エンブレルは、妊娠中でも使えるかもしれませんが、まだはっきりしません。しかし、妊娠希望がある患者さんについては、関節リウマチの活動性を速やかに押さえ込む必要があります。活動性が高いと、妊娠の成功率は低下します。妊娠までの時点では、エンブレルによる治療が勧められます。エンブレルは妊娠が判明した後、基本的には休んでいただくことをお勧めしますが、どうしても関節リウマチが悪化してつらいときには短期間使用することも可能と考えられています。アクテムラに関しては純国産の製剤であり、妊婦に対する安全性はまだはっきりしていません。どちらを選択するかについては、主治医に良く相談してみてください。(平成23年11月)

Q.20メトトレキサートを服用して7年ほど経ち、症状は安定しています。 しかしこの度、乳ガンであることが分かり手術をする予定です。術後にホルモン治療が始まりますので、それまでに受精卵の温存凍結を考えています。 メトトレキサートを服用停止後、3回月経が来ないと妊娠してはいけないと聞きました。 それは具体的に、卵子そのものに影響が出るからなのでしょうか? もしくは、着床し成長していく段階で影響が出るのでしょうか? 治療スケジュールがあり、卵子そのものに影響があるのでしたら温存も難しくなってきますので、ご教示いただければと思います。

日本リウマチ学会が発行している「メトトレキサートを服用する患者さんへ」という冊子(第3版)によると、「少なくとも1月経周期が終了するまで妊娠を避けるように」とあります。すなわち、1回月経が来れば、その後は妊娠はしても良いと言えます。もちろん、3回月経がきてから妊娠する方がより安全だとは思います。メトトレキサートは抗がん剤であり、卵子を含めた正常細胞にも障害が及びます。受精卵の分割や、細胞の増殖にも影響があり、奇形や流死産の原因になりますので、妊娠中破絶対に服用してはいけません。乳がんの治療を控えておられるとのことで、卵子の温存を早急にする必要があるようですので、まずはすぐにメトトレキサートを中止し、1回以上月経がきてから卵子保存を行うのが良いでしょう。メトトレキサート中止後に関節リウマチの活動性が出て関節痛が悪化したら、従来ではステロイド(プレドニゾロンなど)少量投与で対応するところですが、一部の抗リウマチ薬や生物学的製剤は、妊娠中も使用可能なものがありますので、関節リウマチの治療については主治医とよくご相談されたら良いと思います。
(令和2年6月)

Q.27シムジアを使い、出産しました。母乳をあげながらシムジアも続けています。母乳による赤ちゃんへの免疫抑制剤の影響はほぼないことは知っていますが、母乳に含まれる免疫はどうなのでしょうか。助産師さんからは、母乳をあげることによって子どもに免疫を与えることができると聞きましたが、免疫抑制剤を使用している場合は、母乳に免疫を期待することはできないのでしょうか。現在、ミルクとの混合育児のため、母乳を与えるメリットがないならば、ミルクだけにしたいとも考えています。

母乳には免疫グロブリンやリゾチームなど様々な感染制御に関する物質が含まれます。
中でも、免疫グロブリンのひとつであるIgAは、人の腸管、気道などの粘膜や母乳に多くあって、局所で細菌やウイルスを排除するなど感染の予防に役立っています。
シムジアは炎症を引き起こす主要な体内物質を押さえるお薬であって、免疫に関与するIgAを排除したり、母乳に含まれるIgAの効果が減弱するようなことはほとんどありません。
補足ですが、人工乳も母乳の組成に近づけるため、ラクトフェリンやビフィズス菌増殖因子等が含まれております。
人工乳に比べ、母乳は消化吸収が良く、内臓への負担も少ない点からも、母乳を与えるメリットは十分あるかと思います。
(令和5年6月)

Q.14エンブレルを使用していましたが、出産後、効果がなくなってきて、アクテムラ(生物学的製剤)に変更しました。 また妊娠できるでしょうか。

関節リウマチに用いられている生物学的製剤と妊娠との関係については、不明な点が多く、専門家でも意見が異なります。
一般的には、「抗体」と呼ばれる分子(主にIgG型の免疫グロブリン)は胎盤を通過し、胎児の血液に入っていきます。その移動は抗体分子のFc部分を介して起こるとされています。したがって、レミケード、ヒュミラ、シンポニーとアクテムラはFcをもつ抗体ですので、注意が必要です。しかし、レミケードやヒュミラでは胎児に抗体は移行しても大きな障害はもたらさなかったという成績があるようです。おそらく、アクテムラもそのような危険は少ないとは思います。
エンブレルとオレンシアは抗体ではありませんが、Fc部分をもっており、エンブレルでは胎児への移行が確認されています。しかし、最近の成績ではエンブレル使用中の妊婦で正常分娩したケースは多数あり、胎児や新生児に障害をもたらす可能性は少ないようです。
シムジアは抗体様の分子ですが、Fc部分がないため、胎児への移行は、理論的にはおこらないとされています。
英国では妊娠する3〜6か月前(製剤により異なる)には生物学的製剤を中止することが推奨されています。したがって、多くの専門医は妊娠希望の患者様には生物学的製剤を避けて、安全性が確立されている副腎皮質ステロイドのみに治療を変更して、妊娠中はそれを維持します。副腎皮質ステロイドのみで治療できない場合で、生物学的製剤が必要な場合は、理論的にはシムジアが安全と思われます。ただし、本ケースではアクテムラが大変有効であり、継続希望なら継続でもよいと思います。抗がん剤とは異なり、抗体製剤が卵子の遺伝子に傷害を与えることは考えにくいと思いますので、あらかじめ採卵をして対応する必要はないと思います。    (平成28年1月)

Q.15生物学的製剤投与中は感染症に注意しなければならないため、温泉旅館などの大浴場などで入浴しても良いのでしょうか? 良い場合でも何か注意する事はありますか?

町の公衆浴場を含め旅館などの浴場、温泉には国の衛生基準が定めれれており、その基準に沿った定期的検査も行われ、その結果を保健所等へ報告が必要となっています。したがって、基本的には、大浴場などの温泉への入浴は生物学的製剤使用中でも可能です。

まれにメディアで報道されるごとく、お湯の消毒用機器の故障などで、温泉(時に温水プールでも)の利用でレジオネラ肺炎の発生(時に集団発生)があります。この菌は通常環境に存在し、空調機のクーリングタワー、浴場のお湯(特に循環式お湯)などにも存在し、打たせ湯やジェットバブルなどのしぶきで細かい水滴が飛散する環境、まれには岩風呂の岩のくぼみなどからの飛沫などでレジオネラ菌がお湯とともに飛散します。
ただしこれは生物学的製剤の使用の有無とは関係なく一般の方も感染するものです。ご心配なら、温泉地の大浴場の入り口になどに温泉成分とともに、国の衛生基準の定期検査の日付を記入した表が貼っありますので、確認されれば安心でしょう。
(令和2年12月)

Q.14関節リウマチになって7年くらいになります。 週5回で立ち仕事が多いパートをしていて、ひざが痛くなり、整骨院へ行ったり、サポーターをしています。夜は少し内職をしていますが、手先を使うので、続けていこうか悩んでます。 身体のためには、だらだらとすごすより、手先を使ったことはしてもいいのか? パートのせいなのか、内職なのか、疲れが出て、寝れない日もあります。 自分の気持ちのリフレッシュに内職はすごく助かったので、どういった生活リズムが関節リウマチにいいのか、知りたいです。

関節リウマチ患者さんで既に手指の変形がある場合、手指を使う頻度や程度によっては変形の進行を助長してしまう場合があります。手指の関節可動域を維持するために、負荷をかけない形で指の曲げ伸ばしを意識して行うことは大切ですが、仕事などで負荷がかかった状態で指を使う動作を反復的・継続的に行うと、例えば2〜5指の尺側偏位(指が小指側になびいてしまうこと)が進行したり、ボタン穴変形・スワンネック変形などが元々ある場合には進行を助長する場合があります。

また既に手関節(手首の関節)の破壊や腫脹(腫れ)がある場合には、薬指や小指を延ばす腱(伸筋腱といいます)が細くなったり、切れたりする場合があるので注意が必要です。
このような場合には薬による治療の強化や、関節注射による関節の炎症の沈静化、各種装具による手指の動作のアシストや変形の予防、場合により手術治療などを主治医と相談してみてはいかがでしょうか?
疲れに関しては関節リウマチは慢性の全身性炎症性疾患ですので、健康な方よりも疲労を感じることが多いと一般的に言われています。十分な休息時間の確保、しっかりと体を休ませることはとても大切だと思います。生活リズムは人それぞれですが、睡眠時間を十分に取り、気持ちに余裕をもって日常生活に臨み、疲れたら早めに体を休める、休むことを悪い事ととらえず、自分にとって必要なことなんだと理解することが大事です。

(令和2年12月)

Q.13母は指先から手、手首や膝の関節リウマチを患っているのですが、そんな母に一般的な電動のハンドマッサージャーをプレゼントしようと思っているのですが関節、リウマチの人にもプレゼントしていいものでしょうか?危険性などはありますでしょうか。

お母様の関節リウマチ(RA)による辛い思いを少しでも楽にとの気持ちから、マッサージ機により少しでも楽にしてあげたいとの心遣いは大事です。しかし注意しなければならない点が少しあります。RAの活発さがある部位は刺激が避けた方がよいでしょう。また、関節が変形しているとか、RAが発症し、長期間経過している場合は皮膚が萎縮し、弱くなり、そのような部位などへのマッサージ機の刺激で皮膚が傷ついたり、皮下出血などが生じることがあります。したがって、マッサージ機を使うかは担当医と相談され、使っても良い場合はどのように使うかを受診医療機関の理学療法士に具体的に教えてもらうとよいでしょう。

(令和2年6月)

Q.12生物学的製剤を始めましたが、同時に高濃度のビタミンC点滴をうっても薬の作用に影響を与えることはあるのでしょうか?無いと言う医師もいれば、やめていた方がいいと言う医師もいて、判断できません。ビタミンC点滴は頻繁に引いてた風邪が引かなくなったとか、炎症の緩和など実体験で感じているので、できれば併用したいのです。量は週に一度25mlの点滴です。ご助言頂ければ嬉しいです。

ビタミンC(アスコルビン酸)に免疫を高める作用は無いと思います。したがって、風邪など感染症を予防する効果はありません。一方で、ビタミンCは不足すると様々な異常がおきますが、過剰に摂取して害があるという悪影響(ビタミン中毒)も、他のビタミンと異なりあまり言われていないと思います。従って、生物学的製剤使用中の関節リウマチ患者様にビタミンCを投与することは、抗リウマチ薬の作用に特に悪影響は無いと思いますが、効果も無いと思います。ビタミンC不足のある方の補充は必要ですが、必要以上にビタミンCを摂取することは、無駄だと思います。
(令和元年9月)

Q.11母(50代)が3年程前から関節リウマチの診断がついたのですが、筋力向上目的でフィットネスクラブに通いたいと言っています。 マシーントレーニングをする際のメニュー例があれば教えてほしいです。主治医からは「無理の無い程度に」としか言われなかったそうです。 また、マシーントレーニングのメニュー例が載っているサイトや書籍があれば教えてください。

フィットネスクラブのトレーニング(特にマシンを使ったもの)は本来関節変形のない人の体に負荷をかけて行うトレーニングが主体です。関節に変形のある人のトレーニングとして負荷が強すぎると関節変形が進行したり、関節痛がひどくなる恐れもあります。主治医の先生が言われるように自分にあった無理のないエクササイズをする必要があります。またその程度は患者さん個々に違いがあります。このような理由から関節リウマチ患者さんに推奨されるマシントレーニングを記載した書籍はないと思います。
(令和元年6月)

Q.17関節リウマチでも白髪染めをしても大丈夫ですか?

白髪染めの成分に対するアレルギー反応により、皮膚が赤くかぶれたり、かゆくなったりすることはあるかもしれませんが、それによって関節リウマチが悪化することはないかと考えます。

(令和3年4月)

Q.10関節リウマチですが病状は穏やかな状況です。体操が良いということで、ネットに踵を上げ下げする(爪先立ち)方法があるという情報を目にしました。関節リウマチの患者に向いているのでしょうか?足首にかなりの負担がかかるのではないかとの懸念があります。

踵の上下運動のエクササイズはカーフレイズというエクササイズで下腿の筋肉である「腓腹筋」と「ヒラメ筋」からなる下腿三頭筋を鍛えるエクササイズとして最近注目されているトレーニング方法です。またこの部位の筋肉を鍛えることにより、下肢の血流が良くなり足のむくみがなくなり足が細くなると同時に血流が良くなることで冷え性にも効果があると言われています。しかし関節リウマチで足趾の変形している人(外反母趾や槌趾変形)足関節脱臼変形のある人が体重のかかるこのような運動をすると、変形をさらにすすめてしまうことがあるので、主治医の先生と運動の可否について相談してください。
(令和元年6月)

Q.9私は専門学生1年のリウマチ患者で、ピアスを開けたいと思っています。 錠剤と注射で治療しているのですが、リウマチの薬は副作用で免疫力が下がるといわれ、ピアスを開けたら何かに感染してしまったり、酷い膿みがでてしまうんじゃないかと不安です。 ピアスを開けても大丈夫なのか知りたいです。

現在、関節リウマチは経口薬、生物学的製剤(注射薬)などの治療により完全にコントロールできるようになりました。リウマチは女性に多いことから、おしゃれとしてピアスを付けるために、耳(耳介)などに穴をあける必要があるのは当然でしょう。ここで大事なことは、リウマチの治療薬剤である注射薬や一部の経口薬では、身体の免疫能を低下させることになり、細菌などの感染(化膿)が起こりやすい状態にあります。したがって、ピアスの穴あけなどは医療行為ですので、医療施設(皮膚科、形成外科など)で耳介などの穴あけをやって頂く必要があります。不適切な穴あけは感染などのトラブルを起こす危険性があります。そこで、穴をあけるタイミングなどについて、現在の担当医と相談されるとよいでしょう。また、ピアスのための穴あけは医療保険の対象ではなく、自費診療での対応となります。

Q.6リウマチ患者さんのクーラーについて教えて頂けませんでしょうか。友人が関節リウマチですが、クーラーを使うと痛みがひどくなるからと、使用しません」。しかし、今年は6月から連日35℃の気温が続き、このままでは倒れてしまうのではないかととても心配しています。暑さをしのぐ対策はありますでしょうか?

昨今のわが国の夏季では一部の地域を除いて、エアコンを使って室温管理をしないと、過ごせない気象状況になっています。リウマチ患者さんではエアコンの冷気が手足の露出部の関節に直接あたることは避けた方がよいでしょう。関節が冷えることによって痛みが悪化するからです。
そこで、リウマチ患者さんがエアコンを使う工夫として、手足を露出させない衣服を着用し、エアコンからの冷気が直接身体にあたらないように冷気の吹き出し方向を水平か天井に少し向け、弱い冷気に調節したり、冷房よりは除湿条件で使用するなど冷えすぎないようにするとよいでしょう。
しかし、冷気により関節痛が悪化してもリウマチは進行しません。症状の悪化のみです。
なお、エアコンなど冷房機を使わずに夏季をすごすことは、熱中症や脱水を起こし、腎機能が急激に低下し、服用中の抗リウマチ薬(特にメトトレキサート:MTX)が腎臓から排泄されず、思いがけない急激な体内薬物濃度(MTX)の上昇で危険な副作用が出ていしまうこともありますので注意が必要です。         (平成30年8月)

Q.5関節リウマチは湿度が高いといけないと聞きますが、冬場加湿器で乾燥する室内の湿度を調整してよいものでしょうか。だいたい何十パ−セントくらいだったら加湿してもよいのでしょうか?

天候とリウマチに関するご質問かと思います。残念ながら湿度のパーセンテージの数字は明言できませんし、数字であらわされた論文や科学的エビデンス(証拠)もありません。なぜならば、関節リウマチの状態は湿度(高湿度)でも悪くならないとする論文も幾つもあるからです。
これまで関節リウマチについては、低温、高湿度が症状を悪くすると信じられてきました。天候が悪くなる前に関節リウマチの痛みが出るので、天気予報ができるという話もよく聞きます。しかし、天候と関節リウマチの関係を医学的に細かく解析した幾つかの報告では確かに関連するとする報告から、全く関係しなかったとする反対の意見を示す報告まで様々出てきています。
ただし極端な高湿度、高気圧、低温度は関節リウマチに限らず慢性疾患の状態(変形性関節症や線維筋痛症の痛み)を悪くする可能性があるので、日ごろ過ごされるお部屋の温度や湿度は一定に保つようにされるのがいいと思われますが、あまり神経質になる必要はないと思います。(平成29年12月更新)

Q.4手指4本、足指根元3本、くるぶし、首、手首に炎症があり、関節リウマチの診断を受けました。メトトレキサート8mg/週を4週間前から服用しています。 関節が固まってしまうのを避け、血液循環を確保したいので、エアロバイクや水泳を軽くやりたいのですが、医者は安静に、といいます。やってはいけないのでしょうか?

医師の言う「安静」という意味は「関節をまったく動かさない」といことではありません。手足の筋力や関節の可動域(動かせる範囲)を維持するために運動を行うことはとても重要なことで、一般には大いに勧められます。
しかし、関節の腫れや痛みがあるのに無理に運動をしても、治ることはありません。せっかく治療を行っている関節炎を悪化させることもあります。
したがって炎症があるとき(検査でCRPが高いとき、関節の腫れや痛みがあるとき)は、痛みが生じない程度のごく軽い運動のみにして、関節には負担をかけないのがよいかと思います。(平成29年12月更新)

Q.3高校生の娘が、若年性関節リウマチです(発症は16歳)。看護師になりたいとの夢があり、勉学に励んでいます。でも病気のこと、からだのこともあり、違う分野への進学を勧めていたのですが、一向に意見を聞いてくれません。 このまま進学して看護師の免許は取れるでしょうか。取得できたとしても関節リウマチの病気があって病院に勤務できるでしょうか。 幸いにもアクテムラとメトトキレサートによる治療を開始して8か月経ちますが、ほとんど症状がありません。

若年性関節リウマチの正式名称は、若年性特発性関節炎(JIA)といい、全身型と関節炎型に大別されます。おそらく治療経過からすると後者のうち多関節炎型ではないかと思われます。

アクテムラは、保険適用が通っており、多くの小児期の患者さんが治療を受けています。このような生物学的製剤という注射製剤ができるまでは、副腎皮質ステロイドや非ステロイドなどの内服投薬の治療であったため、関節破壊が進行してしまうケースもあり、成長発育に影響することもありました。しかし、治療の進歩により、最適な時期に適切な治療を行うことで、病状をコントロールし進行を防ぐことが可能になりました。16歳くらいで発症し、同じ治療を行い、元気に通学、そして卒業、進学をされている患者さんも多くいます。また、治療を受けながら看護師の仕事を問題なく続けていらっしゃる人もいます。

お母様がご心配される気持ち、娘さんを思う気持ちは大変によくわかります。しかし、現在は関節リウマチを発病したから、夢や希望や目標を諦めなければならないという時代ではなくなりました。どうぞ娘さんの「夢」をお母様も娘さんと一緒にみてあげて応援してあげていただければと思います。病気を体験したからこそわかることがあります。きっと娘さんは関節リウマチを通して気づいた患者さんの気持ちを誰よりも理解できる素晴らしい看護師さんになることと思います。(平成29年12月更新)