リウマチQ&A
- Q.5関節リウマチは湿度が高いといけないと聞きますが、冬場加湿器で乾燥する室内の湿度を調整してよいものでしょうか。だいたい何十パ−セントくらいだったら加湿してもよいのでしょうか?
天候とリウマチに関するご質問かと思います。残念ながら湿度のパーセンテージの数字は明言できませんし、数字であらわされた論文や科学的エビデンス(証拠)もありません。なぜならば、関節リウマチの状態は湿度(高湿度)でも悪くならないとする論文も幾つもあるからです。
これまで関節リウマチについては、低温、高湿度が症状を悪くすると信じられてきました。天候が悪くなる前に関節リウマチの痛みが出るので、天気予報ができるという話もよく聞きます。しかし、天候と関節リウマチの関係を医学的に細かく解析した幾つかの報告では確かに関連するとする報告から、全く関係しなかったとする反対の意見を示す報告まで様々出てきています。
ただし極端な高湿度、高気圧、低温度は関節リウマチに限らず慢性疾患の状態(変形性関節症や線維筋痛症の痛み)を悪くする可能性があるので、日ごろ過ごされるお部屋の温度や湿度は一定に保つようにされるのがいいと思われますが、あまり神経質になる必要はないと思います。(平成29年12月更新)
- Q.22旅行で8日間の1人参加のツアーに行くか悩んでいます。リウマチ歴1年半で抗リウマチ薬を飲んでいます。症状は殆ど無く、ただリウマトイド因子がずっと30〜40だったのが先週の検査で100に上がっていました。かなり重いスーツケースを1人で持って行動するとリウマトイド因子が悪化するかもと、中止にするかと迷っています。初診時(リ値30〜40の時)は旅行は行けますと医師にいわれました。
スーツケースなど重いものをもつことでリウマトイド因子があがることはありませんが、傷んでいる関節に負荷をすることは良いとはいえません。ただ主治医の先生がよいとおっしゃっているならばよろしいかと思います。
(令和4年3月)
- Q.18演劇の舞台を見に行くと数週間後に指の曲がりやレイノー現象が起こることが2回ありました。関係あるのでしょうか?
考えすぎではないでしょうか?このようなことは知られておりません。
(令和3年12月)
- Q.2毎日、酒・たばこを嗜好していますが、関節リウマチによくないですか?
アルコールは、一般に炎症を悪くします。過度の飲酒は慎まれたほうがよいと思います。たばこは、関節リウマチという病気があるなしにかかわらず健康によくないのでやめられた方が良いと思います。実際、飲酒・喫煙の習慣は、非ステロイド抗炎症薬や副腎皮質ステロイドによる胃潰瘍などの合併症の出現率を高めますし、関節リウマチ患者さんの動脈硬化に関連する心疾患などの危険因子です。
- Q.1飛行機に乗っても大丈夫ですか?
飛行機に乗っている間は気圧が変化します。機内は、上空では地上に比べて低い0.8気圧程度に調節されています。これまでにも数多くの気圧と関節リウマチに関する報告はありますが、飛行機の搭乗と症状変化については見当たりません。ただしこれにより関節リウマチが増悪するなどのことは知られておらず、基本的には問題はありません。いままでに行なってきたリウマチ患者さんのツアーでも一人も機内で疼痛を訴えた人はありません。しかし、最近手術を受けた人、あるいは肺線維症などの合併症をおもちの人は、専門医に相談してください。(平成29年12月更新)
- Q.7私は高校三年生の多関節型のリウマチ患者です。 本当は保育士か幼稚園の先生になりたいと思っているのですが、手首に症状があるので、抱っこしたりあまりできないですし、子供の相手をする仕事なので、物を投げたりされたときとかちょっと怖いです。 でも、ずっとやりたかった仕事なので、保育士や幼稚園の先生を目指したいです。可能ならば進学して保育士になりたいですし、リウマチを持ったままだと難しいなら就職をと考えています 今は二カ月に一回のアクテムラの治療をしています。痛み止めのブルフェンも一応持ってますが、めったに飲みません。 リウマチを持った状態で保育士を目指しても大丈夫でしょうか。
関節リウマチの治療を続けている患者さんの中にも、保育士や幼稚園の先生として働いている方は沢山います。実際に私が診療させていただている患者さんでも何人かいらっしゃいますが、みなさん他の先生方と協力して立派に働いています。
一般的に、背が高かったり低かったり、力持ちだったりそうだったり、関節リウマチにかかわらず個性があるものです。特に、いま痛み止めもあまり必要なく生活しているようでしたら、職業の選択において関節リウマチの治療を受けていることは大きな問題ではないと考えられます。仕事をするときには、一人ひとりが全く同じことを全部できないといけないわけではないので、関節が完璧に使えなからといって諦める必要はないと思います。 (平成30年12月)
- Q.3高校生の娘が、若年性関節リウマチです(発症は16歳)。看護師になりたいとの夢があり、勉学に励んでいます。でも病気のこと、からだのこともあり、違う分野への進学を勧めていたのですが、一向に意見を聞いてくれません。 このまま進学して看護師の免許は取れるでしょうか。取得できたとしても関節リウマチの病気があって病院に勤務できるでしょうか。 幸いにもアクテムラとメトトキレサートによる治療を開始して8か月経ちますが、ほとんど症状がありません。
若年性関節リウマチの正式名称は、若年性特発性関節炎(JIA)といい、全身型と関節炎型に大別されます。おそらく治療経過からすると後者のうち多関節炎型ではないかと思われます。
アクテムラは、保険適用が通っており、多くの小児期の患者さんが治療を受けています。このような生物学的製剤という注射製剤ができるまでは、副腎皮質ステロイドや非ステロイドなどの内服投薬の治療であったため、関節破壊が進行してしまうケースもあり、成長発育に影響することもありました。しかし、治療の進歩により、最適な時期に適切な治療を行うことで、病状をコントロールし進行を防ぐことが可能になりました。16歳くらいで発症し、同じ治療を行い、元気に通学、そして卒業、進学をされている患者さんも多くいます。また、治療を受けながら看護師の仕事を問題なく続けていらっしゃる人もいます。
お母様がご心配される気持ち、娘さんを思う気持ちは大変によくわかります。しかし、現在は関節リウマチを発病したから、夢や希望や目標を諦めなければならないという時代ではなくなりました。どうぞ娘さんの「夢」をお母様も娘さんと一緒にみてあげて応援してあげていただければと思います。病気を体験したからこそわかることがあります。きっと娘さんは関節リウマチを通して気づいた患者さんの気持ちを誰よりも理解できる素晴らしい看護師さんになることと思います。(平成29年12月更新)
- Q.19関節リウマチだというと、そういう性格ね、原因は何?と聞かれたことがあります。ネットではストレス等も出ています。病気になったのは自分のせいなのでしょうか?
関節リウマチの原因と本人の「性格」には関係ありません。ただ、リウマチと喫煙や歯周病との関連は一部に指摘されており、その管理が不十分な方では、病気になりやすいかもしれませんが、遺伝的素因など他の要因も指摘されています。
(令和4年4月)
- Q.20生物学的製剤を使用しています。感染予防するようにいれています。動物、主に犬猫に関わる仕事(ペットショップ、動物病院等)をしても問題ないでしょうか?
一般的には、犬や猫との濃厚な接触は感染症のリスクとなる可能性があります。特に噛まれる、引っかかれる、口などをなめられる、等により細菌感染症などが起こることがあります。いずれも治療により重症にならないことが多いですが、注意が必要です。治療内容や病状がわかりませんので、主治医の先生とよくご相談ください。
(令和4年4月)
- Q.21最近手の指の握力が減ってきました。家にあるスプーンやフォークで自分で食べていますが、自助具があると知りました。自助具を探したいのですがどのようにしたらよいのでしょうか。相談するところはあるのでしょうか。
日本リウマチ友の会という患者団体(本部は東京)が自助具の品揃えが一番充実していると思います。下記web siteのアドレスで自助具を紹介しています。また、購入先は『生活便利帳』という日本リウマチ友の会が発行している冊子に記載されています。
https://www.nrat.or.jp/self_help
(令和4年12月)
- Q.2乳酸球菌EC-12菌を使用しているBH504というものは、もともと人の体内にある有効成分を抽出・培養した自然食品で副作用は全くないそうで医療現場での長い使用実績があり安心できる乳酸球菌食品だそうですが関節リウマチの治療に効き目があるのでしょうか?
残念ながら、ご指摘の健康食品に関する情報が有りませんのでお答えいたしかねます。しかし、明らかに関節リウマチに対して高い効果を有する健康食品は無いように思います。内容を確認した上で主治医の先生にご相談ください。
- Q.12免疫をあげたいと思っていますが、何が良いか分かりません。
免疫とは体を守るために様々な要素で出来上がっている極めて複雑な仕組みです。リウマチは免疫の一部が異常で過剰に反応している状態です。ですから免疫をさらにあげるということはリウマチを悪くしかねません。また健康薬品や食品で免疫力が低下している病気を治すほどに免疫全体を上げることが証明されているものはありません。
(令和5年6月更新)
- Q.10黒烏龍茶やコーヒーを飲むと、リウマチの薬の効き目が減退もしくは症状が悪くなりますか?
ウーロン茶やコーヒーが抗リウマチ薬の効果に直接影響するということは知られていません。烏龍茶にも20 mg/dL程度のカフェインが含まれるとのことです。メトトレキサート(MTX)が嘔気などで服用できない場合には、適度なカフェインの併用によって服用が可能となる、という報告はあります。このように適度なカフェインの摂取はむしろ良いこともあるようです。ただし1日2L以上というような過剰摂取は逆に問題を起こします。
(令和3年3月更新)
- Q.9白砂糖や白砂糖を使ったお菓子が関節リウマチに良くないと聞きましたが、極力摂らない方が良いのでしょうか。また、添加物を極力摂らない方が良いとも聞きましたが、添加物に対してどの程度気をつければ良いのでしょうか。
砂糖につきまして、特に関節リウマチによくないということはありません。ただ、甘いものばかりはでは栄養も偏りよくないので、バランスの良い食事を心がけてください。また、添加物についても通常の食品であれば問題ないかと思いますが、もし具体的に何かあるようでしたら、主治医の先生にご相談いただければと思います。
(令和3年8月更新)
- Q.8最近、関節リウマチと診断され治療を開始したところです。現在メトトレキサート8mgとステロイド5mgを服用しています。痛みのある時はセレコキシブも服用します。 カフェインがよくないような事を聞いたのですが、コーヒーやコーラなどは控えた方がいいですか?また、オレンジジュースやグレープフルーツジュースなど飲み物で気をつけた方がいいものはありますか?
グレープフルーツなどは、フラノクマリンという成分を含んでおり、一部の薬剤の濃度を上げることが知られています。リウマチで使用する薬剤ではタクロリムスが該当しますが、現在服用されているメトトレキサートやステロイドには影響はありません。逆にカフェインはメトトレキサートの効果を減弱する可能性が指摘されています。過剰なカフェイン(コーヒー、紅茶、緑茶、チョコレートなど)の服用は、メトトレキサートの効果を減らしてリウマチ が悪くなる、という可能性もありますので、過剰摂取は控えましょう。
(令和3年1月更新)
- Q.660歳代の母が3年ほど前から関節リウマチの診断を受け、現在はメトトレキサートを服用中です。母の友人から、プロポリスが関節リウマチに効果があるかもしれないと勧められました。併用してもよいものでしょうか?
かつて関節リウマチの治療が十分に満足できる状況でなかった時代、一部の患者さんはさまざまなサプリメントや民間療法を自己判断で行なっていました。しかし、現在は関節リウマチの治療は大きく変化し、確実に病気を抑えたり、止めたり、あるいは発病早期では治すことも可能となりました。したがって、プロポリスなどを含めたサプリメントや民間療法は、たとえ効果があったとしても最近の治療薬の効果とは比べものにならないほどわずかですので、併用する意味はほとんどないといってよいでしょう。
逆に、サプリメントや健康食品類にビタミンのひとつである葉酸が多く含まれている場合(青汁や海藻類など)は、メトトレキサートの効果を減弱させ、せっかく安定していた関節リウマチを悪化させることもあります。サプリメントや健康食品類を併用する場合は、担当医と相談しながら、慎重に対応してください。 (平成24年12月/平成29年12月更新)
- Q.1食べるもので気をつけるものはありますか? 穀物や大豆をよく摂取します。影響はありますか?
関節リウマチをはじめとする膠原病の原因(きっかけとなるもの)はまだ不明であるため、どうしたら予防できるのか、食べ物など生活で注意すべきものはあるか、現段階ではっきりお答えできるものはありません。しかし、一般には関節リウマチになることと食べ物との関係が問題にはなっていません。特に食べてはいけないものもありませんし、穀物(炭水化物)や大豆(植物性蛋白質)も関節リウマチに対する特別な影響はないとないと思われます。
ただ、副腎皮質ステロイドを服用されている患者さんは、肥満傾向、糖尿病の傾向、コレステロールの上昇などが起こりやすいので、過食や脂肪分の多いものは勧めません。また、葉酸が多く含まれる青汁や緑黄色野菜、海藻などを大量に食べると、メトトレキサートの効果を減弱させることもあります。
一方、関節リウマチがよくなるという食べ物は、全部といっていいほど根拠のないものばかりです。コンドロイチンなども注射をするのではなく、口から摂取した場合には腸での吸収時に分解されてしまい、効果はありません。こうした治療法を進められてどうしたらよいかわからないときには、必ず主治医に相談してください。
(平成29年12月更新)
- Q.4テレビ番組で赤ちゃん用ミルクが関節リウマチによいと放送されたのですが、どうでしょうか?
関節リウマチに対する食事療法で人工乳の効果についての御質問ですが、明確な治療効果を有する食物はないと思われます。動物実験において人工乳に含まれる脂肪酸の有効性を示す報告がありますが、否定的な報告もあり、明らかではありません。
- Q.3クロレラは関節リウマチ治療に効果あるのでしょうか?
クロレラが関節リウマチの治療として有効であるというエビデンス(証拠)はありません。「効いた」という一部の報告のみでは信頼性はありません。またクロレラとともに葉酸が大量に入るとメトトレキサートの効果を弱めてしまう可能性があります。
- Q.11免疫抑制剤を飲んでいますが、免疫ケアの食品や免疫力をあげる食品などはとっても問題ありませんか?
免疫全体を強化し自己免疫疾患を悪化させると考えられる食品、サプリはありません。逆に高価な食料品やサプリの効果も明確には証明されていません。自分にあったものが見つかった場合は、継続することが問題になることは少ないですが、薬よりも安心で効果があるとも認められていないことも考慮して利用してください。また必ず主治医にご相談ください。
(令和5年2月更新)
