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1. |
- 変形性関節症(OA)とは?(定義)
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慢性の関節炎を伴う関節疾患で、関節の構成要素の退行変性により、軟骨の破壊と骨、軟骨の増殖性変化を来たす疾患です。関節炎(滑膜炎)は上記変化により二次的(続発性)に来たします。 。
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2. |
- この病気の患者さんはどのくらいいるのですか?(疫学・頻度)
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年令とともに増加し、60才以上になると膝、肘、股関節および脊椎では、80%以上の人に程度の差はあれ、見られます(Heine,1926年)。
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3. |
- この病気はどのような人に多いのですか?(男女比・発症年齢)
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変形性関節症は45才以下では男性に多く、55才以上では女性に多く(Kellgren,1950年)見られます。
65才以上では男性で58%、女性で68%と女性が多くなります
(Lawrence,1963年)。
膝関節のOAは、男性では重労働者に明らかに多く、女性では肥満の関与も指摘されております。 |
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4. |
この病気の原因はわかっているのですか?(病因) |
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関節構成要素の退行変性(年齢による変化)を基盤として遺伝的要因、加令、肥満、関節不安性症、繰り返しの亜脱臼・脱臼、労働、スポーツなどによる関節への負荷等がその進行に関与しております。
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5. |
- この病気は遺伝するのですか?(遺伝)
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手指、遠位指節間関節(指の一番先の関節)の変形性関節症はヘバーデン結節と呼ばれ、指先の関節の痛みと変形が見られる疾患です。常染色体性伴性遺伝で、女性には男性の10倍多くみられます。
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.6. |
- この病気はどのような症状がおきますか?(症状)
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初期には痛みは関節を使いすぎた後に生じ、安静でおさまります。進行すると軽い運動や安静時にも痛みを来たし、夜間痛もよく見られます。関節を強く曲げ伸ばしたり、運動時コツコツ音がしたり、関節炎で関節が腫れ、水がたまります。 |
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7. |
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この病気にはどのような治療法がありますか?(治療)
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初期には、抗炎症薬や痛み止めの薬を服用したり、痛み止めの入った貼付剤や塗布剤などを塗ったりするとおさまります。膝では大腿四頭筋力の強化訓練が有効です。股関節では外転筋力訓練(横になり足を上に挙上する)が有効です。膝や股関節OAでは杖の使用も関節への負担が減り有効です。関節内ヒアルロン酸など関節保護剤の注入も有効です。関節内へのステロイドの注入療法は、乱用すると関節破壊を強めることもあり注意すべきです。
膝では足底板、装具療法も有効です。
さらに進行した場合、関節鏡視下手術も有効です。痛みや変形が強い場合、膝や股関節では骨切り術や人工関節などの手術の適応となります。
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8 |
この病気はどのような経過をたどるのですか?(予後)
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膝や股関節のOAは末期には体重がかかると強い痛みのため歩行が困難となります。とくに、膝では正座は困難で関節の動揺性が進行すると、歩く時上体が左右に揺れ脚を引きずって歩きます。股関節では、股が開きにくくなったり、靴下や爪切り動作など日常動作が極めて困難となります。また、バスや乗り物の乗り降り、階段の昇降が困難となります。さらに進行すると、痛みは安静にしていても常時見られるようになり、睡眠も妨げられるようになります。
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よく聞かれる質問とこたえ(FAQ)
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Q1: |
人工関節の手術は何才くらいから出来ますか? |
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A1: |
人工関節には入れ歯と同じように寿命があります。膝や股関節では20年ほど、肘や手指、足関節では10年から15年ほどで入れ替えが必要となることもあります。人工関節の寿命も考え、出来るなら人工関節を入れないですむように、また手術を受けたとしても、なるべく再置換(入れ替え)手術をしなくてもすむように日常生活の動作に注意しましょう。(肥りすぎない、杖を使う、筋力訓練、重い物をもたない。)
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Q2: |
最近針仕事をする時右手で針に糸を通す時に母指の根本より手首に近い関節に痛みと腫れがあります。リウマチでしょうか?治療法はありますか?
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A2:
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中年以降の女性に多い変形性関節症(CM関節症)です。親指の開閉や小指側に向けたりする関節(CM関節)に起こるOAです。物をつまんだり、字を書いたりする時に、この関節が腫れたり、突出し、押すと強い痛みがあります。治療法としてはまず、負担がかかる手仕事をやめるか減らすことを考えましょう。消炎鎮痛剤の内服や貼付剤・塗布剤なども有効です。またCM関節症用の装具や局所の包帯固定も負担を減らします(主治医と相談してください)。頑固な痛みが続き、日常生活動作に支障が出るようであれば、手術療法も選択できます。
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【情報更新】令和3年1月
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