リウマチQ&A
- Q.35新型コロナウイルスは、2週間の潜伏期間があり、2週間待機しなければならないと聞きましたが、膠原病の人はかかったらすぐに症状がでるとも聞きました。膠原病の人でも2週間後に発症するということはありえますか?
膠原病であるから早く発症するというようなエビデンスはありません。普通の方と変わりありません。
(令和3年4月2日)
- Q.344年程前から強直性脊椎炎を患い、非ステロイド抗炎症薬を服用していたところ、新たに昨年10月から皮膚血管炎を患い、プレドニゾロンを服用するようになりました。 プレドニゾロン30ミリグラムから始めて、現在はプレドニゾロン12.5ミリグラムとメトトレキサート8ミリグラムを服用しています。 これらの病気と、現在のステロイド及び免疫抑制剤の服用量で、コロナウイルスに感染した場合、やはり重症化リスクが高いのでしょうか。また、ワクチン接種による副作用等のリスクは高いのでしょうか。
新型コロナウイルスがリウマチの患者さんでうつりやすいかどうかについては、現在までのところ(2021年3月)特にリウマチ患者で新型コロナウイルス感染が多いという報告はありません。一方で家族内感染は2倍であるという報告もあります。いずれにしても極端にうつりやすいとは考えにくく、もともとの病気の治療を考えれば今までのお薬をそのまま続けることが最善だと思います。新型コロナウイルスワクチンのリウマチの患者さんへの効果についてはデータがまだありません。しかし今のところリウマチの患者さんでワクチン接種の副作用が高くなるという報告はありません。
(令和3年3月6日)
- Q.31シェーグレン症候群で通院中です。症状は目、口の分泌物減少のみですが、採血でのリウマチの値は高めです。コロナウイルスのワクチンは打っても大丈夫でしょうか?
リウマチ因子(RF)が陽性だからといって、ワクチン接種ができないことはありません。
(令和3年2月24日)
- Q.244年前よりリウマチ患者であり医療従事者です。 1年以上前からエンブレルの皮下注射をしています。服薬はメトトレキサートとケアラムです。エンブレルのお陰で症状はかなり落ち着いています。リウマチ患者はコロナに感染すると重症化しやすいと言われているので、コロナワクチンを接種するつもりでいますが、副作用が心配です。 現在2週に一本のエンブレルですが、コロナワクチンはどのタイミングで接種した方が安心でしょうか?
あなたが過去のワクチンで強いアレルギー反応を起こした場合には主治医にご相談ください。そうでない限りは接種の危険性は一般の方と同じです。一般の方に比べて抗体ができにくいかもしれません。いつ打つべきかの明確なエビデンスはありませんが同時に打つことはお勧めしません。
(令和3年2月17日)
- Q.37ワクチンを接種すれば感染から身を守ることができるのでしょうか?
mRNAワクチン2回を接種した人では、接種後の数か月間、80〜90%程度の感染を予防する効果が認められたことが海外から報告されています。それ以降の期間の有効性についてはまだデータがありません。今後発表されるデータを参考にしてください。抗体価が次第に下がることを懸念して3回目のワクチンが今後行われる予定です。
デルタ株に対する感染、発症の予防効果は30%程度落ちる可能性が2021年7月にイスラエルより報告されましたが、重症化を予防する効果はほぼ全ての変異株に対して90%程度認められており、デルタ株に対してもワクチンの有効性がある程度示されています。ただしワクチン接種により新型コロナウイルスの感染を100%防ぐことはできませんので、ワクチン接種後も基本的な感染対策の継続が必要です。(一般社団法人日本リウマチ学会のHPより一部変更して引用)
※詳細な情報につきましては個々人で異なります。主治医とご相談ください。
(令和3年10月8日)
- Q.20関節リウマチでメトトレキサートを服用しています。 職場で新型コロナウィルスのワクチン接種の話が出てきていますが、このワクチンは接種しても大丈夫でしょうか?
メトトレキサートを服用していると、インフルエンザワクチンや肺炎ワクチンでは効果はあるとする論文と、作られる抗体がやや低くなる(十分効果がでない)とする論文はあります。ただ副作用が特に多くなるわけではなく接種は推奨されています。新型コロナウイルスの場合も十分免疫ができない可能性があるかもしれませんが、まだよくわかっていません。いずれにせよメトトレキサートを服用していても新型コロナワクチンを接種することは可能です。
(令和3年2月5日)
- Q.15免疫抑制剤を服用していると抗体検査をした時に陰性になることはありませんか?
免疫抑制剤を服用していても、既に感染をして抗体をもっていれば、抗体検査は陽性になります。
但し、リツキシマブなど一部の強い免疫抑制薬では抗体の産生が抑えられて抗体検査が陰性になることがあります。
(令和2年11月25日)
- Q.8ジクロフェナクナトリウム(ボルタレン)やロキソプロフェンナトリウム(ロキソニン)、アセトアミノフェン(カロナール)などの鎮痛解熱薬は免疫の力を低下させますか?
これらの薬剤(非ステロイド系消炎剤など)による免疫力の低下はほぼありませんが、新型コロナウイルスにかかり、重症になった場合は、肝臓や腎臓も悪くなりますので、これら薬剤により一層、腎臓、肝臓の悪化の懸念から使用しないのが一般的です。
(令和2年11月25日)
- Q.5トシリズマブ(アクテムラ)が新型コロナウイルスの重症肺炎の治療に使われるといいますが、トシリズマブを注射しているとコロナ肺炎にならないのですか?
トシリズマブは新型コロナウイルスで起こるサイトカインストーム(炎症惹起物質の爆発的産生)という重症の状態に効果があるとされています。しかし新型コロナウイルスにかかりにくくなるわけではありません。またトシリズマブを使っているから重症化しないというデータも出てはいません。
(令和2年11月25日)
- Q.4リウマチの治療(生物学的製剤、メトトレキサート、プレドニゾロンなど)をしていると新型コロナウイルスの肺炎が重症化しますか?
これまでの報告では、生物学的製剤を含めたリウマチ治療中でも特に重症化が起こりやすいわけではないようです。しかし、これについてもまだ十分な根拠があるとは言えません。一般的な予防対策はきちんとすることが必要です。
(令和2年11月25日)
- Q.38関節リウマチなのでアナフィラキシーが怖いのですが、かかりつけ医で注射を受けるべきでしょうか?
関節リウマチだからアナフィラキシーが起こりやすいわけではありません。もちろんかかりつけ医の施設で接種を受けることができれば安心でしょうが、国民のほとんどが短期間に受けるとなると、なかなかそうもいかないと思われます。どの施設も、特に集団接種会場ではアナフィラキシーを想定して準備していますから、集団接種会場で接種を受けてなんら心配ないと考えます。
(令和3年10月8日)
- Q.1関節リウマチの治療(生物学的製剤(エタネルセプト(エンブレル)、インフリキシマブ(レミケード)、トシリズマブ(アクテムラ)、アバタセプト(オレンシア)など)、メトトレキサート(リウマトレックス)、ステロイド剤(プレドニゾロン、メチルプレドニゾロンなど)、タクロリムス(プログラフ)、Jak阻害薬(トファシチニブ(ゼルヤンツ)、バリシチニブ(オルミエント)、ペフィシチニブ(スマイラフ)など)をしていると新型コロナウイルスにかかりやすいですか?
これらの薬剤はいずれも免疫を抑える、免疫抑制薬です。免疫を抑えることで病気をコントロールしますが、一方で身体の抵抗力を落とす薬でもあります。これらを服用、注射している人が特に新型コロナウイルスにかかりやすいという直接のエビデンス(証拠)はまだありません。
そもそもかかりやすさは一定量のウイルスに接触すれば誰でも同じですが、免疫という抵抗力が弱まっているので、ウイルスが体内で広がりやすいかもしれません。しかしその免疫低下の程度がどれくらいかというと、強い抗がん剤の治療をしている人たちの免疫力の低下に比べればごく弱いものです。心配されていることは感染を怖がって薬を飲むのをやめてしまったり減らしてしまった結果、病気自身が悪くなることで、その状態で新型コロナウイルスにかかると最悪の状態になり、回復困難になってしまいます。ですから新型コロナウイルスが流行っていても、今処方されている薬は必ず今まで通り続けるようにしてください。
(令和2年11月25日)
- Q.13免疫抑制剤を服用しているとワクチンを接種しても効果がありませんか?
インフルエンザワクチン、肺炎球菌ワクチンに関しては、今まで通りリウマチ治療の薬剤で多少免疫が低下するとしてもワクチン接種は受けたほうがよいでしょう。また、インフルエンザワクチンなどでアレルギーのある方は主治医にご相談ください。新型コロナウイルスのワクチンに関しては、新型コロナウイルスに効果が期待される複数のワクチンがアメリカで開発、市販され、日本にも導入されるところですが、その効果が実際にどれほどのものなのか、またどのような副作用が起こるのかはまだはっきりしていません。わかり次第発表しますが、新型コロナウイルスワクチンが利用できる際の接種については必ず主治医にも相談してください。
(令和2年11月25日)
- Q.12オンライン診療でもよいのでしょうか?
現在のところ新型コロナウイルス禍の特例措置として、初診からのオンライン診療が認められています。オンライン診療では自宅から直接先生の診療を受けることで通院する間あるいは医療施設内での感染の危険はなくなりますからそうした意味では感染を防止できます。一方でオンライン診療では血液やレントゲン検査をすることはできませんが、症状が安定している方であればオンライン診療で先生とお話しすることで十分管理することは可能です。ただ毎回オンライン診療というわけにはいきません(通常は2回に1回は直接の診察が必要です)。 また、最近では厚労省及び関係機関で初診からのオンライン診療に関して、かかりつけの医師に限って恒久化することも議論されていますので、今後の国の方針が変わることも予想されます。
(令和2年11月25日)
- Q.5関節 リウマチと診断され3年目です。メトトレキサート、プレドニン、ケアラムの服用で痛みは少しになりましたが腎臓が多少弱いということもあるので、生物学的製剤を勧められていますが費用がかかります。皆さんどのようにして費用をまかなっているのでしょうか?
医療費については65歳以下は3割が自己負担となります。関節リウマチは国の定める難病(指定難病)ではないため、この3割はご自身でお支払いいただくことになります。但し、高額医療制度に当てはまるか、何か受けられる福祉制度等はないか、などは病院のソーシャルワーカー、自治体の福祉課等に一度ご相談されてもよいかと思います。
また、最近はバイオシミラーという生物学的製剤の後発品も使用可能で、従来より安価に使えるようになっています。関節リウマチや薬剤の副作用による将来的な影響を考えると、生涯の医療費は生物学的製剤を使用して関節リウマチをよい状態にしたほうが経済的であるとの可能性もいわれています。 腎臓の状況と照らし合わせて主治医の先生に再度ご相談ください。(令和4年8月)
- Q.1セカンドオピニオンは、海外では一般的になっていると聞きますが、日本でも普通にとることはできるのでしょうか。 セカンドオピニオンを主治医に申し出た際、一般的にどのような流れになるのか教えてください。
セカンドオピニオン制度は、すでに確立されたもので、大きな病院であればまず自費診療扱いで行っておりますし、患者さんからの希望であり、これを現在の主治医が拒否する権利はありません。
セカンドオピニオンを求められた医師は、検査や治療はせず、同じ検査結果からどのような治療や検査を選択するかを考えて説明するのが役割です。診療が委譲されたわけではありません。ただ、ここのところがよく理解できていないことが多いのも事実ですが、しだいに一般的になってきています。
- Q.6難病指定になる関節リウマチとそうでないものとどう違うんでしょうか。教えてください。
関節リウマチには一般的な「関節リウマチ」と「悪性関節リウマチ」という2つの疾患があります。
「悪性関節リウマチ」は、「関節リウマチ」の患者さんに、血管炎をはじめとする関節外症状の併発を認め、難治性または重篤な病態を伴う疾患、と定義される日本独自の疾患名です。
「悪性関節リウマチ」は、国の指定難病となっており、医療費の公的負担対象疾患ですが、「関節リウマチ」はそのような対象ではありません。
ご自身の状態が「悪性関節リウマチ」に該当するのかは、主治医の先生にご確認していただければと思います。(令和5年6月)
- Q.2地震などの災害にあった場合に、どうすればよいでしょうか。
リウマチ患者さんの防災は、基本的に一般の人と同じなのですが、特に副腎皮質ステロイドやメトトレキサートなどの飲み薬や生物学的製剤などの注射薬は、数日分もしくは一週間分など余分にもっておくことが望ましいです。大きな災害が発生すると、かかりつけの医療機関を受診することができなくなり、薬が入手できなくなる可能性があるからです。最近のいくつかの大震災の経験から、薬が現地に到着し配布されるのに1週間前後かかることがわかっています。主治医以外の医師の診察も受けられるよう、ご自身の病状を把握しておくことが必要です。服用している薬の説明が出来るように、薬のメモを財布に入れておいたり、携帯電話のカメラで写真を撮っておくといざというときに役立ちます。急に非難が必要になったときでも、財布や携帯電話は所持している場合が多いからです。
被災時には、避難所での生活が余儀なくなる場合も想定されます。避難所の狭い空間で過ごしたり、車の中で寝泊まりすることもあります。水などの供給が一時的に停止することもあり、健康な人でも感染症などの病気にかかりやすくなりますので、関節リウマチの患者さんは、普段の生活以上に予防を徹底することが大事です。
エコノミークラス症候群などの血栓症への注意も必要で、適度に動くことを心がけてください。
あわせて、緊急時の連絡手段を知っておくことも重要です。公衆電話は、通信規制対象外の回線なので、比較的かかりやすい場合が多いです。その他、NTT災害用伝言ダイヤルや各種携帯電話の災害用伝言サービス等の使い方を知っておくと便利です。
詳しくは、日本リウマチ財団ホームページで災害時の備えとなる指導せんやご自身の治療などが記載できるリウマチ患者支援カードを公開していますので、ダウンロードして書いておくと便利です。参照ください。また、関節リウマチの薬の写真も掲載していますので、ご自身の薬がわからなくなったときにお役立てください。
- Q.3リウマチの症状が疑われる場合、財団のサイトに出ているようなリウマチの専門医(登録医)に行った方が良いのでしょうか?整形外科でリウマチも診れるような事を書いている所がありますが、そういう所でも診断・治療してもらえるという事でしょうか? 専門医がいられる所は大きな病院が多く、敷居が高い感じがします。
関節の痛みやこわばりを主たる症状とする病気をリウマチ性疾患といい、実にさまざまな病気があり、非常に多彩です。リウマチ性疾患の発病初期に共通する症状である関節症状がみられた場合、多数あるリウマチ性疾患から、具体的にどの病気が発病しつつあるか検討する必要があります。発病の初期はリウマチ性疾患として典型的な病像を呈することが少なく、リウマチ性疾患に特化した専門的な診察、画像検査を含めた各種臨床検査が行われ確定診断されるのが一般的です。そこで、かかりつけ医にご相談頂いて、もしリウマチ性疾患が疑われるようならリウマチ性疾患を専門的に診療している医療機関に紹介して頂くか、あるいは、日本リウマチ財団リウマチ登録医、日本リウマチ学会リウマチ専門医、あるいはいきなり大きな病院でなく、日本整形外科学会認定リウマチ医の中から、近隣で開業されているクリニックや医院などをまず受診されることがよいでしょう。整形外科医の中にもリウマチを専門にしている先生もいらっしゃいます。これらリウマチ性疾患を専門的に診てもらえる医師名(一部医療機関名を含むこともあります)は都道府県別に、それぞれの団体のホームページから検索できます。(令和2年10月)
- Q.4関節リウマチに関する医療費が高額で困っています。 関節リウマチに罹患した方々が、医療費の面でどのようにされているのか、 特定疾患の医療費助成が受けられれば、医療費の負担は減るのかなと思うのですが、特定疾患の医療費助成を受けられている方もいるのでしょうか。
残念ながら関節リウマチは特定疾患扱いにはなりません。これは医学的ではなく政治的な判断です。ただし血管炎を伴うような悪性関節リウマチや、シェーグレン症候群など疾患を合併している場合には、特定疾患として一部処理される可能性があります。
(令和4年2月)
